鶴觜山の山頂へ切り立つ屏風岩 |
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揖保川の対岸から、屏風岩の全貌が見える。岩脈の方向(走行)は、N80°W、80°Eであった。ほぼ直線状であるが、よく見るとゆるく湾曲していることが分かる。岩脈は、鶴觜山の山頂の下で、Yの字型に分岐し、右の支脈が山頂部に大きく露出しているのが見える。
岩脈の一部には、細かく横に割れ目が入っているが、これは貫入面に垂直に入った節理(joint)である。また、縦にも岩脈の中央部に大きな割れ目が入り、この割れ目に沿って木や草が生えている。 |
揖保川の対岸から見る屏風岩
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觜崎の磨崖仏 |
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觜崎橋の東のたもと、鶴崎山南尾根の先端部の岩壁に、”觜崎の磨崖仏”が刻まれている。文和3年(1354)の銘があり、紀年銘のある磨崖仏としては県下最古のものである。
ここで、屏風岩をつくる岩脈の母岩(岩脈が貫入した周囲の岩石)が観察できる。岩石の表面には、数mm〜数cm(最大5cm)の突起が多くあって、ごつごつしている。これは、凝灰岩に多くの岩片が含まれ、この岩片が飛び出ているためである。
鶴崎山に分布しているのは、火砕流でできた流紋岩質凝灰岩である(白亜紀 相生層群伊勢累層)。鶴觜山への尾根で、この岩石を観察できる。全体的に変質が激しく、黄土色〜帯褐灰色を呈し、長石と石英の結晶片を含んでいる(石英は少ない)。
一部、風化面で層構造、あるいはレンズ状の火山ガラスが抜け落ちた跡(溶結構造)が見られた。 |
觜崎の磨崖仏
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屏風岩の頭頂部 |
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觜崎の磨崖仏の裏手にある古宮天満神社から、鶴崎山に上ることができる。凝灰岩の急な斜面を上ると、高さ10m以上の大岩がそそり立っている。これが、屏風岩の頭頂部である。正面に見える面が、ほぼ貫入面と思われ、ほとんど垂直に立っている。西へゆるく曲線を描きながら突き出ている姿は、車石とでも呼びたくなるような景観である。
岩体には、貫入面に垂直な節理が数方向に発達している。大まかに見ると、岩体の上部は柱状節理、中央部は放射状、下部は細かく割れ目が入っている。 |
屏風岩の頭頂部
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屏風岩をつくる岩石 |
大岩を右に回りこんで上ると、鶴觜山の山頂に達する。ここが、屏風岩の一番上にあたる。岩脈の幅は、ここでは約5m、柱状節理が発達し、柱状の岩石が横に積み重なっている。断面は、1辺が10〜30cmの長方形であることが多い。
岩脈をつくる岩石は、含石英ひん岩。青〜褐色がかった灰色の石基の中に、うすピンクの斜長石の斑晶が多く含まれる。その他、長柱状で帯緑黒色の角閃石、粒状の石英の斑晶が観察できる。 |