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1.Gotic

gotic.JPG「ESCENS (夢の光景)」

1.ESCENS DE LA TERRA I DE LA MAR EN CALMA 
( 祭りの大地と静かな海の情景)
2.IMPROMPT-I (即興曲-I) 
3.JOCS D'OCELLS (オセロ) 4.LA REVOLUCIO (革命)
5.DANCA. D'ESTIU (舞踊)
6.I TU QUE HO VEIES TOT TAN FACIL (平穏)
7.HISTORIA D'UNA GOTA D'AIGUA (アイグアのしずく)


  わたしにとってイギリスとイタリア以外のプログレ・バンドでもっとも魅力的なバンドと言えば,Tangerine dreamやAshura tempelといったドイツ系でもA-Tollなどのフランス系でもありません.一般的にはスパニッシュ系として評されるポルトガルのグループGoticです.残念ながら,世に出た作品はここで紹介した1作のみ.このCDを買ったきっかけはふらっと立ち寄ったCD屋で偶然見かけて,そのジャケット・デザインに惹かれたからです.帰宅後大した期待もなく聴きはじめて,一瞬で虜になっていました.ジャケット買いもなかなかいいものだと実感できた一枚です.

 全編を支配するのは澄みきったフルートの音色.クリムゾン・フリークのわたしがその対極に位置するようなその音に,なぜここまで惹かれるのかは説明不能です.が,心に染みるような響は抗いがたい魅力に溢れています.「澄みきった」と書いたとおり,透明感の溢れる穏やかな音色が中心ですが,それは昨今流行りの「癒し系」の音とは一線を画すものだと感じます.単に優しいだけでなく,凛とした厳しさを合わせもった,もっともっと硬質な肌触りを感じさせてくれます.

 どの曲も素晴らしいのですが聴き所は1と7でしょうか.とくに「7.アイグアのしずく」は,繊細な美しさの溢れる前半部から風に舞うような躍動感と一抹の寂寥感を漂わせる後半部へと繋がっていく様は圧巻です.
 難点をあげれば,全編を通して大人しい音色が支配的で,耳を奪うような斬新さもないので,アグレッシブなサウンド指向の方にははっきりいって退屈でしょう.


2.Ragnarok

ragna01.JPG「RAGNAROK」

1.GOODBYE COPENHAGEN  2.WALKS 
3.FRESHBAKED BREAD  4.FOAM OF THE DAY 
5.REEL FROM KALMAR   6.FUELORYFUNK 
7.TUTANGA NANI  8.FIOTTOT 
9.CALM - BREAKING UP  10.POOLS OF WATER
(注)曲名がスウェーデン語(たぶん)のみのものはそのまま,英語タイトルが併記してあるものについては英語を記載.

  スウェーデンのグループ.このグループに関してもこの作品のみしか知りません.上のGoticと同様サウンド傾向は完全に「静」です.こちらはギター(アコースティック&エレクトリック)がメインとなっていて,より素朴な優しさに溢れています.音色は優しいはずなんですが,胸を締め付けるような物悲しさがついてまわります.

 とくに「1.GOODBYE COPENHAGEN」はGOODBYEという言葉のもつ印象とCOPENHAGENという北欧の都市に対するわたしのイメージが(勝手に)加味され,美しくも悲しいギターの音色が迫ってきます.このCDも難点は大人しすぎること.山場には欠けます.その分,皆が寝静まった夜中にボリュームを絞って聴く際にもその良さは健在です.夜遅くにクリムゾンやジェスロ・タルを大音響でかけて,家人にひんしゅくを買っている方の真夜中のお供には最適です.まあ,そういう人には好みの音じゃないのかもしれませんが.
 このCDもジャケット・アートは秀逸.素朴さと寂寥感がよく表れていて,いかにも「北欧」という感じがします.

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