Renaissance 4


最近の紙ジャケ/リマスターの流行にのって,Renaissance のCDも続々紙ジャケ/HDCDが再発されつつあります.正直同じCDを買い直しのは抵抗あるんですが,「音質がグッと向上していれば...」という誘惑に勝てないファン心理を巧みに突いていることも事実.(<この時点で負け戦^^;)したがって,誘惑に負けた一ファンの視点から見たリマスター盤のレポートです.

0.音質評価基準

 今回HPを作るにあたり,LPの音質はほとんど考慮していません.恵まれない日本の住環境のためアナログ・プレーヤーを諦めてはや十年余.以来我が家ではCDだけが音楽ソースの主役の座に君臨しています.しかし,初期のCDの音質がアナログLPの音質に及ばないのは周知の事実.
 その不幸な状態が技術の進歩によって改善され,現在のリマスター・ラッシュという呪わしくも嬉しい事態の一因となっています.しかし,安易にリマスターしたCDの音質がパッとしない,あるいは以前の盤より劣る(!)例も散見されます.そこで,有名どころの好例を知らず申し訳ないのですが,わたしが見事!と感じたリマスター盤の例を2,3挙げておきます.

IN THE COURT OF THE CRIMSON KING / King Crimson
TITUS GROAN / Titus Groan

この2枚はそれぞれ24bitと20bit盤ですが,一聴して唖然としたほど素晴らしい音質に変化しています.また,リマスターの善し悪しは単にフォーマットを変えたからではなく,エンジニアの技術と情熱とセンスに懸かっていると思います.その証拠に16bit盤にもかかわらず,

THE WORLD BECAME THE WORLD / P.F.M.

は素晴らしいデキで,上記2枚に引けを取りません.
 以上3枚を優良リマスター盤として以下話をすすめます.未聴の方には申し訳ないのですが,この3枚は内容も文句なく,プログレ・ファンの方は一度聴いてみて損はない名盤揃いだと思います.

1.「ASHES ARE BURNING」 (東芝EMI,paper sleeve:smiling cover)

ash_burn.JPG
1. CAN YOU UNDERSTAND 
2. LET IT GROW 
3. ON THE FRONTIER 
4. CARPET OF THE SUN 
5. AT THE HARBOUR 
6. ASHES ARE BURNING 
bonus track
7. AT THE HARBOUR (short version) 


 このアルバム,favorite album ではレビューしていません.もちろん内容が悪いわけではなく,わたし自身嫌いなわけでもありません.お気に入りでレビューしなかった理由は,このアルバムの目玉とも言うべき「CARPET OF THE SUN」と「ASHES ARE BURNING」の(CDにおける)音質に対する不満が全てです.

 まず,旧盤CDの不満点を.
 「CARPET OF THE SUN」も「ASHES ARE BURNING」もボーカルが奥に引っ込んだように聞こえます.とくに「ASHES...」はひどくて,Annie さんが両スピーカー間の奥の方に小さく定位します.これでは迫力あるボーカルが楽しめません.録音状態が抜群とは言えない各種ライブ盤のほうが,Annie の存在感がはっきり感じられるぐらいです.
 「CARPET...」はボーカルに関しては少しマシですが(それでも不満はあります),それ以上に各楽器の分離&生々しさが今ひとつ.どうしても貧弱な演奏に聞こえます.
 以上は,Renaissance のメンバーの演奏・歌唱面での技量とは関係ありません.(使用する機材が違うので単純比較は無理ですが)LPで聴いていた当時は,こんな不満感じたことはありませんでした.

 で,今回リマスター/紙ジャケ盤買いました.まず,すべての面で音質は良くなっています.とくにボーカル・楽器の鮮度(生々しさ)は改善されています.
 「ASHES...」において不満だったボーカルとバックのバランスも見事に改善されています.楽器の生っぽさがアップしているのに,Annie の声がその中に埋もれることなくしっかり際だっています.これには各楽器の分離・定位が良くなったことも貢献していると思われます.
 「CARPET...」も良くはなっていますが,各楽器の分離はやっぱり今ひとつ.もう一つ明瞭さに欠けるような気がしました.Annie さんの声に関しては合格点なのですが...

 以上,旧CDの音質にはっきりと不満がある人は買い直しても損はないと思います.ただ,音質面で不満のない人はパスするのが賢明かもしれません...でも,ボーナス曲あり(笑).


2.「A SONG FOR ALL SEASONS」
 このCDに関しては,旧盤(前回再発の国内盤)でもあまり不満はありませんでした.楽器の定位・分離も良好ですし,ボーカルも存在感がありスピーカーの中央にしっかりと定位します.声・音の鮮度もいいですから,正直文句なかったんですが... しかし,もっとも好きなアルバムということもあり結局買ってしまいました(笑)

 結果.音はやっぱり良くなってます.リマスター盤の方が全体に瑞々しい響になっていて,繊細な音はクリアーに,力強い音はよりエネルギッシュに変化しています.わたしは音質を評価する際,モヤモヤした感じがとくに嫌いなので,今回のリマスターでよりいっそう好みの音になった点もポイント高いですね.

 では,全ての人に買い換えを奨められるかというとちょっと疑問符がつきます.
 たしかに,まだ持ってない人には間違いなくお奨めです.が,すでに旧CDを持っている人にはどうでしょう?
 おもにCDラジカセやミニコンポで聴くという方は,その差をあまり実感できないかもしれません.(これは単純に機械の値段が高い,安いの問題ではありません.ミニコンポなどはデザイン・多機能性などにコストが多くかけられているため,同じ値段でも音質第1の良心的単品コンポをキチンと鳴らした音には,はるかに及ばないことが多いです.) 
 また音質にあまりこだわらない方にもお奨めできません.リマスターのデキ自体は良いと思うのですが,旧盤の音も割合良かったので,例えて言うなら試験の点が85点から90点になったような感じだからです.

 結局,このCDを購入される方(or買ってしまう方)というのは,1)音質最優先のオーディオ派,2)紙ジャケに弱いコレクション派,3)Renaissance が好きで理性を無くしがちな方...でしょうか(笑) わたしのタイプは...ご想像に任せます.


「PROLOGUE」,「NOVELLA」etc...たぶん以後も買うと思います(笑).その都度順次アップ予定です.

next?

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