Others 3
5.FRUUPP
このバンドのイメージを一言でいうと”Sentimental”.その音はけっしてひ弱なものではありませんが,”naive”という単語も当てはまるかもしれません.日本語で「繊細」という言葉を当てはめてしまうと的はずれになってしまいますが,パワフル/荒々しいといった躍動感には足りず,洗練というほどには垢抜けていない,発展途上のような印象を表現するには他に適当な言葉が見つかりません.もともと英語の”naive”は,日本人がもっているほどpositive(ある種かっこいい?)なイメージの単語ではなく,”半人前”みたいな意味も強いのですが,ここは和洋折衷ということで”原石の輝き”ぐらいの意味で受け取っておいて下さい.
4枚のアルバムを発表していますが,もっとも有名なのが4thの「MODERN
MASQUERADES」でしょう.しかしその内容より,むしろIan McDonald
がプロデュースを担当していることで話題になることが多いのではないでしょうか.わたしは1stと4thしか聴いたことがありませんが,1stは人に奨めるほどの内容ではありません.したがって,ここでは4thのみ紹介します.
「MODERN MASQUERADES」
1. MISTY MORNING WAY
2. MASQUERADING WITH DAWN
3.
GORMENGHAST
4. MYSTERY MIGHT
5. WHY
6. JANET PLANET
7. SHEBA'S
SONG
曲名の中に「GORMENGHAST」とあることからも推察できるように,このグループの根底にはファンタジーや怪奇趣味が色濃くあります.貼付のライナー・ノーツではこのグループが北アイルランド出身ということにこだわっていますが,わたしにはピンときません.それよりも,脱皮しきれない”naive”な感受性がみせてくれる瑞々しさが一番印象的です.演奏自体はそれほど精緻/繊細なものではありませんが,青春小説(笑)を読んでいるような爽やかさ/青っぽさが魅力的.その音は,人によってはパワフルという評価をするかもしれませんが(それも正しい意見です),わたしはどこか華奢なイメージが離れません.
今までは,好き嫌いは別にしても,はっきり名作といえるものを紹介してきたつもりですが,この作品に関しては少し毛色が違います.確かに欠点・アラも目に付きます.が,その瑞々しさが妙に魅力的で捨てがたい1作であるのも事実です.
このグループを語るときの常套句が,「その実力に反して,一般的な知名度が今ひとつ」.しかし,それで済ますにはあまりにも惜しいグループです.テクニシャンが名を連ねるプログレの世界でも屈指のメンバーが揃い,そのアレンジ・センスも見事としか言いようがありません.P.F.M.をはじめGentle
Giant
の影響を受けているグループは数多く存在します.が,本家の知名度は今ひとつ.正直わたしには原因が分かりません.しかし,あまりにも玄人好みの内容で,パッと目を引く(耳を奪う)派手な部分にかけるきらいはあるでしょう.その代わり,いったん好きになったら虜になってしまいそうなバンドです.
Gentle
Giant は高い水準の作品を数多く残しているため,人によりベストに推すアルバムも違いますが,一般的には「IN A GLASS
HOUSE」あるいは「THE POWER AND THE
GLORY」でしょう.聞くところによると日本では前者の,欧米では後者の評価が高いそうです(<ホントかな?).たしかに「IN A GLASS
HOUSE」(5TH アルバム)以前は繊細でクラシカルなアレンジが目立ち,「THE POWER AND THE
GLORY」(6TH)以後は力強さが増してはいますが,どちらも名作であるのにかわりはないでしょう.わたしは「IN A GLASS
HOUSE」を推しておきます.
「IN A GLASS HOUSE」
1. THE RUNAWAY
2. AN INMATES
LULLABY
3. WAY OF LIFE
4. EXPERIENCE
5. A REUNION
6. IN A GLASS
HOUSE
他に「OCUTOPUS」(4TH)も高い評価を得ていますが,個人的には「THREE
FRIENDS」(3RD)もお気に入り.斬新性,凝りに凝った予想不可のアンサンブルといった面には欠けますが,その分ストレートな演奏・アレンジを楽しめます.
ここまで読んだ方はお気づきかもしれませんが,この項のみえらく客観的というか,一般的な評価に終始しています.実は最初に2,3枚聴いたときはあまりのめり込めず,このグループの真の実力も理解できませんでした.しかし,フトしたことから手に取ったベスト盤「EDGE
OF
TWILIGHT」を聴いて,今まで真剣に聴いてこなかったのを後悔しました.普通ならここでアルバムを買いに走るところです.しかし,今回はそうはいきません.実はこのベスト盤,「IN
A GLASS
HOUSE」を除く1〜4THと6THアルバムからセレクトされているのですが,計5枚のアルバムに収録されている38曲中実に31曲を収録するという超お買い得盤.今さら全てのアルバムを揃える気にはなれず,1枚のアルバムとして聴く機会のないものが多いのです.これでは個々のアルバムを正しく評価する事ができません.したがって,ほとんどのアルバムの大部分の曲を聴いているにもかかわらず,突っ込んだレビューができないという事態になりました.
おそらくこのグループに関しては,web上に詳しい(濃い)siteがいくつもあるはずです.魅力を感じた方は,そちらを参考にするのがbestでしょうが,これからはじめて聴くという方は「IN
A GLASS HOUSE」と「EDGE OF
TWILIGHT」を入手し,聴いてみてはどうでしょう.アルバムをトータルに聴くという視点からは邪道かもしれませんが,賢い選択のひとつだとは思います.
「EDGE OF TWILIGHT」
CD1
1. THE ADVENT OF PANURAGE 2. FUNNY WAYS
3.
PEEL THE PAINT 4. ACQUIRING THE TASTE
5. COGS IN COGS 6.
THE HOUSE, THE STRRET, THE ROOM
7. THE BOYS IN THE BAND 8.
SCHOOLDAYS
9. RACONTEUR TROUBADOUR 10. WRECK
11. NOTHING AT
ALL 12. WHY NOT?
13. PLAYING THE GAME 14. MISTER CLASS AND
QUALITY?
15. THREE FRIENDS
CD2
1. PROCLAMATION 2. A CRY FOR
EVERYONE ISN'T IT QUIET AND COLD?
4. PLAIN TRUTH 5. KNOTS
6. ALUCARD 7. ASPIRATIONS
8. PANTAGRUEL'S NATIVITY 9. RIVER
10. THE FACE 11. THE MOON IS DOWN
12. EDGE OF TWILIGHT 13. NO
GOD'S A MAN 14. SO SINCERE
15. THINK OF ME WITH
KINDNESS 16. VALEDICTORY