旗切山(914.8m) 神河町 25000図=「長谷」 ガレ谷から鉱山跡を経て山頂へ map 神河町の川上集落には平家の落人伝承が伝わる。旗切山の名もこの伝承に由来している。源氏との戦いに破れた平家の落人がこの地へ逃れた。ここに隠れ住むことにした落人たちは、この山上で平家の赤旗を切り捨てたという。
あたりは広葉樹林。どの木も新葉を広げ始めている。葉の色がやわらかで瑞々しい。ホオジロのさえずりが大きかった。
ガレ石の上をずっと登っていった。少しずつ傾斜が大きくなる。標高750mあたりの二股を左へ進んだ。ガレ石に混じるズリ石の量が多くなってくる。ミソサザイの声が谷の上から聞こえてきた。
その岩を越して進むと山道に出た。その山道を右に行くと、道に向かって坑口がぽっかりと開いていた。
坑口の前の山道を西に戻って、さらに先に進んだ。細い道が続いていた。大きく曲がってスギ林に入り、そのスギ林を抜けると峠に出た。旗切峠である。
林道を横切って、スギ林と自然林との間を登った。スギの落ち葉の間にシハイスミレが咲いている。自然林の中に、鮮やかな赤紫のかたまりがあった。それは、この山上でようやく満開を迎えたコバノミツバツツジの花だった。
急な坂を登り切ると、木々が切れて目の前に草地の緩いスロープが現れた。枯れたワラビの上に、新しいワラビが葉を広げ始めている。
暖かな日差し。吹き上げてくる風は少しだけ冷たくて気持ちが良い。
山頂から、坑口まで戻った。ズリの谷の向こうにも道が続いている。谷を渡ってその道を進むと、石垣が現れた。メジャーで図ってみると、高さは最大2mで、長さは17m。これが鉱山の施設の一部だったのか、単に道を守るためつけられたものなのかはわからない。
山行日:2023年4月23日
行き:スタート地点(駐車場)~砂防堤(5つ)~坑口(鉱山跡)~旗切峠~旗切山帰り:行きとほぼ同じルートだが、道を坑口の先まで進んでからハタギリ谷に下る map |
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スタート地点に広い駐車場がある。連続する砂防堤の右岸に丸太階段がある。砂防堤の上には道がなく、ガレ沢を登ると古道にぶつかる。ここを東に進むとすぐに坑口。西に進むと旗切峠に達する。旗切峠から旗切山山頂までは近い。 |
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山頂の岩石 白亜紀後期 峰山層 溶結凝灰岩 |
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峠から旗切山山頂まで露頭がない。峠まで、強く溶結した溶結凝灰岩が分布していた。石英と長石の結晶片をふくんだ流紋岩質の溶結凝灰岩である。濃灰色~淡灰色で緻密で硬い。北の福知川にもこの岩石が分布しているため、旗切山の山頂もこの岩石でできていると考えられる。
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