河原田不動滝から雪の東山高原
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| 東山山頂近くの風景 |
山頂展望櫓 |
河原田不動滝一ノ滝
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揖保川とその支流引原川に挟まれた地域には、三久安山、阿舎利山、一山、東山と、1000mを越す山々が、一宮町と波賀町の境界尾根をつくって悠々と連なっている。寒さの緩んだ休日、この山並みの南に位置する東山の山頂を、一宮町高野よりめざした。
国道脇に車を止めて準備をしていると、夫婦二人連れの車が対向車線に止まった。波賀町側から東山に登るつもりが、道に迷ってここまで来てしまったというのだ。奥さんが、「帰ろう。迷ってしまったんやから、お父さん、もう帰ろう。」と言うのに、ご主人は「いや、登る。こっちからでも、行けるんや。」……。そんな訳で、同行することになった。
林道を進むとすぐ、不動の滝への分岐があった。東山へのコースから少し離れるが、滝へ向うことにした。杉木立の斜面をしばらく上っていくと、不動明王を祀ったお堂が見えてきた。その背後から、滝音が聞こえてくる。
「河原田不動滝」の「一ノ滝」である。落差45m。数段からなるこの滝の上の方は、木々の枝葉に隠れていた。雪に顔を出した黒い岩肌を、水が白くほとばしる。冷たい空気と岩を打つ水音に、気分も凛としてきた。
沢に沿って上っていった
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私はスノーシュー、二人は初めてだというアイゼンをつけ、元の分岐に戻り、そこからまた林道を上っていった。谷が広くなったところで、左へそれていく林道に別れ、破線路に従って沢沿いの山道に入った。ミツマタが、つぼみをつけていた。赤い実をつけたとげのある蔓を、「ウマグイ」と言うのだと、二人に教えてもらった。実を口にしてみると、初め少しすっぱく、あとから甘さが広がった。
雪の下には、大小の岩がゴロゴロしていて歩きづらい。倒木も多くなり、しだいに道は消えていった。なかなか前に進めずにいると、先に別れた林道が左手に回りこんできているのが見える。雪で埋まった沢を渡って、その林道に上がった。
林道は、山の斜面を大きく蛇行しながらも山頂に近づいている。立ったまま、三人で弁当を食べた。そこから、次のカーブを回ると、林道はばったりと途絶えた。ところどころに付けられた赤いテープを頼りに、沢の上の斜面を上り、途中で方向を変えて尾根に上がった。
尾根にも雪が深く積もり、スノーシューも沈んだ。急な斜面を、膝で雪を押し固めるようにして次の一歩を出した。
東山山頂のアセビ
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尾根の斜面を上りきると、高原状の山上に出た。葉を落とした木々がまばらに立ち、その幹や枝には雪がからみついている。あたりはだだっ広くて、山頂がどこなのかすぐには分からない。二人に残ってもらい、先に進んで山頂の展望櫓を見つけた。
展望櫓に上がった。雲が厚く、周囲のどの山も白くかすんでいる。黒尾山のピークの上から、二条の光が薄く差し込んでいた。
風を避け、展望櫓の下のベンチで、熱いコーヒーをいただいた。目の前のアセビは、雪の重みで背を曲げながらも、赤い小さなつぼみを、春に向かってたわわにつけていた。
山行日:2003年1月13日
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