摩耶山B(702m) 神戸市 25000図=「神戸首都」 布引の滝から黒岩尾根を経て摩耶山へ 前日、自然保護協会の六甲研修会に参加し、夜は懇親会。そのまま、神戸のホテルに泊まった。
遊歩道をゆるく上っていくと、雌滝が現れた。滝の前の小さな広場に小鳥が群れている。白や黄やオレンジ色で美しく彩られたソウシチョウ。赤いくちばしで落ちた木の実をついばんでいるのか、地面の上を忙しく動き回っていた。
雌滝の横の階段道を登った。
滝の右につけられたつづら道を登る。
布引断層を見て、渓に沿ったなだらかな道を進んでいく。ヤマガラがのんびりと鳴いている。山を走っている人たちにたくさんすれ違った。元気やなぁ。 市ガ原に着いた。いくつかの道が交わるこの地点は、いい休憩地。下の川原で遊んでいる人たちもいる。ホテルを出てからここまで3時間。今日は本当にゆっくり。 ゆっくりついでに、桜茶屋でビールを飲んでおでんを食べた。六甲山は、これがいい。 茶屋を出て、北に向かう。何本もの曲がりくねった枝を空に広げているのはカゴノキ。アオキは、花芽の中から、つぼみをたくさん出している。ところどころに、ヤブツバキが赤い花を散らせていた。
天狗道分岐を越え、地蔵谷分岐を過ぎると、黒岩尾根分岐に達した。ここまで来ると、出会う人は少なくなった。 黒岩尾根はいきなりの急登から始まった。道は狭くなったが、擬木の丸太階段が整備されていた。 ナワシログミの冬芽がふくらんでいた。ヒサカキのつぼみが開きかけている。アセビが真白い花を枝いっぱいにつけていた。 茶屋のビールとおでんがエネルギー源。坂道をどんどん登る。道はいったん平坦になたっが、大きなコナラの木の下から再び急に。 木々の間から鈴蘭台の街並みが見えるようになってきた。尾根を渡る冷たい風が気持ち良い。 アカマツがしだいに多くなってきた。シキミが、黄緑色の花をいっぱいつけて鮮やかだった。 急な上りが続いたが、何度か小さなピークとそこからの下りがあった。 12時過ぎに、606mのピークに達した。ここには、「神戸市界」(明治33年)の石柱が立っていた。
一度大きく下り、スギ林のコルから上り返した。やがて、花こう岩の風化した砂礫におおわれた広い尾根となった。
ベンチの先で、道は東向きに変わった。白い縁取りのミヤコザサの中を進む。
スギとヒノキのコルを過ぎて登り返すと、アドベンチャーコース分岐。さらに進むと、道はもう平坦になった。アセビの木が大きかった。 パラパラと小さな粒が降ってきた。あられだった。午後になって、気温が大分下がってきていたのだ。桜茶屋で、昨夜の六甲山上は、−5°だったと聞いていた。 ミヤコザサを分けて進むと、日時計のある広場に出た。ここはもう摩耶山の山上。ここからは、道があちこちに向かっている。 摩耶山の山頂部には火事で消失前の天上寺があって、史跡公園として整備されている。1本の電波塔の裏手を登っていくと、小さな鳥居が立っていて、そのうしろに5つ6つの花崗岩の岩が祀られていた。天狗岩である。その少し横のアカガシの下に、三角点が置かれていた。
山頂から掬星台に向かった。掬星台は山上の広場。手をのばせば星をすくうことができるようなことから、この名が付けられた。今は、日本三大夜景のひとつに数えられている。 神戸市街地や人工島の沖に大阪湾が広がっていた。大阪湾の向こうには、紀伊半島や淡路島が横たわっている。その間を双眼鏡でのぞいてみると、友が島水道に地ノ島、虎島、沖ノ島の島影が、海や空に溶けこむようにうすく浮かんでいた。 摩耶山からロープウェイで下った。緑や赤の車体に、家族連れのはしゃぐ声。ロープウェイは華やいだ空気を乗せて、神戸の街へと下っていった。
山行日:2019年3月24日
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神戸のホテル〜布引の滝〜布引貯水池〜市ガ原〜黒岩尾根〜摩耶山〜(摩耶ロープウェイ)〜神戸市内 | |||||||||||||||||||||||||||
神戸のホテルを出発。JR新神戸駅をくぐって布引の滝へ。摩耶山へは、天狗道、地蔵谷、黒岩尾根などのコースがあるが、今回は黒岩尾根を歩いた。 道は山頂までよく整備されている。摩耶ロープウェイ(まやビューライン)に乗って山を下りた。 |
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山頂の岩石 布引の滝 白亜紀後期 布引花こう閃緑岩 摩耶山山頂 白亜紀後期 六甲花こう岩 |
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六甲山は主に2種類の花こう岩類でできているが、今回歩いたコースはその両方が観察できる。1つは布引花こう閃緑岩で、もう1つは六甲花こう岩である。
■ 布引花こう閃緑岩 中粒の花こう閃緑岩である。主に、普通角閃石・黒雲母・斜長石・カリ長石・石英からできている。 自形〜半自形、黒色の普通角閃石の結晶が目立つ(最大 4×12mm)。斜長石は、自形〜半自形でアルバイト式双晶がルーペでも確認できる。カリ長石は少量しか含まれず、色がついていないため、岩石全体が白黒のモノトーンである。 布引の滝はこの岩石でできている。滝の岩盤を双眼鏡で見ると、暗色包有物を含んでいることや、アプライトの細脈を伴っていることが観察できた。 布引花こう閃緑岩は、六甲山地の南西部、鳥原貯水池や布引貯水池周辺に分布している。 ■ 六甲花こう岩 粗粒の花こう岩である。主に、黒雲母・斜長石・カリ長石・石英からできている。また、少量の普通角閃石をふくんでいるが、採集した標本には見いだせなかった。 カリ長石がピンク色のため、岩石全体もピンクがかって見える。 六甲山地の広い範囲に分布し、古くから「御影(みかげ)石」として利用されてきた。 ■ 布引花こう閃緑岩と六甲花こう岩の関係 谷川橋を渡ったところに、この2つの岩石が接触しているところがあった。小さな断層で接触しているようであるが、露頭の表面が汚れていてよくわからなかった。 布引花こう閃緑岩と六甲花こう岩は断層で接することが多いが、数ヵ所で六甲花こう岩が布引花こう閃緑岩を貫く露頭が見出されている。 また、布引花こう閃緑岩を六甲花こう岩が捕獲しているところも観察されている。これらのことから、先に布引花こう閃緑岩が貫入したところに、後から六甲花こう岩が貫入したと考えられる。 |
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