Italian Progressive Rock 4


管理人自身イタリア語がわからないので,邦題のあるものはすべて邦題を併記しています.

4.Latte E Miele

 ELPタイプのキーボード,ギター/ベース,ドラムのトリオ.ELPと違いテクニック的には特筆すべき点は少ないのですが,その音はいかにも”イタリア的”.名盤として名高い1stに続き,同じメンバーで2ndを発表した後,メンバーを一新して3rdアルバムを発表しました.4thアルバムは録音したものの未発表のままグループは解散しましたが,10年ほど前発売されています.4thは相当ポップな印象かつまとまりもなく,正直お奨めしません.2ndと(メンバーを一新したにもかかわらず)3rdもたしかに良いのですが,1stはイタリア・プログレの名盤として名高く,このグループの全てが1stに集約されていると言って良いでしょう.

latte_e1.JPG「PASSIO SECUNDUM MATTHEUM/受難劇」
1. INTRODUZIONE/序曲  2. IL GIORNO DEGLI AZZIMI/過ぎ越しの日
3. ULTIMA CENA/最後の晩餐  4. GETZEMANI/ゲッセマネ 
5. IL PROCESSO/訴訟
6. I TESTIMONI (parte 1)/証人達(パート1)
7. I TESTIMONI (parte 2)/証人達(パート2)
8. IL PIANTO/悲嘆  9. GIUDA/ユダ  10. IL RE DEI GIUDEI/ユダヤの王
11. IL CALVARIO/カルヴァリオの丘  12. IL DONO DELLA VITA/復活
ボーナス・トラック
13. MESE DI MAGGIO/5月

 彼らの1stアルバム「受難劇」は,文字通り”マタイによる受難劇”がそのモチーフであり,混声合唱団の起用,「マタイによる福音書」に題材をとった歌詞及びナレーションの挿入など多分にオペラ的かつ荘厳な雰囲気を感じさせます.さらに,その構成もメリハリに富みイタリア的.よく言えば”壮大”,悪く言えば”大袈裟”.

 オペラ,とくにイタリア・オペラは感情の起伏をストレートに描写する傾向にあり,玉木正之氏によると,内容が悲劇であろうが喜劇であろうが,最後は観客総立ちの”ブラボー”を目指す特徴があるとのこと.オペラは門外漢ですが,このアルバムを聴くと妙なところでその言葉を思い出し納得.ちなみに,氏によるとドイツ・オペラはもっと理屈っぽく,悲劇のラストで”ブラボー”の嵐が起こるような筋立てにはならないとのこと.

 ここを如何に評価するかで,このアルバムが好きか嫌いか,ひいてはイタリア・プログレに走るか,ドイツものに傾倒していくかが分かれそうです.もちろんわたしはイタリアものに走り,見事なまでにドイツ系のプログレは受けつけません.タンジェリン・ドリームなど少しは聴きますし,良し悪しの問題ではないんですがね.

 メリハリがあると前述したように,個々の楽曲は変化に富んでいますが,やはり全体を通して聴いてこそ評価できるアルバムの典型でしょう.キーボードの存在感が圧倒的ですが,ギター・ベース,ドラムなどもオマケのような印象ではありません. 


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