| 奥山(575.0m)〜小世山(706.1m) 市川町・神崎町 25000図=「粟賀町」 |
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奥山から小世山へ静かな山頂を結ぶ
野山にウツギが白く清純な花をつける初夏の早朝、小世山に向かった。
東小畑川をせき止めた池の畔に立った。堰堤の上には、アザミが群れ咲いている。水面の向こうには、奥山がせり上がっている。池からこの奥山に上り、そこから小世山まで稜線を歩くという計画であった。
小世山の山頂も雑木に囲まれていた。ソヨゴ、クリ、コシアブラ、アカマツ、アセビ、ネジキ、ツツジ……コガクウツギが三弁の真白い花をつけていた。 雑木の中には古い切り株が残っていた。山頂が切り開かれていた頃には、ここから瀬戸内海が見えたと地元の人に聞いたことがある。雲を透かした柔らかい光が木々の葉にやさしく降り注ぎ、木漏れ日が地面をまだらに射した。風がつくる木の葉の小さなざわめきに、遥か上空を飛ぶ飛行機の音が低く重なった。 展望の山頂もいいが、私はむしろこのような木々に囲まれた静かな山頂の方が好きである。 通勤途上の車から、あるいは職場の窓から、いつか歩いてみたいと見ていた小世山。明日からは、また違った思いでこの山を眺めることだろう。 山行日:2003年6月7日
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市川の支流、小畑川は小畑小学校の北で西小畑川と東小畑川に分かれる。東小畑川に沿って進み、最上流の池の下で車を止める。池を左に回りこみ、奥山(575.0m)と437mピークの間の谷を北西に上る。はじめあった作業道はすぐに途絶えた。標高370mあたりで方向を東へ大きく変え、奥山山頂南の稜線に出た(標高約530m)。その稜線を北へ上り、奥山山頂に達した。 |
| ■山頂の岩石■ 奥山 白亜紀後期 大河内層 溶結火山礫凝灰岩 小世山 白亜紀後期 笠形山層 結晶質溶結火山礫凝灰岩
一方、小世山には笠形山層の結晶質溶結火山礫凝灰岩が分布している。紫色を帯びた灰色の岩石で、含まれている岩石片は小さく、量も奥山の岩石に比べてずっと少ない。多量の石英の結晶片を含んでいるのが特徴で、石英以外にも長石や黒雲母の結晶片を含んでいる。風化面で溶結構造が明瞭な部分があり、その部分での軽石レンズの長さは普通で1〜4cm、最大15cmであった。 |