岡部川〜岩戸川

小さな川に多様な岩石、瀬加中学校の生徒と歩く


 市川町立瀬加中学校では、夏休みに理科自由研究週間を設け、生徒向けに6つの講座を開いている。その中の『岩石学』の講座に、私も参加させてもらった。講師は、賢明女子学院中・高校の田崎正和氏で、15名の生徒が参加した。
 瀬加小学校牛尾分校から、岡部川に入りすぐにその支流の岩戸川の河床を歩き、岩戸神社に達するまでの約1,5kmが観察区域である。生徒たちは、手に手にハンマーを持ち、靴のままジャブジャブと気持ちよさそうに水の中を歩いた。そして、凝灰岩・チャート・砂岩・頁岩から墓石までのいろいろな岩石にハンマーを振るい(いえ、墓石はたたいていません)、田崎氏の岩石にまつわる興味深い話に耳を傾けていた。


内 容 の 紹 介

写真:岡部川に入って観察する生徒たち。説明しているのが田崎氏

1,牛尾分校裏の露頭 『火山礫凝灰岩』
白亜紀後期の火山活動によって形成された生野層群下部累層にあたる凝灰岩。緑〜白色の粒が火山礫。10cm程度のチャートを含んでいた。
2,岡部川に入って 『ハンマーで割って、いろいろな石を捜そう』
凝灰岩、チャート、砂岩、頁岩、緑色岩など
,岡部川と岩戸川の出合い 『川の水による浸食と堆積』

写真:頁岩の崖に生えるヒカゲノカズラ

4,出合いのすぐ上の地点 『お墓の石の観察』
昔の墓は凝灰岩、今は豪華な輸入(?)花こう岩。墓の入口で、頁岩を割り、化石を探す。残念ながら……。
5,岩戸川河床の露頭 『黒色頁岩』
丹波層群中の地層である。また、溶結凝灰岩が、河原に転がっていた(転石)。含まれる軽石がレンズ状に細長く伸びているのが、水に洗われてよく見える。
6,酒屋橋で川から上がって 『頁岩とヒカゲノカズラ』
河床では黒く見えた頁岩は、乾いた道沿いでは白くなり葉理に沿ってぺらぺらと薄く割れる。ヒカノカズラは、シダ植物。4億年前、光を求めて陸上に上がってきた最古の陸上植物の形態を残している。
7,岩戸神社のわきを流れる岩戸川 『砂金?を見つけよう』
田崎氏のフィールドの八ケ岳の30万年前の火山灰から、「椀掛け(わんがけ)」によって鉱物を取り出す。カンラン石・輝石・角閃石・長石・石英が取り出せた。金は、最初から入っていませんでしたよ。
8,岩戸神社裏 『チャート』
丹波層群中にはさみこまれたチャートの岩体。幅数cmの縞模様を示す層状チャートで、褶曲しているのがわかる。

 この観察会は、瀬加中学校の國本康彦氏にお世話になりました。生徒たちは、講師の田崎正和氏の話に耳を傾けながら、岩石や大地の歴史を学習し、また学ぶことの楽しさも感じ取ったようでした。私も、大変勉強になった半日でした。

■岩石地質■ ジュラ紀 丹波層群のチャート、砂岩、頁岩、緑色岩 
          白亜紀 生野層群下部累層の火山礫凝灰岩
■ 場 所 ■ 神崎郡市川町上牛尾 25000図=「粟賀町」
■ 交 通 ■ 国道312号線から岡部川に沿った県道34号線を北東に
■探訪日時■ 1999年8月2日


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