おもしろ昆虫化石館                      新温泉町  

昆虫化石の宝庫、新温泉町にある日本初の昆虫化石博物館



おもしろ昆虫化石館
 新温泉町千谷の岸田川左岸にある。昆虫化石が初めて発見された小又川は、このさらに上流で岸田川に合流する支流である。

 新温泉町の海上地区で初めて昆虫化石が発見されたのが1964年。その時の話がおもしろい。
 「4人の女子高生が、海上を流れる小又川周辺に、夏休みの宿題の化石採集に出かけたのです。涼しさを求めて降りた河原で、彼女たちは何げなく石を割ってみると、そこには植物の化石とは違った、奇妙な小さな化石がついていました。
 二学期が始まり、彼女たちが提出したその化石に先生は目を疑いました。そこには、小さいながらも虫の形がくっきりと印されていたのです。」(解説パネルより)

 その後、研究が進み現在では新温泉町海上で100種以上もの昆虫化石が見つかっている。この「おもしろ昆虫化石館」には、海上で見つかった昆虫化石が数多く展示されていた。ハエ、クモ、カワゲラ、カメムシ、キリギリス……。淡い褐色の岩石の上に、黒くあるいは褐色にはっきりと浮かび上がっている。300万年前には、昆虫はほとんど今と変わらない姿になっていたことが分かる。
 小石の大きさ程度に割られた岩石をさわることのできるコーナーがあった。たいへん軽く、さわると粉が手に着いた。この約300万年前の照来層群中の凝灰質泥岩中に海上の化石が含まれている。この岩石は、淡い褐色をしていて、縞模様が細かく入っている。この縞模様に沿って包丁を置き、上からハンマーで軽くたたくときれいに割れるそうである。

 最近の化石講座で採集されたゾウムシやカメムシなどの化石にはラベルに発見者の名前が誇らしげに入っていた。展示された化石を見て、自分の手でも採集してみたいと思った。ただし、産地の保護と安全のために、採集する場合は教育委員会と地主さんの許可が必要とされている。
 

展示室の様子
■主な展示■

◇植物化石(海上産出)
 カバノキ・クリ・ヘイグンイヌシデ・メタセコイア・イヌシデ・ブナ・フウ・シキシマナラ・ムカシケヤキ・イタヤカエデ・クヌギ・カエデの種子 など
◇昆虫化石(海上産出)
 ハエ・ユスリカ(成虫)・クモ・カワゲラ・ケバエ・ナガゴミムシ・コクワガタ(頭部)・カメムシ・トンボ・キリギリス など
◇外国産昆虫化石
 3億年前(石炭紀)のゴキブリの一種(フランス産)など
◇解説パネル
 <昆虫化石の宝庫、温泉町> <昆虫化石の発見> <温泉町の昆虫化石たち> <化石誕生ストーリー> <化石のメッセージ> 
◇昆虫と地球の歴史(大パネル)
◇化石の実物展示(化石を探せる)
◇採集道具展示
◇化石ものしりQ&A
 
昆虫化石の展示
 今から300万年前頃(新第三紀鮮新世)の但馬地域は、火山活動が活発で火山が噴火をくり返していた。新温泉町の南部には古照来湖があり、海上はこの湖の岸にあたるところで、木々や草の生えている湖岸にはたくさんの昆虫がいた。これらの昆虫の死骸が、火山灰や泥の中に埋まり、現在見られる化石となったのである。
 大パネルの<昆虫と地球の歴史>には、昆虫を中心とした生物の進化の歴史がわかりやすく説明されている。「人類の祖先とされるアファール猿人から約380万年。昆虫の歴史は約4億年。現在昆虫は約80万種で、動物界約110万種の70%を占める。現在の地球上でもっとも進化した動物は、昆虫の方かもしれません。」と、まとめられていた。

■ 場 所 ■ 美方郡新温泉町千谷850   [TEL] 0796−93−0888  [休館日] 毎週月曜日
■ 交 通 ■ 国道9号線 千谷の交差点のすぐ南
■探訪日時■ 2000年1月8日

『おもしろ昆虫化石館』ホームページへ
 チョウ・シロアリ・ヒメバチ・ケバエ・トンボのヤゴ・コガシラアブの画像が見られます

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