大嶽山②(452.9m)    神河町     25000図=「粟賀町」


法性寺から山頂の柏尾城跡へ
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柏尾より大嶽山を望む(右前は小嶽山)

 法性寺より大嶽山に登り、山頂から尾根を北へたどった。

 法性寺の左脇から沢に沿って道が上っている。この道を歩き始めると、すぐ六地蔵が現れた。
 ここから、尾根に向かう道が左へ分かれていた。
 この道は墓へ続いているが、墓の手前に尾根への分岐があって、「大嶽山1350m 小嶽山1100m」の道標が立っていた。

 法性寺

 防獣ゲートをくぐり、ヒノキ林に入る。よく整備された道が続いていた。
 林床にはササが広がっているが、どれもシカに食べられて引きちぎられていた。
 登山道の周りはヒノキ林からスギ林に変わり、やがて雑木林になった。黄色やオレンジ色、茶色とまだらに染まったクリの葉が、陽を透かしている。
 道に落ちているのは、ソヨゴの赤い実。ジョウビタキの声が聞こえてきた。

雑木の登山道

 尾根に達したところは、大歳神社からの道が合流していて、ベンチが置かれていた。
 尾根にも、ずっといい道が続いた。道は、イヌシデやアカシデの林へ入っていった。黄色や赤橙色に染まった葉が、青空に映えていた。

 イネシデやアカシデの紅葉

 道の傾斜が急になってきた。シカのヒヅメ跡が、落ち葉を払いのけて滑っていた。
 大きなヤマカガシに出会った。こちらも驚き、向こうも驚くものだから、カメラを構えたときにはすでに倒木の下にもぐりこんでいた。
 道がゆるくなってコルに出る。コルから南にひと登りすると小嶽山に達した。
 市川の流れが逆光を反射して南へ長く伸びていた。東には、粟賀町の街並みが広がり、行者山から入相山と続く山々が山脚を平野へ伸ばしていた。

 小嶽山から南の展望 小嶽山から東の展望

 小嶽山からコルへ下りて、北へ登り返す。エナガの小さな群れが木々を渡っていった。ヤマガラの声も聞こえる。
 道は山頂の手前で北へゆるく下って、桜華園からの道と合流した。そこから、急な坂につけられた階段を登っていくと大嶽山の山頂に達した。

 山頂にはテレビ中継所の白い建物が建っていて、その向こうに三角点が埋められてた。
 三角点よりさらに高いところに岩が出ていた。露頭だと思われるが、いくつかは人によって積み重ねられた可能性がある。

 ここは、柏尾城の跡。柏尾城は、永禄年間(1558~70)、赤松家臣の粟生田(あおた)宇右門尉によって築城されたと伝えられている。山頂付近に岩盤を砕いた数個の削平地があり、石垣と畝堀形式の竪堀をもっている。かつては古井戸もあったという。天正6年(1578)羽柴秀吉の播磨攻めによって落城した(「おおかわち(1996)大河内町教育委員会」など)。
 山頂の岩から北西尾根へ、数段の曲輪跡と思われる平坦地が並んでいる。上段には竪堀らしき窪地も残されていた。
 

大嶽山山頂  曲輪跡(竪堀らしき溝がある)

 山頂の岩に立つと、展望が開けた。北西に、高場山、黒滝(姫路市最高点)、三辻山、911.3mP、840mPと高い峰が並んでいる。
 その右には、暁晴山が尾根を大きく広げていた。

 大嶽山より北西の展望

 南西には、市川町との境界尾根の向こうに七種山と七種槍が頭だけを出していた。
 眼下には寺前の街並み。播但線のえんじ色の電車が、寺前駅を出て4両編成でゴトゴトと走っていった。

大嶽山より南西の展望

 山頂から、北へ続く尾根を進んだ。
 尾根には、初め、はっきりした切り開きがあった。いくつかの小さなピークを越す。そのうち、アセビが繁茂するようになった。アセビの間を縫って進んだ。
 日当たりの良い所は、コシダにおおわれていた。ひざまで埋まるコシダを分ける。コシダの中のサルトリイバラが、じゃまをした。切り株や倒木が隠れていて、何度か足をとられた。

コシダの尾根

 414mピークに、真白い岩が一つ出ていた。流紋岩の中の石英脈だった。
 414mピークからさらに尾根をたどっていくと、下に林道が見えた。斜面を下ってこの林道に出た。

 林道は、何度も分岐をくり返していた。位置と方位を確かめながら、東へと進む。やがて、よく整備された広い道と合流した。
 このあたりの道は、「医者どん道」や「お嫁さんロード」と呼ばれていた。昔、籠に乗った医者や山越しに嫁ぐお嫁さんがこの道を通った。

 ゴルフ場の横を通って、段ノ池へ下った。

山行日:2022年11月25日

法性寺~小嶽山~大嶽山~425mP~414mP~段ノ池 map
 スタート地点の柏尾ふれあい館に車を置かせてもらう。法性寺から小嶽山・大嶽山へは、登山道が整備されている。
 大嶽山から北へは、尾根の切り開きや林道を利用した。

山頂の岩石 白亜紀後期 流紋岩
大嶽山山頂の球顆流紋岩
 小嶽山や大嶽山、そこから北へ続く尾根には、流紋岩が分布している。
 薄いピンク色~灰色。斑晶として、石英・斜長石・カリ長石をふくんでいるが、変質していることが多い。
 流理は不鮮明。球顆が発達していることが多い。

 左は、大嶽山山頂の流紋岩の表面である。大きさ2~3mm程度の球顆が密にふくまれている。

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