風の歌、雲の躍り



 ――やれやれ。やっかいなヤツが仲間になったよな……
 ガウに会ったとき、マッシュは正直そう思ってため息をついた。カイエンが言うように、確かにウマがあいそうだと思いはしたが。
 それが、ガウは意外にもおとなしく、他の仲間たちと違ってトラブルらしいトラブルも起こさずに旅を続けてきた。世界が崩壊し、かつての仲間達が再びそろいだしたあのときまでは――


「3時には帰ってこいよ。鐘がカン、カン、カンって鳴ったらだ。いいな」
「がう」
「遊ぼうって言われても、おやつ食ってけって言われても、全部断るんだぞ」
「うう……」
「わかったか?」
「……がうー」
「遅れたらおいていくからな。もうここには戻らないから、獣ヶ原にも戻れなくなるぞ」
「ガウ、わかってる」
「よし、じゃあ行ってこい」
 そういってマッシュはようやくガウを解放し、景気づけに背中をたたいて送りだした。ガウが飛空挺からのびる縄梯子を瞬く間に伝い下り、世話になった街に向かって駆けていくさまを見送っていると、背後から誰かが近づいてくる気配がした。
「あんなに言わなくても、ガウならわかっているだろうに」
「でも、あれくらい言っておかないとあいつすぐ羽目をはずすからさ」
 マッシュは振り返りざま答え、兄の微笑を見てから視線をもとに戻した。
「きっと、街に着く頃には俺がいったこと全部忘れているぜ」
「子供の面倒見はいいだろうと思っていたが、お前がそんなに過保護だとはね」
 エドガーも、強風に乱れる前髪を押さえながら、もうだいぶ小さくなったガウの後姿を見送った。
「過保護? 俺が?」
 心底驚いたように言う上背の弟を見、やはり自覚していないなと思う。エドガー自身、だいぶ前にロックから自分のことを指摘されるまで気づかなかったことだ。
「世話を焼くっていうのは、なんだかんだと手間がかかるもんだなーとは思ったけれど、アニキが俺にしてくれることをしているだけだぜ」
「ぅ……」
 とっさにやぶへびになると思ったエドガーは、さりげなく話題をかえることにした。
「過保護度ではカイエンも負けていないか」
 言いながら視線を搭乗口に向ける。と、ばたんと派手な音を立てて重い扉が開き、カイエンが飛びだしてきた。
「残念だったが、ガウはもう行ったあとだったよ」
「――そうでござるか」
 エドガーの言葉にカイエンが肩を落としたとたん、目覚まし時計がけたたましく鳴り響いた。
「おっとと。な、なんだってもう鳴るでござる?」
 カイエンがあわてて止めたが、死人も飛び起きそうな音量だった。
「なんで目覚ましなんだ?」
 兄弟でカイエンに近づきながら、マッシュが不思議そうに訊く。
「いや、鐘の音が聞こえないと困ると思い、3時にセットした目覚ましを持たせようとしたのでござるよ」
「………」
 そこまでは思いつかなかった。もっとも、思いついたとしても実行に移しはしなかったろうが。街中であんなけたたましい音をだされたら、顰蹙をかうのは目に見えている。
 エドガーの素早いウィンクに、マッシュは苦笑を返した。
 ガウを止めにきたエドガーは、充分間にあっていたのを見逃してくれたのだ。
「まあ、心配することはないだろう。それよりも、うまくリルムを見つけられれば、その足でストラゴスの目を覚まさせることもできるから、一石二鳥だな」
 エドガーの言葉に二人とも軽くうなずいた。
 絵画好きの金持ちに、天才画家として少女が召し抱えられたという噂を聞いたのは、つい先日のことである。十中八九、リルムだろう。
 彼女でなければ、あろうことかケフカに祈りを捧げているストラゴスを正気に返すことはできない。
「しかし、正式に召し抱えられているとしたら、無下に連れだすわけにもいかぬのではござらぬか」
 こういうことに関しては杓子定規のカイエンが、呟くように言った。
「なに、あのおてんばのことだ、『ちょっとジジイに喝いれて、ついでにウヒョヒョ野郎をとっちめてくるから』って自分からおん出てくるさ」
「そうだな」
 エドガーがくすりと笑いながら弟に相槌を打つ。あのリルムが金持ちだろうと雇い主だろうと構うはずはない。
「あと2時間でこの束の間の平和ともおさらばか」
 マッシュの言葉に2人とも残念そうな笑みを浮かべた。
 八龍の一である飛龍との戦闘で、予想以上に傷ついたファルコン号の修理と物資の補給という名目で、とある街の近くに飛行艇を停めてすでに半月ほど経っている。
 その間セッツァーはファルコン号の整備に余念なく、他のメンバーはセッツァーに言われるままに資材集めに奔走しつつ、久しぶりにゆったりとした時間を過ごしていた。
 この間に、街の人たちと最も打ち解けたのがガウである。
 街は女と小さな子供がとても多く、アクロバティックなガウはすぐに子供たちの人気者になり、彼の物怖じしない性格に女たちも喜んで彼を受け入れた。むろん他のメンバーも同じように受け入れられたが、エドガーなどは女たちのほとんどが既婚者ということで実に残念そうな顔をしていた。
 用意が整い次第すぐに出発するはずだったが、それを聞いたガウが、突然みんなにお別れを言いたいと言いだしたのだ。出発が3時を過ぎたら、どうしても目的地に着くのは日が暮れたあとになってしまう。ただでさえ不穏な世情なのだ、なるべく不審がられる行動は避けたい。それで、制限時間を設けてガウを一人行かせたのである。
「それじゃあ、ガウが戻るまでの貴重な平和を満喫するとするか」
 マッシュはそう言って甲板にごろりと横になり、エドガーは機関室に、カイエンは自室にと引き揚げていった。


 だが――。2時間経ってもガウは帰ってこなかった。
「何かあったのかしら」
「おかしいな」
 カジノ場に全員がそろっていた。心配しているのはセリスとエドガーだけで、あとの面々はしょうがないなと言いたげだったり、とりあえず待つか、といった顔をしている。
 誰もが思い思いにソファに腰掛けたりルーレット台によりかかったりしているのに対し、マッシュだけは熊のように辺りを行ったり来たりしていた。
 今までもこういうことは何度かあった。たいていガウの常識と一般常識との差異による騒動が原因だ。セリスとエドガーも、ガウを心配するというより街の人たちのほうを心配していたりする。
 たとえば、遊びであれ叱られてであれ追いかけられるような羽目に陥ると、ガウは地面ではなく家の上を逃げまわって、天井でくつろいでいた鼠を驚かせて台所に落としたり、煙突の中を通って煤を撒き散らしながら居間を横切ったり、家と家の間にまたがる洗濯ロープを伝って2階や3階の窓に平気で貼りついたりする。
 子供たちからすればその様を見物するのは痛快なことこのうえないが、巻き込まれた大人たちにすればたまったものではない。
 それでもガウの人気が衰えないのは、ガウの言動から彼が普通の生い立ちではないことを察したからと、エドガーやセリスによるアフターフォローが行き届いていたおかげである。
 約束の時間からさらに30分経ったとき、
「拙者が迎えに行ってくるでござるよ」
 そう言って搭乗口に向かおうとしたカイエンを引き止めたのは、ようやく熊の歩みをやめたマッシュだった。
「いや、俺が行く。みんなは先に出発していてくれ」
「いいのか?」
 ソファーにふんぞり返っていたセッツァーが、ちろりと巨漢を見上げる。
「約束を破ったほうが悪い。もしこれが決戦のときだったりしてみろ、一人が来なかったせいで全員が危険な目にあうかもしれないんだぜ」
「あいつはあれで結構義理堅いぜ? お前がさんざん念を押したんだろう、それなのに遅れてるっていうことは何か理由があると思うがな」
 全員がはっとしたように顔を見あわせた。確かにガウがあまりにも遅くなったときは、急に熱をだした赤ん坊のために薬草探しに奔走していたり、手負いのモンスターが街に出没したりしていた。
 それに気づいていたのなら3時になった段階で言えばいいものを、ガウと特に親しかった者が行動を起こそうというときに口を開くのが、セッツァーのセッツァーたる由縁である。
「そうね、きっと何か理由があるんだわ。怒らないでまず理由を聞いてね、マッシュ」
 セリスに念を押され、マッシュは急いで街に向かった。


 街の目抜き通りにはガウはいなかった。いつもは露店にはりついていたり、店を手伝う子供たちと騒いでいたりするのだが、そういえばよく遊んでいた子供たちも見当たらない。
 さては、その子供たちと別のところで遊んでいるなと推測したマッシュは、今度はそこからさほど離れていない空き地に行ってみた。が、野良猫がのんびりと寝そべっているだけで人っ子一人いない。
 そこで次に小さな公園に行ってみる。しかし、そこも赤ん坊を連れた何人かの母親がお喋りしているだけで、腕白どもは影も形も見えなかった。念のためガウのことを訊くと、挨拶に来たことだけは確かだということがわかった。
 最後に、半ば祈るように街はずれの川原を覗いたが、河川敷にさわさわと風に揺れるススキがあるだけだった。
 こうなると、セッツァーの言葉がますます信憑性を帯びてくる。ふと陽がだいぶ傾いていることに気づき、その翳りがマッシュの不安をさらに煽った。
 あと、考えられるところはただひとつ。ここからいくらか行ったところにある、世界崩壊の煽りで半壊した、さる富豪が別荘にしていた巨大な屋敷だ。
 だが、ガウはあまりそこに興味を示さなかったし、危険なので大人たちが子供たちに近づくことを禁止している場所でもある。すでに完全な廃墟になっていたが、下手に取り壊すのも危険なのでそのままになっているのだ。
 しばらく前、あの屋敷にはお金がぎっしり詰まった宝箱がどこかにあると、まことしやかな噂が流れていたらしい。
 この街は世界崩壊とその後の混乱で男たちの半分が死に、さらに生活費を稼ぐために働ける男たち全員が出稼ぎに出ている。何人かがその苦境を打開するために不確かな噂を頼りにその廃墟に潜入したが、何ひとつ得るものがなかったどころか、建物が崩れて危うく命を落としそうになっている。
 調べられるところはあらかた調べてしまったこともあり、もう誰も近づかない。
 けれども、あと探すところといえばそこしかない。
 最後だからと腕白たちと探険して、家具が倒れたり壁が崩れ、その下敷きになっているのかもしれない。床の裂け目から落ちて閉じこめられているのかもしれない。
 マッシュはふくれあがる不安と戦いながら廃墟に急いだ。
 道すがら、不安をさらに煽るように、公園で話した母親たちの言葉がよみがえってくる。
『あの子、おもしろいわねぇ』
 ガウのことを訊いたせいで何かを思いだしたらしく、一人が言うと、他の母親たちもくすくすと笑いだした。
 またガウが頓狂なことをやらかしたのだろう。そういう話は耳にタコができるほど聞いているし、今はそれどころではない。マッシュはすぐに離れようとしたが、あとに続いた言葉に思わず足をとめた。
『赤ん坊を見たことがないみたいで、この子を見て、ニンゲンみたいだ、なんて言うのよ』
 そう言って、乳母車で眠る丸々とした赤ん坊を目で示した。
 赤ん坊……。
『人は、みんな、うちのお兄ちゃんくらいの歳で産まれてくると思っていたみたい』
 そう付け足した母親の長男は、確か4歳だ。
『獣はみんな産まれてすぐに歩けるから、ニンゲンもそうだと思ったって。獣と一緒にされてもねえ。それで、人間の赤ちゃんは、こうやってお母さんが大事に大事に世話をしてあげないとだめなのよって』
 さらに捕捉した母親は、にこにこと笑いながら腕の中の赤ん坊を揺すった。
『まあね、こんな世の中になっちゃって両親がいない子供もいるから、本当のお母さんやお父さんがいなくても、他の誰かが世話をしたからガウくんも大きくなれたのよって。あの子、その、両親がいるようにはちょっと見えなかったから』
 最初の母親が、顔色を変えたマッシュを見てあわてたように言った。
 ――そのとき、ガウはどんな顔をしていただろう。
 マッシュはいつしか肩を怒らせながら歩いていた。
 親代わりどころか、ガウのまわりには人間すらいなかった。それを当たり前だと思っていた。
 まだ無力な赤ん坊だった自分が、あの獣ヶ原でニンゲンの手を借りずに生き抜いてきたことを知り、どう感じただろう。
 ガウはすごいと、有頂天になったか。いや、あのガウのことだ。そんなふうには思わない。きっと――
 そのとき、子供たちの盛大な歓声が聞こえた。
 もう廃墟の前まで来ていた。あわてて崩れた壁を通り、敷地内に入る。
 はしゃぎまわる6人の子供たちに肩をたたかれたり抱きつかれたり、もみくしゃになっているガウがいた。他の子供たちも相当だったが、せっかくセリスがきれいにしてくれた洋服がわりのストールがすっかり汚れてくしゃくしゃになり、ガウが一番埃まみれだった。
 それはないと思っていたが……ガウは、本当に最後に子供たちと宝探しをしていたのだ。
「ガウ!」
 マッシュは自分でも驚くほどの怒鳴り声をあげて、ちいさな集団に近づいて行った。心配が大きかった分、怒りもまた深い。
 口々に何か叫んでいた子供たちがびくりとしたように動きを止めて、振り返る。
 ガウがうれしそうな顔をあげる。
「マッシュ! ガウやったぞ!」
 ガウがまるで悪びれずに子供たちから離れてこちらに駆けてくる。
 それがマッシュの怒りに油を注ぐ。
 マッシュは、ガウの頬を思いきりたたいた。
 とても平手打ちとは思えない激しい音とともにガウは後に殴り飛ばされ、そのまま何回か転がって呆然とした顔を向けた。
「今まで何をやっていたんだ! 何があっても3時には帰ってこいって言ったろうが! みんなはもう行っちまったんだぞ、心配してきてみればなんだ、宝探しか!!」
 一瞬、しんと静まり返った。と、ガウが突然マッシュに跳びかかり、肩に思いきり噛みついてきた。
「って、この!」
 振りほどこうとしたときにはもう着地しており、返す勢いでマッシュの向こう脛を力任せに蹴りあげる。
 並の男ならそれだけでひっくり返っていたろうが、相手がマッシュではそうもいかない。即座に反撃しようとしたが、マッシュはぎょっとしてその手を止めた。
 炎のような凝視を向けるガウの眼に、大粒の涙があった。
「ばかマッシュ!!」
 その一言を残して、ガウは脱兎のごとく廃墟から姿を消した。
 マッシュは呆然としてそれを見送った。
 あんなふうに泣くガウを見たのは初めてだった。
 あの奇妙な男に父子の名乗りをあげ、それが失敗したときでさえ、ガウは決して泣かなかった。
「あ、あの……違うんだ、マッシュ」
 後で息を殺していた子供たちがおそるおそる声をかける。
 マッシュはこのときになってようやくセリスの忠告を思い出した。


 一月ほど前の裁きの光によって、父親を失った子供たちの母親までもが出稼ぎに行かなければならなくなり、6人の子供たちはそれを阻止するために、よりによって今日、廃墟に潜入した。
 ガウはそれをとめようとしたのだ。
 子供たちがそれを聞き入れたのはもちろん上辺だけで、とりあえず素直に外に出てから事情を説明し、ガウを仲間に引き入れるつもりだったという。
 なんといっても彼が入れば百人力だ。子供しか入れないような――大人の調査が及んでいない個所の探索もできるし、何かハプニングがあったとしてもきっとうまく切り抜けてくれる。
 そんな下心を抱いていた子供たちは、廃墟の玄関口まで戻ったところで、ガウがなんのために自分たちを探していたのか知った。
 もうここを離れる。戻って来ない。
 誰もが驚き、絶句した。
 いつかそうなることはわかっていたが、こんなに突然だとは思わなかった。
「なんで、そんな、急に……前もって教えてくれるって言ったじゃないか!」
「きょう決まった。カネが3回なったら、ガウ、いく」
「そんな、ひどいよ!」
 ガウを崇拝さえしていた一番小さな子が、泣きながらガウをたたく。
「ごめん。ほんとうは、もうすこしいるはずだった。でも、さがしてる仲間のいる場所がわかった。だからいくことになった」
 崩れた壁の隙間から、奇妙な模様を描いて入りこむ光のなかで、子供たちは沈痛な面持ちでじっとガウを見つめていた。
「そうだ。ひとつ、訊いていいか?」
 重苦しい沈黙に耐えかね、ガウは全く違うことを話題にしようとした。
「……なんだよ」
 子供たちの中で最年長――ガウと同い歳の子供が仏頂面で口を開く。
「さっき、公園でいわれて、思った。ニンゲンの赤ん坊は、自分ではなにもできない。だから、おふくろが面倒をみる。おやじはなにをする?」
「……え?」
 意味がわからず、全員がいっせいに目を見あわせた。
「獣のおやじは、狩りをする。家族を守る。でも、ニンゲン、狩りの必要ない。ガウの仲間にも、子供をなくしたおやじがいる。そいつ、カイエン、息子に何もしてやれなかったっていった。この街にもおやじいない。ニンゲンには、おやじいらないのか?」
 ガウがそう言ったとたん、最年長の子がガウを突き飛ばした。彼の父親は出稼ぎ先で裁きの光を受け、死んだのだ。
「なにするんだ!」
 ガウが驚いて目を丸くする。自分が今どんなに残酷なことを言ったのか、まるでわかっていない。
 それがまた子供たちを苛立たせる。あまりに当たり前すぎることを――知らなければ許されないようなことを平然と「何故?」という彼に、その彼が突然いなくなるという事実に、気持ちがひどく動転していた。
「なにするじゃねえ! このっ」
 最年長の子がガウにつかみかかると、全員がそれにならった。
 ガウの無知に対する怒りと、ガウを失う悲しみと、一家の支えを亡くしながら何もできない自分に対する悔しさと――このとき、子供たちの誰もがそんな思いを抱いていた。
 この荒れた世界ではそんな思いを発散させるのは暴力しかない。ガウが即座にそのターゲットになってしまった。
 ガウは困惑し、逃げた。外に出ればよかったのだが、子供たちはそちらから襲ってくる。奥に行くしかなかった。
 もちろん反撃することもできた。だが、誰もが悲しそうな顔をしていた。きっと自分が悪い、それだけはわかったので殴り返すなどできなかった。
 ガウは大人たちが見つけた隠し金庫に隠れた。豪華な居間の煉瓦の柱にその金庫はあり、ちょうどガウがもぐりこめる大きさだった。子供たちが諦めて帰るまでそこにいるつもりだったが、そのうちの一人が居間から立ち去るとき、悔しまぎれに蹴り飛ばした柱がちょうどその金庫だった。
 とたんにがくんと底が抜け、ガウは真っ逆さまに落ちていった――金貨が詰まった宝箱の上に。

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