但陽山(806.5m)  神河町    25000図=「大名草」


越知川源頭、初秋の尾根道
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但陽山を登路から望む

 越知川源頭部の西、神河町と朝来市との境界に標高750m前後の山並みがある。但陽山は、この山並みの中の一つのピーク。但陽山は通称名で、名前の由来は不明である。

 新田ふるさと村を過ぎると防獣ゲートがある。その先に車を止めて、林道を登っていった。アケボノソウの花が、朝になって開き始めていた。林道は、最近になって東側の伐採地へ向かって延長されていた。
 林道法面では、火砕流堆積物に火砕サージ堆積物がはさまれている地層がよく観察できた。

林道を登る

 林道を何度か屈折して登っていくと、伐採地に入る手前に防獣ネットが張ってあった。ここで林道から尾根に上り、ネットにそって進んだ。
 前に但陽山が見える。うしろを振り返れば、またに山が大き山体でせまり、その右奥に千ヶ峰が見えた。

またに山

 伐採地の上に出るとネットは途切れた。あたりもスギ林から雑木林へ変わった。尾根の傾斜はしだいに急になっていった。
 アキノキリンソウが、ほんとうに一株だけ咲いていた。暗い林内で、木漏れ日のスポットライトが当たり、黄色の花弁がつややかに光った。

 スギ林に咲くアキノキリンソウ

 主尾根には、尾根道がはっきりとついていた。スギ林と雑木林を分ける尾根道を進んだ。ヤマガラやコガラやコゲラの声が聞こえた。

尾根道

 丘のようなピークを二つ越え、二度ほど「山頂とちごとったか・・・」というところを過ぎ、但陽山の山頂に達した。
 三角点の標石に丸い切り開き・・・。山名プレートや標識など何もない山頂。シラキの葉が紅葉していた。早く紅葉するシラキは、この時期に一番よく目立つ。

但陽山山頂 シラキの紅葉

 アズキナシが山吹色に染まり始めている。タムシバは、果実の袋が破れて中から赤い種子が顔を出そうとしていた。このあと、この果実や種子はどうなるのか見ていたい気がした。

アズキナシ  タムシバ

 但陽山山頂からも、歩きやすい尾根道が延びていた。アップダウンをくり返しながら先へと進む。尾根に沿って「国土調査」の黒白の杭が続く。
 ツルシキミが広がっていた。シカが食べないので、このあたりの山ではずいぶん多く見かけるようになった。ツルリンドウの果実が花被から出ようとしていた。

尾根道  ツルリンドウの果実

 774mピークには、地籍図根三角点が埋まっていた。そこから下ったあと、急な木の根道を登り返す。タンナサワフタギが黒紫の実をつけていた。
 送電線鉄塔下では展望が開けた。北西に但馬の山々が連なり、遠くに氷ノ山から三室山への稜線が空を限っていた。

 鉄塔下からの眺望 遠くに氷ノ山

 鉄塔を過ぎたところでも、シラキの紅葉が緑の林に際立っていた。しばらく進んだところで大きく右へ曲がると、分岐があった。送電線巡視路が右へ分かれているようだった。
 ここを過ぎてひと登りすると大きな岩の上に出た。送電線の左に西雄岳が尖り、右にまたに山が稜線を波打たせていた。

 大岩の上からの眺望 左に西雄岳、右にまたに山

 大岩をそのまま下りて、東へ進んだ。ウラジロの木が、小さな梨のような実をつけている。ナツハゼの実には、桜の花のような模様ができている。秋は木の実を見るのが楽しい。
 点名高路奥(813.6m)の三角点は、一本の大きなモミの木の下に埋まっていた。
 ここから「帰去来」の石碑の立つ貝坂峠まではすぐであった。

点名高路奥とモミの木
山行日:2023年10月3日

スタート~林道~防獣ネット(尾根へ)~主尾根へ~但陽山(806.5m 点名焼山谷)~点名高路奥(813.6m)~ゴール(貝坂峠) map
 スタート地点から林を横切って林道へ。林道は最近になって奥へと延びていた。林道が伐採地に入るところに防獣ネットが張ってあり、そこからネットに沿った尾根を登った。
 主尾根までの尾根には、踏み跡がある。主尾根には、歩きやすい尾根道が続いていた。
 ゴールの貝坂峠から自転車でスタート地点へ戻った。

山頂の岩石 白亜紀後期 生野層 単斜輝石安山岩

 主尾根の手前から但陽山山頂まで、単斜輝石安山岩が分布している。新鮮なところは暗灰色で、風化すると赤褐色になることが多い。単斜輝石と斜長石の斑晶が認められる。

 林道には、緑色のデイサイト質溶結火山礫凝灰岩が分布している。塊状の火砕流堆積物であるが、火砕サージ堆積物と思われる緑色凝灰岩の薄層をはさんでいる。
 但陽山の北では、緑灰色のデイサイト質溶結火山礫凝灰岩が分布している。斜長石・カリ長石・黒雲母の結晶片に富み、軽石や流紋岩・黒色頁岩の岩石片をふくんでいる。弱く溶結していて、軽石には気泡が残っている(写真左)。
 一部でデイサイト溶岩、あるいは岩脈が見られた。発達した流理が観察される(写真右)。

デイサイト質火山礫凝灰岩
(但陽山北の峠道 左右22mm)
流理の発達したデイサイト溶岩
(但陽山南の林道)

   

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