黒木山(393.2m) 多可町 25000図=「中村町」
翠明湖西岸、尾根の散策路を歩く

写真上:展望台からの風景
写真右:翠明湖の対岸から黒木山を望む |
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多可町の翠明湖周辺は、「なか・やちよの森公園」として整備され、湖の西岸の尾根に散策路が設けられている。
公園入口の「湖畔の広場」に着くと、木の人形が「よぅ来ちゃったなぁ」と迎えてくれた。今日は、ここからスタート。広場をゆるく上り、小さな橋を渡って林の中に入った。
散策路は丸太を使ってきれいにつくられ、山の斜面をつづらに上っていた。スギやヒノキは枝打ちされて林内は明るく、コシダやウラジロが地面をおおっていた。スギやヒノキの林から雑木林に変り、やがて支尾根に取り付いた。
振り返ると、木々を透かして眼下に翠明湖が光っている。下から子どもたちのはしゃいだ声が近づいてきた。凝灰岩を割ると、きれいな錐面で囲まれた高温石英が出てきた。ルーペで、その淡くオリーブ色に色づいた石英を見ていると、6、7人の家族連れが私を追い越していった。
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| 黒木山をめざす |
凝灰岩の中から取り出した高温石英
実体顕微鏡下(大きさ1.5mm) |
2月というのに暖かい日だった。尾根は日当たりがよく、少し汗ばんできた。ネジキが紅色の冬芽を小さくふくらませていた。
しだいに急に、そして岩がちになってきた支尾根を上ると、南北に伸びる主尾根に出た。そこから南に少し上ると、もう黒木山の山頂だった。
山頂のあずま屋の周りは、先ほど追い越していった家族連れや北から尾根をたどってきた夫婦連れで賑わっていた。山頂は展望が開け、北西に笠形山〜千ヶ峰〜三国山と播磨の高峰が稜線を並べている。北に多可妙見山が近く、眼前には翠明湖が深い緑の水をたたえている。その水面には、アーチ型の翠大橋が橋脚を映していた。
山頂で石を見ている間に、他の人たちはいなくなった。あずま屋に戻ってみると、「黒木山登山日誌」が立派な箱に入っていた。
その最後のページには、
「大人はハァーハァーいっていたけど子どもはめっちゃあそんでいたよ。」「はやくおにぎり食べたいなあー」……今いた子どもたちの字や絵が躍っていた。
山頂から南へ急坂を下ると黒木山の肩。コルを隔てて、尖った386mピークが立っている。案内板に「大亀岩」と表示されていたピークである。コルに下り、上り返すとピークの手前に大きな岩が立ち、そこが散策路の終点となっていた。
岩は、いくつかの大きな岩が積み重なったもので、全体では高さが20mぐらいありそうだった。岩には、潅木がついたりしていて形がはっきり分からない。これが亀の形に見えるのかもしれない。
岩の右脇に細い道が伸びていた。この道を進んで回り込むとロープが固定されていた。そのロープをたっどて岩の上に出た。
岩の上に立つと、北から東の見晴らしがどんと開けた。黒木山と翠明湖、その向こうに妙見山や千ヶ峰。
386mピークは、この岩のすぐ南にあった。ピークの上を、トビが翼をいっぱいに広げ、上昇気流にふわりと浮いてゆっくり舞った。
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| 黒木山山頂から笠形山を望む |
大亀岩の上の眺望
左に黒木山、中央奥に多可妙見山 |
黒木山の頂上に戻り、今度は北に向かった。尾根をゆったりと下る。タムシバの枝先を双眼鏡で見上げると、花芽が白い毛に包まれてふくらんでいた。コルからは、岩肌の急坂で、丸太の階段から岩を掘りこんだ階段に変った。
眼下にずっと翠明湖が見える。子どもの「ヤッホー」の元気な声が聞こえてくる。Ca.370mピークは、「森の交差点」。ベンチ、標識、案内板と賑やかである。
ここを下っていくと、コルに展望台がつくられていた。翠明湖の向こうに東播磨の山々が低く並んでいる。
「展望台登山日誌」に、青インクで山のスケッチが描かれていた。篠ヶ峰、石金山、西光寺山……。スケッチに描かれた山を、目の前の風景の中に探してみた。遠くに、黒田庄妙見山や高山も見つけることができた。
展望台を後にして、コシダとウラジロにおおわれた明るい緑の斜面を上ると、384mピーク。このピークから見ると、翠大橋が翠明湖にまっすぐ架かっていた。
ここから、正面に千ヶ峰を見ながら下った。尾根は狭くなって、露岩が多くなった。のこぎりの歯のように、岩がごつごつ尾根に飛び出したところでは、道はその下についていた。
尾根が分かれたところで、左に進むとあずま屋が建っている。アセビがもうつぼみをつけていた。
林間広場に下り、翠明湖畔の入り組んだ道を歩いて湖畔の広場に戻った。
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展望台からの眺望
中央奥に山南妙見山、右に石金山 |
尾根に現れた岩場
正面に多可妙見山 |
山行日:2009年2月15日