この文書は現在(西暦2000年1月現在)Nick Brooke氏のサイトに置かれているLoren Miller氏の文書を両氏の許可の元に日本語訳し、掲載しております。(ちなみに、まりおん氏が出版したTOME3-1に掲載されているカルマニア社会制度を参考にしました。)
ゆえに通常の規則は全て適用され、責任は当方及び利用者が負います。原文はこちら

カルマニア用語辞典Carmanian Glossary

カラムCaram
カルマニア女性層のカースト、概して平和的なものの追求と背景に溶け込んだ行動に役割を制限される。大部分の者は外出するいかなる時も、昼間のみならず、パヘロPahero(黒い衣装)を着ている。
女性は大抵の場合ダート戦争やその他の揉め事で暗殺の対象とはならないが、カルマニアの伝統的法律に依れば、強姦(すなわち略奪婚)は掟に則っている。これはより弱小な「家」に同盟を強いる通常の手段である。もし彼等が家族に属する女性を守ることが出来ず、君の一族が彼女達と結婚するのに十分な数の男性の後継者をもっているのなら、あなたは首尾良く小さい「家系」を吸収することが出来る。今日では、女性はルナーの法廷に上訴する権利を持っており、そのためにこの慣習はそれほど政治的な道具とはなっていない――しかし、恋人達がもし望むのなら、男性が女性を「略奪する」形で駆け落ちすることは可能である。
カルマノスCarmanos
(異形:Karmanos、複数形:カルマノイCarmanoiもしくはKarmanoi)カルマニアの支配層、もしくは商人のカーストの者。他の地域で言うなら、貴族と商人が結合した存在に類似。カルマノスは支配力と戦争をかつて意味したものだった。しかしこの単語をこの意味で用いるのは古めかしく感じられる。カルマノスはカルマニアの伝説的創始者の名前でもある。
カシルCassir
(異形:Qasir、Kassir)城塞。カルマニアの城は一般的に岩がちの丘陵の頂上に建てられる。それの周囲の峡谷居住者達を見下ろしているのである。たとえば、パイアル・ゼメディPyar Zemedyの家であるカリムカシルKalimcassirはカリムシーヴKalimseve(訳注:Seveフィヨルド)の上の絶壁に鳥のように留っている。
この退廃した後代においては、(カルマノイと富裕なハザールの双方の)豊かな多くの者が家系に属する、実際の所は住んでいない城を岩の丘の上に持っている。これらの古い家族の城はアンティークの家具や綴れ織りや、その他の骨董品(ある者達は宝の山だと言うが)で一杯になっている。その一方で家系に属する人々は実際には、自分達の祖先達にとっての堕落であった場所の、谷の方に降りて住み着いている。
いくつかの家系はいまだに自分達の古代に建てられたカシルに住み着いている。他の一族は何年もこれらの城を訪れていない。古い家系のカシルには(古い財産を保護するために)維持の呪文が呪付されている可能性すらある。この呪文は生きている者が入れば破られるのだろう。多くのカシルの役割は「血王戦役」の間は(他の時代に起こった事態と同じように)軽視されていた。これらのカシルは丘の上に抱かれた廃虚に大部分なっているであろう。

訳注:スポルのサトラップ、アレハンドロの「女王連隊」を擁した生活は古風な生活様式の典型である。
平民Commoner
「農奴Serf」
の項を見ること
ダート戦争Dart War
最初に投げ槍競技者の一人が「ついうっかり」競技を眺めていた政敵の心臓に毒の塗られたジャベリンを誤って投げて以来、ずっとダート戦争はルナー貴族の陰謀を絶え間なく形作る出来事となっている。ダート戦争において多くの傭兵が雇われて、貴族階級は自分達の臣下を傷つける陰謀を企む代わりに、お互いを傷つける計略に忙しい。そして古く裕福な貴族から新しく、飢えた新興の貴族の家系へと絶え間なく富と権力が流動する原因となっている。カルマニアではダート戦士は雇われて任務についている限り、法律により鈴と赤い飾り帯を着用することが義務づけられている。そして特殊な所持品に対する税と関税がある区域に入ったり出たりする時に課される。これらの法を遵守しない者に課せられる罰は死刑であり、これはダート戦士が暗殺の後にその対象となった犠牲者の一族に捕らえられた時に大抵の場合加えられる判決と同じである。この法律が罰を与えられる者に従順さによって認められることは極めて稀である。この法律に常に従う者は極めて恐るべき存在(訳注:かつてハレックはダート戦士だった)なのだ。

ゼメディZemady家とゾーテルカーズィZotelkadzy家は長い間対立関係にある。ゾーテルカーズィのファズィクFazzik(訳注:称号)であるカメットKametは自分の敵、ゼメディ家のファズィク、ピアウルPyaurからの脅威をいかにあしらうかについて考えを巡らした。彼は決心し、今や行動に移すことになる。彼が決めたことは次のようなものである。最初に、カメットは「聡明なる」タティウスのケントゥリオンCenturion(訳注:連隊)の中にいるピアウルの息子に軍事教練中、「事故」が起こるよう、タティウスに50,000人のルナー兵を提供するであろう。そしてカメットはむさ苦しい一団のオーランス人盗賊を雇ってゼメディ家の領地の癒し手を数週間拉致させるようにする。(「彼女を傷つけるな。単に外部からの連絡を絶つ状態に留めておけ」)こうすれば、癒し手が全てが進行している間、何者をも癒したり蘇生させたり出来ない。またカメットはゾーテルカーズィ家の魔道師に一匹の夢魔インキュバスを召喚し、ゼメディ家のハーレムのもとへ派遣させ、ピアウルの奥方chief wifeを誘惑させる。いったん誘惑がなされると、インキュバスは彼女に全てのピアウルの隠された計画を暴露するように言う。そして、この地方の市場では、カメットはピアウルの信頼している執事が味見をする責任をとることにな
るスモモ入りの渦巻き菓子Strudelの一つに毒をひそかに入れるだろう。なぜなら彼はダート戦争の審判の一人だからである。これらがゼメディ家に対するダート戦争開始時におけるカメットの計画である。このような策略の例は豊富にある。
ダッシュDash
極めて大きいカシル。大概は王室のものである。例えば、ハランダッシュはシャア・ハランの好んだカシルであった。

虚偽Deceit
統合されていない意味では、あらゆる意味での意図的な欺瞞や嘘を意味する。統合された意味では、混乱や、動揺や、不安定が努力もしくは洞察力の欠如に、混沌とした策略Trickeryが組み合わさって作り出されること、という風に説明され得る。
宦官Eunuch
去勢された男性奴隷。男でなければ女でもない。制約無しに両者の世界を行き来できる。パヘロPaheroラーレムLalemも着用しなくて良い。大部分の宦官は以前農奴階級であり、この事を通して権力を得る道を選んだ者達である。そのため多くが競争心が強く、野心的である。彼等は又美しい歌声を持つ者が多い。
ファズィクFazzik
カルマニアの家Houseの公式的な長。もしある「家」が抜きん出た称号を(ある領地)のシルダールSirdarなり、(なにかの交易)を司る長官なり、得ているのなら、通常はその家のファズィクがその称号を名乗る。ファズィクはほとんどいつも男性であるが、緊急事態には女性がこの地位に就くこともある。
郷士階級Gentle Castes
カルマニアの郷士、貴族階級は四つのカーストに分割される。一つは女性のもの(カラムCaram)である。他の三つのカーストの中には、一つは貴族(カルマノスCarmanos)があり、もう一つは学者的(ヴィジールVizir)であり、もう一つは戦闘的(ハザールHazar)である。それぞれのカーストの構成は家族の長によって決められて配分され、そうして一人の息子が貴族の称号を相続し、もう一人がヴィジールとなるために官吏の世界に加わり、いま一人が兵士として訓練される。

ハラム、ハーレムHaram
貴族の屋敷におけるカラム女性の住む区域。この場所は宗教的理由から薄暗く保たれている。カラムと、両方の性の小さな子供と、宦官のみがハーレムに入れる。もしある男があるカラムと話したいと望むのなら、彼女はハラムの奥から呼び出されるだろう。
ハラングワットHarangvat
獰猛な土着の民の者であり、彼等は「淡水海」のほとりやカルマニアのバインドル・サトラップ領に住む。
ハザールHazar
(複数形:HazarsもしくはHazari)
戦争の大部分を遂行するカーストの一員。他の地域における騎士もしくは戦士に似たものに相当する。ハザールがいる多くの「家」が自分達の先祖伝来の武具を売り払ったり博打のかたにしてしまい、堕落した芸術家や小売商人として生活している。
ハザール階級の戒律はカルマノス階級の手の内にある生きた武器として働くことを属する者に課する。その責務は服従することに尽きる。この義務の中にはしばしば驚くべき程の自由の余地がある。一部のハザール階級は干渉されない。ハザール達はお互いに強いつながりを持っており、我々はこの紐帯によるものを「親友達」と呼ぶ。この関係は古代の伝統によるもので、親友達のグループが訓練と里子に出されること(訳注:寄宿舎?)、学問を共有している間に形成され、しばしばこの関係が生涯続く。(古風なハザール階級の神秘主義カルトのように。この後にその事について書かれているものを見よ。)ひとりのハザールは他の家、さらには敵の家の支配の元にさえ奉仕している親友を持つことがあり得る。親友達はしばしば「冗談を言い合う間柄」であり、つまり彼等は相互にある意味で先んじていることで象徴的に結び付いている。この男同士のつながりはハザールの人生における良いものの一つであると見なされており、いくつかのカルマニアの劇及び文学作品双方における悲劇の題材とされる。これは親友達が一つの戦いにおいて敵対する陣営に引き裂かれる場面を扱っている。そのため彼等の義務がその強い友情にもかかわらず殺し合うように強いるのである。もっとも有名な例はパーケックPerkekとウォーリガリWorrigariのものであり、彼等は同じ乳母の手で育てられたのである。
家House
非常に大きく拡張された意味でのカルマニア家族。(ローマ人の家族制に類似)「家」のファズィクもしくは長とその妃達、子供たち、彼の両親から、四等親までの従兄弟達をも含んでおり、雇われ人や召し使いやめかけ達、宦官や兵士、奴隷に至るまでをも含む。血族達は血の繋がりの無い者とは異なる、それ以上の権利と責任を家に対して持つことになる。養子縁組は最も社会の流動性をつくる一般的な手段であり、能力のある男性はしばしばより地位の高い血統に養子として入るために考えを巡らすことになる。たとえば、バインドル領のサトラップである、カウファン・デストリノはバインドルの真珠の玉座に座る前にデストリノ家に生まれて、最初ツアージTsatji家に養子に入り、その後、サトラップの家であるアロンAlon家に入った。
ラーレムLalem
全身を覆う白い衣装であり、顔を覆う半透明のスカーフをかぶる。宗教的、文化的な理由から、夜に外出する時、多くのカルマニア男性がこの服装をする。ある種のカルマニア男性は一日中この格好をしているし、他のある者は儀礼的な場において着るだけだ。
ヘザーリHezriや、ある種の祭典や、外国を訪問する際には、カルマニア人は時々自由な時を持ち、激しい色合いの衣装をまとう。家にまつわる色が好まれる。しかし外国ではどんなものでも着て良い。色が塗られた仮面はこれらのサトゥルナリア祭(訳注:古代ローマの無礼講の祭り)のような機会には喜ばれる。一般的なパーティーにおける仮面は黒と白、もしくは家にまつわる色のみ塗られている。

貴族の称号Noble Titles
シャアShahはカルマニア帝国の正当な統治者の称号である。今では時代遅れの言葉だ。サトラップはカルマニア帝国の一つの属領地における支配者の正当な称号であり、「ルナー帝国」の「西域」で管理されている区域の支配者達に、比較的無邪気な意味で古代の栄光に応じるものとして用いられている。シルダールSirdarは将軍や大きな土地の保有者や、男爵や、女男爵のようなもの、あるいは土地もちの騎士、それとも非常に成功した商人や事業の権利者に使われる称号である。

パヘロPahero
全身を包む黒いコスチューム、半透明のスカーフを顔にかける。宗教的、文化的な理由から、昼間もしくはいかなる時も外出する時、多くのカルマニア女性がこの服装をする。

農奴Serf
平民。たいていは猟師、農夫、漁師である。カルマニア郷士階級の者でなければならない土地の支配者の寛容さから土地を占有している。彼等は(訳注:ブリソス派やロカール派と異なり)住む所を変える権利がある。

シーヴSeve
フィヨルド。シーヴは「淡水海」の沿岸にありふれた地形である。ヴァリンドが古代にカルマニアを支配していた時つくった。

淡水海Sweet Sea
魔術的な淡水の海でエーゼル川が流れ込み、二つの川、ポラリストールとジャニューブが流れ出る。神話によれば、この海は古代に溢れ出した井戸wellを源にするそうだ。
真実Truth
個人の知識と統合された思考。伝統の導きと調和した教育と洞察を用いて達することが出来るもの。
ヴィジールVizir
魔術に熟達し、抽象的な知識の追求に関心を集中させるカースト。他の国の魔道師や学者に類似している。
大部分のハザールカルマノス階級はヴィジール階級に三年の間学問と、古典に対する教育と、そのカーストに適切な魔術、そして「正しい考え方」と「正しい行動」について教えられるためにゆだねられる。学生はいたずらを好むが、厳しい管理の下に置かれる。

ワレーシャWaleesha
独立的なカラム達の擬似的カースト。より伝統的なカルマニア女性としてよりも伝統的なカルマニア男性として行動することを望む。ワレーシャ達は厄介ごとの種と思われているが,正確に混乱がどのようなものになるかは個々の家の判断に任される。

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