ダルガ峰(1163m)〜長義山(1105.1) 千草町・西粟倉村 25000図=「西河内」
雪林の逍遥、ダルガ峰から長義山
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駒の尾(左)、点名大海里(中)の北にダルガ峰(右)
三室山より望む(2004.2.28) |
春の融雪は日ごとに進み、雪の山を歩けるのもあとわずかとなった。今回は、播磨北西の県境稜線を、ダルガ峰から長義山へと辿った。
予定していた登山口を確認し、下山地点へ自転車を置こうと車で走っていると、人造池の向かいに「駒の尾登山口」の大きな看板が立っていた。予定を変更し、ここから上ることにした。しかし、いざ山へ踏み込んでみると、数歩でルートが分からなくなった(雪の下には小道があるのだろうか?)。そのすぐ右に沢に沿って稜線へ向かう林道が伸びていたので、これを歩くことにした。
雪はザラメ状で、表面だけが朝の低温に薄く固まっている。途中から道は沢を離れ、左手の急斜面をダルガ峰の山頂方向につづらに上っていた。このあたりの道はまだ工事中で、のり面の岩や土が道の雪に崩れ落ちていた。逆光ににぶく映る後山を時々目にしながら上っていくと尾根に達した。尾根はなだらかで、目の前にはゆるやかに起伏する主稜線が広がっていた。あたりは伐採地で、その中に道は続いていた。
雪の中に露頭があった。ハンマーで叩いてみると、まるでサヌカイトのようにカンカンと乾いた音を立てて割れた。石は黒い玄武岩。石の中には、小さなかんらん石がガラス光沢をもって散らばっていた。
ダルガ峰の山頂部は、水平に近い平坦面で両端がスッパリと切れ落ちている。一目で溶岩流の山頂だと直感できるのであるが、この玄武岩がその溶岩流の岩石であった。
道は、伐採地の上の方で途絶えた。ここから、スギに雑木の混じる斜面は再び傾きを増した。この斜面を真っ直ぐに上りきると、ダルガ峰の平らな山頂部に達した。
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| ダルガ峰山頂方向 |
ダルガ峰山頂付近 |
スギ・ヒノキを縫ってこの平坦面を進むと、「中国自然歩道 ダルガ峰高原」の道標が立っていた。ダルガ峰の山頂はどこになるのだろう。南へ1163mの最高点まで辿ってみたが、そこには枝や葉が雪面に落ちた荒涼とした雑木林があるだけだった。
ここから、稜線を北へ長義山に向かった。稜線といっても初めは広い平坦面である。スギやアカマツにミズナラやブナがわずかに混じっている。雪面には、木から落ちた雪のかたまりが凹凸をつくっている。雪におおわれたこの高原は、木々を縫ってどこでも歩くことができた。
「ちくさ高原スキー場」の上をかすめ、さらに北へ進むと、尾根は狭くなり1081mピークに達した。ここで方向を北東へ変えるが、このあたりは地形が複雑で展望もなく迷いやすい。目の前の地形と地図・コンパスを見比べながら少しずつ進んでいった。左にないはずの谷が現れ、ルートをはずしたことに気が付いた。いくらか戻ってその谷の最上部をトラバースし、再び長義山への稜線に乗った。
時間はまだたっぷりと残っている。雪面に木々を透かして吹く風が快いほどのよい天気。ゆっくりゆっくり進めばよい。
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| ちくさ高原スキー場(正面右に東山) |
長義山山頂から望む東山 |
長義山は、お椀を伏せたような丸い山であった。最後のコルから山頂まで、一直線の急登である。春は、この山の南面の雪をまだらに融かしていた。雪の下から現れた地面は乾いていたが、それでも雪をスノーシューで蹴り込んで上るほうが滑りにくいので、雪のとけ残ったところを伝い渡りながら上っていった。やがて、全面が雪におおわれ、傾斜もようやく緩くなって長義山山頂に辿り着いた。
長義山の山頂は、ヒノキの下であった。三角点の標石は雪に埋もれている。木の幹に、山岳会の名の記されたビニールテープが2つ巻きつけられていた。北には展望が開け、正面に雪の光る東山がそびえている。そこからスカイラインを左にたどると沖ノ山、右にたどると三室山が立っていた。東山の上空には、細かくちぎれて乱れた巻雲が腕足介の化石のような模様をつくっていた。
山頂を少し下ると、樹林が切れて真っ白な斜面が東へ下っていた。斜面の下には、雪におおわれた道路が見える。地図を見ると、ちょうどこの下が自転車のデポ地だった。あとはただ、この斜面を滑り下りればよかった。
それにしても、もうちょっと尻すべりをうまくせんとなあ〜。帽子は飛ばすし、体はひっくり返るし……。北海道におったころは、もっとうまかったはずやけど……。雪に残した乱れたシュプール?は、早く消えてほしいなあ。でも、自転車での滑走は気持ちよかった〜。
長義山からの下り
(正面に三室山)
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山行日:2004年3月14日