淡路市の野島には、兵庫県では唯一の鍾乳洞があります。普通、鍾乳洞はサンゴ礁などでできた大きな石灰岩地帯にできますが、この鍾乳洞はカキ化石の密集による石灰岩中にできたものです。これは大変珍しく、県の天然記念物に指定されています。 |
県道157号線を南に進むと、「あわじ花さじき」の手前に「カントリーメイツ牧場」があります。この手前の交差点を右(西)へ折れて少し進むと、「野島鍾乳洞」の看板が立っています。鍾乳洞は、この看板を左へ下ったところにあります。私は江崎灯台から歩いて訪れましたが、車で簡単にここまで来ることができます。
鍾乳洞は、神戸層群岩屋層の中のカキ化石が密集した石灰岩にできたものです。岩屋層の年代については、案内板には2000万年前(新第三紀中新世)とあります。しかし、実はもっと古く、今では3800〜3500万年前(古第三紀始新世)と訂正されています。
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野島鍾乳洞看板 |
野島鍾乳洞の説明i板と入口 |
案内板の下の小さな沢に下りたところが鍾乳洞の入口です。入口には、真ん中に大きな板状の岩が斜めになって落ち込んでいます。すき間から内部を見ると意外に広く、入口近くは高さが2mほどありそうです。底には、外から流れ込んだ水がそのまま奥に向かって流れています。しかし、その先は暗くて見えません。
スリムな人なら、すき間から中に入れるかもしれません。でも、出られなくなったら大変!中に入るのをあきらめました。(危険なので、鍾乳洞の内部には入らないで下さい。)
案内板に、内部のようすが次のように記されていました。
『主洞の長さ150m、高さは平均1mで高いところは5mに達する。洞底の勾配約10分の1。洞中には、小型の鍾乳石など石灰洞特有の現象が認められる。』
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鍾乳洞入口 |
入口のカキ化石床 |
この鍾乳洞をつくる岩石を観察しましょう。入口をふさいでいる岩石の表面には、カキ化石がいくつも積み重なって、外へとび出しています。
入口近くの沢の中に、白っぽい色の大きな転石がありました。その表面にもカキ化石がいくつも現れています。写真のようにカキの殻の形がはっきと残されたものもありますが、壊れて小さな破片になったものが多いようです。カキの他に、二枚貝の化石も見つけることができました。
この転石を横から見ると、細かい縞模様が現れています。この縞模様は、カキの殻が何枚も積み重なったことによってできたものです。また、花崗岩の礫が含まれているようすも観察することができます。
昔は、入口の近くに田んぼがあり、そこには石灰岩地帯に特有なドリーネという陥没地形が見られたということです。今そこには、浄水場が建てられていてドリーネをもう見ることはできません。
鍾乳洞は、地下水が石灰岩をとかしてできます。この野島鍾乳洞は、その石灰岩がカキ化石が密集することによってできているという珍しいものです。この貴重な鍾乳洞が、もう少しうまく
保存・公開できればと思いました。
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転石に見るカキ化石 |
カキ化石から成る石灰岩と花崗岩の礫 |
■岩石地質■ 古第三紀始新世 神戸層群岩屋層 石灰岩
■ 場 所 ■ 淡路市野島常盤 25000図=「仮屋」
■ 交 通 ■ 神戸淡路鳴門自動車道『淡路IC』から県道157号を南へ約15分(県道157号「カントリーメイツ牧場」手前交差点を右(西)へ)
■探訪日時■ 2007年5月3日