東山 (370m)  神河町    25000図=「長谷」


大師堂をいただく地元の山
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南小田の集落から見る東山

 神河町南小田に東山がある。集落の東にあるから東山。昔、疫病が流行したとき、それを鎮めるために頂上に「おだいっさん(お大師様)」を祀ったという。子どもたちは、この山で遊び、遠足で登った。南小田の人たちは、今でも年2回、おだいっさんにお参りして清掃活動をしている。

 登山道について、地元の方に聞いてみた。冬には鉄砲を持って猟をする方で、このあたりの山に詳しかった。
 「東山へは、墓のところから入る。谷を渡ると一本の倒木があるから、それをくぐって登っていく。尾根に出ると山頂が近い・・・。」

 墓の少し上に車を止めた。墓の下の道を進む。しかし、道は墓で途切れ、その上に見つからなかった。その下で、右へ分かれる山道があったのだが、このときには気づかなかった。

登山口(赤矢印)

 山は防獣ネットで囲まれているので、どこからでも入れない。しばらく登山口を探したが見つからない。もう一度聞きに行こうかと車に戻ると、そこにゲートがあった。
 日当たりの良いところに、タカサゴユリがうつむき加減の花をつけ、その下にキツネノマゴと白花のゲンノショウコが咲いていた。

キツネノマゴ

 ゲートから、スギ・ヒノキの暗い林に入った。そこには、うっすらと踏み跡があった。山の裾を回り込むように進む。谷に下ると、目の前に山の斜面が急角度で立ちはだかっていた。
 谷の上の方に一本の倒木が見えた。谷をまたぐように倒れ、その下をくぐることができる。他にそんな倒木は見当たらない。きっとこれが、教えてもらった倒木だ。


 倒木地点

 倒木をくぐると、右へ踏み跡があった。そこを過ぎると、浅い谷に出た。もう踏み跡はなくなった。
谷をまっすぐに登った。ガレ石の間を、湿ったスギの落ち葉が埋めている。
 黒々とした地面に白い小さな花が見えた。筒状の花が星形に並んでいる。花の下の落ち葉をよけてみると、白い茎が現れた。初めて見るヒナノシャクジョウだった。

ヒナノシャクジョウ

 谷を登り切るとコルに出た。コルの向こう側には、自然林が広がっていた。ここから尾根を登ると山頂に達した。
 山頂は平らで、赤く塗られた大師堂が建っていた。六角形の建物で屋根も六角形。南に開いていて、中に入ってみると奥に阿弥陀如来の坐像が祀られていた。

東山山頂の大師堂

 山頂には、午後の日差しが射し込み、木の幹が長い影をつくっていた。まだ緑色の実をつけたコナラの葉が落ちていた。
 植林された木が小さいときは、ここから南小田の集落が一望できたという。今は、ヒノキの枝葉のすき間から、家の屋根や道のガードレールが断片的に見えるだけだった。集落の反対側に、560m方が高くそびえていた。

 山頂の木の間から集落を見る  北東にそびえる560m峰

 山頂をあとにしてコルまで下ると、そこからいい山道が斜めに下っていた。やはり登山道はあった。登山道は倒木地点まで続き、さらにそこから行きには通らなかった道が続いていた。
 炭焼き窯跡を過ぎ、防獣ネットに沿って進むとゲート。ゲートを過ぎると、墓の下に出た。

山行日:2023年8月26日

行き(マップ赤):スタート地点~倒木地点~コル~東山山頂
帰り(マップ青):東山山頂~コル~倒木地点~炭焼き窯跡~墓の登山口 map
 墓の右脇から登山道が山頂までついている。ゆっくり歩いても30分程度で登ることができる。

山頂の岩石 白亜紀後期 大河内層 溶結火山礫凝灰岩
溶結火山礫凝灰岩(東山山頂)(左右22mm)
 東山の山頂付近には、大河内層の溶結火山礫凝灰岩が分布している。
 風化が進み、白い粘土鉱物が生じてもろい。石英の結晶片が少量残っているが、他の鉱物は変質している。溶結レンズは風化によって強調され明瞭である。
 コルの手前までは、超丹波帯山崎層の砂岩や頁岩が分布している。若干のホルンフェルス化が見られ、また頁岩には黄鉄鉱が生じている。

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