#3


砂漠のド真ん中、という立地条件のマズさも手伝ってか、ゴールドソーサーは不気味なほどガラガラだった。
ていうか、『誠に勝手ながら、10月30日をもちまして閉園させていただくことになりました』の張り紙が。

人波に紛れてスリしほうだい、と目論んでいたクラウド達はショックを隠せない。

「暗い顔してますな〜。ボクの占いでもどうですか〜」

そんな彼らに声をかけたのは、全身白タイツで頭の上にキティちゃんのぬいぐるみを縛り付けた、現実世界なら一発で職務質問されるような出で立ちの中年男性だった。

「・・・ナニやってんすか、リーブさん」
あっさり正体を見破る、元神羅社員のクラウド。

が、自称『魔法の占いマシーン・ケットシー』なる彼は、断固否認。
しかも、聞いてもいないのに勝手に占いはじめる強引さだ。

「じゃあ、そこのツンツン頭の彼の恋愛運を占いますわ」
「・・・ボクすか?」

恋愛運、と聞いて、ちょっと興味のでてきたクラウド。
余談だが、彼は床屋で「悟空みたいにして下さい」と言う。

「ほな、いくざんす」
「ナニ弁だよ、それ」
クラウドを無視して、ケットシーは魔法のステッキ(先端にハート型の飾り着き)を振りかざした。

「♪ドッキン・モエモエ・ピコリン・プー!」
と踊りながら呪文を唱える中年男はかなりバカだが、書いてる作者はもっとバカだ。

ぴろろろろ〜ん(効果音)

「むむ・・・ユーの運命の相手は」
「運命の相手は・・・?」

ティファなら御の字、エアリスでも範囲内、プリシアだったらイヤだなあ、バレットだったらブッコロス、ユフィはおっと未登場だったな、なんて思いを巡らすクラウド。

が。

「なんと、ミーざんす! なんや、照れるなあ」
「・・・」
「ああ、もう決めましたわ。どこまでも貴方に付いていくざんす!」

包丁で斬りかかるクラウドを、ひらりひらりと笑顔でかわしながら、ケットシーが新たな仲間に加わった。

だが、彼には秘密があった。

魔法の占いマシーン・ケットシー。
古代ムー大陸の失われた技術によって生み出された人造人間、と伝言ダイヤルでは自己紹介しているが、実は、ルーファウスの特命を受けた、(株)神羅のリーブ課長、その人なのである。

彼の任務は、クラウド達と仲良くなりたいと思っているブリーフ社長に、彼らの行き先を逐一報告することだ。

初対面のとき、話しかけようと思ったらぶん殴られちゃったので、今回は社内にプロジェクトチームをおこし、会議に会議をかさね、この作戦に至った。

彼らの行く先々で愉快なイベントを用意しておき、彼らの機嫌がいいときに、さりげなくルーファウスが登場して、何気なく仲間に入れて貰うという筋立てだ。

しかし、客どころか従業員もいないゴールドソーサーに、クラウド達はご立腹。
さっさと帰ってしまう。

***

特別書き下ろし小説
Half Moon Love 外伝
〜DAIN’S COUNTER ATTACK〜

ゴールドソーサーの真下にはコレルプリズンと呼ばれる牢獄があり、そこには北コレル出身のダインがいた。
バレットに復讐を誓う彼は、片腕を超合金Zのロケットパンチに改造していたが、重たくて一歩も動けず、結局バレットに会うことはできないまま、その生涯を終えた。

FIN.

***

ゴールドソーサーを発ったクラウド達。

彼らは、コスモキャニオンと呼ばれる、古代生活マニアが暮らす横穴式住居の集落の前を通ったが、どう考えても金目のモノがなさそうなので、素通り。

しようと思ったら、普段まるで存在感のないレッドが、この時ばかりは狂ったように吼える吼える。

「レッド・・・発情期なのか?」
「そうね。きっとものスゴイ放送禁止用語を犬語で叫んでるのよ。XXXさせろーとか」
「ええ? あたし聞いてみたい!」

ということで、ケットシーのムー大陸魔法でレッドに言葉を喋らせてみよう。
ファンタジー万歳。

「♪ドッキン・モエモエ・ピコピコ・キュー!」
ぴろろろろ〜ん。

前と呪文が違うじゃん、なんて事実は、これからレッドの口からでるであろうドキドキなセリフに気を取られて、だれも気付かない。

ゴクリと唾を飲み込む、一同。

「わおーん・・・ココはオイラのお家だがら、寄っていってよ! なんて犬語もわからねー低学歴軍団に言ってもムダだよな全く人間の相手するのも疲れるぜテメーらなんかオイラのケツ拭き係がちょうどいいやケケケケケケってオイラいつの間にか言葉しゃべってるしなんかピンチだよね〜、わん」

死なない程度にレッドを痛めつけたクラウド達は、体中にイヌの毛が付いてしまったので、コスモキャニオンでひとっ風呂あびることに決定。

のびてるレッドに水をぶっかけ、案内させる。

***

レッドの家に招待されたが、家と言っても犬小屋だったので、勝手に飼い主の竪穴式住居に上がり込む。

レッドを育てたのは、ブーゲンハーゲンという老人だった。
ついでにレッドの本当の名は、ポチだった。

「じっちゃん、オイラ帰ってきたよ、わん!」
「ホーホーホウ、ポチも大きくなったな」

犬が日本語を喋ることに、なんの疑問も持たないブーゲン爺。
お迎えも間近だ。

だが、なごやかな一時も、ブーゲンがレッドの父親の名を出すまでだった。

「ポチもセトに似てきたな、ホーホーホウ」
「ばう! チキンおやぢの名前はだすんじゃねー!」

レッドの父親セトは、クマを倒すために仲間を捜している犬の集団がコスモキャニオンにやって来たとき、臆病風に吹かれて、とっとと逃げ出してしまったという。

そのせいでイジメられたレッドは、この集落にいられなくなり、青春18切符で上京し、原宿でクレープ食べてるところをAVにスカウトされ、現在に至る。

というわけで、レッドはセトを憎んでいた。

「ホーホーホウ、ポチはナニも知らんのじゃの。付いてきなさい」

レッドの他、風呂上がりのフルーツ牛乳で機嫌の良くなったクラウド達もついていく。
老人は、どこかの屋根裏へと彼らを導いた。

「ばう! あれは・・・!」

そこには、石化したレッドの父、セトがいた。
そして、その側にある小さな穴からは、私立きらめき高校の女子更衣室が一望できた。

セトは逃げたのではない。

誰にも知られることなく、長年かけて秘密の覗き部屋を開通させていたのだ。
そして、胸の高鳴りを押さえながら覗いたセトの見たもの、それは、ちょうど講演に来ていた着替え中の野村サ●ヨだった。

セト、無念の石化。

「ばう、じゃあ今こうしてオイラ達がカラフルな髪の女の子の着替えを覗けるのは」
「ホーホーホウ、セトのおかげじゃ」
「オイラ間違ってたよ(あっさり)、わおーん」

オレがオレがと押し合いながら、必死の形相で覗き穴に殺到する、男性陣。

(こいつら・・・バカだわ)
エアリスも、さすがに呆れ顔だ。

(ビデオに撮っとけば、強請ったり売ったり、いろいろと活用できるのに! そのテープを秋葉原あたりで売ってごらんなさい、バカ売れよバカ売れ! あ、でもコナミはこっち系のチェックが厳しいんだったわね。気をつけなきゃ)

***

行く先々の人々との触れあいを描きながら、その街を紹介する旅番組の様相を呈してきた本作。
今週クラウド達が訪れたのは、ニブル山の北、ロケット村です。(ナレーション:久米明)

ロケット村といっても、ロケットがあるわけではない。
夢の島にだって、夢があるわけじゃないし、それと同じ理屈だ。

かわりにあるのは、1/1スケールのホワイトベース。
のハリボテ。

ガンダムファンだったルーファウスの命令で建造が開始されたが、途中で彼がエヴァに転んだため、大幅な予算カットを余儀なくされた結果だ。

「ガンタンクで宇宙戦はかわいそうよねえ」
「死ねって言ってるようなものよ」

ティファとエアリスが、そんなよくある会話をしていると。

「・・・あのー、もしかして、ホワイトベース購入希望の方でしょうか?」
恐る恐る尋ねてきたのは、村の女性シエラだった。

「いえ、興味ありません」
「はあ、そうですよね・・・あ、ちょうどシド艦長が。シド艦長、購入希望者です」
「はなし聞けよ!」

目を輝かせながら、ぴゅーと現れる、30代の無精ヒゲオヤジ。

彼の名は、シド。
この村に住む、ガンダムヲタクだ。
ヒゲを剃らないのは、「いつかは自分がターンエー」と思っているから。

「シエラ! 客にさっさと茶をださねーか!」
「ああ、ごめんなさい!」

ノー換気でガンプラ作って、有機溶剤吸い込みまくりのシドは、大変怒りっぽい。
しかも、シエラの持ってきたコーヒーがUCCエヴァ缶だったので、シドの怒りは大加速。

「ああ、ごめんなさい!」
バカ、ノロマ、エンピ、お前の母ちゃんでべそ、ぶったら豚によく似てる、そんなシドの不条理な怒声にも、シエラは文句も言わず、ただ謝る。

そんなうちに、「(株)神羅のヒトが来ましたよ」という村人の呼び声で、プンスカいってたシドが営業スマイル0円に切り替えて出ていってしまった。

「何よアイツ」
シドがいなくなってから文句を言い始める、小市民なティファ。
それでもシエラは、いいんです、私が悪いんです、と答えるだけだ。

「シエラさん、なんでそんなに・・・あ、もしかして、
 そうなんでしょ、きゃー!」
「(こ、このクソガキ)いいえ・・・私がドジだから、あの人の夢をつぶしてしまったから」

あれは何年前だろう。
シエラは、シドの宝物である初回放送時のガンダム録画ビデオに、白バイ野郎ジョン&パンチを重ね録りしてしまったのだ。
ツメを折ってなかったシドが悪いのだが、彼は自分で録画予約もできないヤツなので、しょうがない。
いまだにベータ使ってるし。

「・・・私は、あの人に償わなくてはなりません」
「ふーん。バカじゃねーの」

***

村にやって来た(株)神羅のヒトとは、相変わらずブリーフ一枚のルーファウスだった。

「これは若社長! 予算アップですか!?」
「じゃないよ」

若社長はケットシーのモールス信号を受けて、クラウド達に会いに来ただけ。
コスモキャニオンで夢のような出来事があったらしく、彼らの機嫌は最高潮らしい。

しかし、その姿が見当たらない。

(・・・民家で小粋なホームパーティでもやってるのかな? いや、もしかしたら、ボクの歓迎会の準備かも! で、ドア開けた瞬間、ようこそーパンパーンって! ああ、いま行くよ、みんな!!)

直後、ルーファウスは一番近い民家のドアを開けるのだが、そこは新婚ホヤホヤ夫婦が情事の真っ最中であり、通報で駆けつけた警官に「いや、小粋なホームパーティが」と言ってみるが、ブリーフ一枚の彼は問答無用で連行された。

時を同じくして、別の民家で空き巣を働いていたクラウドが、そそくさと登場。

いつかはセイラさんのコスプレに挑戦してみたい、と病的に熱く語るクラウドへ、シドは一言。
「気に入ったぜ!」

また素敵なメンバーをひとり加えるのだった。

来週は、北西の伝統ある街、ウータイを紹介します。

***

ロケット村で一泊したクラウド達。

翌朝、気持ちよく目覚めたクラウドだが、アレアレなんだかおかしいぞ。
よく調べてみたら、荷物が微妙に減っている。
(・・・ああ! さっそく昨夜から作り始めたセイラさんの衣装一式が無い!!)

泣きながら探し回るが、見つからず。
だが、荷物が無くなっているのは、クラウドだけではなかった。

シドの怒鳴り声が響く。
「シィィーット! オレ様の1/3スケールフィギュア『エマ中尉(ティターンズ版)』もなくなってるぜ! ところで『星命の樹』を大好評連載中のえま先生は、すぐ下にこんな電波小説を連載されて、いい迷惑だろうなあ!」

他にも、エアリスの特攻服、ティファのブルーワーカー、レッドのサイエンス・ダイエット、ケットシーのセイカノートのぬり絵とパズル、バレットのゴキジェットスプレーが無くなっていた。

「まあ、状況からして、ユフィが犯人ね」
エアリスの推理に、頷くティファ達。
が、クラウドだけは、ひとり不思議顔だ。

「・・・ねえ、ユフィって、誰?」

一瞬の間。

「おいおい、頼むぜクラウド。ユフィはユフィだろ」
「わん。仲間の名前も忘れちゃったのかい、クラウド?」
「クラウド、ひどーい」
「ボクだったら、ショックですわ〜」
「あたしだったら、コンクリ詰めで東京湾に沈めるわね」

一同の怪訝な表情に、慌てるクラウド。

「ちょっと待てよ、いつ仲間になったんだ? ジェシーやマリンと一緒で、作者が出し忘れてたんじゃないのか?」

ボケやド忘れとは思えないクラウドの言動に、ティファの表情が曇る。
「・・・どうしたのクラウド? ユフィならゴールドソーサーからずっといたじゃない」

「いねーよ! みんなでオレをからかってるんだろ、チクショー!」

「・・・ねえ、本当におぼえてないの? より具体的に言えば、第2話の最終行で仲間になったじゃない」

「う、うそだ!(※)」
※ 作者注:ホントです。

「クラウド・・・お前、本物だろうな?」
「え?」

バレットの言葉と共に、疑惑の視線を一斉に浴びるクラウド。
そしてティファは、胸の奥に隠してきた言葉を語りはじめた。

「・・・前から、変だな、って思ってたの。知ってるはずのことを知らなかったり、知らないはずのことを知ってたり。7年ぶりに会ったのに、5年ぶりとか言ったり。ラムちゃんになったり綾波になったり。あたしみたいなキュートでラヴリーで爆裂バディーな女の子が近くにいるのに、なかなか手を出してこなかったり・・・クラウド、本当にクラウドだよね?」

「や、やだなあ、ティファ、本物だよ本物。コスプレは趣味だよ! 手だって、そのうち出すつもりだったんだ!」

「セフィロスコピー・ナンバー無し、とかいうオチじゃねーのか?」
「オイラ、ナンバー13だけど、オイラもおかしくなっちゃうのかな? わおーん」

「ち、違うよ! そんな設定、この小説には無いはずだし!」

「・・・クラウド、きっとそのうち精神崩壊して、あたしが健気に世話しなきゃいけなくなるのね・・・ああ面倒くさい」
「ボクの尊い犠牲で手に入れた黒マテリアを、セフィロスに渡しちゃったりするんですか?」
「でもって、ホーリーを呼ぶために祈ってるあたしを殺そうとするんだわ。なんかすげームカツク。その前に殺しちゃおうかしら。あ、それがいいわね。メテオもこないし」

この後、クラウドは紅天女候補級の鬼気迫る演技で「あー思い出したよ、ユフィだろ?」と繰り返し、絶体絶命のピンチをなんとか切り抜けた。

そして、ユフィの故郷、ウータイへと向かう。

***

一方、そのウータイ。

そこでは、ケットシーから伝書鳩で連絡を受けたタークスの指示のもと、イベントの準備が着々と進められていた。

この街は、もともと日光江戸村だったので、それなりに忍者ショーなどもある。
だが、クラウド達の趣向から、それだけでは押しに欠けるとして、ブリーフ社長がタークスの派遣を決定したのだ。

そして、ムショ帰りのルーファウスも、ユフィの父親であるゴドーから譲り受けた衣装に身をつつみ、クラウド達の到着を待ちわびていた。
今度こそ友達になれるといいね。

***

「こ、これは・・・!」

ウータイにやって来たクラウド達は、はやくもユフィを発見する。
縄で縛られ吊された、セーラー服姿の彼女を。

タークスの企画は『女子高生緊縛調教ショー』だった。

クラウド鼻血ぶー。
そのまま卒倒。

(む! いかん!)
猛烈な勢いで鼻血を出し続けるクラウドの姿に、ニャンまげに扮して見守っていたルーファウスは、死んだら友達になれないじゃん、とショーを即刻中止。

(ここでクラウドくんを介抱すれば、仲良くなれるかも!)

だが、エアリスやティファ、バレットまでニャンまげに飛びついてきたので、全く身動きとれず。
ニャンまげ人気を侮っていた、ルーファウスのミスだ。
飛びつき&記念撮影の嵐。

そんなこんなのうちに日が暮れてしまい、「夕飯までには帰ってきなさい」と言われているルーファウスは、泣く泣く帰宅。

ショーの様子をばっちりビデオ撮影していたエアリスは、テープと引き替えにユフィから盗難品を取り返した。

「ごめんよー許してーシュシュシュ」
反省したユフィは、再びクラウド達に仲間として迎え入れられ、大円満。

で済むわけもなく。

密かにテープをダビングしていたエアリスは、『エアリス企画』の名で全国のポストにチラシをばらまき、ユフィの宅配ビデオでボロ儲けしたとさ。

クラウドも購入したとさ。


続きを  1)読んでやる。  2)作者ブッコロス