釜坂峠笠形林道

丹波帯の海洋プレート層序を釜坂峠で見る


 笠形林道は、神崎郡市川町と加西市の間の釜坂峠付近からのびる林道である(現在延長工事中)。この林道の入り口付近には、良好な露頭が見られる。このあたりの地質は若井コンプレックスに属し、ジュラ紀に付加したとされている。今回の調査で、緑色岩(海洋玄武岩)・チャート・頁岩・粘板岩・砂岩が観察された。これらは、海洋プレート層序を形成する岩石である。

海洋プレート層序とは?

 海嶺でできた枕状溶岩(海洋玄武岩、緑色岩)、サンゴ礁などの化石からできた石灰岩、海底で放散虫の遺骸が静かに降り積もってできたチャート、火山灰や半遠洋性の泥が固まった頁岩、海溝のタービダイトでできた砂泥互層などを海洋プレート層序という。枕状溶岩や石灰岩、チャートはきちんと成層しているのではなく、頁岩や砂岩泥岩中に大小さまざまの岩塊となって混在している。このようなごちゃ混ぜの地層を「メランジュ」という。
 海嶺で生まれた海洋プレートが移動して海溝に沈み込む際に、陸側に付加してこのような地質ができたと考えられる。

写真:釜坂峠から300m加西方面へ行った笠形林道入口の露頭

左側:成層チャート(黒色と白色の縞状)
右側:破砕されたチャート(成層チャートとの境界は、車のフロントガラスあたりのほぼ垂直な断層)
右下端:黒色頁岩(破砕されたチャートとの境界は断層)

写真:上の写真の成層チャートを拡大

 黒色の部分と白色の部分が縞状の模様をつくっている。この部分は、破砕を受けておらず、このような構造がよく観察できる。

写真:林道入口から少し入ったところで見られる緑色岩の露頭

 塊状で硬い。斑晶は、少なく長石が認められる。有色鉱物らしきものもあるが、緑に変質していて分からない。石基は、暗緑色ガラス質で緻密。
 ルーペによる観察では、これ以上分からない。薄片にして観察したい。
 ハンマーを持っているのは、藤原仁之氏。

■岩石地質■ ジュラ紀 若井コンプレックス チャート・頁岩・粘板岩・砂岩・緑色岩
■ 場 所 ■ 加西市(神崎郡市川町との境界) 25000図=「北条」
■ 交 通 ■ 加西市からは若井町を北西に、神崎郡市川町からは神瀬加を東へ
■探訪日時■ 1999年5月2日 


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