007のところでも書きましたが、今アクション映画はCGだらけになってしまいました。そんな昨今、胸を張って肉体派アクションと言える、ほとんど世界でただ1人のアクター、それがジャッキー・チェンです。私のジャッキーの映画ベスト3は、プロジェクトA、ポリスストーリー、プロジェクトイーグルです。この3本はジャッキーのファンでなくても、カンフー映画が好きじゃなくても、たとえアクション映画が嫌いな人でも必ず楽しめます。未見の方は人生の喜びの半分を逃してます。今すぐビデオ屋へGO! 次点はスパルタンX、サンダーアーム、プロジェクトA2、クーロンズアイ、ポリスストーリー3といったところでしょうか。これらも間違いなくお勧めです。 おまえの〜目の前に〜奇跡の人がいる〜。 |
蛇拳 |
蛇形才手 SNAKE IN THE EAGLE’S SHADOW |
監督:ユエン・ウーピン |
1976年 |
古い。画面が汚い。TVサイズなので、左右が切れる。だけど燃える。やっぱり香港映画はすごいよ。登場人物の誰もがすごいカンフーアクションを見せてくれる。 ストーリーは、一言で言えば鎮元斎とラウの闘いにジャッキーが巻き込まれるというもの。その間に町道場での小競り合いが挿入されるが、あんまり大筋に関係なし。 その鎮元斎こと白長天(ユアン・シャオチェン)がいい味を出しまくっている。70過ぎたおじいさんなのに、画面狭しとヒョコヒョコ飛び回っている。ジャッキーは、いつもはジャッキーとかドラゴンとかいう役名なのだが、今作では「簡福」。劇場公開時は「単呆」だったが。 敵の布陣もなかなか魅力的。貫禄たっぷりのラウにキョンシー(顔の人間)、ひげのロシア人宣教師、謎の覆面男(笑)とバラエティーに富んで、まさにエンタテインメント。ストーリーは突込みどころ満載だが、それも楽しさの一つか。猫とコブラ(そんなの香港にいるのか?)のリアルファイトは迫力満点。とにかく見せ場が多い作品なので、ジャッキーを知らない人にも是非観て欲しい。でもできれば「プロジェクトA」とか「ポリスストーリー」を先に観たほうがいいかも・・・。 ラストシーンで、いきなりジャッキーの前歯が無くなっている。やっぱりカンフー映画の撮影って大変なんだろうなあ。 |
酔拳 |
醉拳 DRUNKEN MASTER |
監督:ユエン・ウーピン |
1978年 |
ジャッキーの日本初上陸作品。実は蛇拳の方が先に作られている。 蛇拳よりも一層コメディー色が強く、より「ジャッキーらしい」作品と言えるだろうか。赤い鼻の酔拳師匠・ユアン・シャオチェンが蛇拳以上にいい味を出している。 ストーリーは、修行して強くなって敵を倒すという王道で、安心して頭を空っぽにして観れる。ハードな特訓シーンは見せ場のひとつ。 カンフーシーンも盛りだくさん。ひょうたんを使ってみたり、ハンマーをヌンチャクのように振り回したりと、小技も効いている。敵も足技が華麗なオバサンや馬鹿そうなマッチョマン、石頭に棍使い、ヒゲの暗殺者(ラスボス)など盛りだくさん。オバサンは弁解の余地無くオバサンなのだが、バレエのような足使いはかっこいいの一言。出番が少ないのが残念。ラスボスは線が細くて今ひとつ貫禄に欠けるのだが、いかにも性格が悪そうな演出が上手い。修行前のジャッキーを打ちのめして屈辱を与えるシーンなど、なかなか心に残るいいシーンだと思う。この人蛇拳のラスボスと同じ人だが、服装や髪形が違うのでなかなか気付かなかった。 ジャッキーファン以外には古い映画に過ぎないかもしれないが、ファンにとっては大切なメモリアル作品だ。なんたってお前の目の前に奇跡の人がいるのだから。 |
少林寺木人拳 |
少林寺木人巻 SHAOLIN WOODEN MAN |
監督:ロー・ウェイ |
1976年 |
一度見たら忘れられない、独特なデザインの「木人」が出てくる。鉄拳シリーズに出てくるやつ。 しかしながら、木人の出番は中盤で終わってしまい、本筋とはほとんど関係ない。木人を倒したあとに、熱い釜を持ち上げて体に焼印を押すシーンがかっこいい。 画質は恐ろしいぐらい悪い。声もジャッキーの肉声じゃないし、吹き替えもいつもの石丸博也じゃない。ただし、ジャッキーは声が出せないという設定なので、台詞は終盤のほんの少し。 ストーリーは、親を殺されたジャッキーが謎の囚人にカンフーを習って復讐するというもの。ばれになるが、その囚人が実は親の敵であったというみもふたも無いオチ。他にも酔拳を使う坊主や謎の尼さんにカンフーを教わったり、少林寺の奥義を授けてもらったりと、流派の目白押し。それがストーリーにさっぱり活かされてないのが残念。 ラスボスは10年も囚われてたくせに、鬼神のごとき強さを発揮して、少林寺の棍部隊相手に一人で全く引けを取らない。敵が強ければ強いほどアクション映画は面白くなるというものだ。ただし獅子哮という奥技がなんだったのか出ずじまい。 ジャッキーの殺陣は相変わらず見事。色物好きな方にもそうでない方にも是非。 |
龍拳 |
原題:龍拳 |
監督:ロー・ウェイ |
1978年 |
プロジェクトA以前のジャッキーなんて見る気もしないという人も多いかもしれない。ノーノー、食わず嫌いはいけない。迷ったらこの作品を見なさい。 確かに古い映画ではあるが、ジャッキーはじめ出演者たちのキレのあるカンフー、冒頭のカンフー大会でのしゃれた編集、ひねりのある脚本など、今見てもぜんぜん最近の映画に劣ってはいない。 師匠が殺され、その敵討ちに行くのだが、そこから先がちょっとひねられている。いざ会ってみると敵は改心していて、その敵を殺さんとする悪党どもと死闘をすることになる。そこいらのストーリーが、凡百のカンフー映画と一味違うぞと主張している。 ジャッキーはその悪党どもに恩人を殺され、怒りの鉄拳を炸裂させる。ラストのバトルは非常に胸のすく痛快なシーンに仕上がっている。恋人が人質にされているのに、平気で敵に向かってったりしているが。3人がかりで敵を押さえつけて杖で殴り殺したりしているが、勝てば官軍ということで。相手の喉にチョップをビシバシかましたりしているので、良い子は真似をしないように。 テレビで見たときは、ラストで敵にとどめを刺したときに、唐突に「りゅ〜け〜ん!!」などと叫んで爆笑したものだが、残念ながらやっぱりTV局が勝手につけた台詞のようだ。 |
ヤング・マスター 師弟出馬 |
原題:The Young Master 師弟出馬 |
監督:ジャッキー・チェン |
1980年 |
ジャッキーが主演・監督・脚本・武術指導を手がけたジャッキーのワンマン映画。ジャッキーらしく、誰も死なない家族で楽しめる作品になっている。 ストーリーは相変わらずどうでもいいので、見せ場はこれでもかと連続するカンフーシーン。大きな扇子を使ったり、スカートのすそをヒラヒラさせたり、今までのカンフー映画に無いアイディアを詰め込んでいる。むちゃくちゃ強いラスボスや縄を武器に使うモヒカン野郎など、敵キャラも面白い。ラスボスの足技、それにバンバンぶっ飛ぶワイヤーワークはさすがの一言。ただし冒頭で述べたように、ストーリー上誰も死なないので、ラスボスとのバトルも今ひとつのめりこめるものが無い。やはりカンフー映画は王道の敵討ちが魅力の一つか。観客を引き込むべき冒頭の獅子舞合戦も、迫力不足で見せ場としては今ひとつか。 個々のカンフーアクションはすごいのだが、全体として見たときにはなにか散漫な印象。さすがのジャッキーもまだ監督としては経験不足だということか。兄弟子とかユンピョウが途中からいなくなってしまうのも残念。プロジェクトAではないが、ラスボスと3対1のバトルなどやって欲しかった。 |
ドラゴンロード |
原題:龍少爺 Dragon Lord |
監督:ジャッキー・チェン |
1982年 |
ジャッキーがヤングマスターに続いて主演・監督した映画。よく脱・クンフーを目指した映画などと言われているが、中身はよくあるクンフー映画。クンフーの切れは、正直言ってヤングマスターのほうが上。 一応クンフー以外の見せ場として、ラグビーのような試合(ゴールドポイント)や羽を蹴りあうスポーツ(ドラゴンキッカー)の試合などがある。確かに器用だなとは思うが、見ていて手に汗握るものでもないし、ストーリー上全く関連がなくただ入れてみましたといった感じ。劇場公開時は、このゴールドポイントがメインのように宣伝されていたため、劇場で見たときは冒頭すぐに終わってしまったため、あっけに取られた。ランボーの警官2000人とかもそうだが、大げさに宣伝するの止めてほしいものだ。 ラスボスとのバトルは、今までのようにだだっ広い野原ではなく、倉庫の中での立体的な戦いになっている。そこいら辺にジャッキーらしい新機軸が見て取れる。ラスボスはドラゴンロードのラスボスと同じ人だが、終わりの辺になって唐突に出てきた感は否めなく、ラスボスとしての風格に欠ける。 今回、ジャッキー映画でいつも脇役を演じるマーズこと火星が準主役として活躍する。彼のとぼけた顔は味があっていい。ヒロインは相変わらずのずさんな扱いで、途中でいなくなってしまう。 |
プロジェクトA |
原題:PROJECT A A計劃 |
監督:ジャッキー・チェン |
1984年 |
ジャッキー・チェン最高傑作のうちの一本。ジャッキー映画のお勧めはと聞かれれば、誰もが今作を真っ先に挙げるだろう。 ヤング・マスターやドラゴン・ロードで脱カンフーを目指していたジャッキーだが、結果的には上手く行かず、結局2本とも普通のカンフー映画になってしまっていた(もちろん映画の面白さは凡百のカンフー映画とは一線を画するが)。ところが今作で脱カンフーは大成功を収め、見事なアクション映画として完成している。 もちろんカンフーシーンも十分にちりばめられ、スピーディーで迫力のある見せ場になっている。しかし、カンフーシーンが今までの映画とは変わってきているのがわかる。従来のカンフーは「殺陣」の要素が強く、決められた型に従って敵と味方が突きや蹴りを繰り出すというものだった。また観客に型がわかりやすいように、突きを一発一発で止め、テンポが「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ」と1拍の流れだった。今でもテレビタレントがカンフーの真似事をするとき、「アチョアチョアチョー」と言うか「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ」と言うかのどちらかだろう。ところが今作から流れががらりと変わった。パンチを繰り出したかと思ったらヒジを入れ、間髪入れずにヒザ、回し蹴り、跳び蹴り、まさに流れるように動きが止まることがない。また周囲のものをガンガンぶち壊し、シャンデリアや階段手すりを使った派手な立ち回りを見せる。まさにカンフーの枠を飛び越えた、一級のアクションシーンである。今作からは1対多、多対多の乱闘シーンも楽しめるようになった。 また格闘シーンだけでなく、伝説の時計塔からの落下シーンや自転車チェイスなどのアクションシーンも見逃せない。時計塔からのダイブ、とにかく見てもらえばそのすごさ、危険度、痛さは一目瞭然だ。だから、見ろ。自転車のチェイスもコミカルで非常に楽しめる。香港ならではのアクションシークエンスで、金はかかっていないが、車をぶっ壊すだけのハリウッド製カーチェイスに比べてはるかに楽しめる。 キャラクターもすばらしい。いつもどおりの正義感あふれるジャッキーに、スマートなライバルキャラのユンピョウ、デブで小悪党のサモハン、の3人のキャラクターの魅力が映画中にあふれている。特にジャッキーとサモハンの息のあった見栄は非常にかっこいい。やっぱりこの3人トリオは世界最強だ。プロジェクトA2やポリスストーリーにも出てもらいたかったところ。ラスボスのディック・ウェイがマッチョで刺青のいい面構えで味がある。そのまんま北斗の拳で牙一族の頭領としてパクられている。身長が2メートルぐらいほしいところだが、それは無いものねだりか。ジャッキー映画のラスボスの中では最も強そうな1人だろう。ラスト、爆殺されてしまうのがちょっと可哀想かも。それほど悪いことはしていないし(海賊だけど)。人がバンバン死ぬ唯一のジャッキー映画かもしれない。 残念ながら、ジャッキー映画にありがちだが、ヒロインが全然可愛くない。そもそもヒロインが存在しないとも言える。プロジェクトA2はその反動からか、女の子がたくさん出ていた。あんまり私好みの娘はいなかったが。 とにかく見て損は無い傑作なので、ぜひ皆さんに見てもらいたい。 |
ポリス・ストーリー 香港国際警察 |
原題:警察故事 |
監督:ジャッキー・チェン |
1985年 |
ジャッキーの最高傑作の1本。アクション・アクション・アクションの連続で、息つく間もないほど。特にクライマックスの、デパートでのガラスバリバリぶち破りの死闘は、何万本とある映画の中で今作でしか見れない、まさしく史上最高の格闘シーンと言える。これを見ずしてアクション映画は語れない! アクション俳優だけでなく、監督としてもジャッキーはすぐれた才能を持っていると思う。この映画はジャッキーが自ら一番好きな作品と言うように、ちょっとしたカットにも計算された演出が見られる。キャラクターも上手く、頼りない上司2人やあんまり美人とは言えない恋人のマギー・チャンもいい味を出している。ヒロインではないが、ジャッキー映画に珍しくブリジット・リンは美人だ。 映画としては文句の付け所が無く、老若男女全ての人に見てもらいたい作品である。しかし・・・。 映画の世界では別編集というのはよくあることだが、それでもあえて言わせてもらおう。DVD版は劇場公開版・ビデオ版と別バージョンなのだ。手元にビデオ版があるわけではないので細かい差異は分からないが、まずオープニングの仲間内のやり取りがばっさりカットされている。それからエンディング。劇場公開版は、全てが終わった後、エンディングテーマが流れ、登場人物の疲れきった、そしてほっとした表情が映し出され、この超大作にふさわしい余韻を残していた。ぶった切りエンドの多い香港映画の中で、とても印象的な終わり方だった。ところがDVD版。ものの見事にぶった切りエンドである。たかがエンディングだが、映画を見終わった印象が2ランクも3ランクも落ちてしまった。また、声も吹き替えっぽい。吹き替えに関しては、明らかに吹き替えのようなところもあれば、ジャッキーの肉声かもと思えるところもあるので、はっきりしたことは分からない。 テレビで放映されたのはこちらのDVD版と同じバージョン。だから、もしかするとこちらが正で、劇場版は日本側が手を加えたものかもしれない。それでも言わせてもらうが、私は劇場公開版こそ完成版だと思う。 ジャッキーのDVDは、皆音声も画質も悪く、声も吹き替えだったり、映像特典もほとんど無く、しかも値段が高い。私のようなジャッキーファンですら手を出すのにためらうほどだ。発売元のパイオニア、何とかしてくれよ。 2016/4/10追記 ブルーレイ版を購入したので追記。ブルーレイ版には特典として、日本劇場公開版が入っている。うん、やっぱり日本公開版こそ至高。名曲ポリスストーリーのテーマに乗せて香港の街並みを映すオープニング、それに続くゆるいパイぶつけあいのシークエンス、それからラストのジャッキー、メイ、サリナの表情、やっぱりこれですよ。字幕は焼付けなので読みくく、場面によっては白地に白文字で全く読めないところもある。映像もフィルムの傷が多々ある。でもやっぱりポリスストーリーはこれじゃなくちゃ。吹き替え版はSD映像なのでちょっと見るに耐えない汚さが残念。 娘二人と一緒に観たのだが、娘にとっては初めてのジャッキー映画。二人ともかなり楽しんでくれて、親父冥利に尽きる。ただ、ジャッキーの最高傑作を最初に見せてしまったのは失敗だったかなあ、とも思う。今後なにを見せても「最初のが一番面白かった」と言われそう。やっぱりプロジェクトAから、いやヤングマスターから、むしろ酔拳から順番に見せたほうが良かったのだろうか・・・。 |
サンダーアーム 龍兄虎弟 |
原題:ARMOUR OF GOD 龍兄虎弟 |
監督:ジャッキー・チェン |
1987年 |
香港版インディー・ジョーンズとも言うべき冒険活劇。 冒頭に本編とあまり関係ないアクションシーンの見せ場を入れるところなど、映画自体の構成もレイダースとか007に近い。その冒頭だが、ジャッキーが油の乗った時期の作品だけあって、非常にスピーディーで楽しめるシーンになっている。全編通してサービス精神が満載で、ジャッキー映画ベスト4に挙げたい。ストーリーは、5つの神の武器を狙う邪教集団と、ジャッキー扮する「アジアの鷹」が戦うというもの。はっきり言ってどうでもいいストーリーだが、黒衣の邪教集団というのが今までのジャッキー映画には無い設定で、新味がある。ヨーロッパロケもとても新鮮。冒頭の短髪のジャッキーもなかなか似合っている。アラン・タムをはじめ共演陣もいい味を出していて、なぜ続編のプロジェクトイーグルに出てこなかったのか不思議なくらいだ。 この映画、非常にカットが凝っている。例えば前半、アラン・タムの主題歌に合わせて敵の襲撃シーンが挿入される。まるでプロモーションビデオのような感じで、かなりテンポよく編集してある。他に、ラストのアマゾネス軍団の登場シーンなども凝ったつくりだ。過去の聖戦の回想シーンや、ジャッキーが夢の中で追いかけられるシーンなど、他のジャッキー映画には無い演出だ。実はこの映画、ジャッキーが監督ということになっているが、途中までは別人が監督していたということだ。そこいらの影響もあるのかもしれない。 見せ場は冒頭の原住民とのバトル、中盤のカーチェイス、敵アジトでのカンフー、アマゾネス軍団とのバトルなど。カーチェイスは、やっていることはすごいのだが、とりあえず入れてみましたという感じで、ストーリーからそこだけ浮いてしまっている。黒衣の邪教徒のはずなのに、そこだけ敵がジーパン皮ジャンなのも違和感あり。でもアクション自体はハリウッド映画に負けず劣らず。やっぱり香港映画はすごい。 ラストのアマゾネス軍団とのバトルがこれまたすごい。みな実際にマーシャルアーツの選手らしく、蹴りが鋭い。4人での波状攻撃から顔面への飛び膝など、見事の一言。女などと言って馬鹿になどとても出来ない。人間がバンバン飛ぶのは、ワイヤーワークの行き過ぎのような気もするがまあOKか。ともかく他のキャッキー映画でも見られないアクロバティックなアクションが満載で、このシーンのためにもこの映画を見る価値がある。 ラストのダイブはあまりにも漫画チックだが、まあオマケのサービスということで。 この映画でジャッキーは転落事故を起こし、生死にかかわる大怪我を負った。ラストNG集でそのシーンを見ることが出来る。今映画を撮っているか知らないが、もう沢山の名作を残しているんだから、そろそろ引退してもいいのでは。さもないといつか取り返しのつかないことに・・・。 |
プロジェクトA2 史上最大の標的 |
原題:A計劃續集 |
監督:ジャッキー・チェン |
1987年 |
プロジェクトAの続編。残念ながら、サモハンやユンピョウは出てこない。2人を出していれば、プロジェクトAシリーズはもう1〜2作出ていたような気がするのだが・・・。 このDVDもポリスストーリー2と同じアジア版で、画質は良くないし操作性も悪い。日本はそれなりに大きなマーケットを持っているんだから、日本向けの完全版のようなものを出してもいいと思うのだが。音声はジャッキーの肉声のようだ(未確認)。 ジャッキー監督なだけあってなかなか面白い映画に仕上がっているが、さすがに前作ほどの名作には出来なかったようだ。敵のアジトでの乱闘、手錠でつながれた逃走劇、ラストの人のいない市場での格闘あたりが見せ場。特に、敵の警察署長と手錠でつながれ、手斧を持って襲ってくる海賊たちと戦うシーンは、スピーディーで小技も効いていて、他の映画では見られない、はらはらしつつ笑える名シーンだ。ジャッキーの体術も相変わらず冴え渡っているが、前作やポリスストーリーに比べると、小粒な印象がしないではない。あと敵のアジトでの乱闘シーンでは、ちょっとワイヤーワークが行き過ぎのような気がする。人間が飛びすぎ。 ストーリーは、ジャッキーが新任警察署長となり、ジャッキーの命を狙う悪徳署長、地元を仕切るマフィア、ボスの復讐を誓う海賊の残党、清朝打倒を目指す革命家たち、それを防がんとする清朝のエージェントたち、それらが入り組んで、かなり複雑な状況になっている。正直言って映画館で見たときは今ひとつよく分からなかった。劇中、革命家のアジトにジャッキーや清朝特使らが集まるというコメディリリーフがあるのだが、今回見てやっと状況が理解できた。プロットが複雑なので、今ひとつ話が散漫になってしまったきらいがある。ジャッキーが新任署長になったという設定が後半全く活かされていなかったし。ラストバトルの弁髪の清朝エージェントたちが今ひとつ強そうじゃないのも減点。 今回、香港の古い街並みや、きらびやかなダンスホール、ラストの舞台となる市場などのセットにかなり金がかかっているようだ。確かに、画面からは香港映画にありがちなチープな感じは見られない。しかしまあ、映画の面白さにはあんまり関係ないことだ。見たいのはアクションなのだから。 劇中で、袋に入れられて水中に放り投げられるシーンがある。映画のパンフレットでは、そのシーンは銃殺ということになっている(封切り版も溺死バージョンだったが)。NG集でも銃殺のシーンがあるので、なぜシーンが地味に変更されたのかは不明。 「史上最大の標的」という日本語副題も蛇足な感じ。何のことかさっぱりだし。日本の配給会社は余計なものをつけるのが好きだなあ。 |
サイクロンZ |
原題:飛龍猛将 Dragons Forever |
監督:サモ・ハン・キンポー |
1988年 |
久しぶりにジャッキー・サモハン・ユンピョウの3巨頭が揃い踏み。この3人が出てるというだけでも見る価値があるというものだ。3人それぞれ見せ場もあり、三つ巴の乱闘シーンなどのサービスも十分。その割には知名度は今ひとつ、と言う気がする。いつ劇場公開されたのか記憶に無いし。 これと言った強烈な見せ場は無いのだが、サモハン特有のだれた演出なども無く、楽しめる佳作になっている。 主役のジャッキーは弁護士の役だが、まあストーリー上は弁護士だろうと警察だろうとコックだろうとあんまり関係が無い。裁判のシーンもあるが、裁判中に愛してるかとか聞いたりメチャクチャ。ポリスストーリーの公判シーンのほうが面白かった。 ラスボスは、吉本新喜劇に出てきそうな細身の男が魅力的に演じていて、この飄々としたずる賢そうな役柄にぴったりはまっている。しかも何気に強そうだ。もう一人の敵役はスパルタンXにも出ていたベニー・ユキーデ。すごい顔が怖い、と言うか気持ち悪い。しかし重量感のある格闘シーンはさすが。 華である筈の女優陣だが、はっきり言って不美人ばかり。特にヒロインの女優さんは、おたふく顔で味はあるのだが、正直言ってブス。ジャッキー映画のヒロインは大抵そんな感じ。マイクを振り回すシーンは笑えた。 しかしサイクロンZという邦題、一体どこから引っ張り出してきたのだろうか。 |
ポリス・ストーリー2 九龍の眼 |
原題:Police Story II 警察故事續集 |
監督:ジャッキー・チェン |
1988年 |
まずはじめに書くと、私が買ったDVDは音声吹き替えバージョンだった。日本語ならまだしも、広東語と北京語、どちらもジャッキーの肉声ではない。それだけでこの映画の魅力が全て色あせてしまった。画質もあんまり良くないし、台湾製の海賊版をつかまされた気分。こんなの4700円で売るな、パイオニアLDC。 気を取り直して映画について。超名作「ポリス・ストーリー」には及ばないものの、ジャッキーらしいスピーディーなアクションは魅力十分。特に公園でのカンフーシーンは、(早回しもあるようだが)アクロバティックでテンポがよく、見せ場のひとつ。前作の車での斜面駆け降りのような派手なアクションがひとつほしかったところ。ラストの工場大爆破は、ストーリー上あんまり意味は無いのだが、香港映画でもここまでスペクタクルが見せられるという、ジャッキーの意思表示なんだと思う。 残念ながら、前作で非常に魅力的だったキャラクターたちが、今ひとつさえない。恋人のメイは単なる嫌な女だし、上司二人もでくの坊で魅力が薄い。前作のブリジット・リンのような美人系もいないし、ラスボス不在というのも物足りない。ラスボスはあのアパアパ野郎?まあ確かに足技はすごいけど・・・。 あとシナリオ。前作の死闘のせいでジャッキーが格下げになるという、前作の感動を台無しにしてくれる身もふたも無い設定。しかも苦労して逮捕したボスは釈放され、そのせいで命を狙われる始末。あきれてものも言えない。よくこんな脚本をジャッキーが通したものだ。ジャッキーのアイディアだったりして・・・。 基本プロットはともかく、アクションが前作より控えめな分、コミカルなシーンや、ジャッキーが敵の拷問されるサスペンスシーン、ジャッキーが体に爆弾を仕掛けられるスリリングなシーンなど、ジャッキー映画もアクション以外でも魅せられるようになってきたな、というのが劇場公開時の印象。 ところで映画のなかでは「クーロンズ・アイ」なんて一言も出てこないのだが、日本の配給会社の創作だったのだろうか。確かにあの名作の続編を名乗るには小粒な印象ではあるが。 |
プロジェクトイーグル |
原題:飛鷹計画 OPERATION CONDOR |
監督:ジャッキー・チェン |
1991年 |
サンダーアームの続編。世間的にはそれほど評価の高い一作ではないが、私は今作を、プロジェクトA、ポリスストーリーに並ぶ、ジャッキー映画最高傑作の一本に挙げたい。 前作はヨーローパが舞台だったが、今作はアフリカの砂漠が主舞台。アフリカでの長期ロケはかなり金がかかっていそうで、その分全編に気合の入ったアクションを見せてくれる。アクション映画といっても今作はコメディーリリーフが豊富で、最後の風洞でのシーンなどわけが分からないが、とにかく笑わせてくれる。キャラクター設定も秀逸で、まあジャッキーはいつもの通り、そしてジャッキー映画の中ではなかなかの美女3人トリオがそこかしこでボケをかまし、楽しませてくれる。今作はお色気シーンも結構会って見所か。日本人女性、桃子がいい味を出している。ストーリー的には登場にかなり無理があるが・・・。ジャッキーを付け狙うとぼけたアラブ人二人組も面白い。今回の敵はナチスの隠し財産を狙う傭兵団。それぞれ凄みがある風貌で、敵役の資格十分。ただ中盤のキャラバン虐殺シーンは余計だったか?コメディ調の今作ではそこだけトーンが浮いてしまっている。傭兵のくせにみんなカンフー(マーシャルアーツ?)を使う。コマンドサンボとかの軍隊式格闘術なども使ってほしかったところ。まあ組み技は画的に映えないからしかたないか。そういえば映画前半、ジャッキーがアラブ人を組み伏せて関節を取っている。今までのジャッキー映画でサブミッションが出てきたことはあっただろうか。 冒頭の盗掘劇からすでに画面に引き込まれる。ここではカンフーシーンは無いが、バルーンを使った急斜面駆け下りには驚かされた。それが終わって、ジャッキーが釣りをしているシーン。カメラが引くと、そこは海ではなくて湖、さらにカメラが引いていくとその湖は島にあることが分かる。まるで惑星ソラリス。言葉では表現しにくいが、香港映画らしからぬスケールの大きさだ。 次はヨーロッパでのカーチェイス。車がバンバン飛ぶカーチェイスの迫力は、ジャッキー映画の中でも最高峰だろう。バイクが人を引きそうになったり、人を引っ掛けて派手にすっころぶシーンなど、ハリウッドでは絶対に見られないスタントだ。バイクの曲乗りスタントも素晴らしい。ジャッキーが運転しているのだろうか? 舞台はアフリカに移って、ホテルでの格闘シーンが次の見せ場。狭い室内でのカンフーはジャッキーの真骨頂。飛びついて一本背負いといった、今までにあんまり見られないシーンもある。先ほどのサブミッションもそうだが、どんどん新しいものを取り入れていくジャッキーの姿勢はすばらしい。ギャグもふんだんに盛り込まれ、ここだけでも1本の映画を見たぐらい満足できる。 舞台は砂漠に移り、盗賊団からの脱出やアフリカ原住民との小競り合いをはさみ、ナチスの秘密基地へ。砂漠にあんな原住民が住んでいるものだろうか?ストーリー上上手く銃器類を始末し、クライマックスの肉弾戦に説得力を持たせている。巨大なシーソー(なにこれ?)や風洞のセットなど、金がかかっていそうだ。シーソーに挟まれそうになるシーンなど、劇場で見たときはヒヤっとした。ラストは風洞でのバトル。最後を締めくくるにはちょっとアレな感じではあるが、まあ楽しいのでよしとする。金をかけただけに時間も引っ張っているが、まあくどくないレベル。これがサモハンだったらあと3倍は引っ張っていただろう。最後の最後、ジャッキーの顔面ブルブルには大笑い。意味は良く分からないが(笑)。 老若男女、誰にでも楽しめる傑作に仕上がっていると思う。このレビューを読んだ方には、だまされたと思って是非一度観て欲しい。 |
酔拳2 |
原題:酔拳II DRUNKEN MASTER II |
監督:ラウ・カーリョン |
1994年 |
ジャッキーが日本でブレイクするきっかけになった「酔拳」の16年ぶりの続編。続編といっても全然ストーリーは関係ない。 ドラゴンロード以来純粋なカンフー映画から遠ざかっていたジャッキーが、満を持して撮った作品だけあって、カンフーアクションは完成の域に達している。現代風のハイスピードな攻防にワイヤーアクションを絡めつつ、決めるところでビシッと酔拳の型を決めるジャッキーはカッコ良すぎる。敵が強いほどアクション映画は面白くなるが、今作のラスボスの足技の切れには圧倒させられる。ヤングマスターのウォン・インシク、プロジェクトAのディック・ウェイ、スパルタンXのベニー・ユキーデ、あるいはサンダーアームのアマゾネス軍団と比肩し得る魅力的なラスボスだ。中盤の2人vs100人以上の乱闘シーンも今までに無いスペクタクルシーンだ。 カンフーシーンは間違いなく私が見たジャッキー映画でも最高峰と言えるのだが、さて映画としてみるとどうだろうか。何よりシナリオがクソ。見た人全てが思うだろうが、あの終わり方は何だ。悪の親玉はどうした。カンフー映画にシナリオなんてどうでもいいと言う人もいるかもしれないが、私はそうは思わない。アクションシーンだけでなく、シナリオでもきちんとカタルシスを味合わせてほしい。シナリオさえきちんとしていれば、プロジェクトAやポリスストーリーに並び称せられる傑作になっていたかもしれない。ところで有名な話だが、今作では主人公がメチルアルコールにやられて廃人になってしまうというトンデモなオチもあったそうだ。日本公開版もDVDもそれは切られてメデタシメデタシだが、そんなラストを撮った監督の気が知れない。ちなみに私が買ったDVD、なぜか2枚組みでアジア版なる物が入っている。そっちのほうも終わり方は日本版と同一だった。さらに余談だが、DVDのくせにモノラルだし画質は悪いし、ワイドテレビで観ると画面が上下につぶれているし、ワーナーホームビデオしっかりしてくれよ。 シナリオの次にキャラクター。ジャッキー演じる主人公が今ひとつ馬鹿っぽくて魅力が薄い。特に前半のコメディーリリーフでは、白痴のような召使と共に見ていてイライラさせられる。ジャッキーの母親もそう。点棒をひったくるシーンとか「ドロボー」と叫ぶシーンとか、異様に浮いていて寒い。中盤を過ぎるとジャッキーも母親もかっこよく思えてくるのだが・・・。モロボシダン似の父親役は渋くてかっこいい。クライマックスでジャッキーと親子拳法など見せて欲しかったところ。友達の魚屋とかもいい感じなのだが、やっぱりラストに絡まないのが残念。敵役の中裕司似のキックボクサーやその部下のイチローにチョイ似の男、スペイン風のゴロツキなどみんな悪々しくていい感じ。ショボ目のイギリス領事なんか出さないで、中裕司似をラスボスに据えれば良かったのになあ。ジャッキー映画だから仕方ないけど、敵にはっきりした決め技、致命の一撃を決めないのが物足りないところか。本作の監督は、リーリンチェイの「阿羅漢」を監督した人。阿羅漢でラスボスの首をすっ飛ばすシーンはインパクトがあったのだが、ジャッキー映画だからそれは無理か・・・。あとジャッキーのラストファイト、よだれ垂らしたりゲロ吐いたりと、あまりに汚いのもどうかと。大体酔拳と言ったって実際に酒飲むわけじゃ無かろうに。 恒例のNGシーンで、焼けた鉄棒を木の椅子で受けるシーンとか、本当にやってるのがすごい。そんなのいくらだってトリックで出来るだろうに、本物にこだわるのがジャッキー流。燃える石炭の中に落ちてみたり、プロジェクトA2では唐辛子食べてみたり、ファイナルプロジェクトでは氷の湖に飛び込んでみたり、カンフー以外にも本当に体張っている。正直スクリーン上ではそんなに凄く見えなかったとしても、実際に演じることにこだわるジャッキー。そんな男に惚れないで誰に惚れろと言うのだ? まとめると、カンフー最高シナリオ最低な本作、ジャッキーファンなら間違いなくお勧め。 |
デッドヒート |
原題:霹靂火 THUNDERBOLT |
監督:ゴードン・チャン |
1995年 |
カーキチであるジャッキーが自分の趣味で撮った(と思われる)カーレース物。日本が舞台だったり加山雄三が出てたりと、B級臭をプンプンさせている。実際ファンの間ではやたら評判が悪いが、決してつまらなくは無い。むしろ私はそこそこ面白かった。まあそれは私が三菱車に乗っているからかもしれないが。 カンフーアクションはいつもの出来で悪く無い。プレハブをクレーンでぶん回すところなど、新鮮味と恐怖感があって面白いシーンだ。ただ、カンフー自体はいつもの切れなのに今ひとつ画面上に映えていない。監督のゴードン・チャンとは聞かない名だが、ジャッキーを撮るには力量不足か?大体においてジャッキーを撮れるのはジャッキーだけで、彼の監督作とそれ以外とは、作品の出来に雲泥の差があるのは隠しようの無い事実だ。 カーチェイスもなかなか。香港映画お得意の早回しが鼻につくシーンも多々あるが、思っていたより派手なアクションシーンがいくつも見られる。ハリウッド映画と見比べても決して見劣りしない。香港とは恐ろしいところだ。それに比べて日本映画界は進歩が無いなあ。FTOやGTOがGTRに競り勝ってしまうのはどうかと思うが、昔FTOに乗っていた私には嬉しいところ。 ストーリーは無茶苦茶で、国際手配されているギャングがなぜか日本でレースに出たりする。体を張ったアクションに情熱を燃やすジャッキーも、シナリオなんてどうでもいいと思っているのだろうか?どうでもいいと言えばヒロインで、ジャッキー映画はいつもヒロインが不細工。むしろこんなのがジャッキーの好みなんだろうか?ついでにもう一つ、実写版ストリートファイターのキャプテンサワダが悪役で出演していて、結構かっこよくジャッキーと戦っている。 ジャッキーもいつかはフィルムでしか見られなくなるように、三菱車も映画の中でしか見られなくなる日が本当に来そうで恐ろしい。やはり今の企業はコンプライアンスが最重要ということか。 |
レッドブロンクス |
原題:紅番區 Rumble in the Bronx |
監督:スタンリー・トン |
1995年 |
アメリカを舞台にしたジャッキー映画。と言ってもゴールデンハーベスト作品だし、監督もキャストもみな中国人。何度アメリカで撮っても「ハリウッド進出第一弾」などと言われてしまうのはご愛嬌。 この映画、ジャッキー監督作品以外ではスパルタンX、ポリスストーリー3と並んでよく出来ている作品のひとつだ。カンフーをはじめ、隣のビルに飛び移ったり(かなりすごい)、板無しで水上スキーをやってみたり(007で先にやっているが)、ホバークラフトが陸上で大暴れしたりと、アクションの見せ場に事欠かない。前半、ジャッキーが路地裏に追い詰められてビンをガンガン投げられるシーンはかなり怖い。今までに無いシリアスなシーンで印象に残る。 ヒロインの一人は問題にならないぐらいブスだが、もう一人はかなり綺麗。露出度も高く、目の保養になる。 ストーリーは、前半はジャッキーと暴走族との戦いを見せ、後半はギャングとの対決になっている。この暴走族というのが心底腹が立つ。これがブルース・リー映画だったら全員血祭りにあげてくれるのだろうが、残念ながら良心の人・ジャッキーは暴走族とも和解してしまう。後半のギャングとの争いは、派手なアクションを見せるという意味もあるが、ストーリー的に取って付けたようで違和感がある。どうせなら最後まで暴走族と戦ってほしかったところ。街中で暴走族に襲われるシーンがあるのだが、そこだけトーンが違って、最初夢の中なのかと思ってしまった。 クライマックスの水上スキーとホバークラフトのアクションは、確かに面白いんだけどちょっとくどいかな。もうちょっとさらっと流してくれたほうが良かったかも。 ラスト、敵のボスを懲らしめてエンドというベタな終わり方で、いかにも香港風。しかしもしジャッキーが監督だったらこんなヘボな終わり方にしただろうか。 |
ファイナルプロジェクト |
原題:FIRST STRIKE 警察故事4之簡單任務 |
監督:スタンリー・トン |
1996年 |
邦題からは分らないが、ポリスストーリーの第4作。英語題名は「FIRST STRIKE」なので、なにがファイナルで何がプロジェクトなのだかよく分らん。結局「プロジェクトA」はもちろん、「ポリスストーリー」「サンダーアーム」の3大シリーズの全ての邦題に「プロジェクト」の文字が入ったことになる。日本の配給会社も安直だなあ。ちなみに、警察故事の4作目であるが、ほとんど前作までと関係ない。マギー・チャンを始めおなじみの顔ぶれが出てこないし、主人公の呼び名も「チェン」ではなく「ジャッキー」だ。ただ一人トン・ピョウが出てるのと、エンディングテーマが「英雄故事」であることだけがシリーズであることの名残を示している。 本作、劇場で観たときにはあまりのつまらなさに憤慨したものだが、今DVDで観てみると、そこそこ楽しめる。後期のヌルいジャッキーアクションを見慣れてしまったので、面白く感じるボーダーラインが下がってしまったのだろうか。 ストーリーは、容疑者の女性を飛行機内で監視するという簡単な任務のはずが、核弾頭の密輸事件に巻き込まれて大騒動になるというもの。ウクライナ共和国〜ロシア〜オーストラリアと世界を飛び回るスケールの大きさがウリで、潜水艦が出てくるだけでもなぜか大作っぽい。金をかけた大作のくせに原題が「簡単任務」、というギャップの面白さを狙っているのだが、どうも上手くそこいらが描かれていない。さらわれた容疑者の追跡を始めたところから無理っぽい展開だし、ラスボスも数人の部下しかいないショボイ犯罪組織だし。もうちょっと上手く、簡単な監視任務から少しずつ難しい事件にはまり込んで、気が付いたら世界を揺るがす大騒動の真っ只中に、というシナリオに出来なかったものだろうか。邦題が原題を無視しているのも、そこいらが上手くいっていないせいもあるのかも。 アクションの見せ場は、ジャッキーのスノボーチェイス、いつもの通り小道具を駆使した1対多のカンフー、竹馬?を使ったカンフー、ラストの水中バトル長回し、といったところか。 スノボーチェイス、007みたいなことをやりたかったというのは分る。しかし、ジャッキーがスノボーで逃げて敵がスキーで追いかけてくる、ただそれだけなので観ていて面白くない。ジャッキーは何度もこけるが敵は追いつかないし、前を滑るジャッキーに追いつかないように手加減して滑っているのがバレバレ。ちなみにスケボーシーンはスタントマンの吹き替えも結構あるように思える。その後ヘリへのジャンプと凍った湖へのダイブがある。確かに凍った湖のダイブは非常に危険なスタントだと思うし、ジャッキーが滅茶苦茶冷たそうなのは手に取るように分る。でもそんなの、アクションとは言えないと思う。 中盤のカンフーシーンは、まだ油が乗っていた頃だけあって、スピーディーでいいシーンになっていると思う。脚立を使ったシーンも、NG集で何度も失敗した難しいシーンであることが分る。こういうシーンにも手を抜かないのはさすがジャッキーだ。竹馬を使ったハイキックなどのアイディアも見事。ただ、カンフーの舞台が室内だったりチャイナタウンだったりして、どうもスケールの大きさが感じられない。大作にふさわしい舞台でハイハイやってほしいものだ。 ラストの水中バトルは、読売水中バレエ団のように水中でドタバタやっているのだが、劇場で見たときはあまりのテンポの悪さに腹が立ったのを覚えている。スローなコメディーシーンを延々と続けるので、ハイスピードが売りのジャッキーにしては新機軸と言えなくも無いが、やっぱりダルい。ここまで人がバタバタ死んでいるのに、最後だけコメディーで締めるというのもどんなものか。まあ鮫に2人食い殺されているけど。鮫は本物か作り物か知らないが、よく出来ている。 ヒロインはアニー・ウー。お世辞にも美人ではないような。しかも泣いてるシーンやわめいているシーンばかりで、魅力が感じられない。ラスボスは線が細いが、悪そうな感じは出ていてまあまあ。重要な役どころのツイ役は、貫禄や知性や知性などの存在感がかなり足りない。ロケット弾で吹き飛ばされたときの痛そうな顔は演技なのか地なのか・・・。途中でプロレスラーのようなデカイ敵が出てくるのだが、対決がうやむやになってしまって残念。ジャッキー映画にガタイのでかい奴がいないので、どんな決着になるか楽しみにしたのだが・・・。 監督のスタンリー・トン、ポリスストーリー3やレッドブロンクスはよく出来ていて、監督として期待できると思ったのだが、本作は外し気味。ま、あんまりお勧めはしないが、ミーハーなジャッキーファンなら楽しめそう。アザラシ帽をかぶったジャッキーとか、全裸のジャッキーとかが見れるし。まあよく脱いでいるけど。 |
フー・アム・アイ |
原題:Who am I? 我是誰 |
監督:ジャッキー・チェン/ベニー・チャン |
1998年 |
映画の内容については、エッセーの部屋で紹介しているのでそちらを参照してください。 映画館で見たときははよくわからなかったが、CIAのモーガンと退役将軍の二人が組んで、傭兵を雇って科学者を襲撃させた模様。CIAは全然関係なかったのかな。それとも隕石の研究はCIAの管轄だったのだろうか。まあどっちでもいいや。 吹き替え版も入っていて、なんと主役の二人の女優さんは本人が声を当てている。やっぱり俳優と声優は違うのか、すごく声が浮いている。綺麗な女優さんだからって、声が綺麗だというわけではないということか。 予告編で使われている、「フーアムアーイ」と叫んでカメラがグルっと回り込むシーンがある。予告編で見ると断崖絶壁で叫んでいるようでかっこいいシーンなのだが、実際は公園の石碑みたいなのに乗って叫んでいるだけでかなりヘボい。あんまり意味がないシーンなので、もしかしてロッキーのパロディーかも? 追記:「エッセーの部屋」は削除したので、以下に全文を掲載します。 今日ジャッキーチェンの新作「フー・アム・アイ」を観てきました。場所は渋谷のジョイシネマ。パンテオンなどとは比べ物にならない小さな映画館です。観たのは18時からの上映。封切初日だというのに、空席が目立ちます。立ち見が出ると思って早めに行ったのですが、いきなり肩透かしでした。15年くらい前のあの大人気はどこへ・・・。 内容は、特殊工作員であるジャッキーが敵の策略によって記憶を失うが、それでも執拗に追ってくる敵と戦う、というものです。はっきりいって、ジャッキー映画にストーリーはあんまり関係ないですな。アクションが面白ければいいと。正直言って前半1時間は大したアクションもなく、退屈でした。ジャッキーがランサーエボリューションIV(以下ランエボ)に乗りこんだぐらいからテンションが上がってきます。ランエボの曲芸のようなカーチェイスは、一見の価値ありです。ハリウッドの金をかけたカーチェイスに引けを取りません。敵の車(BMW)がビルから落ちるシーンも見せ場です。たいていこういう場合は、河に落ちたりするものですが、今回はしっかり道路に激突してくれました。 舞台はアフリカからオランダに移り、木靴を使った格闘シーンが笑わせてくれます。そして最大の見せ場は、ビルの屋上での達人2人とのバトル。この映画、アフリカロケとかしてかなり金がかかっていそうですが、一番面白かったのが金のかかっていないカンフーシーンだとは。特に原住民のシーンは金かけただけでほとんど意味がなかったような。 ともかくこのラストバトルは手に汗握ります。特に2人目の、酔拳2ばりのすさまじい足技は見所です。難を言えば、二人とも顔とかガタイとかが、いまいちラスボスらしい風格に欠けています。プロジェクトAやスパルタンXのボスはいかにもって感じで良かったのに。 そして最後の見せ場は、ビルの斜面一気滑り降りなんですが・・・。これはいまいち。ワイヤーで吊って部分部分撮ったというのがもろバレ。プロジェクトAの時計塔からのダイブや、ポリスストーリーのポール滑り降りのような迫力はなかったです。 ヒロインは沢口靖子似の美人で、しかもミニスカートが超セクシー。沢口靖子似というか、最初見たとき沢口靖子かと思ってしまいましたよ。いやまじで。最後には華麗な回し蹴りも披露してくれます。ああ私も蹴って・・・。 日本人女優も出てくるけど、こちらはいまいち。プロジェクトイーグルの女優さんのほうが良かったです。あるいは後藤久美子とか(笑)。 全般的に、なかなか面白い部類ではなかったでしょうか。さすがジャッキー自身が監督をしているだけあって、アクションシーンの切れがすごいです。近年他の人が監督をしていたため、ジャッキーの良さの半分も出ていなかったような気がしていましたが、この作品で久しぶりに溜飲を下げました。前半のだらだらしたシーンがとても惜しいですね。ここにもうひとつでかいアクションを持って来れたら、きっと名作と言われていたでしょう。 あとストーリーが2回観たのによく分かりませんでした。結局ジャッキーは何者なの?CIAの特殊部隊?それともただの傭兵?科学者の拉致はCIAの指示だったのか?それともあの悪役の単独犯行だったのか?ラリーの終点は南アフリカだったの?画面は北アフリカっぽかったような気がしたけど。 ジャッキーはなんと今年で45歳!!いつまでもアクションやってると本当にいつか死んでしまいますよ。ファンとして、そろそろ引退して後進の指導をしてほしいと本気で思います。ああジャッキーよ永遠なれ!! |
シャンハイ・ヌーン |
原題:SHANGHAI NOON |
監督:トム・ダイ |
2000年 |
アメリカで撮ったジャッキー映画なんてどうせ面白くないだろうと思っていたのだが、これはやられた。いや〜楽しかった、その一言。確かに全盛期に比べるとアクションはそれほどでもないし、CGも使っている。ストーリーもイマイチな部分があったりする。それでもこの映画、ジャッキー映画の中でも面白いほう、ジャッキー監督以外では最高ランクの一本に推したい。 何よりもまず、きちんと西部劇していることが評価できる。片手間に作った西部劇もどきではなく、列車強盗、インディアンの襲撃、酒場での乱闘、縛り首、などなど、全編これ西部劇と言った感じ。私は西部劇にはあまり思い入れが無いほうだが、ここまできちんとやってくれると嬉しくなる。 それからこの映画を面白くしているのは、なんと言っても相棒役のオーウェン・ウィルソン。2枚目でチャラチャラしているが憎めないキャラクターで、ジャッキーとの掛け合いが非常に楽しい。列車強盗などもするが実はいいやつで、ガンマンのクセに射撃はめっぽう下手くそで、などのキャラクター作りが秀逸。敵役はハゲで締まった体をしていて強そうではあるが、ちょっと線が細いかな。あとプリンセス役がブスでどうにも。ジャッキーと関係をもつインディアン娘がなかなか美人(しかも大活躍)。どう見ても白人系の顔だが。 監督のトム・ダイ、聞いたことない人だが、これからどんどん伸びるのではないだろうか。非常に若く、しかもトム・クルーズのような甘いマスク。監督としての腕も確かだと思う。宣伝に使われている列車爆発のシーンなど、かなりの手間隙をかけて撮っているはずだが、不自然だということでばっさりカット。普通はなかなか出来ないことだろう。他にもDVDに収録されているカットシーンはいいものが多く、時間の都合で切らざるを得なかったのがもったいない。かといって本編が長く感じるということはなく、またサモハン映画にありがちな冗長なシーンがあるわけではない(風呂でのゲームのシーンは少し長かったかも)。軽い気持ちで見始めたのだが、思わず最後まで一気に見てしまった。 私はこの映画を高く評価するが、ネットで評判を見た限りではそれほど評判が高いと言うわけではなかった(むしろ評判が悪い)。残念。みんな理屈を言わずにジャッキー映画楽しもうよ。 バレになるが、ラストは私も不満。皇帝から遣わされた4人が4人とも本国に帰らず、姫様も帰らない。身代金は使い込む。これじゃあ中国から刺客が来るのはほぼ確実。せめて3人の使者は金持って本国に帰って欲しかった。酔拳2とかミラクルとか、一見ハッピーエンドのようだがよく考えると何の解決にもなってないという終わり方、ジャッキー映画に多いなあ。 |
ラッシュアワー2 |
原題:RUSH HOUR2 |
監督:ブレット・ラトナー |
2001年 |
ジャッキーとクリス・タッカーが組むシリーズ第2弾。 前作は「寡黙で真面目な香港刑事とやかましくて軽薄な黒人刑事が組む」というワンアイディアのみで組み立てられた映画で、正直アクション映画としては見るべきところが無かった。今作はジャッキーの立ち回りも増え、アクション映画としても楽しめるようになった。まあ往年のジャッキーに比べると全然技の切れが無いし、これと言って特筆すべきアクションがあるわけではないが、2作目だということで監督も慣れたのだろう。ジャッキーの持ち味を殺すことなく、ジャッキー映画のエンタテインメント性を上手くハリウッド映画に取り込んでいる。鉄格子の隙間をするっと抜けるシーン、ジャッキーらしいねえ。 しかしジャッキーも歳が顔に出るようになってきたなあ。今年(2004年)で50歳か・・・。若手カンフースターを育てて監督として活躍してほしいところだが、若手が育たないねえ。ジェット・リーVSジャッキーなんて面白そうだが・・・。歳と言えば悪役を演じるジョン・ローン。久しぶりに見た彼は相変わらず2枚目だったが、かなり歳を取った。印象の強かった「イヤーオブザドラゴン」から15年以上経ってるから仕方ないところか。もう一人印象的なのは、敵の殺し屋を演じるチャン・ツィイー。撮影時に21〜22ぐらいのはずだが、小柄で童顔のため子供みたいに見える。それでいて足技がカッコよく冷酷で、そして可愛いんだからまいってしまう。クリス・タッカーは、最初その甲高い声にギョッとした。慣れれば悪くないし、むしろ役にはまっていて上手いんだが、偽エディー・マーフィーといった感も無きにしもあらず。均整の取れた締まった肉体で殺陣も無難にこなすのだが、カンフーの真似事じゃなくてアメリカのポリスマンらしい技を見せてほしいところ。 ストーリーは、かなり適当気味。偽札刷ってばら撒いてどうしろと?脚本家何も考えてないだろ。 アクション自体が凄い面白い、という訳ではないが、さすがコメディの本場ハリウッド、きちんとツボは押さえている。ジャッキーファンにも初心者にも安心してみることが出来る1本に仕上がっていると言えるだろう。 |
シャンハイ・ナイト |
原題:SHANGHAI KNIGHTS |
監督:デヴィッド・ドブキン |
2003年 |
シャンハイヌーンの続編。今度の舞台はロンドン。 金もかかっているしそれなりに面白いのだが、正直ジャッキーの衰えは隠せない。どうにもアクションに往年のキレが無い。全般的にコメディーに振った作りで、アクションもコメディーチックなシーンが多い。ジャッキー自身の限界か、西洋のスタントマンと息が合わなかったのか、見ていてイライラするほどにアクションがトロ〜っとしている。ジャッキーというよりはサモハンの映画のようだ。ワイヤーワークも、今までのジャッキー映画ようにワイヤーを意識させない動きではなく、マトリックスのように人間がふわ〜っと浮くような不自然な動きになっている。ラストで、トゥモローネバーダイと全く同じ垂れ幕引き裂きシーンがある。トゥモローのレビューで「ジャッキーチェンだったら1カットで一気に見せてくれただろうか」と書いたが、何のことは無い、本作も特撮を使ったしょっぱいシーンになってしまっている。 主演は前作と同様われらがジャッキーと2枚目オーウェン・ウィルソン。ジャッキーもずいぶん歳が顔に出てきたなあ。まあそりゃ人間だから仕方ないか。ジャッキーとオーウェンのコンビだが、なんとなく前作ほど演技がかみ合っていないような気がする。ヒロインのファン・ウォンは決して美人ではないが、すばやい立ち回りと(本人がやってる?)ちょっとだけ見せてくれる谷間が素敵。初見では「う〜ん」と思っても、終盤ではすごく魅力的に見えてくるお得なキャラクターだ。ラスボスの1人にアクション俳優、ドニー・イェン。カンフーはジャッキーに勝るとも劣らぬキレだが、どうにもルックスが地味。ボスとしての貫禄が足りない。もう1人のイギリス貴族役がエイダン・ギレン。こいつもナヨナヨしていて貫禄不足か。ぴっちり7・3のドニーに対比するためか、始終髪の毛ボサボサ。しかし、ラストの二刀流はなかなかかっこいい。ジャッキーをここまで完膚なきまでに追い詰めたラスボスは珍しいのではないだろうか。 ストーリーは、ジャッキーの父親を殺して皇帝の玉璽(字幕では龍玉、原語ではSeal)を奪った悪党を追い、ジャッキーが西部からイギリスへ渡るというもの。まあストーリーはどうでもいいのだが、前述のようにコメディー色が強い。コナンドイル、チャップリン、切り裂きジャックが出てきたり、突然出てくる枕投げ(&謎のオヤジ)とか、傘を使ってミュージカルをパロってみたり。面白ければいいのだが、全体的にうす寒い雰囲気が漂っている。なんて言うか多分、監督がダメなんでしょ。ジャッキーとオーウェンの息が合わないのもおそらくそのせい。前作の監督は、若いのにかなりしっかりしたものを持っていたのだが、本作の監督は重みの無い雇われ監督といった感じ。もし続編を作るのなら、是非前作の監督にメガホンを取らせて欲しい。 ネットのレビューを読むと、意外と評判がいいのに驚いた。映画を観る側も世代交代しているということだろうか。本作でジャッキーが気に入った人は、是非プロジェクトAとかポリスストーリーを観て欲しい。面白すぎて腰を抜かすぞ。 |
メダリオン |
原題:飛龍再生 THE MEDALLION |
監督:ゴードン・チャン |
2003年 |
不思議なメダルでジャッキーが不死身の超人になるという、かなりどうでもいいストーリー。超人の戦いということで、トリック撮影を使いまくり。最後の戦いなんてそれ何のマトリックス?という感じ。ジャッキー映画に誰もそんなの求めて無いと思うが。 とにかく書かずにはおられないが、ジャッキーの相棒役が心底ウザい。あらゆるギャグがスベリまくっている。この監督はデッドヒートの人だが、もうコメディー調の映画は撮らない方がいい。ヒロインはまあまあ綺麗だけど、ジャッキーに合わせて歳食ってる。あと10歳ぐらい若かったら魅力的なんだろうけど。アクションもしっかりこなしている。ヒロインと鋭い足技の応酬を見せる敵の、中盤でのミニの看護婦さんスタイルがグッド(顔はイマイチ)。ところで日本中の看護士さんには悪いが、私は死ぬまで看護士さん(♀)のことを看護婦さんと言い続けるだろう。ローブを纏ったラスボスも悪くない。日本語吹き替えではやけにガラが悪いのが気になる。もっと貴族っぽい言葉使いの方が風格があっていいのでは。メダルを守る(守ってないけど)謎の少年がなかなか可愛い(ショタではないよ!)。 舞台は香港とアイルランド。アイルランドってあんまりよく知らない国だが、古城が似合いそうなイメージ。本作でもラスボスの居城は岸壁の上の古城で、雰囲気はバッチリ。 家族団欒でヌル〜く観る分には悪くないかもしれないが、プロジェクトAやポリスストーリーをリアルタイムで観た世代にはとても受け入れられないだろう。 |
香港国際警察 NEW POLICE STORY |
原題:新警察故事 NEW POLICE STORY |
監督:ベニー・チャン |
2004年 |
ジャッキーが久しぶりに本気で取り組んだ(と思われる)アクション大作。ストーリー的につながりはないが、ジャッキーの最高傑作「警察故事」が原題に入っているところからも、ジャッキーの本気が感じられる。配給側が勝手に邦題を付けた「新ポリスストーリー」とは訳が違う(あれも悪くはないが)。 カンフーの切れもピーク時の80%ぐらいの迫力があるし、ガチの2階建てバスのカーチェイス、バイオレンスたっぷりのガンアクション、CGの援用を受けた高所でのアクション、CGを利用した今風のカメラワークなど、かなり見ごたえのある作品になっている。ジャッキー自体はさすがに老けてきてしまっているが、相棒役のニコラス・ツェー、敵のボス役のダニエル・ウーなどの若手陣の好演が目立っている。ヒロインのチャーリー・ヤンも結構な美人。トン・ピョウやマギー・チャン、マーズなどのおなじみの顔は一人も無く、ジャッキー映画も世代交代を終えたなと感じさせる。 アクション映画としてはかなりいい線行きそうなのだが、残念ながら脚本がひどい。敵グループの行動も支離滅裂だし、対する警察の行動も滅茶苦茶。相棒のシウホンが偽警官だという設定も無理がありすぎだし、シウホンがいきなりヒロインの部屋にいてイチャついているのも訳分らん。敵の正体がいきなりバレているし、留置場にゾロゾロと面会に来るのもありえない。留置場からの脱走シーンは理解不可能だし、その後のジャッキーの行動も意味不明。ジャッキー映画に脚本の整合性を求めるのは無理ってものだが、それにしても今回はひど過ぎだ。脚本家首吊ってこい。昔のとにかくカンフーを見せるだけの映画ならともかく、ストーリーがシリアスなのに登場人物の行動が支離滅裂では、折角のアクションが活きてこない。この映画をたった一人で台無しにした脚本家には是非とも氏んでいただきたい。 脚本はひどいが、前半の屋内での犯人グループとの対決シーンは、いつになく血なまぐさく、ジャッキー映画らしくない迫力がある。特に味方が全員宙吊りにされたビジュアルは鮮烈に印象に残る。一人一人墜落死していくのも悪役の非道さを印象付けるいいシーンだと思う。家族連れで劇場に観に来た人は引いてしまうかもしれないが・・・。 キャストは、シウホン役のニコラス・ツェーがいい味を出している。2・5枚目風でカッコよさと親しみやすさを持っていて、アクションもそれなりにこなす。時々変な演技も見せるが(例えばハッピバースデーを歌うところ)、これから期待できそう。キャラクターの設定にかなり無理があるが、ラストシーンは結構グッと来た。このシーンを見せたいが為に、ああいった無理な設定にしたのだろう。敵ボスのダニエル・ウーも、2枚目で切れ者でいてキレてる若者を好演している。しかし高々5人で警察相手にドンパチやるのは幾らなんでも無茶かと。敵グループの京劇の仮面のようなものをつけたビジュアルは印象的。他の仲間も皆、能力は高いが使い道を誤ってるという感じが良く出せている。悪役の紅一点もなかなかの美人。ただ、ジャッキーとのカンフーシーンを一手に担っている敵役に今ひとつ貫禄が無い。動きは悪くないのだが、太ったフミヤじゃねえ。ベニー・ユキーデとかディック・ウェイとは格が違いすぎる。昔はこれぐらいの相手、3人まとめて相手してたよ・・・。 重要なシーンではないが、ジャッキーがフェンスから飛び降りるシーンで、着地点を車で隠していた。昔はどんな高さからでもマット無しで飛び降りたものだが、さすがにジャッキーももう無理がきかないという事か。 もはやこの映画以上のアクションはジャッキーには撮れないだろうと思うが、私や世界中のファンの心の中でジャッキーはいつまでもピーク時のままのヒーローとして生き続けるだろう。今でも高いところを見ると「ジャッキーならこの高さでも飛び降りるだろう」、斜面なら「ジャッキーならここを滑り降りるだろう」、「ここにぶら下がるだろう」、「ここから飛び移るだろう」などと思ってしまう。ジャッキーが飛び降りれる高さを「1ジャッキー」と定義したいぐらいだ。 後継者が育ってこないところを見ると、やはりジャッキーは歴史上に現れた特異的な傑物なのかもしれない。是非歴史教科書を考える会の皆さんにはジャッキーを教科書に載せることを検討していただきたい。 |