PFM-7


1.P.F.M. その(7)
(3)「Ulisse」〜「Serendipity」

 往年の”プログレ”・サウンドではありませんが,30年間を生き抜いてきた自分たちの音楽や技術に対する自信が溢れているせいか,安心して聴ける作品群が並びます.音楽性に対しては(とくに昔からのファンは)異論もあるでしょうが,非常に質の高いロック・ミュージックだと思います.


1.「ULISSE」
ULISSE.JPG 1. IERI  
2. ANDARE PER ANDARE 
3. SEI  
4. IL CAVALLO DI LEGNO 
5. ULISSE  
6. UNO IN PIU 
7. CANZONE DEL RITORNO 
8. IL MIO NOME E NESSUNO 
9. LETTERA AL PADRE 
10. LIBERI DAL BENE LIBERI DAL MALE 
11. DOMANI 

 プログレでないという点を除けば,久々の会心作ではないでしょうか.年齢を重ねたことによる余裕と自信がにじみ出ている分,「Suonare Suonare」よりデキは上.良質かつ大人のためのロックです.
 特に2曲目の「ANDARE PER ANDARE」と6曲目の「UNO IN PIU」は,わたしにはPFMの全作品中でも上位にくるほどお気に入りの作品です.全体的にPFM特有の翳りが感じられて(初期のPFMには一部「暗い」との評価もありましたが),大好きな作品の一つです.

 ただ多くのプログレ・ファンはプライオリティを”先鋭性”,”斬新さ”などに置くと思うので,その評価は辛口になる場面が多いとは思います.しかし,現代にマッチした曲を自信たっぷりに演奏しているので,並の新興プログレ・バンドが’70年代風に演奏する”本格派(?)プログレ”よりはるかに聴き応えがあります.やはり小手先の”叙情性”より本物のもつ迫力に軍配が上がります.


2.「WWW.PFMPFM.IT」
PFMPFM.JPG

DISC 1 
1. ANDARE PER ANDARE 
2. LA CARROZZA DI HANS 
3. SEI 
4. INTRO + OUT OF THE ROUNDABOUT 
5. MR.9 TILL 5 
6. ALTALOMA 5 TILL 9 / ALTALOMA '98 
7. INTRO + DOVE.....QUANDO 
8. IL BANCHETTO 
9. DOLCISSIMA MARIA 
DISC 2 
1. QUARTIERE 8 (QT8) 
2. INTRO + IL CAVALLO DI LEGNO 
3. INTRO + ULISSE 
4. LA LUNA NUOVA / FOUR HOLES IN THE GROUND 
5. SI PUO FARE 
6. E'FESTA 
7. IMPRESSIONI DI SETTEMGRE 
8. IL PESCATORE 

 こちらのライブ盤にも自信と余裕が溢れています.’70年代の名曲も,’80年代の馴染みうすい曲も,’90年代の新しい曲もすべて聴き応え十分です.フュージョン風にアレンジされた「IL BANCHETTO」もそれなりに楽しめます.すばらしい楽曲を確かな技術で演奏しているのですから悪いはずがありません.往年の叙情性には及びませんが,’90年代後半にリアル・タイムで演奏されるべきプログレ・サウンドとしてはこの方がふさわしいとも言えます.
 脱プログレ期(’79〜)のライブ盤では,「Performance」より演奏・音質の両面ではるかに上.’80年代以降のoriginal albumに手を出しかねているP.F.M.ファンの方はこのアルバムを聴いて,かれらの実力を再認識してみてはどうでしょうか.


3.「:SERENDIPITY」
SERENDIP.JPG 1. LA RIVOLUZIONE 
2. K. N. A. ( kaleidoscope neutronic accelerator ) 
3. L'IMMENSO CAMPO INSENSATO 
4. NUVOLE NERE  
5. ORE 
6. AUTOMATICAMENTE 
7. LA QUIETE CHE VERRA 
8. DOMO DOZO   
9. POLVERE 
10. SONO UN DIO   
11. EXIT
 

 前作同様,質の高いアダルト・ロックという表現がピッタリです.個人的には「Ulisse」のほうが好きですが,とくにレベルが下がったとは思いません.ただし,PFMがもつ”翳り”のような部分が取り払われ,いわゆる「アメリカン・ロック」の匂いがするアルバムです.その辺の事情は邦盤の解説にも記載があり,LA録音に原因があるのでは?といった記述があります.
 旧来のファンには取っつきにくい作品ですが,何回か聴くうちに耳に馴染みます.この当たりが「さすがPFM!」と実力を感じさせる部分です.

 取り立てて”斬新”でも”プログレッシブ”でもありませんから,”プログレッシブ”な音楽しか聴かないという人にはお奨めしません.それに「P.F.M.ってどんなグループ?」という人にも紹介しません.ただ,「以前P.F.M.を好きで,最近はプログレ以外の曲も積極的に聴く」という方は一聴の価値ありと思いますよ.


 

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