Others 6
9.GREENSLADE
ダブル・キーボード+リズム隊という編成面の特異さとColosseum(ブリティッシュ・ジャズ・ロックにおける最重要バンドの一つ)の後継バンドという側面から語られることが多いバンド.メンバーはデイブ・グリーンスレイド(ky),トニー・リーヴス(b)(元Colosseum),デイブ・ローソン(ky)(元Web),アンディ・マッカロウ(dr)(元King
Crimson)の芸達者4人.
サウンド面でのまとまり(これはColosseum以上)や叙情性と神秘性を兼備えた深い森を思わせる味わいなど聴くべきところは多いとおもうのですが,雑誌のプログレ特集などで大きく取上げられることはごく稀です.たしかに耳を奪うような斬新さやワン・フレーズで注意を惹きつけるような(必ずしもコマーシャル/キャッチ−という意味でなくとも)インパクトに欠ける向きはあります.音楽性において,編成面ではキーボード中心という類似点を持つELPとはまったく対照的.はっきり言って地味ですね(笑)
また,キーボード中心,ジャズ・クラシックの素養,豊かな叙情性などプログレ的key
wordをあまりにも兼備しすぎて,逆に類型的に聞こえる面もあります(ただし,その取り込む次元が非常に高度で,確かなオリジナリティあり).
その普遍性が比較的穏やかな音楽性と相まってわたし自身ともすればBGM的な聴き方をしているときがままあります.
けっして凡庸な音楽ではないですが,一日の疲れを忘れゆっくり音楽に浸りたい時には最適.たしかにメンバー(や熱心なファンの方)には失礼かもしれませんが...
彼らのオリジナル・アルバムは4枚(+1?:去年再結成の新作が出たとの噂).さらに最近’73〜75年のライブ音源(<なんのかんの言いながら買った,笑)が発売されています.
初期2作と後期2作は若干受ける印象が違います.また音楽性とは別ですが,ロジャー・ディーンの手になる初期のジャケット・アートは傑作.とくに1stのジャケットは秀逸.
「GREENSLADE」
1. FEATHERED
FRIENDS
2. AN ENGLISH WESTERN
3. DROWNING MAN
4.
TEMPLE SONG
5. MELANGE
6. WHAT ARE YOU DOIN' TO ME
7. SUNDANCE
楽曲のまとまりや演奏面など異論もあるでしょうが,わたしの一番のお気に入りがこの1stアルバム.鮮やかな緑に染まり,深い森の奥にひっそりと流れる清流.ふりそそぐ陽光.このグループが持つ静かな叙情性を具現化するようなイラストです.前述したように,ジャズもクラシックもしっかり取り込まれ,馴染んでいるので(姿勢としての)プログレッシブさは前面に出てはいません.しかし,その味わいは格別.「いかにもアバンギャルドというだけがプログレじゃない!」,とでも言いたげな音です.
「BEDSIDE MANNAERS ARE EXTRA」
1.
BEDSIDE MANNAERS ARE EXTRA
2. PILGRIMS PROGRESS
3. TIME TO
DREAM
4. DRUM FOLK
5. SUNKISSED YOU'RE NOT
6.
CHALKHILL
2ndのジャケットはちょっとダークな雰囲気.でも音は1stの延長線上,特別暗くなったわけじゃありません.むしろやや軽快さが増したフシもあり,楽曲のデキはこちらが上か?音楽性とジャケット・イメージに(個人的には)ズレを感じますが,音楽そのものではこれがベストかもしれません.
3rd&4thアルバムも捨て難い作品.ただ,やや叙情的な面が減り,散漫な印象も感じます.バラエティーに富むとも言えますが,このへんは個人の好みでしょう.後期作品を代表作に選ぶ意見も多いようです.ライブ盤に関しては,bootlegよりはマシですが音質はそれなり.オリジナル・アルバムを全部聴いて,とくに気に入った方のみ購入を考えるべきでしょう.まあ,これぐらいマイナーな(<失礼)グループの正規盤が出たというだけで素晴らしいことですけどね.