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高取山(328m) 神戸市 25000図=「神戸首都」「神戸南部」「前開] 梅雨明けの空に、神戸の街と海の展望
新田次郎の小説「孤高の人」のプロローグの舞台が、この高取山の頂上である。冬の朝、若者がここで老人から加藤文太郎の話を聞く。若者が、「彼を山に惹き付けたのものはいったいなんなのです。」と聞いたとき、その老人の姿はもう山頂にはなかった。
神社の白壁に沿って進み、堀のようになった苅藻川を渡って住宅街の坂道を登ると、長田小学校前バス停に出た。そこから、歩道橋でバス道を渡った。歩道橋の上から北西を見ると、豊かな緑に包まれた高取山が住宅街の上にどっかりと座っていた。 歩道橋を越えてバス道を少し西に進んだところが、高取山の登山口になっていた。そこから、コンクリートの階段が坂に立つ家々の間を縫って続いていた。毎日登山の常連さんたちが、早くも山から下ってきた。あいさつを交わしながら階段を登り、振り返ってみるともう海が見えた。 住宅街を抜けたところに「高取山」の石柱が立ち、そこから山道に入った。ツユクサやムラサキカタバミが咲いていた。少し進むと、暗い森の中に入った。豊春神社を過ぎると、古い石段の道となった。山頂の高取神社へと続く参拝の道である。 スダジイ・ハリエンジュ・アカメガシワ・アベマキに六甲花崗岩………。木や岩を見ていると、多くの人たちが追い越していった。 道が大きく曲がったところが見晴らし台になっていた。木々の間に見える大阪湾には、数隻の船が浮かんでいた。 渓流を流れる水の音を、にぎやかな人の声がかき消した。すぐ上に、最初の茶屋、清水茶屋があって、にぎやかな声はその中からあふれ出ていた。 急坂をぐんぐん登った。中の茶屋からは、古い歌謡曲が聞こえてきた。赤い鳥居の立つ白川大明神の脇を抜けると、六甲主稜線の展望が開けた。山頂に電波塔を乗せた菊水山、そこから東へ鍋蓋山、再度山と並び、背後にアンテナ群を乗せた摩耶山が稜線を左右に広げていた。 今度は安井茶屋。茶屋は、次々と現れた。上から下りてきたご婦人が、子供たちに「今日は景色がきれいよー。頂上で楽しんでおいで」と声をかけていた。 大きなウバメガシやウラジロガシの下をくぐると、右手に立派な石垣が現れた。ベンチが並び、道には石タイルが張られ、アジサイが咲いている。まるで、公園のようになってきた。歩き始めて1時間半、のども乾いてきた。月見茶屋に飛び込んで、おでんとビールを注文した。山の上で、こんなによく冷えたビールが飲めるなんて………。やっぱり、いいな!六甲は!
急な石段に並んだ赤い鳥居をくぐり、高取神社へ向かった。立ち止まると蚊が寄ってくる。うん?さっきのビールのせい?
山頂から西へ、雑木の中を山道がついていた。ヤマモモの実を食べると、甘酸っぱい味が口に広がった。荒熊神社に続く石段を登ると赤い鳥居が並んでいた。鳥居の脇を右に登ったところが、標高319.9m、高取山の須磨側山頂であった。このピークに電波塔が立ち、ここにあった三角点は標高を減じてこの下の境内に移設されてた。 鳥居に戻り、荒熊神社に向かうと、海の見える展望所があって、そこに標高312.8mの新しい三角点が埋められていた。
荒熊神社に寄ったあと、西へ下った。岩がちの急な山道が続いた。前方に展望が開けると、横尾山が住宅街を乗せた樹林の上に三角形で立っていた。野路山公園を経て、堂ノ下バス停へ下った。
山行日:2011年7月10日
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| 高速神戸駅〜長田神社〜高取山登山口〜豊春神社〜清水茶屋〜中の茶屋〜白川大明神〜安井茶屋〜月見茶屋〜高取神社〜高取山山頂〜312.8m三角点〜荒熊神社〜野路山公園〜堂ノ下バス停 |
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| 高取山へはいくつものコースがあるが、今回歩いたコースは一般的なコースの一つである。下山した堂ノ下から、地下鉄妙法寺駅まで歩いた。 | ||||||||||||||||||
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| 山頂の岩石 高取山 → 後期白亜紀 六甲花崗岩 319.9m峰 → 後期白亜紀 アプライト |
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| 高取山には、六甲花崗岩が分布している。主に黒雲母・石英・斜長石・カリ長石から成り、カリ長石のピンク色が特徴的である。登山道のところどころにこの花崗岩が見られたが、風化にってマサ化している部分が多かった。 標高319.9mの須磨側山頂では、優白質・細粒でアプライト質の岩相が見られた。石英・斜長石・カリ長石から成る細粒の基質の中に、最大2mmの石英、最大3mmの斜長石を斑晶状に含まれている。また、有色鉱物として、細粒の黒雲母が少量含まれている。 標高319.9m地点から野路山公園までも六甲花崗岩の露頭が続いたが、一部で暗灰色や淡灰色の泥質ホルンフェルスが見られた。 |
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