PFM-6


管理人自身イタリア語がわからないので,邦題のあるものはすべて邦題を併記しています.

1.P.F.M. その(6)
(3)「Passpartu」〜「Miss Baker」

 これ以降プログレではなくなります.プログレ・ファン,プログレ評論家の評価は芳しくありません.まあ,ファンにしてみれば「期待を裏切られた」という思いが強く,評論家からすれば「商業主義の流れに飲み込まれた」と評価するのが自然でしょう.しかし,ロックというのは時代の空気・雰囲気と呼応して変遷していくものだと思うので,役目を終えた(狭義の)プログレッシブ・ロックは表舞台から消えていくのが当然といえば当然.
 大作至上主義・芸術性の偏重に対する反動,’70年代後半の経済低迷による大作主義の終焉,その後の大量生産・大量消費による音楽産業の衰退傾向etc...その中で精一杯の音楽活動を続けた結果がこれらの作品群でしょう.潔く解散することを良しとするか,時代に対応しつつ続けるべきか,意見は分かれると思います.が,もしプログレ以外の音楽にも興味がある方,音楽ならジャンルを問わず聴くという方は,少なくとも「PASSPARTU」は聴いて欲しいと思います.プログレ的な要素はありませんが,民族色溢れるポピュラー・アルバムとしては名作です.


1.「PASSPARTU」
passpart.JPG - 8,622Bytes 1. VIENE IL SANTO 
2. SVITA LA VITA 
3. SE FOSSI COSA 
4. LE TRAME BLU 
5. PASSPARTU 
6. I CAVALIERI DEL TAVOLO CUBICO 
7. SU UNA MOSCA E SUI DOLCI 
8. FANTALITA 

 「Jet Lag」を最後にマンティコアを離れ,イタリアのレーベルに移籍.そして全世界向けではなく,イタリア国内に目を向けて作られたアルバム.民族色が色濃いその音は明るい地中海の日差しを連想させます.そしてそこはかとなく感じさせる一抹の哀愁...
 それ以前のプログレ的な音は微塵も残っていません.プログレッシブ・ロックという一大ムーブメントが去り,パンクの嵐が吹き荒れて,さあ”次の音楽は?”という問題に対するP.F.M.の解答がこのアルバムでしょう.数年後に出たKing Crimsonの解答が「Discipline」(これにしても賛否両論,いや当時はほとんどが否でしたが...)であったことを思うと,プログレ・ファンとしてはやや残念ですがこれも一つの正解だと思います.


2.「SUONARE SUONARE」
suonare.JPG - 8,469Bytes 1. SUONARE SUONARE 
2. VOLO A VELA 
3. SI PUO FARE 
4. TOPOLINO 
5. MAESTRO DELLA VOCE 
6. SOGNO AMERICANO 
7. BIANCO E NERO 
8. TANTI AUGURI
 

 「PASSPARTU」よりいっそう評価に苦しんだアルバムです.ここにはプログレも,そして新しく目を向けたはずの民族音楽も見あたりません.ごくごく普通のロックです.ただし,キャッチーながら耳当たりの良いメロディー・ラインといい,演奏面・構成面での手堅い作り込みといい,さすがP.F.M.という片鱗は見せてくれます.その当時,イタリア人が自国の実力派グループに求めた音楽がこれだったのかもしれません.反面,”P.F.M.でなければ!”という点は見あたりません.わざわざ入手困難なイタリアもののLPを探してまで聴く意義は見いだせず,このアルバムを最後にP.F.M.とはしばしお別れすることになります.

3.「PERFORMANCE」
perform.JPG - 8,216Bytes
1. MAESTRO DELLA VOCE 
2. QUARTIERE OTTO (QT8)   
3. LORY 
4. SUONARE SUONARE 
5. SI PUO FARE 
6. CHI HA PAURA DELLA NOTTE 
7. VIOLINO PERFORMANCE 
8. COME TI VA 
9. IL BANCHETTO 
10. CELEBRATION

 「SUONARE SUONARE」以後新しいアルバムは買っていなかったP.F.M.ですが(もちろんそれ以前のアルバムは常に愛聴盤),10年ぐらい前からロック/ポピュラーのマイナー(?)音源のCD化が本格化し,ようやくP.F.M.の作品群もCD化の恩恵に預かる日が来ました.そんな頃P.F.M.名義の見慣れないCDが目に止まり,思わず購入してしまいました.
 久しぶりに買ったP.F.M.はライブ盤.収録曲は’80年代の作品が大半です.昔なじみの曲もありますが,やっぱり違和感あり.とくに「9. IL BANCHETTO」を聴いたときはこけました(笑)(<ダメ,というつもりはありませんが). でも根底に流れるバンドとしての実力は健在.安心して聴けるライブ盤であることは確かです.ただ,緊張感・躍動感,そして往年のドラマ性には乏しく,物足らないことも事実.


 このHPでP.F.M.を年代別にレビューするにあたっては,個人的な感想・感触で分類しています.’78年の「PASSPARTU」以降は脱プログレ期とひとまとめにしてもいいと思いますが,イタリア国内向けに絞った’80年前後と現在の音楽はやはり違うと思うので,あえて二つに分けてみました.

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