Renaissance
3
5.「SCHEHERAZADE & OTHER STORIES」
1. TRIP TO THE
FAIR
2. THE VULUTURES FLY HIGH
3. OCEAN GYPSY
4.
SONG OF SCHEHERAZADE
前のページで「SCHEHERAZADE...」より「A SONG
FOR...」が好きと書いたけど,「SCHEHERAZADE...」が嫌いという意味じゃありません.それどころかかなり好きです.ライブ盤を除くと全作品中3,4番目ぐらいに好きなアルバム.客観的に聴くとこれが最高傑作だと思います.一応念のため.
壮麗な一大叙事詩を思わせる大曲「4.
SONG OF SCHEHERAZADE」はもちろん,他の曲もけっして「小品」という言葉で括れるようなものではありません.Renaissance
の目指したクラシック・ロックの完成型がこのアルバムといっていいと思います.「TURN OF THE
CARDS」より壮大かつ洗練されていて,「NOVELLA」より華麗で幻想的.
「アラビアン・ナイト」をモチーフにした「4. SONG OF
SCHEHERAZADE」は,オーケストラ導入のメリットを最大限に生かした20分超の大作で,歌詞を読みながら聴いていると,言葉と音楽が幻想的なイマジネーションを掻きたててくれます.また,音楽だけに浸ると(時には目を閉じて),荘厳な絵画を眺めているよな気にさせられます.また,最初の3曲も聴くものを幻想的な精神世界へと誘ってくれる(まさにTRIP
TO THE FAIR!)重要な役割を担っています.
6.「TURN OF THE CARDS」
1. RUNNING
HARD
2. I THINK OF YOU
3. THINGS I DON'T UNDERSTAND
4. BLACK FLAME
5. COLD IS BEING
6. MOTHER RUSSIA
このアルバムも好きですし,収録曲もすべて素晴らしい出来です.ただ,「SCHEHERAZADE...」より重厚な雰囲気が支配的で,壮麗さでやや劣る印象です.緊張感はこちらの方が上.
「SCHEHERAZADE...」とこのアルバム,どちらも名作と言えるので優劣や順位付けをするのは野暮です.ただ個人的には,「1.
RUNNING HARD」と「6. MOTHER RUSSIA
」があまりにも強烈に印象に残り,あとから思い返したとき中間4曲の印象が希薄になりがちなので,ちょっとインパクトという点で損をしてるかなと思います.
しかし,重厚さ・緊張感はこっちが上ですし,「アラビアン・ナイト」なんかメルヘンチックで小っ恥ずかしいという人にはこちらをお奨め.間4曲(2〜5)の印象が薄いと書きましたが,あくまでも個人的な感想.どの曲もハズレなし,とくに小品が並ぶと言うわけでもありません.Annie
Haslam 本人がインタビューで,このアルバムがとても好きだと答えているようですし,名盤に違いありません.
7.「NOVELLA」
これも傑作.No.1にこのアルバムを推す人が一番多いかもしれません.ただ,個人的には「SCHEHERAZADE...」の叙情性/幻想性と「TURN
OF THE
CARDS」の重厚さ/荘厳さを足して2で割ったような印象もあり,これぞお気に入りとは言い難い.両者の魅力を併せ持つと言えなくもないのですが,隙のない秀作より,ある程度偏りのある作品の方が個人的には惹かれます.
しかし,Renaissance
のエッセンスが詰まっているとも言え,はじめて聴く人にはお奨めかもしれません.その上で,壮大なクラシカル・ロックが好きなら「SCHEHERAZADE...」を,よりフォーク色の強いものが好きなら「PROLOGUE」や「ASHES ARE
BURNING」を,より洗練された雰囲気を楽しみたいなら「A SONG FOR ALL
SEASONS」を,と幅を広げていくのが吉.
Others
「AZURE
D'OR」以後の3作品は決してお奨めできる水準のものではありません.個人的には「AZURE
D'OR」はまだ聴いていられますが,けっして印象に残るような作品ではなく,他の2作はよほどRenaissance
が気に入った人のみ聴けばいいかと.
ライブ盤ではオーケストラなしの音源「BBC
sessions」は聴きもの.他にもバンドのみのライブ音源がいくつかあります.また,Annie Haslam
の歌声に魅了された人は,彼女のソロ・アルバムを聴いてみるのもいいでしょう.が,彼女のソロ作はプログレとは言えないでしょう.そこで,リラックスして聴きたいときにお奨めなのが「SONGS FROM RENAISSANCE DAYS」.比較的後期の作品のセルフ・カヴァー+未発表曲集(Annie Haslam & Mike Dunford
名義になっています)で,肩の力を抜いて聴け,かつ彼女の歌声を堪能できます.
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