その他

  1. アトランティス
  2. スペシャリスト
  3. ブレードランナー
  4. インデペンデンス・デイ
  5. ランボー
  6. タイタンの戦い
  7. 2001年宇宙の旅
  8. アルマゲドン
  9. スターシップ トゥルーパーズ
  10. 愛と青春の旅立ち
  11. ゴースト/ニューヨークの幻
  12. コブラ
  13. プリティ・ウーマン
  14. 恐竜100万年
  15. Mr.BOO!ミスター・ブー
  16. 類猿人ターザン
  17. スパイダーマン
  18. トップシークレット
  19. ユージュアル・サスペクツ

アトランティス

原題:ATLANTIS
監督:リュック・ベッソン
1991年
私の大嫌いなリュック・ベッソン監督作品。海の中の生き物をただ撮っていくだけの、恐ろしく退屈な映画。上映時間は80分弱と短いが、何度もリモコンの早送りボタンを押したい誘惑にかられた。こんなの金を払って劇場で見た人などいるのだろうか(DVDは貰い物)。
生き物達をただの動くオブジェぐらいにしか考えていないようで、命の尊厳のようなものはまるで感じられない。ライト当てて海の生き物を追っかけ回して楽しいか?
所詮「鳥が人間より劣っている」などと明言するキリスト教圏の人間が撮った映画で、人間の傲慢さが満ち満ちている。キリスト教など人間を救うことは出来ても、地球を救うことなど出来はしないのだろう。

スペシャリスト

原題:THE SPECIALIST
監督:ルイス・ロッサ
1994年
肉体派俳優、シルベスタ・スタローンとシャーロン・ストーンの共演。実はそれぐらいしか売りがない平凡なアクション映画だ。シャーロンストーンはともかく、スタローンは当時でもとっくに旬を過ぎていたように思う。
さすがにシャーロンストーンはセクシーだが、脱ぐと意外と胸は大きくないし、ガタイばかりがっちりしていて、大味な感じ。華奢な日本人女性のヌードを見慣れた諸兄にはピンとこないかも。
一応スタローンは相変わらず正義の味方だが、ファックユーと言われて切れて狭いバスの中で乱闘したり、殺しの依頼を引き受けた理由が、相手に因縁つけられたからだったり、ホテルの部屋を勝手に吹っ飛ばしたり、もうやりたい放題の無法ぶり。
ジェームズ・ウッズはなかなか嫌らしい悪党を好演している。しかしながら、ラストの死にっぷりは情けない。別に彼は誰も殺してないと思うが、悪役なら殺してしまってもいいのだろうか。
私はスタローンが大好きだが、正直言ってロッキーとランボー以外は当たり役に恵まれなかったようだ。しかしジャン・クロード・ヴァンダムやドルフ・ラングレンはついに当たり役に巡り会えなかったようだが。

ブレードランナー

原題:BLADE RUNNER
監督:リドリー・スコット
1982年
最初の劇場公開時にはパッとしなかったが、じわじわとカルト的な人気を集めて、今では近未来SFの傑作の一つとして数えられている。私は中学生のときに劇場で観た。胸のすくSFアクションを期待していた私は、あっけなく老衰してしまうラスボスなどに唖然としたものだった。時を経て再見したブレードランナーは・・・・やっぱりあんまり面白くない。
原作は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」。原作自体はあんまりメジャーではないと思うが、題名はよくパクられる。「オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか」とか。
この映画の最大の見所は、玉虫色では無い、汚らしい未来世界を描いたことだろう。舞台は2019年、今から約20年後、当時から40年後の世界。いつも雨が降ってい薄汚く、人種がごった混ぜ(特に日本人が目立つ)になったスラム街。それと対比するように太陽の輝きをさんさんと浴びる、ピラミッド型の超高層ビルに住む富裕層。車は宙を舞い、怪しげなネオンが氾濫する・・・。映像派と呼ばれるリドリー・スコット監督だけに、それらの映像の美しさ(汚らしさ)は今見ても新鮮だ。
レプリカントと呼ばれる人造人間が反乱を起こし、人間世界に潜伏する。主人公デッカードは彼らを処刑するために追う、というストーリー。人間と全く見分けのつかない人造人間が人間社会を脅かすという設定は面白そうだが、最初から敵の面が割れているので、「誰がレプリカントなんだ」というサスペンスは無い。
DVD版は「最終版」と銘打って、監督自身が編集したものだ。最初の劇場公開版にいくつかのシーンが加えられ(ラストシーンは削られた)、劇場公開版ではおくびにも出ていなかった「主人公もレプリカントだった」という設定が匂わされている。確かに追加されたシーン、何度も出てくる折り紙や唐突なユニコーンのシーンは、デッカードがレプリカントだと思わせるものだ。しかし、主人公がレプリカントである必然性があるのだろうか?ゾンゲリアやシックス・センス、あるいはエンジェルハートのように、実は主人公が○○だった、というオチも悪くない(大抵ばればれだが)。しかし、それならそれできっちりストーリーを落としてほしい。今のままでは、別にデッカードがレプリカントであろうと無かろうと、ストーリー的にはどちらでもいい。どちらでもいいなら、デッカードは人間としたほうがストーリー的に無理が無い。これじゃあ、真・最終版ではガフもレプリカント、続・真・最終版ではブライアントもレプリカント、続・真・最終版IIではそば屋の親父もレプリカントてなことになってしまいそうだ。
主演はハリソン・フォード。合っていないわけではないが、別に彼でなくても、クリント・イーストウッドでもメル・ギブソンでもスタローンでも誰でもいいような気もする。ラスボスのロイ・バティにルトガー・ハウアー。エクセントリックな役ばかりの彼だが、不気味なレプリカントの役ははまり役。頭突きで壁をぶち破ったりするのはギャグなのか?同じくレプリカントにショーン・ヤング。ミステリアスな美女を好演している。実生活でもかなりキテる女優さんらしいが・・・。
映像美や世界観の構築はすばらしい。名作らしい風格も認めるが、やっぱり私は単純にスカッとするアクションのほうが好きだ。

インデペンデンス・デイ

原題:INDEPENDENCE DAY
監督:ローランド・エメリッヒ
1996年
いまさらながらの宇宙人侵略物。劇場で観たときは、「なんて馬鹿な映画なんだ!」と思った。地球のパソコンで宇宙人のホストにアクセス出来てしまうし、大統領は自ら戦闘機に乗っていってしまうし、その他突っ込みどころ・脚本が無茶なところが盛りだくさん。はっきり言ってクソ映画だと思っていた。ところが、DVDで見直してみて印象がガラリと変わってしまった。と言うか泣かされた。これはお勧めだ。
確かにDVDだろうと、脚本の馬鹿さ加減は変わらない。しかし、これはバカな映画なんだと覚悟してみれば、脚本の不出来に煩わされずに映画自体を楽しめるだろう。
まず目を引くのはSFX(今はVFXと言っているようだが)。やけくそなまでに馬鹿でかいUFOやド派手な爆発シーンが、最新のCGとは違った昔ながらのミニチュア撮影で大迫力に描かれている。見せ場の一つであるホワイトハウスの爆発シーンなどは、ウルトラセブンの最終回を思い出させる。もちろんスケールはこちらのほうが上だが、あの時代テレビシリーズであそこまで特撮を見せたウルトラセブンもすごい。
ストーリーはまあ、「宇宙戦争」の現代版か。私は「さらば宇宙戦艦ヤマト」を思い出した。圧倒的に強大な侵略者とそれに立ち向かう人間ドラマ。後にアメリカ版ゴジラを撮るエメリッヒ監督なだけに、日本のアニメや特撮から影響を受けている部分が大きいのではないだろうか。2時間以上の長尺だが、SFXシーンに時間を取られている為に、人間ドラマが希薄になってしまった感はぬぐえない。特に酔いどれオヤジの家族はもうちょっと描かれていても良かったはずだ。
この映画で最も盛り上がるのが、大統領の演説シーン。静かな口調、静かなBGMで始まって、どんどん熱を帯びていく。「We will not go quietly into the night !」あたりの語りにはゾクゾクッとする。大統領役のビル・プルマン、私は知らない俳優だったが、まさに当たり役だろう。マイケル・ダグラスを若く二枚目にした感じで、声もかっこいい。吹き替えの安原義人も芸達者でいい感じ。余談だが、LIVE ONとSURVIVEの訳し分けには皆さん苦労しているようだ。今ひとつニュアンスの違いが良く分からない。DVDでこのチャプターばかり何度も観ているが、そのたびに心が揺さぶられてしまう。
それからラストの、酔いどれオヤジ特攻シーン。もちろん反感を覚える人も多いだろうが、私は観るたびに感動してしまう。特に家族の写真を見つめるシーン、子供たちに愛していると伝えてくれと言うシーン、何度観ても目頭が熱くなる。自己を犠牲にして世界を救うというこのシーン、神風特攻隊からファイナルファンタジーまで、まさに日本人好みのシチュエーションだろう。アメリカ人にもこういう精神が理解できるのだろうか?もし監督がドイツ人でなくアメリカ人だったら、ギリギリでミサイルを発射して「ひゃっほ〜い」とか言って脱出していただろうか?
デイヴィッド役のジェフ・ゴールドブラムはいまだに「ザ・フライ」の印象が強く、こういった善人を演じるのはどうかなという気がしてしまう。ヒラー役のウィル・スミスは飄々としていい感じ。ただエイリアンをパンチ一発でのすには線が細いか。その他酔いどれオヤジ、その家族、デイヴィッドのオヤジ、ヒラーの恋人など、みんな味がある。上映時間を3時間ぐらいにして、もうちょっと人間模様を描いても良かったなどと、私らしからぬことを思ってしまう。あといぶし銀の米軍司令官(役名・階級名分からず)のオヤジが気に入った。大統領を超えるいい声にしびれる。ただ、大統領が出陣するときに何か言って欲しかったところ。
BGMも聴き応えがある。時に悲しげ、時に勇壮なオーケストラは場面をいやおう無く盛り上げる。特に前述の演説シーンのBGMは出色の出来。サントラが欲しくなってしまった。
くどいようだが、この映画の脚本はかなり脳ミソが足りてない。しかし、それを問題にするのは宇宙戦艦ヤマトに突っ込みを入れるようなもので、まるで意味が無い。そんなのは柳田理科雄にでもやらせておけばいい。皆さんも是非、脳ミソを空っぽにして(重要)、観て欲しい。ところで邦題は「インデ『ィ』ペンデンス・デイ」にして欲しかった。

ランボー

原題:FIRST BLOOD
監督:テッド・コッチェフ
1982年
ロッキーと並ぶスタローンの当たり役の第1作。2や3のように好戦的ではなく(そうでもないか?)、娯楽映画でありながらきちんと反戦的メッセージを放っている。
ストーリーは、ベトナム帰りの戦士ランボーが、ふとしたことから警察に絡まれ、ついには軍隊をも出動させる戦いに発展していくというもの。たった一人で警察や軍隊を相手にするランボーのアクションが見もの。崖から飛び降りたり、ガソリンスタンドを爆破したりと、結構派手にやっている。スタローンも若く、2のようにビルドアップはされていないものの、鍛えられた肉体が美しい。ぼろ布を腰で縛ったスタイルも異様にかっこいい。ランボー、上官のトラウトマン大佐、敵役のティーズル保安官、3人が3人ともそれぞれ違ったかっこよさを発散させて、画面に緊張感を生み出している。
監督はテッド・コッチェフ。あんまり聞かない名前だが、彼の「料理長殿ご用心」はなかなかサスペンスフルな佳作だ。今作も、無駄な展開の無い濃密な演出で、監督としての手腕は見事だと思う。ジェリー・ゴールドスミスの音楽も画面に迫力を与えている。
エンディングテーマの「It’s a long road」は、私が最も好きな映画音楽の一つ。メロディーがとても盛り上がり、暗くさびしい歌詞が映画にぴったりマッチしてる。歌うダン・ヒルの高くかすれた声がまた曲に合っている。残念なのはDVD版の字幕。まず2人称を「君」と訳している。そのせいで「君の行く道は〜果てしなく遠い〜」みたいな感じの歌詞になってしまって、違和感がある。歌詞もだいぶ意訳してあって、直訳で十分にいい歌詞なのに、余計なことはしないでほしかった。訳者は字幕界の女帝・戸田奈津子氏。う〜ん、今回はちょっと方向性を間違えたか?
スタローンを筋肉バカだとか、好戦的アメリカの象徴みたいに思っている人は、ぜひ今作を見てほしい。間違えて3とか見ないように・・・。ところでランボー4って作らないのだろうか。旧ソビエト軍と協力してアフガンゲリラと戦う「怒りのアフガン2」とか「激怒のバグダット」とか(時事ネタ)・・・。

タイタンの戦い

原題:CLASH OF THE TITANS
監督:デズモンド・デイビス
1981年
ギリシャ神話をモチーフにしたヒロイックファンタジー。
タイタンの戦いと言えばハリーハウゼン。監督はデズモンド・デイビス、主演はハリー・ハムリンだが、そんなのはお構いなしにハリーハウゼンの名前が一人歩きしている。DVDの特典もハリーハウゼンのインタビューだ。
映画はもちろん、ダイナラマ方式と呼ばれるハリーハウゼンのストップモーションアニメが最大の見せ場。20年後の今見るとさすがにチャチ感はあるが、CGとは全く違った手作りの味は捨てがたいものがある。敵役のカリボスという怪物、大海獣クラケン、メドゥサ、ペガサスその他もろもろのクリーチャーがコマ撮りでスクリーン狭しと暴れまわっている。序盤の津波シーンなどはなかなかの迫力。ディープインパクトにも劣らない?お家芸のクリーチャーと人物の合成も見事で、動き的には全く違和感が無い。しかし、合成だったら「アルゴ探検隊の大冒険」のスケルトンとのチャンバラのほうがすごかったのも確か。
ストーリーは、ゼウスの息子ペルセウスが怪物を倒し、お姫様を救うというもの。もちろん素材はギリシャ神話だが、結構好き勝手にいじってある。メドゥサなんてガラガラヘビの化け物にされている。しかも弓を撃つし。それにしてもゼウスのわがままには呆れる。息子が処刑されかかったからって国ごと滅ぼすか?ペルセウスは過保護すぎて、敵に負ける要素が見当たらない。
そのゼウスを演じるのが、名優ローレンス・オリビエ。こんな映画には場違いな気もするが、さすがに貫禄たっぷりに演じている。レーザー光線も背負っているし。あとポセイドンは、最初ゼウスと区別が出来なかった。ヘラやテティスは貫禄がある女優さんが演じており、いい配役。しかしアテナは女子プロレスラーみたいな顔をしているし、美の女神アフロディテはなんと初代ボンドガールのウルスラ・アンドレス。贔屓目に見てもブサイクで、あからさまにミスキャスト。
ミスキャストと言えば、主人公ペルセウスを演じるのはハリー・ハムリン。どう見ても美男子とは言えず、ギリシャらしくない暑苦しさ。もっと2枚目俳優を起用すべきだった。美貌のヒロイン、アンドロメダを演じるのはジュディ・バウカー。有名な女優ではないが、清楚な雰囲気がぴったり。童顔に見えるが、パンフレットによれば’54生まれ。映画公開時には27歳!16歳ぐらいにしか見えない。きちんと出るとこ出ているし、キュートな生尻もご披露してくれる。しかもシーンごとに髪型が違うというサービスの入れよう。「タイタンの戦い」はハリーハウゼンとジュディ・バウカーで決まり!
他に、怪物カリボスのメークも決まっている。カリボスぐらい、アニメーションじゃなくて俳優のメークで撮ったほうが迫力あったのでは?あとC3POライクな黄金のフクロウ、ブーボーがいい味を出している。私も1羽ほしいな。その前に姿を隠す兜がほしいが。
題名の「タイタンの戦い」だが、関が原の戦いと違って、タイタンという地名があるわけではない。劇中クラケンやメドゥサのことをタイタンと呼んでいたので、こういった怪物達のことをタイタンと言うらしい。ゼウスと戦ったティタン族のことだろうか?

2001年宇宙の旅

原題:2001:A SPACE ODYSSAY
監督:スタンリー・キューブリック
1968年
映画ファンにSF映画の名作を3本挙げさせれば、まず100%この映画を挙げるだろう。それほどの映画史上に残るエポックメイキングな作品だが、映画は難解を通り越して私にはさっぱり理解できない。
確かに68年の作とは思えないような見事な特撮は見もの。9年後の「スターウォーズ」に見られるようなチャチな部分はまるで見られない。「美しく青きドナウ」に合わせて回転する宇宙ステーションのシーンや、部屋ごと回転する大掛かりな宇宙船のセットなどは今見ても新鮮だ。各所での無重力表現も完璧に思える。2001年といえばこの曲、とも言うべき「ツァラトゥストラはかく語りき」と神秘的な映像とのマッチングが素晴らしい。一般的な宇宙船のイメージとまるで違う、眼球のようなディスカバリー号のデザインも特徴的。
映画は大きく分けて4つに区分できる。第1のパートは、古代の類人猿が謎のモノリスを触れることによって、道具を使えるようになる、という重要なシーン。なのだが、カメラを全く動かさずに長々と1ショットを撮ってあるので、見ていて非常に退屈。道具を使えるようになったサルが最初に行なったのが狩り、そして次にしたことは同類殺し、というのは非常に意味深。しかし映画のテーマには全く関係が無い。類人猿の着ぐるみ自体は同時期の「猿の惑星」には負けるか。
第2のパートは近未来。と言うかもう過ぎている。内容は月に隠されたモノリスを発見するまで。颯爽と登場した学者、娘と通信するシーンなどが描かれて、こいつが主人公と思いきや、2部が終わると全く出てこない。前述の宇宙ステーションの描写などが非常に美しいが、ストーリー的には全く無くてもいいパートではないだろうか。病的なまでに真っ白な宇宙船内に真っ赤なインテリア、いったいどういうセンスだ。
第3のパートは宇宙船ディスカバリー号でのコンピューターと人間の戦いを描く。一応ここが映画のメイン?映画的には一番盛り上がるところだが、映画の主題である(と思われる)「人間の進化は超生命体が与えたものである」という観点とは全く関係の無い、1挿話に過ぎない。HALは人間並みの表現力(感情とは言わないでおこう)を持ったスーパーコンピューターだが、些細なことから狂い始め、ついには人間を排斥しようとたくらむ。言葉は人間的でありながら、赤く光る単眼が非常に非人間的で恐ろしく、その対比が面白い。読唇術で会話を読み取るというアイディアも素晴らしい。作業用ポッドを操って宇宙飛行士を殺すところや、ボウマン船長がHALのメモリーを抜いていって、少しづつHALの機能が停止していくところなど、表現がホラー的でかなり怖い。途中なぜか画面がしばらく真っ暗になるシーンがあって、全くわけが分からない。
で、問題のパート4。何がなんだかさっぱりわからない。一緒に見た奥さんも怒っていた。もはや解釈しようという気すら起こらない。別にこの部分をすっぱりカットしてもかまわないと言うか、むしろカットすべきと言うか。興味がある人だけ観ればいい。
難解だから名作だという意見には賛同できないが、自分が理解できないからといってこき下ろすのにも違和感を感じる。評価が難しい1本だ。

アルマゲドン

原題:ARMAGEDOM
監督:マイケル・ベイ
1998年
地球にドデカい隕石が落ちてくる、現代版メテオ。その大きさたるや直径40km!デカければいいというラウレンティス風SFパニック大作だ。同時期にほとんど同じ内容の「ディープ・インパクト」が公開されたが、特撮は互角、ストーリー的にはやたら暗いディープインパクトよりこちらに軍配を上げたい。
誰もが指摘するように、SF考証はかなりいいかげん。ツッコミどころ満載ではある。しかし、そんなことを上げ連ねて作品をこき下ろすより、素直に大迫力のSFXと一難去ってまた一難のスリル、泣かせる人間ドラマを堪能したい。
主演はブルース・ウィリス。あまり好きな俳優ではないが、荒くれ男どもを率いる世界一の掘削技師を貫禄たっぷりに演じている。ヒロインのリブ・タイラーも生意気そうでなおかつセクシー。若さゆえに先走りするアゴが特徴・ベン・アフレックや目つきと歯並びのせいでいつも変な役ばかりのスティーブ・ブシェーミ、その他名前は知らないが癖のある仲間たちや陽気なロシアン、任務に忠実なキャプテンなど、みないい味を出している。ところで主人公の仲間のうち、一人だけものすごく影の薄い男がいる。3回観てやっと存在に気付き、4回目でやっと顔を認識できた。
シナリオはありきたりではあるが、実に泣かせてくれる。主人公と娘の最後のやり取りはお約束とはいえ、涙腺がゆるみまくってしまう。あと「あなたのパパよ」のエピソードも結構きた。あざといと言う人も多いようだが、私はこういうのに弱い。
直径40kmもあるような小惑星が、地球にぶつかる2週間ぐらい前まで分からないなどということがあるのだろうか。その後図書館で何冊か本を読んだが、40kmは大げさとしても、地球を滅ぼすのに足る大きさの隕石が直前まで分からないというのはありうることだそうだ。もし数日後に地球が滅びるとしたら、あなたは何をしますか?
2001年宇宙の旅のようにSF考証に懲りまくった作品もいいが、たまにはこういったおバカな娯楽大作を理屈抜きで楽しむのも、一つの映画の見方ではないだろうか。それを何がおかしいどこが嘘っぱちだなどと批判したり、アメリカ万歳が鼻につくなどと批評するのはもったいなくは無いだろうか。
特典映像で初めてエアロ・スミスを見たのだが、口がデカイ。

スターシップ トゥルーパーズ

原題:STARSHIP TROOPERS
監督:ポール・バーホーベン
1997年
やってくれましたバーホーベン。文句無しの快作だ。
ストーリーは、巨大な虫軍団と人類が戦争をするというもの。まあストーリーなどあって無きが如し。SF考証だとか整合性だとかもかなりどうでもいい。
私見だが、この映画を「好戦的なタカ派映画」「戦争の悲惨さを訴えた反戦映画」「新兵の成長物語」「アメリカの帝国主義を批判している」「人間の愚かさを皮肉っている」などと評するのは、全て見当違い。監督のインタビュー記事などを読んだわけではないので、もしかすると間違っているかもしれないが、おそらく監督は上述のことなど意に介していない。もちろん映画にはそれら全ての要素が含まれているが、それらはただぶち込んであるだけで、決して映画のテーマたりえない。情報部の人間がナチのような格好をしているのも、単に悪趣味なだけで決して何かを暗示しているわけではない。ではこの映画の主題とは何か。それは死、死、死、とにかく人間の死をフィルム中にこれでもかと詰め込みたかったのだ。映画の冒頭から死体また死体、映画中ずっと観客は死体、流血、肉片、阿鼻叫喚の地獄図に晒され続ける。バーホーベンが撮りたかったのはまさに死の詰め合わせセット、ただそれだけなのだ。だからこそ私は、この映画を傑作と断言できる。
そしてそれを実現させた映像技術、平たく言えばCGの出来が素晴らしい。バグが本当に目の前で暴れているかのような存在感、いかにも硬そうな質感、巨大な体躯にすばしこい動きなど、CGでなければ表現できない圧倒的な映像美だ。しかもそんな奴らがウジャウジャ画面狭しと這い回るのだ。砦にバグたちの超大群が押し寄せるシーンなど、虫好きな私にも鳥肌が立つほど。数で勝負(一匹でも十分強いが)の量産型、飛行型、巨大なヤツ、超巨大な対空砲型(そんな生物いるか?)、ゴキブリ型の幼生(?)、シロアリの女王のようなグロテスクなボスなど、どれもこれもカッコよく強そうで、しかも生理的嫌悪感を存分に刺激する素晴らしいデザインだ。
出演者はあまり有名ではない。主人公のキャスパー・ヴァン・ディーンはなかなか二枚目で、体格もいい。序盤では頼りないところがある坊ちゃん風だが、戦場で経験を積んで終盤ではたくましい一人前の戦士に育っていく。ヒロインはデニス・リチャーズ。その後007のボンドガールも演じることになる。見かけもそうだが、ヒロインのくせにどう考えてもビッチ。カメラに向かってゲロを吐くヒロインというのも凄すぎ。あと有名なところで、マイケル・アイアンサイドが上官役で出演。「スキャナーズ」の頃は偽ジャック・ニコルソンといった感じだったが、いい感じに歳を食って渋いおっさんになった。
好き嫌いが激しい映画だと思うが、未見の人は是非どうぞ。私は映画館で見なかったことを後悔してしまった。

愛と青春の旅立ち

原題:AN OFFICER AND A GENTLEMAN
監督:テイラー・ハックフォード
1982年
青春映画の名作。いつもホラーばっかり見ている私がなぜこんなDVDを買ったのかと言えば、奥さんがリチャード・ギアのファンだから。
まずは「愛と青春の旅立ち」という邦題が上手い。原題は「士官と紳士」というそっけないものだが、原題とも士官候補生訓練学校という舞台ともあんまり関係のない「愛」と「青春」と「旅立ち」を引っ張り出してきてつなげただけなのに、なんとも甘酸っぱい思いが込み上げるようなお洒落な題名になっている。この映画がヒットしたため、一時期「愛と青春のなんとか」という似たような題名が次々作られた。
母親の死と父親との確執から、他人を愛することを学べなかった主人公・リチャード・ギア(役名ザック)。そのザックが士官訓練学校に入学し、鬼教官のしごき、同期との友情、ヒロインとの結びつき、親友の死、様々な環境の中で成長していくという、王道の青春映画だ。鬼教官のしごきに対して「行く所が無いんだ!」と叫ぶリチャードギア、無事卒業して自分より階級が上になった教え子達に敬礼する鬼教官・ルイス・ゴセット・Jrなど、心を揺さぶる名シーンが目白押し。こういう恋愛だとか青春を描いた映画を見ると、昔の思い出や昔の自分が思い出されて嫌な気分になることが多いのだが、本作はなぜかとても爽やかな気分になれた。
劇中、主人公の親友が自殺するシーンがある。自殺する前に、見ず知らずの宿屋のオヤジの前で、つき返された婚約指輪を飲み込むというパフォーマンスをするシーンがある。多分普通の人ならなにバカやってんの?と思うだろうが、なぜか私にはすごくよく気持ちが分かった。私が奥さんにプロポーズしたとき、もし指輪を受け取ってもらえなかったら、首は吊らないにしても同じようなパフォーマンスをしていたかもしれない。
今はもう中年を通り越してしまったリチャード・ギアだが、さすがにこの映画では若い。特別二枚目というわけでもないのだが、本作ではちょっとニヒルな主人公を魅力的に好演している。特筆すべきはルイス・ゴセット・Jrの存在感で、容赦ない厳しさながらも生徒に愛情を持って接する鬼教官を見事に演じきっている。本作でルイス・ゴセット・Jrがアカデミー助演男優賞を受賞したのもうなずける。
主題歌の「Up Where We Belong」もアカデミー賞を受賞した。甘いダミ声が印象的で、今でもテレビ番組などで流れることが多く、さびを聴くと「愛」と「青春」と「旅立ち」の3語が脳裏にふっと浮かんで切ない気分になれる。
時代背景がちょっと古臭くて、戦闘機乗りがエリートで街工場で働く工夫(こうふ)が底辺、という感じで描かれている。それゆえのシンデレラストーリーなのだが、今の時代にはそぐわない感もある。しかしそれでも名作であることには変わりは無い。「愛」と「青春」は永遠のテーマ。今の若い人たちにも是非観てもらいたい一本だ。

ゴースト/ニューヨークの幻

原題:GHOST
監督:ジェリー・ザッカー
1990年
恋愛映画の金字塔。ちなみに「ニューヨークの幻」という副題がついたのは、「ゴースト 血のシャワー(原題:DEATH SHIP)というホラー映画があったからだろう。その映画は、血のシャワーを浴びるシーンがあるだけでそんな副題がついたが(確かに見せ場はそこしか無いが)、それだったら「スクワーム/ミミズのシャワー」だし「サイコ/湯のシャワー」だ。
閑話休題。私はほとんど恋愛映画を見ないので他と比較できないのだが、私が見た中で最も泣けた作品だ。さすがに初めて観たときのように爆泣はしなかったが、もう5回は見ているのに今回も鼻汁がたれるほど涙腺がゆるくなってしまった。
ストーリーについては、いまさら解説することも無いだろうか。暴漢によって殺された青年が、幽霊となって愛する人を守るというもの。あらすじだけでも泣けてきません?
特筆すべきはデミ・ムーアの可憐さ。今となってはビッチの代名詞のような彼女だが、この映画ではヘップバーンもかくやと思えるほどの可愛らしさを振りまいている。世界を探しても、彼女ほどショートカットが似合う女性はいないだろう。彼女なくして本作の成功はありえなかったと断言できる。そしてもう一人の立役者、ウーピー・ゴールドバーグ。彼女の熱演のおかげで、暗くなりがちな本作のあちこちに笑いがちりばめられている。彼女は本作の演技でアカデミー助演女優賞を受賞した。主役はパトリック・スウェイジ。演技は上手いのかもしれないが、顔がゴツゴツしていてお世辞にも二枚目ではない。だが彼の演技のおかげで映画が成り立っているわけであり、下手な俳優だったらここまで映画が盛り上がらなかったのかもしれない。
そしてもう一つの本作の顔が、ライチャスブラザースの「アンチェインド・メロディ」。オールディーズだが、今ではゴーストの主題歌として有名だ。ロマンティックな曲と歌詞が本作にぴったり。ちなみに私は、友人の披露宴の余興で「アンチェインド〜」をバックに上半身裸でポージングをとったことがある。まあ若気の至りということで。
本作を観たことの無い人は幸いである。「本作を初めて観る」経験をこれからすることが出来るのだから。シナリオ・キャラクター・音楽だけでなく、見せ方も上手く、伏線の張り方も巧み。永遠に残る名作映画の1本だろう。あえて言うなら、悪人コンビもなにも死なせずに逮捕でよかったような気がするし、その方がファンタジーとしては収まりが良かったと思う。「殺人者には死を」がアメリカンジャスティスということなのだろうか。

コブラ

原題:COBRA
監督:ジョージ・P・コスマトス
1986年
スタローンが人気絶頂だったときに撮ったアクション映画。共演はブリジット・ニールセンで、当時はスタローンの奥さんだった。
脚本がスタローンということもあって、ストーリーは穴だらけ。敵狂信軍団の描写もほとんどなく、敵が何考えているのかさっぱり分らない。暗い室内で斧をカンカンぶつけているシーンはビジュアル的には面白いんだけど。警察内部の描写もほとんどおざなり。
ストーリーはダメにしても、途中のカーチェイスは結構いい出来。特に駐車場の2階から飛び降りるシーンなど、おおっと唸らせられる。走りながら180度ターンして後ろ向きに走る技を、この映画で使われていることから「コブラ」と呼ぶ、ということがスタントマンの本に書いてあった。終盤の敵バイク軍団との撃ち合いは敵がでくの坊で興醒めだし、クライマックスの工場内での対決も今ひとつ盛り上がらない。「黙秘権がある」なんてセリフも唐突で浮いている。
主演は我らがスタローン。グラサンはいいにしても、口に咥えたマッチがなんともかっこ悪い。お前は木枯らし紋次郎か?お得意の筋肉披露も無し。主演女優はブリジット・ニールセン。ロッキー4やビバリーヒルズコップ2での悪役ぶりが印象に強いが、本作ではどちらかと言えば可愛い女の子系。お色気シーンの一つでもあればよかったのだが・・・。敵のボス役は、やたら顔がゴツゴツしたマッチョマン。スタローンとタイマンを張る資格はある。これがシュワルツェネッガーだと、誰も持ってきてもシュワより弱そうにしか見えないのがつらいところ。性格の悪い上司役は、ダーティーハリー1作目の殺人鬼の人。「漕げ漕げ漕げよ、ボート漕げよ」の人。いつかボートが焼け焦げたとき、この歌を歌ってウケを取りたいものだ。そんなシチュエーションに出会える可能性は低そうだが・・・。
いくつか出てくる「笑わせるシーン」がかなりお寒い。やっぱりスタローンにコメディの素質が無いのか、監督がシリアスなシーン以外は苦手なのか・・・。多分両方だろう。
はっきり言ってたいした映画ではないが、ライバルであるシュワルツェネッガーの「ゴリラ」「レッドブル」辺りよりは面白い。まあ私はスタローンのファンなんで、この映画も映画館に観に行ったクチだし、「オーバーザトップ」で感動し「刑事ジョー・タンゴ」で笑った人なので、あんまり私の言うことは当てにならないかも。

プリティ・ウーマン

原題:Pretty Woman
監督:ゲイリー・マーシャル
1990年
私の奥さんがリチャード・ギアのファンなので、本作がうちにあったので試しに観てみた。
うん、誰が誰を好きとか嫌いとか、そんなことに全く関心の無い私にはまるで興味を引かない映画だった。やっぱり誰が誰を殺したとか、カンフーで何メートル突き落としたとか、映画はそうあってほしいものだ。
リチャード・ギアもジュリア・ロバーツも、どっちもどっちで嫌な感じ。唯一ホテルの支配人だけは味があっていいキャラだ。
ジュリア・ロバーツが金にあかせてブティックで買い漁るシーンで、私はゾンビのスーパーマーケットのシーンで感じた羨ましさを連想した。なるほど、本作が女性に支持されているのも分る気がする。プリティウーマンを観てゾンビを思い出すのは私ぐらいなものだろうか?

恐竜100万年

原題:ONE MILLION YEARS B.C.
監督:ドン・チャフィ
1966年
原始人と恐竜が戦うという、時代考証無視のSF映画。なんと言っても見せ場はハリーハウゼンのストップモーション・アニメ。コマ撮りで撮影されたちょっとぎこちない恐竜達は、現代のCGにはとても出せない手作りの味がある。「ジュラシック・パーク」の恐竜よりも、本作の恐竜の方がよっぽど見ていてエキサイトする。ただ、本作より前に製作した「アルゴ探検隊の大冒険」に比べるとちょっと感動は薄れるかも。
主役はラクウェル・ウェルチ。って役の上では他に主役がいるのだが、クレジットも彼女が一番先だ。まあひげ面で見分けが付きにくい全員チャールトン・へストン状態の男優陣より、彼女の方がよっぽど観客の記憶に残るだろう。皮ビキニとか豊満な谷間とか。
ストーリーはあって無きがごときで、原始人だけにまともに言葉を話せないため、奴らが何を考えているのかさっぱり分らない。肉とか武器とかを奪い合って喧嘩しているうちに、火山が噴火してエンド。まあとにかく、ハリーハウゼンの特撮(とウェルチの谷間)を楽しむ映画ということで。私は十分楽しめた。

Mr.BOO!ミスター・ブー

原題:半斤八両 The Private Eyes
監督:マイケル・ホイ
1976年
広川太一郎の吹き替えが伝説的な、香港製コメディーシリーズの日本上陸第一弾(本当にシリーズなのかなあ?)。当然私が見たのも広川太一郎吹き替え版。意外にも「とかなんとかいっちゃたりなんかしたりして」というようなセリフは本作には無かった。それでも「知らぬがホトケ、知ってりゃキリスト」とか「馬の駆け足、バカバカバカ」とか広川節は健在。
吹き替えと言えば、サミュエル・ホイ、リッキー・ホイの二人をツービートが吹き替えている。所詮素人だが、なかなかキャラにあっていていい感じ。
ストーリーは、マイケル・ホイ扮する貧乏探偵が、浮気調査などのしょうもない任務に当たっていって、その間にプールに落ちたり爆弾が爆発して真っ黒焦げになるなどのコテコテのギャグを繰り広げるというもの。正直本作で笑えるかというと、かなり厳しい。古典的名作を観るような心構えで対峙したせいか、ニヤリとすることも無かった。しかし決して観て損したというわけでもなく、なかなか微妙。当時観ていない人にはあまりオススメできないか。
有名な厨房でのカンフーシーンは、アイディアと香港らしいバイタリティーに溢れる名シーン。香港映画=カンフー映画という当時の日本のニーズにもぴったりマッチ。しかし口からノコギリが生えている鮫は幾らなんでもウソ臭い。
残念なのは、主人公がドケチで傲慢で一つもいいところが無いように見えること。主人公なんだから、ちょっとは人情味のあるところを出してハートウォーミングな気持ちにさせて欲しいところ。私はちょといいところを見せる「アヒルの警備保障」が好きだ。
フレーズが何度も劇中で使われる、悲哀感に満ちた主題歌がいい感じ。私はどちらかと言えば経営者側なので労働者とは違うが、どちらにしろやっぱり生きて、生活していくっていうのは大変なことだなあ、などと思ったりなんかしちゃったりして。

類猿人ターザン

原題:TARZAN , THE APE MAN
監督:ジョン・デレク
1981年
ジョニー・ワイズミュラー主演の「類猿人ターザン(1932)」のリメイク、になるのかな?主役はターザンではなく、ジェーン。むしろ「アフリカ奥地で発見!最後の裸族ジェーン」とかの題名の方が良かったかも。
識者からは蔑視され、ゴールデン・ラズベラリー賞(ラジー賞)作品賞にノミネートされたり、ジェーン役のボー・デレクがラジー賞主演女優賞を獲得したり、さらには80年代ワースト女優賞まで獲得するという評価の低さ。それもそのはずで、最大の見せ場がボー・デレクのヌードだというのだから、まともな映画ファンならブーイングも当然だろう。
で、わりかしまともでない映画ファンの私としては、むしろ大歓迎!ボー・デレクいいじゃん。顔も可愛いし、スタイルも抜群。プレイボーイ誌のヌードのような、極端なデカメロンみたいな大味なヌードじゃなくて、まるでギリシャ神話に出てくる妖精のような美しいプロポーションと滑らかな肌は生唾ゴックンもの。綺麗な裸体が見れただけでもDVD買った甲斐があったというものだ。エンドクレジットでの半裸でのオランウータンとのカラミはエロエロ。しかしアフリカにオランウータンがいるのか?余談だが私の奥さんはオランウータンのことを今までオラウータンだと信じていた。残念なことに、クライマックスの山海塾か呪怨のような全裸白塗りは、ちょっとキモくて折角の美乳が台無し。私が監督だったらあのシーンはローション使うね!塗って塗ってもうヌルヌルね!
ボー・デレクの裸だけではなく、均整の取れたターザン役の肉体美とか、断崖越えのシーンとか、他にも見るべきところがあるように思う。冒頭のMGMのいつもの「ガオ〜」が「ア”〜ア”ア”ア”ア”〜」になっていたのもちょっと受けた。ただオープニングでダイアナ妃がどうこうとかいうセリフはどうかと思う。最初字幕の設定を間違えたのかと思ってしまった。あとクライマックスのターザンとマッチョなモヒカンとの肉弾戦は、スローモーションを多用しすぎて迫力が無くなってしまっていた。最後ぐらいド迫力で取っ組み合って欲しいものだ。モヒカンってインディアンじゃないのか?
ほとんど全裸状態の女優にライオンや大蛇やオランウータンをけしかけるんだから、女優も大変だったと思う。軽く引っかかれただけで大変なことになりそう。監督が女優の旦那さんだったから撮れた映画なんだろうか。偉大なるヌード女優、ボー・デレクに幸あれ!ヌードつながりで次は「シーナ」でも買おうかな・・・。

スパイダーマン

原題:SPIDER-MAN
監督:サム・ライミ
2002年
普通の日本人でも知っている有名なアメコミの映画化。監督はなんと「死霊のはらわた」のサム・ライミ。スパイダーマンと聞くと、私の年代では「♪ビ〜ルの〜谷間の暗や〜みに〜」などと口ずさんでしまうのだが、もちろんマーベラーは出てこない。
サム・ライミと言うと、ちょっと下品な(趣味の悪い)ショットを多用する監督だと思う。それがいい方向に行ったのが「死霊のはらわた」「XYZマーダーズ」であり、悪い方向で出たのが「ダークマン」「クイック&デッド」ではないだろうか。本作はどうかと心配しつつ観たが、ライミらしい下品な絵作りはなりを潜め、安心して観られると同時に、やはり金を掛けると安定方向に走ってしまうのかなあ、という気もした。
ただのドタバタアクションではなく、ヒーローゆえの孤独が強く打ち出されているのが印象的で、本作の格調を高めている。「大いなる力は大いなる責任を伴う」、いい言葉ではないか。某国大統領のためにあるかのような台詞だ。
格調が高くなった分、純粋にアクション映画として見ると、それほどド派手なアクションが展開するわけでもなく、面白さは中くらい。CGを使ってスパイダーマンがビルの間をビュンビュン飛び回る映像は確かにスピーディーで気持ちがいいのだが、全体的に特撮は「ものすごく金がかかっている」という印象は無く、レベルは中くらいと言ったところか。上映時間は2時間で、アクション映画とすればちょっと長すぎな気がする。余分なシーン、特にヒロイン絡みのシーンはもっと削ってすっきりさせても良かったのでは?
特筆すべきは、主人公を演じるトビー・マグワイア。すっきりした細身の体に細面な2枚目で、まさしくスパイダーマンにぴったりの俳優だ。彼を起用した時点でほぼ映画の成功は約束されたようなものだ。2枚目なのに親しみやすい顔立ちで、能力に開眼してからの精悍な表情も、映画序盤の以前はまさに貧弱な男の代表のようだったメガネ君も、どちらもバッチリはまっている。
ところが、ヒロインがイカン。なんだこのビッチは。オマイさんは劇中で何人男をとっかえひっかえすれば気が済むのか。赤毛だというだけですでにビッチだというのに(赤毛の方スミマセン)、顔つきも露出度もストリートガールそのもの。しかも行動の一つ一つまでが見かけとピッタリ一致している(その点ではいい配役なのかもしれないが)。ここまで魅力の感じられないヒロインというのも珍しい。新聞社のボブヘアーの女の子かパレードに一瞬出てくる民族衣装の女の子をヒロインにした方がよっぽどマシ。
悪役は、ウィレム・デフォー。かなり顔がゴツくて、こんな人が近くにいたら怖いな〜という感じ。ちょっとオーバーアクトな気がするが(鏡のシーンとか特に)、まあ漫画原作だからこんなものか。それにしても、グリーンゴブリンのデザインはカッコ悪い。敵が魅力的だと映画の面白さもアップするのだが、このダサいスーツはいただけない。グライダーに乗って引け腰で空を飛ぶのもカッコ悪い。時折マスクの眼や口から素顔が覗いているのもカッコ悪い。もっとこう、生物っぽいデザインにしたらどうだろうか。
ヒロインとラスボスという2大短所もあるが、映画としては上手くまとまっていると思う。続編は本作よりもっと評判がいいようなので、今度DVDを借りて観てみようと思っている。

トップシークレット

原題:TOP SECRET!
監督:ジム・エイブラハムズ/デビット・ザッカー/ジェリー・ザッカー
1984年
「フライングハイ」「裸の銃を持つ男」のジム・エイブラハムズ&ザッカー兄弟の放つ抱腹絶倒爆笑コメディー。「フライングハイ」ほどメジャーじゃないような気もする本作だが、お笑い度に関しては全く引けを取らない。
本作は「冷戦時代のスパイ映画&エルビス・プレスリー映画」のパロディーが機軸になっている。しかし、元ネタが全然分からなくても心配無用。私も、プレスリーが映画に出ていたこと自体知らなかったし。ただ、かつてドイツが西と東に分かれていたことぐらいは知っている必要があるか。我々の世代でベトナムが南北に分かれていたことを知らない人がいるのと同様、ドイツが分割されていたことを知らない世代もいることだろう。いつの日か、朝鮮が南北に分かれていたことを知らない世代が出てきて欲しいものだ。
閑話休題。本作は、とにかくナンセンスギャグが次から次へと飛び出してくる。よくもこれだけアイディアがあったものだ。「笑えたシーン」を拾い上げてしまうと、実際観たときに「こんなものか」と思ってしまうことが多いので、ここでは割愛させてもらう。「とにかく笑えます」とだけ言っておこう。
主演のヴァル・キルマーがいい味を出している。端整な顔立ちの2枚目だが、とぼけた演技も上手い。劇中の歌や踊りも実際に本人がやっているようで(DVD特典の、製作者の音声解説で言っていた。これだけ笑える映画の製作者のくせに、解説はあんまり面白くない・・・)、そちらも見事にこなしている。主演女優のルーシー・ガタリッジも、ちょっとヘップバーンに似たクラシカルな美人で、映画に華を添えている。
私は日本のコメディー映画やお笑い番組は全く面白いと思わないのだが、フライングハイ、裸の銃を持つ男、スペースボール、ホットショット、最終絶叫計画などどれも腹を抱えて笑ってしまった。笑いのツボが私に近いと思われる方は、本作も絶対観て損はしないと思う。

ユージュアル・サスペクツ

原題:THE USUAL SUSPECTS
監督:ブライアン・シンガー
1995年
巷で評価の高いクライムサスペンス。劇中バタバタ人が死ぬが、どいつもこいつも悪人ばかりなので、全然心が痛まない。
「偶然」集められた5人の犯罪者(前科者=いつもの容疑者=ユージュアル・サスペクツ)が謎の人物「カイザー・ソゼ」から麻薬密輸戦の強襲を命令されるが・・・、というストーリー。伝説の犯罪者、カイザー・ソゼは実在するのか。いるとしたらその正体は?というミステリー風味。カイザー・ソゼという名前からしてカッコよく、炎をバックにロンゲをはためかせるシルエットがミステリアスで魅力的。やけどで重傷を負った患者が「カイザー・ソゼ!」と叫ぶシーンがなぜか異様に印象に残る。
犯罪者5人のメンツが一癖も二癖もあって惹きつけられる。特にパチ・パチーノといった風貌のガブリエル・バーンが魅力的。枯れていながらギラギラしていて、間違いなく悪人なのに観客をひき付けて止まない。こんなふうに歳を取れたら最高だ。特殊部隊風な顔つきのスティーブン・ボールドウィンもかっこいい。その他3人もいい味を出している。
ストーリー展開や画作りも上手く、ひとたび映画が始まってしまうと、観客は画面から目が離せなくなってしまうだろう。最後の謎解きのシーンなど、ドキドキして画面に見入ってしまった。恥ずかしながら白状すると、私は謎解きの意味が分からなかった。映画が終わってから一緒に見ていた奥さんに質問したら、「○○○ってことじゃないの?」と一言。なるほど、そういうことだったのか!だからコーヒーカップに×××って書いてあったわけね。私は監督がシャレで入れたのかと思ってしまった・・・。ダメだ、理解力無さすぎ・・・。

以下には本作に対するモロバレが記述してあります。本作を未見の方は、絶対に見ないで下さい!見てしまったら必ず後悔します!!

やたら評価の高いどんでん返しオチだけど、これってアンフェアじゃない?一回目で理解できなかった私が言うのもなんだが・・・。
映画の内容のほとんどはヴァーバルの供述から成り立っている。で、それが全部(どこからどこまでは分からないが)嘘っぱちだったということだ。観客は画面からしか情報が得られないのに、それがニセ情報だったら一体何を信じればいいのか?数学では、「仮定が偽ならどんな命題も真になる」(うろ覚え。数学に詳しい方フォロープリーズ)。というルール?がある。仮定が偽なら何を言おうが真だという事は、なにを言っても意味が無い、ということでもある。ヴァーバルの供述(=映画で描かれている内容)が嘘っぱちなら、映画全体が何でもありの無秩序状態になってしまう。しかも、ヴァーバルを疑わしく感じさせる描写が一切無い。普通に考えたら、ソゼはどこにいるか分からない謎の人物であるわけで、5人の仲間のうちの誰かである必然性は全く全然完全に無い。「途中で犯人が分かった」とか言っている人は、なにを根拠に分かったとか言っているのか真剣に問い詰めたい。「消去法でヴァーバルしか残らない」とか言う人には、「消去法は、その中に犯人がいるのが確実なときにしか意味が無い」と言ってあげたい。
取りあえず最後にどんでん返しを入れれば受けるかな〜と思って入れてみたら大ウケしてしまった、という感じがする。これ以降、最後でビックリさせればそれでよし、という映画が増えてしまったのは遺憾なことだ。本当にどんでん返しを楽しませるのであれば、そこまでをキッチリ緻密に矛盾無く理路整然に積み上げなければならない。本作も、SAWもアイデンティティーもメメントも、映画自体の面白さは別として、最後でどっちらけてしまった。私は本作は面白く観れたが、オチは完全に拒否する。


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