インディアン島 船で巡る香住海岸
海に浮かぶインディアン島

 但馬海岸は、海岸まで山地のせまった半島と、その間のおぼれ谷が繰り返す出入りのはげしい海岸線が続いている。これは、地盤の沈降によって、山地が海面下に沈んでできたリアス式海岸である。海岸には、海食崖・波食棚・洞くつ・洞門や岩礁が発達し、美しく変化に富む海岸線をつくっている。
 この中で、香住海岸は新第三紀の北但層群や照来層群に属す堆積岩の地層や火成岩の節理が波に洗われ、「鎧の袖」をはじめとする多くの名勝をつくり出している。
 香住東港から出ている遊覧船に乗って、香住海岸の地質や岩石を海から巡った。「鎧の袖」の下で、海面に顔を浮かべる「インディアン島」……。その見事な自然の造形美に、感動し、心を奪われた。
                       


三姉妹船長「かすみ丸」に乗って

  
 香住東港から遊覧船「かすみ丸」が出ている。船を操縦するのは「三姉妹船長」。さらに、長女の娘三人の「三姉妹ジュニア」。乗船券の写真の大きさからして、今は「三姉妹ジュニア」の方が売り出し中のようだ。
 この日は、「三姉妹船長」の次女が私たちを香住の海へ案内してくれた。乗客にてきぱきと指示や説明をしながら、岩礁を分けて舵を自在に操縦する腕前はさすがだ。地質学的な説明も、ずいぶん多かった。
 出航は、9時から16時までの1時間ごと。コースは主に、1コース(黒島・白石島 約20分)、2コース(鎧の袖・松ケ鼻 約60分)、3コース(井笹岬・釣鐘洞門 約90分)の3つである。私たちは14時出航の2コースに乗船した。

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香住海岸の名勝と岩石
磯の松島(弁天島)

 見事な柱状節理の島である。断面は四角く見える。船で、岩石は「ソーダ粗面岩」であるという解説があった。
  
沖の松島(松島)

 斜めになった柱状節理の岩にマツの緑が映える。こちらは、断面が六角形に見える。
  
姉妹赤島の姉島

 鉄砲島、兄弟赤島、姉妹赤島と次々と見どころが続く。写真は、姉妹赤島の姉の方。波食による洞くつができている。
  
鎧の袖

 昭和15年に国の天然記念物に指定された、香住海岸を代表する名勝。高さ約65mの大断崖である。無数の柱状節理とそれを横に切るような板状節理が、武士の鎧の袖を思わせることからこの名がついた。。鎧の袖をつくっているのは、照来層群高山累層(200万〜300万年前、新第三紀鮮新世)に属する粗面岩質の岩床である。
  
インディアン島

 船が鎧の袖を過ぎると、左手にインディアン島(鷹の巣島)が見えてきた。羽飾りを頭につけ、じっと前をみつめて海に浮かぶその姿は、凛々しく神々しくさえあった。船がぐるりとこの岩を回ると、岩の形が烏帽子になったりサザエになったりもした。
  
松ケ崎百層崖

 松ケ崎は、軍艦のように突き出た岬である。層理が見事に発達した白い地層は堆積岩で、礫岩・砂岩・泥岩・凝灰岩などが何枚も積み重なったものである(北但層群豊岡累層香住層)。その下の黒い岩石は、地層面に平行に貫入した火山岩の岩床である。
  

■岩石地質■ 火山岩類・堆積岩類  (新第三紀中新世北但層群豊岡累層・鮮新世照来層群)
■ 場 所 ■ 香美町香住区香住海岸 25000図=「香住」・「余部」
          遊覧船かすみ丸 兵庫県城崎郡香住町一日市410
                     TEL 0796−36−0571   FAX 0796ー36−3169

■探訪日時■ 2003年8月6日

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