白山(510m)・妙見山(622.0m)  西脇市・丹波市   25000図=「谷川」


岩の白山と樹林の妙見山をつないで歩く

登山道から望む白山
(中央が山頂 その左は、549mの白山最高所)
縦走路から望む妙見山

 白山と妙見山は、加古川の支流門柳川の北に連なる山並みにある。両山は、その山容が対照的であり、変化のある縦走が楽しめた。

こんなに小さいのにヤブこぎ

 白山は、1ヶ月前に家族4人で門柳川からめざしたが、道に迷い、やっとの思いで抜け出ることができた山である。
 このときは、黒田庄町の「東はりま日時計の丘公園」のオートキャンプ場から白山をめざした。門柳才ノ神から上り、秋谷池に下りる予定であった。
 標識に従い順調にスタートしたのだが、途中で道を誤った。ヤブを漕いで何とか辿り着いた尾根に妻と娘を残し、息子と二人で道を探した。
 しかし、雑木で視界がまったく開けない上に、にわかに暗くなった空からは雨も降り出した。
 登頂をあきらめ下山を始めたが、またも道がなくなりヤブと腰まであるコシダの急な斜面を強引に麓の田まで下りていった。
 キャンプ場に帰って黒豆ソフトクリームを口にし、ようやく4人に笑顔が戻った。

 そんな思い出を胸に、今回は一人で前坂から白山をめざした。
 前坂大歳神社の石段を登り、社殿の右手から山に入った。登山道は、狭いがはっきりしていた。露出した凝灰岩の岩盤は、昨日の雨にぬれてすべりやすいが、ところどころに階段状の彫り込みがあった。
 地元の小学生が遠足で歩くのか、それらしき標識がところどころに立っていた。「松尾の辻」、「またみのずれ」、「とがのお」などの地名が、そのような標識に記されていた。
 白山の最高所は549mのピークであるが、山頂はその手前の510mの地点である。これらの峰が、尾根の登山道を進むほどに、木々の間に見えてきた。白山の山頂は、ドーム状に盛り上がって、最高所をバックに斜めに突き出していた。

登山路から見る白山

 山頂手前のコルからは、急な上りになった。空を仰ぐように見ながら巨岩の間を縫って登ると、山頂に達した。噴き出す汗とともに、この1ヶ月ガイドブックで見続けてきた頂上の磐座に、やっと立てたうれしさがこみ上げてきた。

白山山頂

 厚い層積雲が空に広がり、あたりは白くかすんでいた。それでも、山頂からのの眺めは素晴らしかった。
 三角山と西光寺山の間に、数曽寺山塊が薄く見えた。真東には、V字形に開いた樅木峠の窓から、高山がすんなりとした姿をのぞかせていた。

 白山の頂上ドームを下り、最高所を越え、妙見山に向かった。いくつかの起伏を過ぎると、十字路があって、そこに「妙見山周遊コース」の案内板立っていた。
 ここから妙見山山頂まですぐであるが、この周遊コースをぐるりと回って、登頂することにした。白山から妙見山への道は、その昔、麓の荘厳寺などの修験僧が歩いたという。スギやヒノキ、あるいは自然林の中に山道がそっとつけられていた。
 妙見堂は、杉の木立の中に静かにたたずんでいた。
 境内は、枯れ落ちた杉の葉が敷き詰められ、雨でしっとり濡れていた。わずかな木漏れ日の中、セミの鳴き声に小鳥の声が混じった。

杉の木立にたたずむ妙見堂

 さらに周遊コースを進むと、妙見山から東に伸びる尾根に出た。木々が伐採された展望所は、表面の丸まった石ところどころに露出し、不思議な景観だった。
 そこから尾根上を、西に取って返ると、妙見山の山頂に達した。景色は望めないが、ミズナラなどの木々に囲まれた、静かな美しい山頂であった。
 三角点の標石は、土がこんもりと盛られた高まりの中に静かに立っていた。

妙見山山頂

 山頂から、もとの十字路に戻り、北に進んだ。急な坂をつづらに下ると、笛路と黒田を結ぶ峠「たわ」に着いた。ここから、北谷川に沿ってまっすぐ黒田をめざした。
 水の流れの変化が楽しかった。北谷川の源頭から始まって、そのうちチョロチョロと水の流れる音がし始めた。下るほどに、水量が増えて川らしくなった。荘厳寺の下を通り、南の集落から蓬莱峠を越えて元の前坂大歳神社に戻った。

山行日:1999年8月21日

前坂大歳神社〜白山山頂〜白山最高峰〜妙見山十字路〜妙見堂〜展望所〜妙見山山頂〜妙見山十字路〜たわ〜荘厳寺〜南の滝尾神社鳥居〜蓬莱峠〜前坂大歳神社
 前坂大歳神社の石段下に、白山登山口の道標と登山コースの案内板があった。304mピークを右に巻き、尾根に出ると白山の山頂が初めて望めた。
 次のピークは左に巻き、しばらく進むと秋谷コースと合流した。397.2mピークは左に巻き、白山山頂のひとつ手前のピークを越えると、門柳コースと合流するコルに出た。そこから、山肌につく巨岩の間を縫うように登ると、白山の頂上に達した。

 ドーム状の白山を下り、北東へ急登した。最高所(549m)を越え、ゆるやかにアップダウンを繰り返しながら進むと、十字路があった、ここには、「妙見山周遊コース」の案内板があった。
 ここから妙見山山頂まですぐであるが、この周遊コースをぐるりと回って、登頂することにした。十字路から妙見堂を経由して東に進むと西脇市と丹波市の境界尾根に出る。尾根を西に取って返すとすぐに展望所があった。さらに、この尾根を西に進むと、妙見山の山頂に達した。

山頂の岩石  白山:白亜紀 有馬層群玉瀬溶結凝灰岩 溶結凝灰岩
         妙見山:ひん岩 あるいは 流紋岩質多結晶凝灰岩
 頂上をおおう磐座は、白山のシンボルでもある。この岩石は、溶結凝灰岩。今から7000万〜8000万年前の火山活動による火山灰が固まった岩石である。褐色の基質に白く濁った長石の結晶片が目立つ。長石以外には、石英・黒雲母の結晶や緑色の火山礫も含む。細長い赤褐色の部分は、レンズ状に伸ばされた軽石で、溶結凝灰であることが分かる。
 「またみのずれ」の岩石も、同じ溶結凝灰岩。ここの岩石は、楕円形の穴が表面にたくさんあいている。これは、軽石(火山ガラス)が、粘土鉱物に変質し、流れ出た穴である。

 妙見山の山頂は土におおわれ、岩石の露頭はない。山頂西の展望所には、ひん岩が露出している。緑色の硬い岩石で、黒い角閃石と白い長石の斑晶が含まれている。凝灰岩ばかりの山の中に、このような岩石が突然出てきたので驚いた。これは、凝灰岩中に、岩脈として貫入したのもである。
 山頂を、東に越すと凝灰岩に変わる。石英と長石の結晶片を多量に含む、流紋岩質多結晶凝灰岩である。新鮮な部分は、灰色である。これは、白山の玉瀬溶結凝灰岩をおおう境野溶結凝灰岩とされている。
 妙見山の山頂は、ひん岩と境野溶結凝灰岩の境界付近にあたり、どちらの岩石の上に頂上があるのか分からない。

「兵庫の山々 山頂の岩石」 TOP PAGEへ  登山記録へ