Others 4


7.ELP (Emerson, Lake & Palmer)

 わたしがプログレを聴き始めたのが中学の1,2年頃.当時もっとも好きなバンドがこのELPでした.最初に聴いたプログレ・バンドはPink Floyd,もっとも衝撃的なアルバムは「クリムゾン・キングの宮殿」.しかし,この両雄は当時のわたしには難物過ぎました.その点,ELPは”entertainment”を強く意識していたので素直にのめり込むことができましたね.

 反面,King Crimson を繰り返し聴き,PFMなどのイタリア系のグループを追っかけ始める頃には滅多に聴かなくなってしまいました.自分自身の好みの音が変化していくと共に,ELPの後期作品群はenergy も低下傾向.「4部作」あたりでフォローするのが苦しくなり,「Love Beach」がトドメを刺してくれました.

 こうして回想してみると,当時のプログレ少年「中学生編」のひとつの典型的パターンですね(笑)

 ある時期以後のenergy の低下,煮え切らない再結成の反復など...文句を付けたい点は多いのですが,このバンドが卓越した実力をもち,ひとつのスタイルを確立したことは事実です.世間でプログレ四天王(この表現もどうかと思いますが^^;)と評されるのも納得できます.

 さて,バンドの来歴などを紹介するのも気が引けるほどの大御所ですが,個人的にこのバンドがすごいと思う点は,ギターなし・キーボード中心のトリオ編成というスタイルを認知させたという点とクラシックと真っ向勝負したという点です.前者は言わずもがな.後者については「展覧会の絵」が全てを物語っているでしょう.
 
 推薦盤は月並みながら,まず「展覧会の絵」,次いで「タルカス」のA面,そして「恐怖の頭脳改革」,+αで「ホウダウン」(「トリロジー」より).以下にわたし自身の感想を書きますが,ELPの作品をよく聴いたのは中学生時代.高校時代になるとグッと聴かなくなり,大学以後は滅多に聴かなくなりました.今考えると理解が浅い面もあり,ELPに対して失礼&その本質を理解できずにもったいないとも思いますが,もはやELPをじっくりと聞き込むことはこれからもないでしょう.それほどELPの音楽とわたしの聴きたいものとの距離は開いてしまいました.


1.「PICTURE AT EXHIBITION/展覧会の絵」

pic_exh.JPG1. PROMENADE
2. THE GNOME
3. PROMENADE
4. THE SAGE
5. THE OLD CASTLE
6. BLUES VARIATION 
7. PROMENADE
8. THE HUT OF BABA YAGA
9. THE CURSE OF BABA YAGA
10. THE GREAT GATES OF KIEV
11. THE END
12. NUTROCKER

 圧倒的なエネルギーを感じさせてくれるアルバムです.キース・エマーソンを筆頭に彼らの演奏能力は折り紙付きですが,ライブでの演奏はかなり荒っぽい印象です.その点は他の有名グループと良くも悪くも一線を画します.その荒っぽさはともすれば批判の対象にもなりますが,それはクラシックに正面から立ち向かうようなこのアルバムでは,むしろ”ロックの気概”を感じさせてくれるのでプラスに作用しています.
 このアルバムを筆頭にELPとクラシックは切っても切れない関係ですが,ルネサンスの項でも書いたように彼らの姿勢は”クラシックとロックの融合・導入”などといった穏やかなものとはかけ離れています.まさに真っ向勝負.ルネサンスのようなクラシカル・ロックではなく,ロックそのものを強く感じさせてくれます.
 このCDもリマスターされずいぶん音質が改良されました.さらに,00’末「展覧会の絵」DVD版が発売されました.画面に所々挿入される古臭い映像処理(モロ’70年代風,下品!)がそのままだったりする点はいただけませんが,貴重な映像・音源であることは事実です.彼らの凄さを再確認させてくれます.

2.「TARKUS/タルカス」

tarkus.JPG
TARKUS
1. ERUPTION
2. STONES OF YEARS
3. ICONOCLAST
4. MASS
5. MANTICORE
6. BATTLEFIELD
7. AQUATARKUS

8. JEREMY BENDER
9. BITCHES CRYSTAL
10. THE ONLY WAY
11. INFINITE SPACE
12. A TIME AND A PLACE
13. ARE YOU READY EDDY?

 お奨めは旧LPのA面(1−7).A面相当部はひとつの組曲で,旧B面には小品が並びます.別に小品が並ぶこと自体に問題はないのですが,如何せんまとまりがないので印象に残りません.それに反して組曲「TARKUS」は絶品.とくに内ジャケットに描かれたイラストを見ながら聴いていると,壮大なSFファンタジーの世界に旅立つことができます.
 全体に1stより3人のまとまりがグッと増して,組曲部分は演奏面・楽曲の完成度とも良好.ただし,前述したように小品群は散漫な印象が付きまといます.
 ELPに対する最大の不満は,アルバム全てを通して隙のない完成度を誇る作品が少ないと感じることです.この作品でもそうですが「恐怖の頭脳改革」や1stもそう感じます.「展覧会の絵」と「トリロジー」はまとまりがいいのですが,「トリロジー」は「ホウダウン」が突出しいるので(<これはわたしがそう感じるだけかもしれません)やはり少しアンバランス.

3.「BRAIN SALAD SURGERY/恐怖の頭脳改革」

brain_sg.JPG - 9,865Bytes
1. JERUSALEM
2. TOCCATA
3. STILL......YOU TURN ME ON
4. BENNY THE BOUNCER
KARN EVIL #9 
5. 1ST IMPRESSION PART I
6. 1ST IMPRESSION PART II
7. 2ND IMPRESSION
8. 3RD IMPRESSION

 「JERUSALEM」,「STILL......YOU TURN ME ON」などの素晴らしいボーカル・ナンバー,壮大なスケールの「KARN EVIL #9」などこの作品が彼らの最高傑作でしょう.しかし,個人的には4は不要,と感じるので評価は一歩後退.さらに大曲「KARN EVIL #9」も「2ND IMPRESSION」があまり好きじゃないので,全体的な評価はこのあたりに落ち着きました.しかし,H.R.ギーガーの描くジャケット・アートを含め力作には違いありません.

4.「HOEDOWN/ホウダウン」(「TRILOGY/トリロジー」より)

trilogy.JPG
 「トリロジー」というアルバム自体高い完成度の傑作ですが,わたしにとってはこの曲が突出してます.音楽的な評価云々は無意味です.わたしにとっての最優先事項は,「かっこいい」ということです.ボキャブラリーが貧困なため,正確に意味を説明できないのが心苦しいのですが,要するに「21ST CENTURY SCHIZOID MAN」も「DISCIPLINE」も,そしてこの曲も等しくかっこいいんです.
 くり返し書きますが,「TRILOGY」自体いいアルバムですよ.冷静な判断力を狂わせるほど麻薬的な魅力が,この曲にはあると言うことです.





  「展覧会の絵」のリマスターCDを買って再度聴き直したとき,やっぱりELPはいいなと思ったんですが...
 今回この記事を書くにあたって他のCDも少し聴き直してみました.今ひとつピンと来ないというのが正直な感想です.もはや「ホウダウン」もかつて感激したほどかっこよくは響きません.青春は遠くへ...ということでしょうか.ちょっと寂しい(笑)


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