白旗山(440m) 上郡町 25000図=「上郡」「二木」
夏草繁る山城の跡
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白旗山(右の最も高く見えるピークが櫛橋丸跡、
中央が二の丸跡、左が本丸跡) |
千種川とその支流鞍居川にはさまれたところに、南北朝時代の歴史に彩られた山、白旗山がある。
建武3年(1336年)、赤松円心はここに築城し、新田義貞率いる6万の軍勢による五十余日の城攻めに耐えた。以後、白旗城は嘉吉の乱(1441年)で赤松氏が滅びるまで、赤松氏の本城であった。現在残る城跡の一部は、城郭が大規模化した戦国時代に築かれたものとされている(案内板の説明より)。
この山に小2の娘と二人で来たことがあった。向かう途中で雨が降り出し、登山口に止めた車の中で、おにぎりを食べながら雨の止むのを待った。
しかし、雨足は強まる一方で、車から一歩も降りないで帰ったのだった。帰りは、ジュースやお菓子を買ったり、たこ焼きを食べたりで、「おいしいドライブ」だったと娘は山を歩く以上に満足していた。
今日は好天に一人・・・。「樹木観察図鑑」をザックに詰め、細野口から山陽自然歩道(地形図破線)を歩き、山頂をめざした。
登山口から少し行くと、「山麓五輪塔群」の道標が立ち、左手に小径が分岐していた。登山道を離れ、この五輪塔群に足を伸ばしてみた。
そこには、白旗城合戦(1336年)に倒れた人々を供養するための五輪塔が集められていた。もとの分岐に帰り、しばらくは広い林道を進んだ。
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| 五輪塔 |
スギやヒノキに、ケヤキやモミの大木やアラカシが混じっていた。登山口から500mほど歩き、橋を渡ったところが林道の終点。WCと白旗城跡の案内板があった。
ここから、渓に沿った小径を登っていった。長らく雨が降っていないためか、渓に水は流れていない。苔むした凝灰岩のガレ石の道は、ほぼ真っ直ぐにコルをめざして続いていた。
紫色のヤブランの花が咲いていた。ケヤキやモミの大きな樹が所々に残り、アラカシの若い樹も育っていた。ホオノキやアベマキが混じりだして、尾根のコルに達した。
コルからは、白旗城跡の連なる山稜を北西に進んだ。アラカシ、コナラ、アベマキ、ウラジロガシ、イヌシデ、ヤブツバキ、アセビ、ミツバツツジ、モチツツジ、スダジイ(うーん、分かるのはこれくらい。あとは名前の分からない木がいっぱい)などが生える、自然林の中の小径である。
櫛橋丸跡(430mピーク)の手前に巻き道が分岐していたが、麓から頂上以上に目立ったこのピークに登ってみた。
櫛橋丸跡は、大小の岩塊が重なっていた。岩の上に立つと、二の丸跡・本丸跡(山頂)・三の丸跡と続くなだらかな隆起が間近に見えた。
本丸跡と三の丸跡のちょうど間の遙か彼方に明神山、そして明神山の後ろに七種山が見えた。
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| 櫛橋丸跡 |
櫛橋丸跡から本丸跡方面を望む
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櫛橋丸跡を下り、登り返すと二の丸跡、そのまま疎林の中を進むと本丸跡に達した。標高440.3m、一等三角点の立つ白旗山の山頂である。
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| 白旗山頂上(白旗城跡本丸跡) |
ヤブツバキに囲まれた山城跡特有の平坦面には、シダが生い茂り、桜の木がポツンポツンと立っていた。白旗城址の記念碑や案内板、石の小さな祠も傍らに立っている。
城跡を歩けば、足下からバッタが次々と飛び立った。前翅表面の黒色の中に白条が美しいツマグロヒョウモンがシダに止まっていた。
古い丸太のベンチに腰掛けた。「夏草や 兵どもが 夢の跡」……芭蕉の句そのものの光景が目の前にあった。
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| ツマグロヒョウモン♀ |
三の丸跡にも足を伸ばした。三の丸跡は、本丸跡よりも4段ほど低い平坦面。西北西の方向に、岡山県の八塔寺山(539m)が見えた。
山行日:2000年8月30日
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行き:細野口登山口〜山麓五輪塔群〜案内板・WC〜330mコル〜櫛橋丸跡(430mピーク)〜二の丸跡(430mピーク)〜白旗山山頂(本丸跡・440.3m)〜三の丸跡
帰り:行きと同じ(櫛橋丸跡と白旗城跡山麓五輪塔群は省略) |
白旗山へは、西の細野からと、東の野桑からの道が通じている。今回は、細野から登った。
登山口手前には白旗城跡の案内板と道標が、また、登山口の右手には「白旗城跡」の大看板が立っている。登山口には、「白旗城跡2.1km」と表示されていた。 |
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| 山頂の岩石 白亜紀 相生層群又坂累層 流紋岩質火山礫凝灰岩 |
櫛橋丸跡の火山礫凝灰岩
表面の突起は凝灰岩に含まれている岩片
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白旗山は、白亜紀の火砕流でできた岩石から成っている。今回のルートには、それほど多くの露頭はなかったが渓沿いのガレ石など、ほとんどが凝灰岩であった。
櫛橋丸跡には、大きな岩石がいくつも重なっていた。表面には、ボコボコとした突起が多く見られる。これは、噴火の際に溶岩が取り込んだいろいろな種類のレキ(岩片)である。
レキの大きさは2〜10cm程度のものが多いが、中には30cmを越えるものもあった。レキの種類は、チャート・黒色スレート・褐色のシルト岩、それに凝灰岩と同質と思われる流紋岩である。
凝灰岩自体は、石英・長石・変質した有色鉱物の結晶片を含み、基質は褐色である。緑色のラッピリや、赤褐色に変質した火山ガラス(軽石)も含んでいた。 |
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