三釈迦山(みしゃかやま)(318.2m)  丹波篠山市   25000図=「篠山」


篠山層群の山、三釈迦山


丹波並木道中央公園より三釈迦山(中央)を望む

 うすい青空に、巻雲や巻積雲。もうすっかり秋になった。
 丹波並木道中央公園・・・「太古の生き物館」の玄関前の地層を見たあと、三釈迦山に向かった。

 ここに分布しているのは、篠山層群。その中でも、2006年に丹波竜が発見された大山下層の地層である。
 丹波竜の発見以来、この地層からはトロオドン類や角竜類の骨格、ティラノザウルス類やテジリノサウルス類の歯などの恐竜の化石の発見が相次いでいる。
 また、日本最古級のほ乳類「ササヤマミロス・カワイイ」や、カエル類、トカゲ類、ワニ類、カメ類などの発見も続いた。

 かやぶき民家を過ぎるとすぐに登山口があった(東入口)。

三釈迦山東登山口

 シラカシの下をくぐって山にとりついた。
 ウリカエデの翼を広げた果実が、枝から垂れ下がっている。クロモジの枝を折ると、いいにおいがした。
 すぐに、ヒノキの植林地に入った。急坂の丸太階段を登る。
 ヒノキの下に、白い花を散らせているのはヒヨドリバナ。チヂミザサが、うすいピンクの花をつけていた。

ヒヨドリバナ  チヂミザサ

 道が平らになって、左に谷を巻くようにして進んだ。ヒノキの隙間から下を見ると、公園管理棟の屋根が銀色に光っていた。
 尾根に出たところで方向を変え、尾根道を西へ進んだ。ホオノキの葉が落ちている。樹上では、まだツクツクボウシが鳴いていた。
 尾根道に、篠山層群の赤い泥岩が表れた(285m)。
 小さな山だから、すぐに山頂に着いてしまう。
 ソヨゴの実が落ちた最後の短い坂を登りきると、もうそこが三釈迦山の山頂だった。

三釈迦山山頂

 山頂には、展望台が北東に向かって建てられていた。
 正面に見えるのが、西ヶ嶽と三嶽。小金ヶ嶽は、手前の盃ヶ岳と重なっていた。
 それら多紀連山の西に、鋸山のギザギザした稜線が伸び、さらに夏栗山と黒頭峰の優美な曲線が連なっていた。

西ヶ嶽(中央左)と三嶽(中央右) 黒頭峰(左)と夏栗山(右)

 山々に囲まれて、篠山盆地が右手に伸びていた。
 盆地の中の田んぼは緑と黄緑にきれいに色分けされ、その中に住宅街が点在している。ところどころに、小山が深い緑で盛り上がり、その小山を縫うよう篠山川が流れていた。
 篠山城跡の奥に剛山が小さく尖り、そのずっと先に県境の稜線がうすく見えた。

山頂より篠山盆地を望む

 空の低いところにも雲がわき出ていた。綿雲が、列をつくって東から西へゆっくりと流れていった。

 山頂から尾根を西へたどった。
 尾根には、礫岩が表れていた。道には、礫岩から洗い出された小石(礫)がたくさん転がっている。礫の種類は、多くがチャートと砂岩だった。
 尾根は332mピークへと続いているが、道はそのピークには向かわずに、290mあたりで尾根を外れた。しばらく平坦に進み、やがて北へ下り始めた。
 礫岩に混じって泥岩が再び表れた。林床に、2種類の赤い実が並んでついていた。1つは、 ウメモドキの実。もう1つは、ツルアリドオシの実であった。
 ツルアリドオシの実は、少し変わっている。2個の花から1つの実ができるので、実には2つの花跡があった。

ツルアリドオシの実

 山を下ると、公園の西端に出た。
 公園は芝生の中に、岩が配置されて庭園風。
 岩はどれも、表面がごつごつした篠山層群の礫岩だった。

山行日:2020年9月22日

丹波並木道中央公園第1駐車場〜東登山口〜三釈迦山山頂〜西登山口〜丹波並木道中央公園
 三釈迦山は丹波並木道中央公園の中にある。道は整備されていて歩きやすい。下山後は、公園内の遊歩道を、置かれた岩を見ながら歩いた。

山頂の岩石 白亜紀前期 篠山層群大山下層  泥岩
 登山道の礫岩の露頭
(山頂の100m西、標高320mピーク)
 登山道で拾った礫岩中の礫
(上の8つがチャート、下の4つが砂岩)

 三釈迦山の山頂には泥岩が分布している。
 東登山口から山頂まで、三釈迦山の東側には泥岩が分布している。篠山層群に特徴的な、赤褐色の泥岩である。

 山頂を越して尾根を西へ進むと、薄い砂岩層をはさんで礫岩が表れていた。この礫岩の地層は、三釈迦山の西側の尾根にずっと続いた。
 礫は1〜3cmのものが多いが、最大で8cmのものが見られた。亜角礫〜亜円礫である。
 礫の種類は、チャートと砂岩が多く、これに頁岩などが混じっている。
 尾根の登山道には、この礫岩から洗い出された礫がたくさん転がっていた。

 山を下った西登山口あたりで、再び泥岩の地層となった。
 

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