アナログ信号をデジタル信号に変換する方法を説明します。
サンプリング(標本化)
下図のように、連続したアナログ信号を、一定の周期で細かく切り、その時々の大きさの値が標本となります。この一定の周期をサンプリング周波数といい、信号の最大周波数の2倍以上の周波数でサンプリングすると、元の信号に復元することが可能です。(標本化定理)
電話の場合、音声帯域0.3〜3.4KHzなのでサンプリング周波数は8KHzが使用されます。音楽CDは、20Hz〜20KHzの音楽帯域なので44.1KHzが使用されています。
量子化
サンプリングされた値は、色々な値の大きさに成りますが、出来るだけ元の信号に近づけようとすると、沢山の値が必要となります。そこで電話の場合は、8ビットのデジタル信号で表しています。8ビットは2の8乗=256個の大きさを表すことが出来ます。CDは16ビットです。
デジタルでは0、1、2、4、8、16、32、64、128の組合せで0〜255まで表されます。アナログ信号には22.5など小数点が付きますが、デジタルでは表現できません。そこで、デジタルで取り得る一番近い値を量子化値とします。(22.5の場合22または23)この「0.5」の差が雑音となり、量子化雑音といいます。
符号化(PCM)
サンプリングし量子化された値はサンプリング時間ごとに8ビットの信号で表現されます。サンプリング周波数8KHz×量子化値8ビット=64Kbpsのデジタル信号と成ります。
復元は今までの方法を逆に行い、標本化された信号の頭を結び、アナログ信号に戻します。サンプリングの周波数は高いほど、量子化のビットは多いほど、元の信号により近く成ります。CDの方がサンプリンも高くビットも多いのはその理由です。
音声チャンネルはどうして64kbpsなの?
人間の声を伝送するのに、周波数で0.3〜3.4KHz、レベルで−40〜+10dBmあれば、90%認識できることから、アナログの時代にこう決めました。
まず、サンプリングは、最高使用周波数の2倍あれば復元することができるので、音声帯域を約4KHzとし、4KHz×2=8K/s必要です。
つぎにレベルですが、ダイナミックレンジは+10−(−40)=50dB必要で、50(dB)=20log(2n/20) n=ビット数 (最大値と最小値の比)
50/20=nlog2 となり、log2≒0.3ですから n≒8
−40〜+10dBmを表わすのに8ビット必要なことが判ります。
必要レートは 8K/s×8bit=64Kbps となります。
ベースバンド信号と伝送方式
通信方式には単方向通信、半二重通信、全二重通信とがあります。単方向通信は一方向のみの通信で送り側から受け側への通信です。半二重通信と全二重通信は双方向の通信ですが、送受信の仕方が異なります。半二重通信は、送受信を交互に行います。全二重通信は送受信を同時に行います。
伝送方式はビット列を1ビットづつ順次直列的に伝送する、直列伝送方式(シリアル)と、ビット列を横一列に同時に伝送する、並列伝送方式(パラレル)とがあります。
通信速度
データの信号速度は、一変調で表されるビット数×ボーレートとなります。すなわち1200ボーの4PSKならば 1200×2=2400bpsが信号速度となります。
伝送路符号形式
デジタル信号の0と1のパルス波形をベースバンドといいます。その符号形式にも種類があります。単流方式は±片方向の電圧のみ使用し、複流方式は±両方向の電圧を使用します。また、パルス波形がビットスロット内で0に戻る方式をRZ方式、戻らない方式をNRZ方式といいます。単流方式の信号パルスを交互に変化させ、複流方式にしたのをバイポーラ方式、ビットスロット内で0の時は極性を変化させ、1の時は極性を変化させない方式をCMI符号といいます。バイポーラ信号方式で、0が連続したとき反対極性のビット(誤り)をわざと挿入し同期ずれを低滅するB8ZS方式もあります。
誤り制御
データ伝送の途中でノイズなどの影響により発生した誤りを検出したり、訂正することを誤り制御といいます。よくパリティチェックと言う言葉を耳にしますが送信側でビットの数が偶数(又は奇数)になるように余分なビットを付加し、受信側で奇数(又は偶数)のビットを受信したとき、誤りを検出することができます。
キャラクタチェック
- 垂直パリティチェック
- 定マーク符号チェック
- ハミング符号チェック
ブロックチェック
- 水平垂直パリティチェック
- 郡計数チェック
- CRC(サイクリック符号方式)
同期方式
送信側と受信側でビットのタイミングを同じにする事を同期といいます。送受信がそれぞれ勝手なタイミングで走っていたらビットの数が合わなくなりエラーとなります。
1ビットごとに同期をとる方式をビット同期、ある長さ(ブロック)毎に同期をとるブロック同期があります。ブロック同期の場合、先頭位置を検出する方式として、調歩同期、キャラクタ同期、フラグ同期があります。同期化
データ交換網では、それぞれの装置からデジタル信号が発生するため、速度やタイミングを合わせる必要があります。網全体を同一のクロックで同期をとる網同期と余分なビットを挿入してクロックを合わせるスタッフ同期があります。
網同期には、独立同期、従属同期、相互同期の3つがあります。
OSI参照モデル
OSI参照モデルは下記7つの層に分類してプロトコルを規定し、それぞれの層にプログラム等の変更があっても層毎の変更だけで済むようにしてあります。
- 物理層(フィジカル層)
コネクタの形状、電気的特性、信号の種類等- データリンク層
ノード間の伝送制御手順- ネットワーク層
呼制御手順、ルーチング機能- トランスポート層
送達確認、順序制御、フロー制御等- セッション層
会話の開始、区切り、終了等- プレゼンテーション層
符号形式、データ構造、情報表現方式などの管理- アプリケーション層
通信サービスの機能
HDLC
HDLCはデータをフレーム形式にして伝送する方式です。フレーム番号管理による連続転送が可能で転送効率が高く、厳密な誤り制御を行っている為、信頼性が高い。
伝送単位のフレームは次の3つに分かれます。
- Iフレーム:情報を転送するフレーム
- Sフレーム:データリンクの監視制御を行うフレーム
- Uフレーム:データリンクのモード設定要求または応答などの制御を行うフレーム
(F)
フラグ
シーケンス
(A)
アドレス
フィールド
(C)
制御
フィールド
(I)
情報
フィールド
(FCS)
フレーム
チェック
シーケンス(F)
フラグ
シーケンス
01111110 8ビット 8ビット 任意 18ビット 01111110
HDLCのフレーム構成
動作モード
動作モードには
正規応答モード…………不平衡型手順クラス(NRM)
非同期応答モード………不平衡型手順クラス(ARM)
非同期平衡モード………平衡型手順クラス(ABM)
が有り、回線の監視制御の責任を持つ1次局とこれに従う2次局から構成され、2次局は全て1次局からのコマンドで制御されます。平衡型手順クラスは両方の局が1・2次局の機能を持つ複合局となります。
NRM
1次局 送信許可 → 2次局 ────────── ←レスポンス ARM
1次局 2次局 ────────── ←レスポンス ABM
複合局 コマンド、レスポンス→ 複合局 ────────── ←コマンド、レスポンス コマンド・レスポンス
コマンド レスポンス 機 能 I
フ
レ
│
ムI
I
順序番号を付加し情報を転送 S
フ
レ
│
ムRR RR Iフレームの受信可能 RNR RNR Iフレームの受信不可 REJ REJ Iフレームの再送要求 U
フ
レ
│
ムSNRM 正規応答モードに設定 SARM 非同期応答モードに設定 SABM 非同期平衡モードに設定 DISC 切断モードに移行させ動作モードを終結 UA コマンドの受入可能を通知 DM 切断モードであることを通知
モード設定コマンドの送信要求RD 切断モードへの移行を要求 UI UI 順序番号に関係なく発呼要求などの
呼制御情報を転送
アマチュア無線をやられている方はパケット通信をモニタすると上記の表のフレームの中身を見ることができます。
データ伝送制御手順と無手順
基本型データ伝送制御手順
ベーシック手順とも呼ばれデータ転送、誤り制御などは伝送制御キャラクタを用いて行う方式です。
この手順によって制御局と従属局、主局と従局が定義されます。制御局はデータリンク確立の責任を持つ局で、従属局はその指示に従います。主局はデータリンクが確立した後の権利を持つ局で従局はそれに従う局です。データリンクの確立
ポーリング/セレクティング方式は、制御局と従属局を決めておき、制御局が順番に従属局にポーリングを行い、送信要求がある局を主局と指定します。制御局−従属局だけで通信できるのをセントライズド制御方式、従属局同士でもできるのをノンセントライズド制御方式といいます。
コンテンション方式は送信要求を先に行った局が主局になりデータリンクを確立する方式です。無手順
端末装置を操作するオペレータが伝送制御を行う方式です。伝送制御などが不要なため簡易性、低コストなので広く利用されています。パソコン通信はこの方式ですね、
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