七 種 の 滝                           福崎町       25000図=「寺前」「前之庄」

報 告

台風直後の七種の滝へ
七種の滝 頂部 七種の滝

 各地に大きな被害の爪あとを残した台風23号。播磨地方も終日、大雨が降って強い風が吹き荒れた。その台風が通過した翌日の午後、七種の滝を訪れた。

 七種の山々に登る基地となっているのが、青少年野外活動センター。ここでまずおどろいた。センターの前のヒノキの木が全部、幹の半ばで折れている。昨日は猛烈な風がこの谷を吹きぬけたのだ。このヒノキ林は、最近きれいに間伐されたのだが、間伐で残された木が全部折れてしまった。
 センターの先の林道二股まで車で進んだ。ここから先は、倒木が林道をふさぎ車は入れない。倒木を越えたり、くぐったりして進んだ。アスファルト舗装の上には、風で落ちたスギやヒノキ、あるいは広葉樹の枝葉が積もり、鮮烈な森の香りが辺りに充満していた。

林道をふさぐ倒木 林道を埋めるスギの落ち葉

 初め多かった倒木も、山門の近くになるとほとんど見られなくなった。ときどき、大小の岩が林道へすべり落ちている。木立の間から、雌滝が見えた。落差の小さな滝であるが、かさを増した水が激しく流れ落ちていた。金剛城寺本堂跡の石垣や弁慶ののこぎり岩を道の脇に見ながら進むと、太鼓橋に達した。

 太鼓橋を渡り、山道に入るとすぐにモミの木が倒れていた。この木を越え、虹ケ滝の横の岩場を登っていく。岩の表面は水にぬれて滑りやすい。
 

雌 滝 虹ケ滝の下をふさぐモミの倒木

 八龍滝を越えると、目の前に七種の滝が大きく現れた。

 しばらく雨が降らないときの七種の滝は黒い岩盤が鈍く光るだけであるが、雨後の今日は素晴らしい光景であった。落差72mのこの滝の下に立った。激しい水音を立てて、白い流れがすべり落ちてくる。滝は三段に分かれている。せまい落ち口から飛び出した水は、すぐに三角形に広がり、光沢あるレースとなって黒い岩肌を落下する。滝の頂部で岩棚に当たった水が無数の飛沫となって跳ね上がっているのが見える。1段目から2段目、3段目と落下した滝の水は、滝つぼをつくらずにそのまま岩を滑り降りて、足元の流れとなって下っていった。

 滝の右側の登山道を上る。七種神社は滝の中ほどの高さの所に立っている。この境内からは、七種の滝が真近に迫って見える。白く艶やかな水の帯は、薄くなって真っ直ぐに落下し、木々の枝葉の中に消えていく。この滝には観音滝という別名がある。今日の滝はその名にふさわしく、岩壁に水の流れによる巨大な白い観音さまが現れていた。滝から響く轟音の中にも、その姿に気品と優美さを感じた。

七種神社から見る七種の滝

 七種神社からの登道は、急傾斜の岩場が連続している。固定されたロープを利用してよじ登っていくと滝の上に出た。ここには、七種山方面と滝見台方面の分岐がある。滝見台方面へ足を伸ばしてみた。隠れ滝を過ぎて、遊歩道に横たわるアラカシと何本かのヒノキの倒木を越えたが、その先で道はヒノキの倒木帯に完全にふさがれた。この辺りのヒノキは、昨日の強風によって根こそぎ倒れていた。すさまじい台風の脅威である。この遊歩道は、もう進むことはできなかったので、ここでUターンして七種神社へ戻った。

 明日は、80名の中学生が七種山の山頂を目ざす。七種神社で、生徒たちの無事を祈って下山した。

隠れ滝 滝見台前のヒノキの倒木帯

山行日:2004年10月21日
行き:林道二股(小滝林道出合)〜山門〜雌滝〜太鼓橋〜七種の滝〜七種神社〜七種山分岐〜隠れ滝
帰り:行きと同じ道を戻る

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