| 西光寺山(712.9m)〜ササバ(480.1m) 西脇市・篠山市 25000図=「谷川」 |
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雪の播丹国境、西光寺山からササバを歩く
西光寺山は、播磨と丹波の国境上、西脇市と篠山市にまたがって立っている。
「こぐり岩」から先に進んだ。道はしだいに岩がちになってきた。岩には板状節理による平たい割れ目が発達している。 ウバメガシが多くなり、その細い幹には、片側だけに雪が帯のように縦になって張りついていた。幹の茶、葉の緑、雪の白が冬の色彩のコントラストをつくっていた。枝葉に積もった雪が融け始めて、みぞれのかたまりのようになって落ち、地面の雪に無数の穴を開けていた。 木立の間から右手に西光寺山の山頂が見え始めた。播丹国境をなす尾根に合流し、最後の坂を上りつめたところが西光寺山の山頂であった。 古い祠の立つ山頂には、標識や登頂プレートが並び、それに新しい東屋や展望案内板までが設置されている。かつて、多田繁次氏が、「山の頂上だけは何も建ててほしくない、石の祠一つで十分である」という深田久弥氏の言葉を引用して讃えたこの山頂は、雑然とした山頂に変貌していた。(しかも、展望案内板の白髪岳と松尾山の位置が反対であった。) それでも、山頂からの展望は素晴らしかった。眼下に広がる今田町の田園風景。その背後には、山頂部が広く平らな和田寺山が、ゆったりと裾を広げている。周囲には、多紀アルプスの主峰・三嶽、その手前に白髪岳と松尾山、さらにその手前にとんがり山と西寺山といった丹波の山々……。その右には、大舟山、千丈寺山、烏ケ岳、虚空蔵山、羽束山などの北摂の山々。そして遠くに、六甲の山並みが緩く滑らかな稜線を引いていた。
山頂に別れ、播丹国境の尾根を北東へササバを目ざした。尾根には、雑木の中に伐り開きがあり、落ち葉に重なる雪の上を歩くと、キュッキュッと雪のしまる音がして気持ちが良い。しかし、途中からこの細い道は、右の斜面から上がってきた広いが荒れた道に飲み込まれてしまった。 向かう方向に、畑谷川を隔ててピラミダルに整った形でそびえる高山が見え始めた。鉄塔の下を過ぎて、聖徳太子の伝承の残る机坂の峠を見下ろす地点で正面にササバが現れた。 ササバ……不思議な語感をもつこの山名は、祭祀を行う「楽々庭(ささば)」に由来するとされている。しかし、この語は「小竹葉(ささば)」にも重なっているようにも思える。急斜面を滑り降りた机坂から、ササバへ上り返した。ササバの山頂には、降り積もった落ち葉の中に三角点の標石がひっそりと埋もれていた。
山行日:2003年12月29日
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西脇市双葉小学校前から、地形図破線路を上る。始めは、中畑林間ファミリー園内の道が入り組んですこし紛らわしいが、そこを抜けると標識も整備されていて間違うことはない。途中、「行者参道」や「不動明王参道」などの別ルートがある。 |
| ■山頂の岩石■ 後期白亜紀 有馬層群平木溶結凝灰岩層上部 流紋岩質溶結凝灰岩 西光寺山からササバにかけての山域は、有馬層群平木溶結凝灰岩層上部(栗本他、1993)に属す岩石から成っている。 こぐり岩付近や西光寺山山頂付近の岩石には、石英・長石・黒雲母の結晶片が多く含まれている。基質は、新鮮な部分では淡い灰色を呈し、ガラス質で緻密である。全体的に、板状節理が発達し、節理に沿って割れやすい。 |