権現山(253.2m)と高巖山(278.1m) 相生市 25000図=「二木」 |
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相生市北部の矢野町に、巨岩をいだいた山塊がある。この山塊の南にあって、山頂下に切り立った大きな三角形の岩壁をもつのが権現山(ごんげんやま)。その北にあって、岩壁と岩塔が二つの角をつくっているのが高巖山(たかいわやま)である。ホームページ『とんび岩通信』の「高巖山と権現山に登る」を見て、かねてより訪れたいと思っていた山だった。
龍王山から雑木の尾根を上っていく。ヤマモモ、ソヨゴ、アラカシの常緑広葉樹にアカマツやネズミサシの針葉樹、葉をすっかし落としたアベマキ、コナラの落葉広葉樹が混じる。傾斜が急になり、地表に飛び出した岩を縫うようにして上っていくと、権現山の山頂に達した。 高巖山への尾根道は、コシダの中に消え入りそうだった。左右からの枝を払いながら進んでいった。ときどき、大きなヤマモモの木が立っていた。
南峰を下って、岩稜を北峰へ。北峰手前の横になった大きな岩を、風であおられないように這いながら越した。南峰はにょっきり突き出た岩峰でできている。高さは、ゆうに10mを越えている。淡く紫がかった風化の激しい凝灰岩である。 岩の右から反対側に回り込みながら上ると、この岩峰の上部に出ることができる。しかし、最後の3mほどは岩の凸部をホールドしながら攀じらなければならない。高いところは苦手だし、この風では……。新年早々であろうとなかろうと、こんなところから落ちるわけにはいかない。とんび岩さんのように、岩の上に立って帽子を振るなんてことはとうていできない。あきらめて降りようとしたときに、風がおさまった。意を決して、這い上った。たしかに一番高いところに手を置いた?……。 山行日:2003年1月4日
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播磨テクノライン(県道44号線)を車で北上。相生市矢野町森の光専寺(地形図卍記号)の駐車場に車を止める。テクノラインと小さな橋を渡って、北に少し進むと磐座神社がある(地形図鳥居記号)。神社の境内には、「コヤスノキ叢林」や「神社由緒」の解説板、「矢野神山万葉歌碑」が立っている。また、社殿の左には御神体のひとつ「座光石」が祀られている。 |
■山頂の岩石■ 白亜紀 相生層群鶴亀累層 流紋岩質溶結凝灰岩 この山域には、白亜紀の相生層群鶴亀累層の流紋岩質溶結凝灰岩が分布している。 磐座神社の「座光石」は、上から落ちてきた転石と思われるが、チャートや流紋岩などの岩石片を多量に含んでいる。龍王山の巨岩は、岩石片が少なく、石英の斑状結晶を多く含んでいる。 権現山や高巖山の山頂付近の岩石は、岩石片をほとんど含まない流紋岩質凝灰岩である。多くの石英と長石の斑状結晶を含んでいる。風化が著しく、岩体の表面からはがれ落ちやすくなっている。 また、溶結凝灰岩中には、流紋岩溶岩がはさまれている。権現山の手前の流紋岩溶岩には、自破砕構造が観察された。 ※ 相生・赤穂・上郡地区の鶴亀累層は、姫路地区の夢前累層に対比されている。 |