King
Crimson 1
King
Crimsonに関するHPはたくさんあり,入門用の親切なコーナーや膨大かつ正確な資料を公開しているページもあります(King Crimson
Ringもよろしく).新規参入にあたって内容を考えたとき,2番煎じでお茶濁すことも嫌なので,極力自分の好み,主観に満ちたReviewにしようと思いました.したがって,自分の言葉で,自分が惚れこんだアルバムを最優先で更新して行く予定です.
独善的な内容で,「てめぇ,それは違うだろ」という意見あれば,掲示板のほうで書いてください.独善的な感想=正しい感想と確信しているわけではありません.そうやってプログレ話に花が咲くようになれば,大成功だと思っています.事実関係の誤認やわたしの無知による誤りはすぐ訂正するつもりです.「俺はこう感じる」という部分はなかなか曲げられないでしょうが.
好きなオリジナル・アルバム
月並みですが最初にわたしのKing
Crimsonベスト3を.1位から順に「クリムゾン・キングの宮殿」,「太陽と戦慄」,「ディシプリン」です.最初の2枚は多くの人にとって異論はないでしょうが,「ディシプリン」は評価が2分することは必至でしょう.しかし,この3枚に共通していることは,とにかく斬新,まさにプログレッシブという点です.これがクリムゾンがクリムゾンたる証拠.音楽性の違いは仔細なこと(あまりに違いすぎるとは思いますけどね^^;).このへんは異論,反論続出なのは承知の上で,これらのアルバムからReviewしていきます.
1.「IN THE COURT OF THE CRIMSON
KING/クリムゾン・キングの宮殿」
1. 21ST CENTURY SCHIZOID MAN
2. I TALK TO THE
WIND
3. EPITAPH
4. MOON CHILD
5. IN THE COURT OF THE
CRIMSON KING
1位が「クリムゾン・キングの宮殿」というのは当り前過ぎて抵抗があるほどですが,このアルバムと出会わなければプログレにのめりこむこともなかったから,避けて通るわけにはいきません.
内容の評価に先だってオーディオ的話題から.このアルバムはLPから始まり,国内盤CD未発売時に手に入れた輸入盤CD,国内盤CDそして紙ジャケ24bitリマスターと買いつづけてきました.はっきりいって,LPと24bitリマスター以外は(音質的に)聴くに耐えない出来なのが残念.24bit盤以外(とくに輸入盤)のCDは靄がかかったような,こもったような音質で,はじめて聴いたとき愕然としたのを憶えています.
いつしかCDがメインのソースになっても,このアルバムはLPが基本.それに「あの」ジャケットはLPでこそ生きるというもの.しかし月日が流れ,引越しをくり返し,アナログプレーヤーを設置できなくなったときから,このアルバムを聴きことはほとんどなくなってしまいました.まあ,それ以外に聴かなきゃならないストックをわんさと抱えていたせいでもあるけど.
そ・れ・が!! 半分あきらめ,半分目いっぱい期待で24bit盤を買ってびっくり.一言でいえばクリア.長年の霧が晴れたような生々しい「21世紀の精神異常者」がスピーカーから飛び出してきて,こんどは感激のあまり呆然.最近はロックCDのリマスター再発がちょっとしたブームですが,その出来はピンからキリまで.その中でこれは最高ランクのひとつです.
「1.
21ST CENTURY SCHIZOID
MAN」:永遠の名曲.わたしにとってのNO.1は(たぶん)これから先も「21世紀の精神異常者」です.Gregの歪んだボーカル,たまらなくかっこいいFrippのギター・リフ,暴れまくるIanのサックス,そして自在に跳ねまわるMikel
Gilesのドラム.どれをとっても「かっこいい」.音楽的な話は冷静に出来そうにないので,諸兄に譲ります(卑怯ですね,笑).オリジナルもいいですが,言うまでもなくライブはさらに圧倒的.
「2.
I TALK TO THE
WIND」:一転して繊細にして,叙情性溢れる「静」の曲.このへんの引きが最高です.曲もこの時期のクリムゾンがもつ叙情性を如何なく発揮していて,しかも歌詞が秀逸.Pete
Shinfieldの歌詞については,少し大仰というか,装飾過多な面があるような気がして,そこがマイナス点なんですが,この曲の歌詞は華美な装飾を排しつつ,センス溢れるメタファーがとても魅力的.一言でいえばとっても「わかりやすい」詩.名曲として名高い1と3の間にはさまれ割り食ってますが,この曲以外にここに収まるべき曲は思いつきません.
「3.
EPITAPH」:説明不要の名曲.寂寥感をたたえた大きなスケールの抒情詩が展開されます.Gregのボーカリストとしても最高点がこの曲じゃないかと思います.1曲目の躍動感とは対照的に,どっしりと大地に沈み込むようなMikel
Gilesのドラムにのって奏でられるフルートとメロトロンの美しくも物悲しい旋律が最高です.ちなみに,この曲を聴いていると脳裏に「荒涼とした白樺林の中を延々と泥まみれの道がつづいている」光景が浮かんできます.
「4.
MOON
CHILD」:(もし文句を付けるとすれば)唯一物足りない部分.ボーカル部は詩的な美しさあふれる曲なんですが,後半のインプロ・パートはやや冗長.さっき詩的と書いたけど,その詩もやや類型的.駄作ではないけど...この曲がLPのB面1曲目だったおかげで,A面ばっかりくり返して聴くことになる^^;
「5.
IN THE COURT OF THE CRIMSON
KING」:荘厳な旋律と壮大なスケール感.意味深な,でもとても魅力的な詩.アルバムのラストを飾るのにふさわしい曲です.でも,この曲のホンとの良さがわかるようになったのは,ずいぶん後のことです.なぜかって?それはB面最初のMOON
CHILDが途中でダレるので(中学生のガキが,あの盛り上がりに欠けるインプロをじっと聴いてられるわけがない!),この曲は余程気合の入ってる時しか耳に出来ない!CDでは考えられないけど,LPを面の途中から聴くってけっこう鬱陶しいんですよ.
2.「LARK'S TANGUES IN ASPIC/太陽と戦慄」
1. LARK'S TANGUES IN ASPIC PART
I
2. BOOK OF SATURDAY
3. EXILE
4. EASY
MONEY
5. TALKING DRUM
6. LARK'S TANGUES IN ASPIC PART
II
脳天直撃の音の洪水が押し寄せて,目いっぱい音量上げて1枚聴き終わると放心状態になってしまうアルバム.これも名盤中の名盤といって異論はないでしょう.同じ音の洪水でもHR/HM系は腹にくるんですが,クリムゾンは頭の芯にジンジン来ます.中坊の頃初めて聴いたときは,「3.
EXCILE」と「6. LARK'S ANGUES IN ASPIC PART II」の2曲がお気に入りでしたが,少し聴きこむと「5. TALKING
DRUM」と6は不可分だと思うようになり,それ以来5〜6がクリムゾンの全てのアルバム中でも1,2位を争うお気に入りとなりました.
ライブではオリジナルの’70はもちろん,’80,’90クリムゾンもやっていますが,どれもそれなりに特色があって良い.ただ’80クリムゾンではLARK'S
PART II を単独でやっているので,TALKING DRUMから怒涛の勢いでなだれ込む迫力には欠けます.
3.「DISCIPLINE」
1. ELEPHANT TALK
2. FRAME BY
FRAME
3. MATTE KUDASAI
4. INDISCIPLINE
5. THELA HUN
GINJEET
6. THE SHELTERING SKY
7.
DISCIPLINE
これを初めて聴いたときは戸惑った.でも「すげぇ」と思った.なにがすごいのか自分でもわからなかったけど.
「クリムゾン・キングの宮殿」を聴いたときに感じた感動はないけれど,何回も何回も聴きまくりました.どこが良いのか,自分でも説明できないまま聴きつづけて,結局聴いた回数はクリムゾンの全作品中3,4番目になったでしょう.
ただ,当時の評価は散々でしたね.某有名音楽誌などのReviewでもひどい書かれかただった気が.たしか「キング・クリムゾンという名前がなければ売れない,期待はずれ」といった論調のものがけっこうあった気がします.当時はそれに反論する言葉が見つからなくて,「まっ,いいか.音楽的には劣っていても,やっぱりかっこいいよ」,そう思っていました.その後出した2枚のアルバムが今ひとつなので,仇花の如く消えていった’80クリムゾン.
ところが,’90代に復活したクリムゾンが素晴らしい評価を得て,「’80クリムゾンもけっこう良かったよ」的な再評価を受けることになりました.めでたしめでたし.でも,やっぱり世間の評価は’70>’90>>’80.たしかにそう評価したい気も分かりますが,「DISCIPLINE」の与えてくれたインパクトは’90クリムゾンにはありません.当時唯一無二の音楽が目の前に現れた衝撃は忘れられません.クリムゾンの存在意義を斬新性に求めているわたしには,このアルバムこそがクリムゾンを代表しているのです.でもねぇ,あとの2枚がねぇ,いくら契約消化するためとはいえ...惜しいよ’80クリムゾン.
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