明 神 山 (667.9m) 夢前町 25000図=「前之庄」「寺前」 |
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神元神社から小明神を経て明神山へ
周囲の山々から遠く見下ろす明神山は、その脇腹に小明神を従えた姿も愛らしく、山座同定の良い指標となる。しかし、前之庄あたりから見上げると、山頂部から幾本もの深い谷が山麓へ走り、朝日を斜めから浴びたときなどはそれらが濃い陰影をつくって、たくましく目の前に迫ってくる。
この山を初めて目にしたときは、地形図にも道がなく、どうやって登ればよいのだろうと考えたものだった。近年、夢前町によって何本もの登山道がつけられ、道標も整備されて誰でも気軽に登れるようになった。
小明神から少し下り、尾根に飛び出した大きな岩を縫うようにして上ると、明神山山頂へ達した。三段ほどの平坦面からなる山頂は、大きく伐り開かれ、岩の上や人工的につくられた段に10人程の登山者が思い思いに休んでいた。 カメラのシャッターを切ってあげたお礼だろうか、もらったミニトマトを口にして、私も空いている岩に腰掛けた。 辺りの山々は、どこも霞んで見えた。七種山から薬師峯への稜線が東に近いが、湿った空気と午後の順光は、山襞を白くぼやけさせた。北に見える雪彦山の上には積雲が並び、そこからちぎれた片積雲が明神山の上空をゆるやかに流れていった。
山行日:2003年11月16日
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明神山は、夢前町の「夢やかた」を基点とするコースが4本、莇野神元神社からのコースが1本整備されている。今回は、神種集落の最奥にある神種神元神社から「小明神コース(Dコース)」を上り、山頂からは「Bコース」を下った。 神元神社から谷を北上する「小明神コース」は、明神池を過ぎてCa.190mの二股まで広い道がついている。ここから細い山道となる。標識はないが、杉の幹に塗られた赤いペンキがコースを示してくれる。Ca.530mコルで主稜線に出て、そこから小明神を経て明神山山頂に達した。 帰りに下った「Bコース」は、もっとも一般的なコースである。途中の150mに及ぶ滑滝、ふもとの観音滝が見所である。 |
■山頂の岩石■ 白亜紀 七種山層 流紋岩質火山礫凝灰岩 含まれる岩片の種類は、流紋岩・頁岩・砂岩・チャートなどであり、岩片の大きさはふもとで大きく山頂部で小さい傾向がある。 明神山の山頂で採集した岩石は、淡緑色の火山礫を含む帯緑淡褐色火山礫凝灰岩である。1〜2mm程度の長石・石英、それよりも小さな黒雲母の結晶片を含んでいる。異質岩片として、黒色頁岩・黒色砂岩・褐色砂岩・チャートなどを含み、その大きさは、大きいもので5cm程度であり、5mm以下のものが多い。 白亜紀後期には、播磨の各地でカルデラの形成を伴う激しい火山活動が起こった。この七種山層は、東の七種山山塊から明神山にかけて広く分布し、カルデラ形成期の堆積物と考えられている(山元 他 2000)。同じ七種山層であっても、薬師峯あたりの岩石が強く溶結し板状節理も発達しているのに対して、明神山の岩石は非溶結で塊状である。 |