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| MLB EXPRESS REVIEW |
| ★2001.10.27〜11.5★ | [MLB EXPRESS REVIEW] |
| ■2001.11.5(現地11.4) | ||||||||||||||||||||||||||
| ●ダイヤモンドバックス、創立4年目での世界一!リベラ神話を砕いた! ▼World Series GAME.7
9回裏、ルイス・ゴンザレスの放った打球が前進守備のヤンキース守備陣の頭を越え、センター前に転がったとき、ダイヤモンドバックスの創立4年目にしての世界一が決まった。ここ数年、揺るぎのなかったヤンキース帝国から世界一の座を奪ったことになる。マウンドには8回からあがっているマリアーノ・リベラがいた。そのリベラから9回裏の先頭打者マーク・グレースがセンター前ヒットで出塁。続くダミアン・ミラーの送りバントをリベラが2塁へ悪送球。ノーアウト1塁2塁としてしまう。ここで代打のジェイ・ベルがさらにバントするが、これはリベラの前に転がり3塁でフォースアウト。1アウト1塁2塁とアウトカウントが増えた形で打席に迎えるのが、1番のトニー・ウォーマック。この前の打席でヒットを打っているウォーマックは、見事にライト線へ運びタイムリー2塁打とした。ダイヤモンドバックスは土壇場で同点に追いついた。 続く打者はポストシーズンでラッキーボーイ的な活躍を見せているクレイグ・カウンセル。カウンセルは死球を受けて、1アウト満塁とチャンスを広げる。ここで迎えたゴンザレスがサヨナラヒットを放った。打たれたリベラは1997年から続いていた、ポストシーズン23回連続セーブという大記録がついに途絶えたことになる。こうしてヤンキースは4年連続世界一を逃した。 ダイヤモンドバックスは第1戦、第4戦に続き、このシリーズ3度目の先発となるカート・シリング。ワールドシリーズで1人の投手が3度先発するのは1991年のジャック・モリス(当時ツインズ)以来である。シリングは初回、デレク・ジーターを見逃しの三振に斬って取る快調のスタート。しかし、続くポール・オニールに左中間を破られてしまう。3塁を欲張ったオニールは、ダイヤモンドバックス守備陣の機敏さにより3塁でタッチアウトとなった。シリングが6回までで許したヒットは、オニールの初回の当たりだけで、毎回の6奪三振を記録していた。対するヤンキース先発はロジャー・クレメンス。クレメンスは序盤から毎回、ランナーを背負う苦しいピッチングが続いた。6回裏に先頭のスティーブ・フィンリーにヒットを打たれた後、続くダニー・ボーティスタに左中間を深々と破られる2塁打を打たれてしまう。1塁からフィンリーにホームインされ、先制点を奪われる(しかし、打ったボーティスタは3塁を欲張り、タッチアウト)。結局、クレメンスは7回裏にウォーマックにヒットを打たれたところで降板。6回1/3を投げ、7安打1失点の10奪三振を奪うという内容で、マウンドを降りる形となった。 一方のシリングは待望の1点をもらった後の7回表のピッチング。ジーター、オニールに連続ヒットを打たれノーアウト1塁2塁とピンチを迎える。バーニー・ウイリアムスは内野ゴロに抑えるが、続くティノ・マルチネスにライト前に運ばれ、1対1と同点に追いつかれる。しかし、この回はその後のピンチを切り抜けた。さらに8回表、先頭のアルフォンゾ・ソリアーノに低めのボール球をすくい上げられて、そのままレフトスタンドまで運ばれてしまう。これでシリングは勝ち越しの1点を奪われてしまった。1アウトを取った後、代打のデビッド・ジャスティスにセンター前へ運ばれ、降板。シリングは7回1/3を投げ6安打2失点の9奪三振という内容だった。 このシリングを引き継いだのが、第5戦先発のミゲル・バティースタ。バティースタはジーターを内野ゴロに抑えた後、昨日先発のランディ・ジョンソンと交代。アリゾナのバンクワンボールパークは大歓声でジョンソンを迎えた。ジョンソンはその歓声に応え、残りの1回1/3を完全に抑え、9回裏の味方の攻撃につないだ。そして最終回にリベラを打ち砕いて世界一に輝いたダイヤモンドバックス。ワールドシリーズのMVPには、シリーズ3先発のシリング、シリーズ3勝のジョンソンの2人が選ばれた。複数の選手がMVPに輝くというのは、1981年のワールドシリーズ(ドジャース対ヤンキース)で、ペドロ・ゲレーロ、ロン・セイ、スティーブ・イェーガーの3人がMVP受賞を受けて以来である。なお、忘れてはいけないのが、この試合の先制タイムリーを放ったボーティスタである。シリーズ通算では9打数6安打の6打点と大当たりした。 創立4年目の若いチームではあるが、ベテラン選手が多いダイヤモンドバックス。ジョンソン、シリング、ゴンザレス、グレース、マット・ウイリアムス、マイク・モーガンといったベテラン選手は初めて世界一の栄誉を手にしたことになる。また、ダイヤモンドバックス監督のボブ・ブレンリーは、1961年のラルフ・ホーク(ヤンキース)以来の監督就任1年目での世界一となった。 ワールドシリーズ全7試合のスコアを合わせると、37対14とダイヤモンドバックスが圧倒しているが、ヤンキースの土壇場での勝負強さが目立ったシリーズだった。両チームとも本拠地のみの勝利である。これは1987年(ツインズ対カージナルス)、1991年(ツインズ対ブレーブス)以来となる。こうして2001年のメジャーリーグは全日程を終えた。 |
| ■2001.11.4(現地11.3) | ||||||||||||||||||||||||||
| ●先発全員安打&打点でダイヤモンドバックスが大勝!明日が全て! ▼World Series GAME.6
第4戦、第5戦と勝ちゲームを最終回2アウトから同点にされ、延長戦で逆転負けしたダイヤモンドバックスだったが、本拠地アリゾナに戻っての第6戦は打線が爆発し、記録的な大勝を収めた。この試合、先発全員安打となる22安打を記録したダイヤモンドバックスは、ニューヨーク・ジャイアンツ(1921年)、カージナルス(1946安打)の持つ1試合21安打という記録を更新したことになる。ダイヤモンドバックス先発は、第2戦で3安打完封を演じたランディ・ジョンソン。ジョンソンは立ち上がりから快調に飛ばした。3回表にヒットと2つの四球で2アウト満塁のピンチを迎えるが、ホルヘ・ポサダを三振に斬って取った。5回まで散発2安打の無失点に抑えていたが、味方に大量点をもらって迎えた6回表に、4連打を浴びて2失点を記録する。結局、7回を投げ6安打2失点の7奪三振という内容でマウンドを降りた。103球を投げたジョンソンは、明日も投げる準備があると言っている。なお、初回にデレク・ジーターから奪った三振は公式戦から数えて、今季412個の奪三振である。これは1965年のサンディー・コーファックスが記録した年間411個という記録を塗り替えた。その後は8回がボビー・ウィット、9回がトロイ・ブローハウンとそれぞれ投げ、締めくくった。なお、キム・ビョンヒョンの登板はなかった。 対するヤンキースの先発はアンディ・ペティット。ペティットは初回、先頭のトニー・ウォーマックにいきなりエンタイトル2塁打を打たれた後、左投手対策でスティーブ・フィンリーに代わりセンターに入ったダニー・ボーティスタにセンター前へ運ばれるタイムリーヒットを打たれ、先制される。続く2回裏も2本のヒットと敬遠の四球などで、満塁のピンチを迎えてしまったペティットは、再びウォーマック、ボーティスタに連打され、この回一挙3点を奪われる。 ペティットは3回裏、マーク・グレースに代わりファーストに入ったグレッグ・コルブランに四球を与えた後、マット・ウイリアムスに2塁打を打たれたところでノックアウト。わずか、2回を投げ7安打6失点という散々な内容に終わった。ポストシーズン通算で24試合目の先発にして、最短の降板劇となってしまった。しかし、2番手として登板したジェイ・ウィタシックはこのダイヤモンドバックス打線の勢いを止めることは出来なかった。投手のジョンソンにまでタイムリーヒットが飛び出す猛打でこの回に8点奪い、試合を決めた。また、マット・ウイリアムスはこの回、ワールドシリーズ史上初となる1イニングで2本の2塁打を記録した。4回までで15点を奪ったダイヤモンドバックスは、投手のジョンソンを含め、先発全員安打に先発全員打点を記録した。今季打率が.087のジョンソンは4打数1打点2得点を記録。1試合2得点はキャリア初のことであり、ワールドシリーズでは1968年のボブ・ギブソン以来である。 両チーム3勝3敗で迎える最終戦となる第7戦、ダイヤモンドバックスの先発はカート・シリング、ヤンキースの先発はロジャー・クレメンスである。今から10年前、シリングは力任せのピッチングに頼り、自らの才能を生かすことができずにいた。その姿を歯がゆく思っていたクレメンスは、オフシーズンにアストロドームのウェイトルームで会ったシリングに説教したことがある。その後もクレメンスはピッチングとは何かをその背中で教えた。その後のシリングはそれまでとは違う投手となり、大投手への階段を登り始めた。シリングにとって、クレメンスは師匠ともいえる人物であり、明日の対決は師弟対決とも言われている。 まさにキャリアナンバー1の成績を残しているシリングは、ポストシーズンに入っても5試合に先発し、4勝0敗の防御率0.88という数字を残している。ワールドシリーズでは第1戦と第4戦に先発しており、2回続けての中3日の登板となる。前回の第4戦、チームは敗れたものの7回まで投げ、マウンドを降りた時点では3対1とリードしていた。一方のクレメンスは公式戦では20勝1敗というメジャー最高勝率を一時的に記録したが(最終的には20勝3敗)、ポストシーズンではハムストリングの痛みもあり、最初は思うようなピッチングが出来ていなかった。しかし、ワールドシリーズ第3戦に先発し、7回まで1失点に抑えるという好投を見せており、上昇カーブを描いている。 明日勝ったチームが2001年のワールドチャンピオンチームである。 |
| ■2001.11.3(現地11.2) |
●サイヤング賞を2度受賞しているセイバーヘイゲン、引退か!?![]() レッドソックスはブレント・セイバーヘイゲンと来季の契約を結ばないことを発表した。セイバーヘイゲンはかつて2度のサイヤング賞を受賞した投手である。1985年にはロイヤルズのエースとして、チームの世界一に貢献。自らもワールドシリーズMVPに輝いている。通算で399試合に登板し、167勝116敗の防御率3.34という成績を残している。1999年に痛めた肩が完治しなかったのが原因である。すでに37歳という年齢を考えても、このまま引退というのが大方の味方である。さらにレッドソックスはセイバーヘイゲンの他にトロイ・オリアリー、ジョン・バレンティンとの契約解除も発表した。 |
| ■2001.11.2(現地11.1) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
| ●ヤンキース、連夜の9回2死からの同点弾!延長制し、4連覇へ王手! ▼World Series GAME.5
0対2とリードされていたヤンキースは、9回裏に入りようやく反撃を開始する。ダイヤモンドバックスは2点のリードを守ろうとクローザーのキム・ビョンヒョンをマウンドに送った。昨日の第4戦でキムは9回2アウトからティノ・マルチネスに2ランホームランを打たれて同点とされ、延長10回裏にはデレク・ジーターにサヨナラホームランを打たれるという最悪の結果に終わった。昨日の悪夢を振り払おうとこの日のマウンドに上がったキムは、結果としてヤンキースに返り討ちにあう結果となった。先頭のホルヘ・ポサダにレフト線に落ちる2塁打を打たれる。その後はサードゴロと三振に抑えて2アウトとするが、ここで迎えたスコット・ブローシャスにレフトスタンドへ飛び込む2ランホームランを打たれ、同点とされてしまった。キムにとっては連夜の最終回2アウトからの同点弾である。この2試合でチームの勝利を左右する3本のホームランを打たれ、キムはノックアウトされた。ヤンキースタジアムに集まった56,018人は、ブローシャスの1発に大いに沸いた。 土壇場で延長に持ち込んだヤンキースは迎えた延長12回裏、先頭のチャック・ノブロックがこのシリーズでの初ヒットを放って出塁。マウンドにはこの回から登板したアルビー・ロペスがいた。ここで同点ホームランを放ったブローシャスがバントで送り、ノブロックを2塁に進める。ランナーをスコアリングポジションにおいて、アルフォンゾ・ソリアーノがライト前に運ぶ。ライトのレジー・サンダースがボールをつかんでホームへ送球するが、わずかに逸れ、捕手のロッド・バラーハスがつかむことが出来ず、ノブロックがサヨナラのホームランを踏んだ。ヤンキースは連夜の逆転劇で、3勝2敗とし、4年連続世界一に王手をかけた。しかも、ヤンキースはワールドシリーズではホーム10連勝である。 ヤンキースの先発はマイク・ムシーナ。第1戦は不本意なピッチングでノックアウトされたが、この日はそれを感じさせない立ち上がりを見せた。5回表に、スティーブ・フィンリー、バラーハスにそれぞれソロホームランを浴び2点を先制されるが、それを除けば充分に合格点の内容。結局、8回まで投げ5安打2失点の10奪三振と好投し、マウンドを降りた。9回裏にブローシャスの同点ホームランで追いついたヤンキースは、10回表からクローザーのマリアーノ・リベラが登板。10回表は三者凡退に抑えたが、11回表にノーアウトから2本のヒットを打たれ、続くマット・ウイリアムスに犠牲バントを決められ(ウイリアムスにとっては1990年以来の送りバント)、1アウト2塁3塁とピンチを迎える。ここでリベラは満塁策を取った後、2者を凡退に打ち取り、ピンチを脱出した。対するダイヤモンドバックス先発はミゲル・バティースタ。すでに30歳のバティースタは数多くのチームを渡り歩いたジャーニーマンであるがワールドシリーズでの登板は初めてである。とかくダイヤモンドバックスはカート・シリングとランディ・ジョンソンの2人のチームというイメージが強いが、この日のバティースタは、7回までヤンキース打線を無失点に抑える好投を見せた。8回表のマウンドにも立ったが、2アウト後に四球とヒットでランナーを貯めてしまったところで降板した。このピンチは2番手のグレッグ・スウェンデルが抑えた。 この日のマスクを被ったのはバラーハス。正捕手のダミアン・ミラーが腹部を痛め、バラーハスに巡ってきたチャンスだが、初打席でヒットを放ち、5回表にもバラーハスがホームランを放ち、守備でも盗塁を刺すなど、大活躍を見せた。ポストシーズンでラッキーボーイ的な活躍を見せていたクレイグ・カウンセルは、第1戦の初回にヒットを打って以降、19打数ノーヒットに抑えられている。ダイヤモンドバックスの逆転優勝にはカウンセルの復活なしにはあり得ないだろう。 1日おいてアリゾナへ舞台を戻して行われる第6戦は、ダイヤモンドバックス先発がジョンソン、ヤンキース先発がアンディ・ペティットという第2戦と同じ組み合わせ。この時はジョンソンが11奪三振の3安打完封で勝利している。ジョンソンは今季のポストシーズンでは、4試合に先発し3勝1敗の防御率1.36という数字を残しており、対するペティットも4試合に先発し、2勝2敗の防御率2.89という数字を残している。 ●38歳オニール、今季限りの引退を発表!最後のヤンキースタジアム! ![]() ヤンキースのライトを守るポール・オニールは、ついに今季限りの引退を正式に発表した。すでに38歳となるオニールは、この日は3打数無安打の2四球を記録するに終わった。ヤンキースタジアムでは最後の試合になるため、この日の観客は大いに沸いた。熱烈なファンにオニールはヘルメットを振って歓声に応え、そのキャリアの最後を世界一で飾ろうとしている。 |
| ■2001.11.1(現地10.31) | ||||||||||||||||||||||||||||
| ●ジーター、初代「Mr.November」襲名へ!延長10回に劇的サヨナラ弾! ▼World Series GAME.4
これまでのメジャーリーグではポストシーズンに活躍する選手を「ミスターオクトーバー」と名付け、その名誉を讃えるということがある。というのもポストシーズンというのは10月に行われるからだ。しかし、今年は忌まわしい事件のため、日程が1週間遅れることとなった。この日のワールドシリーズ第4戦は両チームの激しい攻防により延長戦に突入し、時計の針は夜の12時をまわった。日付は11月1日となり、メジャーリーグ史上初、ワールドシリーズが11月にもつれ込んだ瞬間、新しいヒーロー「ミスターノベンバー」が誕生した。3対3のまま迎えた延長10回裏、マウンドには8回から登板していて、早くも3イニング目となるキム・ビョンヒョンがいた。キムは小気味のいいピッチングで2つのアウトを取る。ここで迎えたのは、このワールドシリーズで15打数1安打と不振に苦しんでいたデレク・ジーターである。ジーターは粘りに粘ってカウントはフルカウント。ここで9球目をライト方向へ低い弾道で飛ばし、そのまま打球はライトスタンドへ吸い込まれた。これによりヤンキースタジアムに集まった55,863人の観客は総立ちとなったが、この中には「ミスターオクトーバー」の代名詞とも言えるレジー・ジャクソンの姿もあり、新しいヒーローである「ミスターノベンバー」の誕生を見守った。このジーターのサヨナラホームランでヤンキースはついに2勝2敗のタイとした。 ヤンキース先発はオルランド・ヘルナンデス。ヘルナンデスは初回にいきなりヒットと死球と四球で1アウト満塁のピンチをいきなり迎えてしまうが、三振とサードフライに抑え、なんとかこのピンチを脱出した。味方が1点を取ってくれた後すぐの4回表、マーク・グレースに同点となるソロホームランを打たれてしまった。さらに5回表には先頭のトニー・ウォーマックに2塁打を打たれた後、1アウト3塁のピンチでルイス・ゴンザレスにレフトフライを打たれた。あわや犠牲フライとなるところが、レフトのシェーン・スペンサーの好返球でホームタッチアウトとした。ヘルナンデスは、7回表に四球と死球で1アウト1塁2塁となったところで降板。2番手としてマウンドに上がったマイク・スタントンがこの回のピンチを脱出したものの、次の回に捕まってしまい、エルビエル・デュラーソのタイムリー2塁打などで2点を奪われてしまった。 一方のダイヤモンドバックス先発は第1戦に続き、中3日での登板となったカート・シリング。シリングは初回から快調に飛ばしていくが、3回裏にスペンサーにソロホームランを打たれ、先制点を奪われる。6回裏と7回裏で2イニング連続ノーアウトでランナーを背負ってしまうが、無失点に抑えこんだ。結局、シリングは7回まで投げ3安打1失点の9奪三振を記録した。8回表に味方が2点を奪ってくれたため、マウンドをクローザーのキムに譲った。キムにとってはワールドシリーズ初登板であったが、8回裏を3者連続三振に抑えきる快投を見せた。9回裏のマウンドもポール・オニールにヒットを打たれるが、2アウトを取り、チームの勝利まであと一人と迫った。ここで打席に迎えたのはティノ・マルチネス。マルチネスの捕らえた打球は、キムの熱投もむなしく右中間スタンドに飛び込み、土壇場での同点2ランホームランとなってしまった。この後、四球とヒットで一打サヨナラのピンチを迎えるが、キムが踏ん張り、延長に突入した。 ついに同点としたヤンキースは、延長10回表に満を持してマリアーノ・リベラをマウンドに送る。ここでリベラはバットをへし折る快投で3者凡退に抑え、その裏のジーターの劇的なサヨナラホームランを呼び込むことになった。 地元アリゾナで2連勝し、いい流れでニューヨークに乗り込んできたダイヤモンドバックスは最悪の形で2連敗となった。明日の第4戦先発はミゲル・バティースタを送り、悪い流れを断ち切りたいところだ。バティースタはポストシーズンで3試合に登板し、1勝1敗の防御率4.15という成績だ。対するヤンキース先発は、第1戦で不本意な形でノックアウトされたマイク・ムシーナである。明日勝ったチームが2001年の世界一に最初に王手をかけることになる。 ●マグリフ、来季もカブスでプレー!ソーサの四球防止に一役! ![]() 今季途中に紆余曲折を経て、デビルレイズからカブス入りしたフレッド・マグリフが来季もカブスの一員としてプレーすることを決めた。マグリフの通算448本というホームランは現役選手の中では歴代6番目の大記録であり、通算1400打点も現役選手の中では7番目に位置する。さらに14年連続80打点以上という記録は、ハンク・アーロンの17年連続に継ぐ偉大な記録である。今季も、デビルレイズとカブスの2チームで残した成績を合わせれば、打率.306、31ホームラン、102打点とすでに38歳である年齢を感じさせない。 ●メッツ、FAのアルー獲得に名乗り!3年契約を提示する予定! ![]() ナショナルリーグ第3位となる打率.331を記録したアストロズのモイゼス・アルーはワールドシリーズ終了後にFAとなる。このアルーに対し、メッツがいち早く動くであろうと報じられた。今季は外野手の貧打に苦しんだメッツは、このアルーに対し、3年契約を提示すると見られている。すでに年齢は35歳であるアルーだが、オリオールズも獲得に興味を持っている。 |
| ■2001.10.31(現地10.30) | ||||||||||||||||||||||||||
| ●クレメンスからリベラの黄金リレー!ブローシャスが決勝タイムリー! ▼World Series GAME.3
第3戦の始球式は野球界とも深い関係を持つジョージ・ブッシュ大統領がつとめた。投球は見事なストライクで、この日のヤンキースタジアムに集まった55,820人の観客を大いに沸かせた。2連敗でもう負けられないヤンキースは1対1で迎えた6回裏、ヒットと四球で1アウト1塁2塁のチャンスを作る。ここでデビッド・ジャスティスが代打で登場するが、代わったばかりのマイク・モーガンの前に三振に斬って取られる。しかし、次打者のスコット・ブローシャスが初球をレフト前に運び、勝ち越し点を奪った。この1点が決勝点となり、ヤンキースはこのシリーズ待望の初勝利を手にした。ブローシャスは1998年のワールドシリーズでMVPを獲得するなど、大試合に強い選手である。 ヤンキース打線は第1戦の初回に1点を奪って以来、第2戦が終わるまで得点をすることが出来てなかった。というのもヤンキース打線は第1戦、第2戦とカート・シリング、ランディ・ジョンソンの前にチーム打率.102に抑え込まれていたからだ。この不名誉な記録をストップさせたのは2回裏に飛び出したホルヘ・ポサダの1発であった。これにより連続イニング無失点記録を18回で止めた。この記録は、ワールドシリーズにおいて1988年にアスレティックスがドジャース投手陣に18回連続無失点に抑えられて以来のものである。 ヤンキースの先発はポストシーズンに入ってからは、思うような活躍の出来ていなかったロジャー・クレメンス。女房役のポサダの1発で1点をもらうものの、4回表に2つの四球とヒットで1アウト満塁のピンチを迎え、ここで第2戦で貴重なホームランを打っているマット・ウイリアムスに大きな犠牲フライを打たれ、同点とされてしまう。さらに6回表には2アウトから死球とヒットで1塁3塁となり、打席にはM・ウイリアムスという絶体絶命のピンチを迎える。しかし、ここでレフトのショーン・スペンサーのダイビングキャッチが飛び出し、得点を許さなかった(これまでレフトを守っていたチャック・ノブロックはDHでスタメン)。この裏、ヤンキースが決勝点を入れることになる。クレメンスは結局、7回まで投げ3安打1失点の9奪三振を記録する内容でマウンドを降りた。8回からはヤンキースの頼れるクローザー、マリアーノ・リベラが登板し、対戦した6人の打者から4つの三振を奪うという快投を見せた。長いメジャーリーグの歴史でもポストシーズンの7回戦ゲームで0勝3敗から勝ち抜いたチームはないだけに、この日の勝利は非常に大きい。ヤンキースは1996年のブレーブスとのワールドシリーズにおいて0勝2敗から4連勝でひっくり返したことがあるが、その再来はなるだろうか。 一方のダイヤモンドバックス先発は、このポストシーズンで初先発となるブライアン・アンダーソンである。アンダーソンは毎回のようにランナーを出しながらもなんとか抑えた。結局、5回1/3を5安打3四球の2失点という内容でマウンドを降りた。シーズンで防御率5.20だったアンダーソンにとっては、まさに賞賛に値するピッチングであっただろう。また、リーグナンバー1の守備率を誇っていたダイヤモンドバックスも、この試合だけでエラーを3つも重ねたというのは、明日以降の大きな課題となるかもしれない。 明日の第4戦はダイヤモンドバックスは第1戦先発のシリングが中3日で登板する。対するヤンキース先発はオルランド・ヘルナンデスである。シリングは今季のポストシーズンにおいて、4試合に先発し4勝無敗の防御率0.79という素晴らしい成績を残している。かつてはポストシーズンで無類の強さを発揮したヘルナンデスが、シリングに対抗してどれだけのピッチングを披露できるかが鍵になりそうだ。明日のハロウィンの夜に何が起こるか。 |
| ■2001.10.30(現地10.29) |
●選手会が選ぶMVPはシーズン73HRのボンズに決定!![]() 選手会が選ぶMVPにバリー・ボンズが選ばれた。今季のボンズはメジャー記録となるシーズン73ホームランに、177四球の長打率.863と輝かしい記録に囲まれている。打率.328の137打点、129得点とどの数字をとっても素晴らしいボンズが、このMVPを獲得するのは1992年、93年に続き3回目である。 ナショナルリーグの最優秀打者がボンズなら、アメリカンリーグの最優秀打者はショートストップとして新記録となる52ホームランを放ち、初のホームランキングに輝いたアレックス・ロドリゲスが選ばれた。さらに133得点というのもリーグトップの記録である。 さらに最優秀投手としては、ナはカート・シリング、アはロジャー・クレメンスがそれぞれ選ばれている。最優秀新人としてはナはアルバート・プホルツ、アはイチローがそれぞれ受賞している。またカムバック賞としては、ナはマット・モリス、アはルーベン・シエラが選出されている。 高い成績を残し、地域社会にも大きく貢献した選手を表彰するというマービン・ミラー賞にはジム・トーミが選ばれた。トーミ以外の候補としてはルイス・ゴンザレスやジョン・フランコが挙げられていた。なお、このセレモニーは今季限りで引退するカル・リプケン、トニー・グウィン、エリック・デービスがホスト役を務め、式は進行された。 |
| ■2001.10.29(現地10.28) | ||||||||||||||||||||||||||
| ●ジョンソン、3安打完封!M・ウイリアムスの3ランHRで地元2連勝! ▼World Series GAME.2
ダイヤモンドバックスが初戦を取って迎えた第2戦は、試合前にレイ・チャールズが歌い、さらに今季、四球と得点で歴代メジャー記録を樹立したリッキー・ヘンダーソンが始球式をつとめ、このメジャーリーグ最大のイベントであるワールドシリーズを盛り上げた。初戦に勝って勢いに乗りたいダイヤモンドバックスの先発はランディ・ジョンソン。ヤンキースはこのジョンソン対策のため、投手のアンディ・ペティットを除く8人の野手を全て右打者で並べ(バーニー・ウイリアムスとホルヘ・ポサダはスイッチヒッター)、試合に臨んだ。しかし、ジョンソンはそのヤンキース打線を相手に、3回まで7つの三振を奪う好投を見せた。5回表にポサダにライト前ヒットで初安打を許すが、得点は許さず7回まで2塁すら踏ませない凄まじい内容。 8回表にショーン・スペンサー、アルフォンゾ・ソリアーノに連続ヒットを打たれたが、ピンチらしいピンチはこの時だけ。結局、代打のルイス・ソーホーをダブルプレーに斬って取り、ピンチ脱出。この日はアンパイアがインコースのジャッジに非常に厳しく、これがジョンソンには幸いした。ジョンソンは110球を投げ、3安打1四球の11三振を奪っての完封勝利で、ダイヤモンドバックスに2勝目をもたらした。この日がジョンソンにとってはワールドシリーズ初登板だが、見事なワールドシリーズデビューを果たしたことになる。 一方のヤンキース先発はリーグチャンピオンシップシリーズで2勝をマークし、MVPに輝いたペティット。ペティットもジョンソンに負けじと初回に2つの三振を奪う最高のスタート。しかし2回裏、レジー・サンダースにヒットで出塁を許した後、この日スティーブ・フィンリーに代わりスタメン起用されていたダニー・ボーティスタに右中間を破る3塁打を放たれ、先制点を奪われた。立ち直ったペティットは7回裏、先頭のルイス・ゴンザレスに死球を当ててしまう。ここで先制打を放ったボーティスタに投手強襲のヒットを打たれ、ピンチを広げた。打球を足に受けたペティットは続投したが、ここで打席に迎えたマット・ウイリアムスに3ランホームランを打たれてしまい、この回限りで降板した。ホームランを打ったウイリアムスは、ジャイアンツ時代(1989年)、インディアンズ時代(1997年)にワールドシリーズを経験しており、それぞれでホームランを記録している。この日のホームランでウイリアムスはワールドシリーズで3つの違うチームのユニフォームを着て、それぞれのシリーズでホームランを記録した史上初の選手となった。 1日おいての第3戦は舞台をヤンキースタジアムに移す。2連勝というこの上ない形でスタートを切ったダイヤモンドバックスは、このポストシーズン初先発となるブライアン・アンダーソン、対するヤンキース先発は公式戦で20勝3敗の成績を残しているロジャー・クレメンスの2人が予定されている。アンダーソンはインディアンズに在籍していた1997年のワールドシリーズで登板を経験しているが、先発は初めてである。クレメンスはハムストリングを痛め、ポストシーズンでは思うようなピッチングを見せていない。ダイヤモンドバックスは第4戦に中3日でカート・シリングを持って来るという話もあり、4連覇を目指すヤンキースにとって、第3戦は負けられない。 |
| ■2001.10.28(現地10.27) | ||||||||||||||||||||||||||
| ●ダイヤモンドバックス、9点奪って大勝!シリング、7回3安打1失点! ▼World Series GAME.1
2001年のワールドシリーズはアリゾナのバンクワンボールパークで幕が切って落とされた。始球式をつとめたのはシーズン73ホームランというメジャー記録をうち立てたばかりのバリー・ボンズがつとめた。創立4年目にして初めてのワールドシリーズ進出を果たしたダイヤモンドバックスの先発はカート・シリング。シリングにとってはフィリーズ時代の1993年以来のワールドシリーズのマウンドとなる。初回にデレク・ジーターに死球で出塁を許した後、バーニー・ウイリアムスにレフト線ギリギリに入る2塁打を打たれ、先制点を許してしまう。しかし、その後は要所要所を締めた。結局7回までで102球を投げ、3安打1失点の8奪三振という好投を見せた。味方の大量点にも守られ、チームのワールドシリーズ初勝利に貢献。これでシリングは今季のポストシーズンで4勝目をマーク。これは1998年のデビッド・ウェルズ(当時ヤンキース)以来である。 シリングを継いで8回表のマウンドに立ったのは、42歳のマイク・モーガン。今季で24年目のシーズンを迎えたモーガンだが、ワールドシリーズでの登板はこの日が初めてだった。いわゆるジャーニーマンとして数々の球団を渡り歩いてきたモーガンにとって、このダイヤモンドバックスが12番目のメジャー球団である。この記念すべきマウンドを3者凡退で抑えた。最終回はグレッグ・スウェンデルが締めた。 対するヤンキースの先発はマイク・ムシーナ。ずっとオリオールズ一筋だったムシーナは今季からヤンキースのピンストライブに袖を通した。ワールドシリーズのマウンドに立つのはこの日が初めてである。相手のシリングとはかつてオリオールズ傘下の3Aでチームメイトとして投げていたこともある。そのムシーナは1回表に1点の援護をもらった後、1回裏のマウンドに立ったが、このポストシーズンのラッキーボーイ的な存在となっているクレイグ・カウンセルにソロホームランを打たれ、同点とされてしまった。さらに3回裏には先頭のトニー・ウォーマックに死球で出塁を許した後、ルイス・ゴンザレスに勝ち越しとなる2ランホームランを打たれてしまう。さらにレジー・サンダース、スティーブ・フィンリーに連続ヒットを打たれた後、さらにマット・ウイリアムスの犠牲フライ、ダミアン・ミラーのタイムリー2塁打でこの回一挙4点を奪われる。結局、ムシーナは今回で降板。初めてのワールドシリーズは3回6安打5失点とほろ苦いデビューとなった。 明日の第2戦はダイヤモンドバックスがランディ・ジョンソン、ヤンキースがアンディ・ペティットという両左腕による先発が予定されている。ポストシーズンでは、ジョンソンはここまで2勝1敗の防御率1.88、ペティットも2勝1敗の防御率3.82という数字を残している。 |
| ■2001.10.27(現地10.26) |
●いよいよ明日開幕!オニール、第1戦と第2戦はベンチスタート決定!![]() いよいよ明日に控えたワールドシリーズ。アリゾナではワールドシリーズのチケットを求めて、電話回線がパニックするという事態まで起こった。そして、第1戦先発のカート・シリングが1球目を投げてから2001年のワールドシリーズが始まる。 ヤンキースのジョー・トーレ監督はDH制の使えない第1,2戦では、ライトのポジションにポール・オニールではなく、デビッド・ジャスティスを入れることを決めた。ジャスティスは第1戦先発のシリング相手にキャリア通算で打率.357(28打数10安打)の4ホームランと打ち込んでいるのに対し、オニールは打率.211のホームランなしということも関係している。 さらにヤンキースはマーク・ウォーラーズをロースターからはずし、これまでのプレーオフのロースターに入ってなかったランディ・コートを加えた。コートは公式戦では3勝1敗の防御率3.35という成績を残している。 |
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