大野山(753.5m)    猪名川町               25000図=「福住」

西軽井沢から落ち葉の道を大野山へ

大野山(関西軽井沢ゴルフ場より)

 関西軽井沢ゴルフ場から大野山を見た。標高720mの肩が秋の空にそびえ、そこから電波塔を乗せた山頂まで稜線がゆるやかにつながっていた。
 朝日を浴びた大野山は、山全体がオレンジ色に染まっていた。

落ち葉の道

 西軽井沢から、別荘地の間の道を上る。道の左には沢の流れ。一軒の家の前の分岐を左に取り、小さな橋を渡ると標識があった。その標識に従って、広い道をゆるく上っていった。
 落ち葉の間から、20〜30cmぐらいの大きさの石がごろごろと顔を出していた。石は、ピンク色のカリ長石、白色の斜長石、それに石英の大きな結晶の入った花崗斑岩。たいていが風化の進んだものだったが、1つ2つ新鮮なものを見つけることができた。
 落ち葉は幾重にも重なっていた。コナラやクヌギなど茶色の葉が多かったが、その中にクロモジやコシアブラの黄葉が目立った。落ち葉の間からは、シシガシラが緑色の葉を出していた。 

 道は山腹を斜めに上り、谷は右下に少しずつ深くなってきた。褐色の木々の中に、タカノツメとダンコウバイが競い合うかのように黄葉を日に透かして輝かせていた。
 道はいつの間にか細くなり、小さな谷の上部を等高線に沿うように曲がりくねって続いていた。周囲はずっと晩秋の雑木林。道の両側に生えているコアジサイの黄色の葉が、ずっと目を楽しませてくれた。
 手に双眼鏡を持ち、ザックに鳥類図鑑を入れてきたのだが、落ち葉を踏む音がうるさいのか鳥は近くに寄ってこなかった。少し離れた木の間から、シジュウカラの声がした。

花崗斑岩 タカノツメの黄葉

 道は途中から南へ大きく折れ曲がったが、標高650mあたりで左手に谷を見るようになってきた。ここへは日があまり射し込まないのか、落ち葉はまだ露にぬれていた。
 標高が高くなるほど、木々の枝に残る葉は少なくなり、アセビやイヌツゲの緑が目立つようになってきた。
 やがて、谷が浅く広がり、傾斜もゆるくなってきた。よく歩きこまれた丸太の階段が現れ、これを上ると主尾根に達した。
 
 葉の周りが白く縁取りされたチシマザサを踏み分けて主尾根を北へ進むと、電波塔の下に出た。三基の電波塔の裏にかぼそく続く道を進み、アスファルト道を横断して上り詰めると大野山の山頂に達した。

ダンコウバイの黄葉 主尾根との合流点

 広く刈り払われた山頂には、三角点、方位盤、それにテーブルやベンチがあった。山頂で石を見ていると、展望台の方から夫婦がここまで上ってきたり、西軽井沢の方から女性パーティが上ってきたりして、にぎやかになった。
 山頂からは東がよく開け、猪名川を隔てて県境の尾根がゆるく広がっていた。その向こうには、深山が裾を大きく引いていた。
 木々の間から、南には北摂の山々が見えた。大船山、羽束山、昼ヶ岳、鳥飼山……。その上には、六甲山の山影が白く薄く浮かんでいた。

大野山山頂 北摂の山々(天文台前の広場より)
右の高峰が大船山、左が昼ヶ岳

山行日:2007年12月2日
西軽井沢登山口〜739mピーク〜大野山山頂〜天文台(同じコースで下山)
 阪急バス「西軽井沢」の近くに登山口がある。ここから少し上った所に駐車スペースがあった(有料駐車場の200m下)。ここから山頂まで、地形図に記された道が明瞭に続いている。標高700m地点から主尾根へは、丸太階段による近道があった。
■山頂の岩石■ 白亜紀 佐曽利凝灰角礫岩層  火山礫凝灰岩

 登山道沿いには始めからずっと花崗斑岩が見られたが、標高560mの曲がり角で火山礫凝灰岩(弱溶結)が見られた。そこから再び花崗斑岩となったが、山頂付近には火山礫凝灰岩が分布していた。
 
 山頂の火山礫凝灰岩は帯緑灰色を呈し、丹波帯のチャート・頁岩・砂岩
、それに流紋岩などの岩片を含んでいた。また、長石、石英の結晶片を多く含んでいる。有色鉱物は変質していた。
 佐曽利凝灰角礫岩層は、いわゆる有馬層群の最上部に位置し、約7000万年前の火山活動によって生じたカルデラ(佐曽利)に堆積したものである。

 花崗斑岩は5〜10mm程度の大きさのピンク色のカリ長石、白色の斜長石、灰色透明の石英の斑晶を多く含んでいた。また1mm程度の大きさの黒雲母も認められる。石基は淡い帯緑灰色を呈していた。
 この花崗斑岩の岩体は佐曽利凝灰角礫岩層の周縁部に貫入しているもので、カルデラの形成と関わって構造的・成因的に興味深い。

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