兵庫の山々 山頂の岩石 岩 石 の 種類 Ver.3.2(2003.7.24) |
動物や植物と比べてみると、岩石の種類は比較にならないくらい少ししかありません。普通は30種類ぐらい知っていれば十分です。それなのに、「石を見分けるのは難しい」のはなぜでしょう。
ひとつは、岩相が連続的に変化するために、2つの岩石の中間の岩石があるということです。たとえば、泥岩と砂岩は、その粒の大きさで分けられますが、どちらともいえるようなものがあります。また、火山岩のなかまの流紋岩〜デイサイト〜安山岩〜玄武岩も連続的に変化し、どこで分けるのか迷うことがあります。
次に、同じ種類の岩石であってもずいぶんいろいろな岩相があって、一見するとまったく違う岩石に見えることがあります。流紋岩ひとつをとってみても、その色は白・灰色・赤・黒とさまざまですし、中に入っている鉱物の種類・大きさ・量もひとつひとつ違っています。また、安山岩より白っぽく見える玄武岩も兵庫県にはたくさんあったりします。
岩石を見分けるのをさらに難しくしているのが、風化による変質です。岩石は、長い年月の間に表面から風化するため色が赤っぽくなったり緑っぽくなったり、またもろくなったりして、はじめとはずいぶん違ったように見えることがあります。
では、どのようにしたら岩石を見分けることができるようになるのでしょうか。
- ・岩石はハンマーでたたく
- 風化した表面を見るのではなくて、内部の新鮮な部分を見ます。
- ・逆に、風化面を利用する
- 風化によって、変質しやすい部分が抜け落ちてその岩石のつくりがかえってよく分かることがあります。凝灰岩の表面のレンズ状の穴は、引き伸ばされた軽石が抜け落ちたもので、その凝灰岩が溶結凝灰岩であることを教えてくれます。
- ・ルーペで観察する
- 新鮮な部分をルーペで観察して、鉱物の種類やその岩石のつくりを見ます。
- ・場合によっては
- 薄片をつくって岩石顕微鏡(偏光顕微鏡)で見たり、岩石を化学分析して、その岩石の名前をつけることがあります。
- ・いろいろな岩石を見て慣れる
- とにかく慣れることです。自分に分かりやすい岩石から、ひとつずつ分かる岩石をふやしていきましょう。
岩石はそのでき方によって、堆積岩・火成岩・変成岩の3つに大きく分けられます。
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1.堆 積 岩 |
砂や泥、あるいは生物の遺がいなどが堆積して固まった岩石です。泥岩や砂岩などの砕屑岩の他に、石灰岩やチャートなどがあります。 |
砕屑岩 岩石が風化してできた礫・砂・泥などの砕屑物が、流水などによって運ばれ、海や湖に堆積して固まった岩石です。粒の大きさなどによって分けられます。 |
礫岩 礫(粒径2mm以上)が固まってできた岩石です。
砂岩 砂(粒径1/16〜2mm)が固まってできた岩石です。
泥岩 泥(粒径1/16mm以下)が固まってできた岩石です。
泥岩はさらに、シルト岩(粒径1/256〜1/16)と粘土岩(粒径1/256mm以下)に分けられます。
頁岩(けつがん) 泥岩が薄くはがれやすくなった岩石です。
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生物岩および化学的沈殿岩 生物の遺がいが堆積して固まった岩石が生物岩、水に溶けていた物質が沈殿してできた岩石が化学的沈殿岩です。 |
チャート 海綿骨針・放散虫殻・微粒の石英などから成り、ほとんど珪酸(SiO2)からきています。
石灰岩 主に方解石(CaCO3)からできています。サンゴ・ウミユリなどの遺がいからできているものと、化学的に沈殿してできたものとがあります。
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2.火 成 岩 |
高温のマグマが冷えて固まった岩石です。 |
火山岩と深成岩 火成岩は、地表に噴出したか地表近くまで貫入して固結した火山岩と、地下深部で固結した深成岩に区分されます。火山岩は、マグマが急冷したため、肉眼では見分けることができないほど細粒な結晶、あるいはガラスからなる組織(非顕晶質)を示します。一方、深成岩はマグマがゆっくり冷えたため、肉眼で見分けられるくらい粗粒な結晶からなる組織(顕晶質)を示します。また、火山岩と深成岩の中間型の岩石を半深成岩といいます。
また、火成岩は化学組成によっても分類され、岩石中のSiO2の量によって、酸性岩・中性岩・塩基性岩・超塩基性岩に分けられます。
下が火成岩の分類表です。酸性岩はSi・Al・Na・kに富む石英・斜長石・jカリ長石などのフェルシック鉱物(無色鉱物)が多く、全体的に白っぽく見えます。塩基性岩はMg・Feに富む角閃石・輝石・カンラン石などのマフィック鉱物(有色鉱物)が多く、全体的に黒っぽく見えます。Na・kなどのアルカリ元素が多い岩石は、別に分類されます。しかし、兵庫県内の岩石は、一般にアルカリ元素に乏しく、ほとんどが下の分類表のどれかにあてはまります。 |
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酸性岩
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中性岩
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塩基性岩
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超塩基性岩
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SiO2の量 |
63%以上 |
52〜63% |
45〜52% |
45%以下 |
火山岩 |
流紋岩 |
デイサイト |
安山岩 |
玄武岩 |
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半深成岩 |
花こう斑岩 |
ひん岩 |
ドレライト |
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深成岩 |
花こう岩 |
花こう閃緑岩 |
閃緑岩 |
はんれい岩 |
かんらん岩 |
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火山砕屑岩 火山砕屑岩とは、火山活動によって放出された岩片およびマグマの固化した火山砕屑物が固結してできた岩石です。火成岩ではなく、堆積岩に分類されることもあります。 |
火山角礫岩 主に火山岩塊(粒径64mm以上で、放出時に固体であったもの)よりなる岩石です(火山岩塊が50%以上)。
凝灰角礫岩 火山岩塊が50%以下の岩石です。
凝灰集塊岩 主に火山弾(粒径64mm以上で、放出時に液体であったもの)よりなる岩石です。
火山礫凝灰岩 主に火山礫(粒径64〜2mm)よりなる岩石です。
凝灰岩 主に火山灰(粒径2mm以下)よりなる岩石です。
溶結凝灰岩 火山灰などの火山放出物が、高温の火砕流として堆積し、内部が高温のために一度溶融して冷え固まった岩石です。
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3.変 成 岩 |
いったんできた岩石が、地下の高い温度・圧力によって、固体のまま別の岩石に変わったものです。 |
接触変成岩 マグマが貫入すると、周辺の岩石に熱の影響を与えます。その熱による変成作用を受けてできた岩石です。 |
ホルンフェルス 泥岩や砂岩などが接触変成作用を受けた岩石です。黒雲母を多く含み、かたくて緻密で、割れ口が角ばっています。泥岩起源のホルンフェルス(泥質ホルンフェルス)は、菫青石・紅柱石などの変成鉱物が生じていることがあります。また、砂岩起源のホルンフェルス(砂質ホルンフェルス)には、黒雲母が多く生成しています。
大理石 石灰岩が接触変成作用を受けた岩石です。粗粒の方解石からなっています。結晶質石灰岩とも呼ばれています。
珪岩 チャートが接触変成作用を受けた岩石です。再結晶により石英の結晶が大きくなってモザイク状に組み合わさっています。
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広域変成岩 プレートの沈み込みなどによって地下深くまでもちこまれた岩石が、変成作用を受けてできた岩石です。 |
粘板岩(スレート) 泥岩が強い圧力を受けると、粒子が平行に並んだり、緑泥石や黒雲母などの平たい鉱物が生成され、薄く割れやすくなります。このような岩石を粘板岩(スレート)といい、屋根ふき材としてよく使われます。
千枚岩 粘板岩がさらに強い圧力を受けると、雲母類が多量に生成され、岩石の表面がきらきらした絹のような光沢を帯びます。このような岩石を千枚岩といいます。
結晶片岩 高い圧力を受けてできた変成岩で、変成作用によってできた平たい鉱物が平行に並び、この面に沿って割れやすくなっています(片理)。また、数種類の鉱物が集まって層をつくりやすく、薄い層が縞模様をつくって重なっています(縞状構造)。結晶片岩は、次のようにより詳しく名前をつけることができます。
□ふくまれる鉱物によって・・・緑泥石片岩、緑れん石片岩、紅れん石片岩、黒雲母片岩、白雲母片岩など
□色やつくりによって・・・黒色片岩、緑色片岩、点紋片岩(曹長石の大きな結晶による白い斑点が目立つ)など
□原岩によって・・・泥質片岩、砂質片岩、塩基性片岩(玄武岩などが原岩)など
片麻岩 結晶片岩よりさらに高い圧力や温度を受けてできた変成岩で、縞状構造は連続性が悪くなりながらも残っていますが、薄くはがれる性質(片理)はなくなっています。鉱物の大きさも結晶片岩より大きく、硬く固結しています。縞状構造の黒い層は黒雲母が多く、白い層は石英や長石が多くなっています。
角閃岩 玄武岩質の岩石が、結晶片岩よりもさらに高い圧力を受けてできた岩石です。主に普通角閃石と斜長石からなり、それらの鉱物が縞状構造をつくっています。
緑色岩 海嶺やホットスポットなどで、海底に噴出した玄武岩質の溶岩などが、その熱と海水の作用によって弱い変成作用を受けた岩石です。緑泥石などが生成されて岩石が緑色になりますが、赤紫色になっていることもよくあります。かつては、輝緑凝灰岩とも呼ばれていました。
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4.その他の岩石 |
変形岩など、その他の岩石です。 |
カタクレーサイト 断層が動くと、断層の周りの岩石は破壊されて礫状の岩石がつくられます。カタクレーサイトは、原岩の破片がかなり残った岩石です。
マイロナイト 深い場所で断層が動くと、圧力が高いために岩石は破壊されながら流動的に変形します。原岩の鉱物が斑点状に残り、流動的な組織が見られるのがマイロナイトです。
メランジュ 泥岩などの基質中に砂岩やチャートなど他の種類の岩石が混在している地層や岩石をメランジュといいます。メランジュは、付加体の地層(岩石)の特徴であり、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込むときにいろいろな岩石が変形しながら複雑に混じりあってできたものです。
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