暁晴山E (1077.2m) 神河町 25000図=「長谷」 ホテルリラクシアから山スキーで山頂へ
立春。峰山高原のホテルリラクシアから暁晴山にスキーで登った。
雲一つない青空が広がっていた。ゴーグルをはずすと、その青がいっそう鮮やかに映った。歩き出してすぐ上着をとった。厚いスキー用の手袋がうっとうしい。 砥峰高原への分岐。ヒガラが、アカマツの枝の間をめまぐるしく移っていた。 ミズナラなどの落葉樹の中の道。峰山高原の縁を南に向かってゆるやかに上っている。ときどき、車道を抜けだしショートカットして進んだ。渓流の上は点々と雪が開き、その下を流れる水が小さな音を立てた。
雪原に、キツネの足跡があった。いく筋かの足跡が交差している。こんな足跡を追いかけても、おもしろいかもしれない。
東屋の四角い屋根にも雪が40cmほど積もっていた。軒先に小さなつららが並び、その先端から水のしずくがぽたりぽたりと落ちていた。 次の分岐を右に折れる。車止めの柵の間にスキーを滑り込ませる。 スギ林の中を、道がまっすぐに上っていた。その先に山頂の電波塔が見えた。 頭上からキツツキのドラミングが大きく響いた。 新しいシールの滑りがどうも悪いので、ワックスを塗った。ようやく、一歩ごとにビュン、ビュンと音を立て始めた。
スギ林を抜けると左へ曲がり、次に右に大きく曲がった。ほとんど一定の勾配で、ゆるやかに坂道が続いていた。
ここからの眺望はいつも最高。まして、今日は空が澄んでいた。あたりの山々がぐるりと見渡せた。
山々の展望は、いつまでも見飽きなかった。
暁晴山とその東に広がる峰山高原。次の冬には、ここはスキー場になっている。雪が融ければ本格的な工事が始まるだろう。国内では、18年ぶりのスキー場新設になるという。 兵庫の先人、多田繁次は1958年の夏、初めてここ訪れた。そして、 「夢に見た大草原がそこに展開した。八時半だった。蒼い空に白い夏雲がただよい、朝霧を含んだ草原をわたる風が肌に心地よい。私は声の限り快哉を叫んだ。 ああ、一千メートルの高原、兵庫にもこんなよい山があったのか、まず嬉しさがこみ上げてくる。高原をゆったりとめぐる山々は丘のように優しい。」 と綴った(「ひょうご低山遍歴 なつかしの山々」 多田繁次 1990)。 そのときから、およそ60年。山頂まで延びる車道、電波塔、ホテル、グラウンド・・・。もはや、峰山高原は人工の中にある。 昔の峰山高原、今の峰山高原、これからの峰山高原・・・。どれがいいなんてことは言えない。ただ、時代の流れの中で峰山高原は変わっていく。 それなら、新しくできるスキー場がこの雄大な風景と共に多くの人たちに愛されることを願いたい。そして私も、これまで何度かここを訪れた想いを胸に抱きながら、新しく変貌する峰山高原も大切に思いたい。 山行日:2017年2月4日
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ホテルリラクシア駐車場〜暁晴山(往復) | ||||||||||||||||
ホテルリラクシアまで除雪されている。新しい降雪後は道に雪が残るので、冬用タイヤが必要。できれば四駆が望ましい。 | ||||||||||||||||
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