扁妙の滝~笠形山④(939.2m) 神河町 25000図=「粟賀町」 岩の見どころいっぱいの笠形山へ map 笠形山は、山頂付近をふくめて北側一帯が白亜紀後期の火砕流堆積物でできている。
赤く塗られた鉄製の橋を渡って、石段を登ると石の塔が二つ並んで立っている。「夫婦岩」である。どちらの塔も、数個の大きな岩がたてに積み重なって「だるま落とし」のようだ。
夫婦岩のすぐ先には、オウネン滝がかかっている。赤みを帯びた黒い岩肌を一筋の水がなめらかに滑り落ちている。水は、岩の複雑で小さな割れ目によって乱れながら広がり、滝つぼで小気味よくはじけていた。
滝の右に、丸太階段が上っていた。滝の上に出て、登山道を進む。登山道の周辺には、大きな岩塊が並んでいた。左手に岩壁が続いていて、その岩壁から割れ落ちたロックフォールと呼ばれる岩塊群である。
滝の下の岩の割れ目に、ダイモンジソウが繊細な花を咲かせていた。真白い5枚の花弁、オレンジ色や赤色の葯、黄色の花盤が鮮やかだった。
滝から登山道に戻り、滝の左を登っていく。ガレ石の道を登り、丸太階段の急坂を越すと、岩の間に鉄の階段がつけられていた。
滝見台を発ち、ゆるく北に進んだあと、急坂をつづらに登ると3合目の休憩所があった。ここから山頂まで、「合目」の標識が続く。
スギ林の中に、大きな岩が一つ横たわっていた。登山の目印になるのか、その岩の上にたくさんの小石が積み上げられていた。
9合目を過ぎると、山頂への急な坂が続いた。笠形山の山頂をつくっている台形の斜辺。
山頂は絶好の展望地。ぐるりと周囲が見渡せる。千町ヶ峰の上に氷ノ山の山頂がわずかに顔を出している。そこから右へ、段ヶ峰、フトウガ峰の山影が薄く見える。
山頂から北東尾根を少し下ってみた。そこには、「天邪鬼の挽岩」や「龍の背」などがある。
下山は、西尾根を下った。尾根には、うっすらと踏み跡があった。自然林が多く、一歩あるくごとに落ち葉の乾いた音がした。
山行日:2022年10月15日
オウネン平登山口~オウネン滝~扁妙の滝~滝見台~笠形山山頂~天邪鬼の挽岩・龍の背~笠形山山頂~812mピーク~コテージ登山口 map |
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オウネン滝登山口に駐車場がある。山頂までは、オウネン滝、扁妙の滝、滝見台を順に通過する一般コース。 下山は尾根を伝った。標識はなく、登山道として整備されていないが踏み跡が続いていた。3合目で一般道と合流し、コテージの方へ下った。 |
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山頂の岩石 白亜紀後期 笠形山層 溶結火山礫凝灰岩 |
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溶結凝灰岩は、火砕流が冷え固まる過程で、節理が生じることがよくある。 笠形山では、山頂付近で板状の節理が発達していて、登山道で平たく割れた岩がたくさん見られる。 笠形山の溶結凝灰岩は、強く溶結した緻密な岩石で、特徴的な赤褐色をしている。 多くの石英・長石・黒雲母の結晶片をふくんでいる。少量の普通角閃石の結晶片も見られることがある。 また、頁岩や安山岩・流紋岩などの岩石片もふくまれている。 軽石が熱と重さで融け、引き伸ばされてレンズ状になったつくり(溶結構造)が、笠形山ではどこでも見られる。 笠形山層からは、6600万年前の放射年代が報告されている。 |
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