高 峰(725.5m) 神河町 25000図=「長谷」 長谷・・・ふるさとの山、高峰 map 長谷で生まれ育った私には、高峰はふるさとの山である。私の家から見えたものといえば、前を流れる川と狭い田んぼと、そのすぐ向こうにそびえる高峰だけだった。部屋の窓から見えるのは高峰のスギ林がすべて。高峰は空さえも隠していた。
公園を過ぎると土の道になったが、広い道はしばらく続いていた。わだちの水には氷が張っている。霜の降りた落ち葉や枯れたススキを踏むと、その下の霜柱がザクザクと音を立てた。
道は標高360m地点で途切れた。そこから谷の斜面を登る。始めは杣道らしきものもあったが、それもすぐに消えた。
長く続くロックフォールを左に見ながら登っていく。
見上げると、木々の間に空の青が見え始めた。谷を離れて、その青の見える方向をめざした。急斜面を四つん這いになって登る。
標高700mで広い尾根に出た。落ち葉の間に雪が残っていた。尾根には、どちらにも落ちなかった岩塊がいくつも乗っていた。
すっかり葉を落とした木々の間から、周囲の山々が見えた。 北西に夜鷹山、北に高星。遠くに見える粟鹿山の山頂は雪で白い。白岩山から高畑山への稜線がうねっている。長谷ダムの湖面は、日陰の谷に濃い青色でたたずんでいた。 播但線を走る列車の音が小さく聞こえてきた。小学校のチャイムは、もうここまで届かなかった。
高峰は東から見ると一つの山のように見えるが、その背後に長く尾根を連ねている。高峰山頂から、この尾根を進んだ。
谷には、いくつか水流があった。水流は地面を削っているが、削られたところには大小の岩塊が層をなしている。岩盤は見られない。高いところから崩落してきた岩塊が谷を埋めて、山上にこの平らな地形をつくっている。
地籍図根三角点へ戻り、そこから林道を下った。林道は急斜面をつづらに下り、途中から谷を渡っていた。 この下りでも、大規模なロックフォールが各所で見られた。
山行日:2023年1月11日
町民体育館駐車場~高峰(725.2m)~成ト高地~ゴール地点 map |
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広い道が高峰公園を過ぎてからしばらく続いている。道の終点からは、急な山の斜面を登った。岩塊が広がっていたり、倒木が多くて歩きやすくはないが、植林の下でヤブ漕ぎの必要はない。 高峰山頂から成ト高地へ続く尾根もそれほど歩きにくくはない。 地籍図根三角点から北へ、林道が下っていた。 |
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山頂の岩石 白亜紀後期 峰山層 安山岩 |
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今回歩いたコースには、白亜紀後期の峰山層が分布している。この山域の峰山層は、安山岩および安山岩質火砕岩(溶結凝灰岩・溶結火山礫凝灰岩)で構成されている。峰山層の安山岩と同質の溶結凝灰岩は、区別をするのが難しいことがある。 ふもとから標高400mあたりまでは、安山岩である。暗灰色の緻密な岩石で、斜長石・普通角閃石の斑晶をふくんでいる。普通角閃石の多くは変質している。 山頂の東、標高500~550mあたりでは岩石片を多くふくむ溶結火山礫凝灰岩が見られた(写真1)。岩石片は、赤紫~帯紫灰色の安山岩が多い。基質の部分には、斜長石と普通角閃石の結晶片、および長さ最大1.6cmの溶結レンズをふくんでいる。全体的に緑泥石化している。 高峰山頂には、安山岩が分布している(写真2)。暗灰色の緻密な岩石で、長柱状の斜長石の斑晶を多くふくんでいる。普通角閃石は変質している。
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