魔女達
オークニーの三人の魔女達はアーサーの母とその前の夫、マルク以前のティンタジェル王の娘であり、ゲールの王家の血を引いている。そのうちの一人、モルゴスが私とガヘリス、アグラヴェイン、そして白い手のガレスをロト王との間で生んだ。彼女の姉、北の最大の魔女であり、女神の生まれ変わりであるモルガンこそ、私に太陽の血を注ぎ込んで、彼女の古の愛人であると言われる英雄の一部を私の中に再現した者である。
アーサーが自分の異父姉妹のモルゴスと関係を持った理由が何なのかは知らない。マーリンのかけた魔術の一部であり、彼は知らずになしたのだとも言う。それでもアーサーは姉と交わり、生まれた赤子と同時期の赤子を船に入れて流した。モードレッドは死なず、アーサーと同じく魔術を仕込まれた彼はゲールとペンドラゴン両王家の血を引き、父親と父親の計画を憎む者になった。彼は生まれるべきではなかった。アーサーの平和を私が正しいと信じる限りは。しかしキリスト教の神は未だ私に対して沈黙している。もしかすると予言に言う「アーサーの再来」の時に答えが見出せるのかもしれないが、私は何時まで待てば良いのだろう?
アーサーに息子を殺して貰いたかった。彼は理性的にモードレッドに自分の政策を継承できるだけの器を見出したのかも知れない。彼は複雑さにおいて父親を超えられなかった。父親の半ば望むことをしてしまった。人は全て平和を望んでいる訳では無いし、アーサーも平和を望む理由は、愛する者が世界に無かったのだとしたら、無いはずである。アーサーは自分を誓いから開放してもらいたかったのだろう。
私はアーサーから、スコットやピクトの民の手で父のロト王より奪われていた先祖伝来の北の国に、忠誠の報奨として封土を多く返して貰った。私の行った評判の良い事績は多くこの地で行ったものである。アーサーは領地では自由を許してくれた。冒険の末良縁にも恵まれたし、(私の妻は私の立場を理解してくれたが、私をそのように動かした所の苦悩については、ついに理解する事は無かった。しかし、そこまで高望みは酷と言うものだ。)私は弟達と異なり、アーサーをも怨まなかった。私の伯母であるモルガンやその息子のキムリックのユーウェインもモルゴスとは異なり、常にアーサーに好意を見せていた。アーサーをアバロンに連れて行ったのはこの人なのだから。(後代の物語ではモルガンとモルゴスを混同している事が多いようだ。)
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