野島断層保存館(北淡震災記念公園)  淡路市小倉  
兵庫県南部地震で再活動した『野島断層』を保存・展示

 平成7年(1995年)1月17日午前5時46分、淡路島の北、明石海峡下の地下を震源とするマグニチュード7.2の直下型地震が発生した。この兵庫県南部地震は、六甲山地・淡路島と大阪湾を分ける六甲ー淡路断層系に属する活断層の一部が再活動したものである。。この地震で、淡路市江崎から野島に至る、淡路島北西部の海岸沿いにあらわれたのが延長10kmに及ぶ野島断層である。
 野島断層の南端部に近い小倉地区では、断層崖や断層による生垣や畑のあぜ道の食い違いなど様々な断層変位地形が現れた。この断層を、そのまま保存・展示したのが北淡震災記念公園内の『野島断層保存館』である。長さ140mに及ぶ断層をかまぼこ型の建物で覆った断層保存ゾーンが中心。解説がいろいろと工夫され、分かりやすく展示されている。

ちょっと学習を
断層とは
地層や岩石の中の割れ目に沿って両側の岩盤が上下あるいは左右にずれているところを断層という。野島断層は、上側の岩盤(山側)がずり上がった「逆断層」。また、断層の向かい側の岩盤が右向きにずれている「右ずれ断層」でもある。
活断層とは
最近の地質時代に繰り返し活動している断層を活断層という。最近の地質時代をいつのことにするのかという問題があるが、一般的には第四紀(約200万年前〜現在まで)とされている。日本列島には多くの活断層があり、その数は約2000ともいわれている。
活断層と地震
地震は断層が活動して岩盤がずれるときに生じるものである。活断層は最近の地質時代に繰り返しずれているので、将来も繰り返し地震が発生すると考えられる。

 
エントランスの展示
国道43号線の崩壊の復元
断層保存ゾーン
断層はほぼ北東ー南東方向に伸びている。写真右が山側、左が海側である。山側が断層によってずり上がったことが分かる。
主断層(写真上)と副断層(写真中央)
断層は途中で2本に分岐している。主断層は高さ50cmの断層崖をつくり、副断層は最大で高さ25cmの断層崖をつくっている。

ずれたあぜ道と生垣
断層をはさんで、向こう側の岩盤が右にずれる「右ずれ断層」である。
亀裂帯
ここでの断層は、幅2〜3mの亀裂帯として現れている。
直線的に伸びる断層崖
再び直線的に伸びる断層崖が現れている。断層崖の表面の断層粘土は崩れやすく、逆断層が正断層のように見える。

トレンチ展示
保存館の南端では地面が掘り下げられ、断面が見える。逆断層の様子、断層粘土、液状化の跡などが観察できる。
断層粘土上の条線
切り取られた断層崖の表面。断層粘土でできているが、ずれ動いた方向に擦り傷が残っている。これを「条線」といい、斜め方向にずれたことがわかる。
メモリアルハウスの壊れた塀
保存館のすぐ南の民家の下に断層が走り、塀がずれて壊れている。その民家は、メモリアルハウスとして保存され、公開されている。

■岩石地質■ 野島断層
■ 場 所 ■ 淡路市小倉 25000図=「仮屋」
■ 交 通 ■ 県道31号を南に進み、淡路市小倉交差点を左折
■探訪日時■ 2000年11月25日

『野島断層保存 北淡震災記念公園』ホームページページへ

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