監視者ドンディーニの報告


黒手団の現在とサバトとの関係: ジェノヴァのドンディーニによる観察報告


 レイスの世界における大変動、カロンの帰還、影の国におけるエノクの壊滅で、東方系と西方系のBlack Handはふたたび分断されてしまったようです。TalmaheRaタルマヘラーとして知られるゲヘナ・カルトの前身がどのようなものであれ、中枢であった霊界と、指導者Del'Rohデル・ローとの連絡途絶について、我らの組織がどのように介入するべきか定かではありません。

 ご存知の通り、サバトにおける「偽の黒手団」の首脳である四人の「熾天使」は直接、「摂政」の命令を受ける名目で半自立的な組織を構えていました。カルトの構成員は偽のブラックハンドの団員をいくつものサバトの群狼に派遣することで、この仮想的な組織の寄生もしくは保護、監視を行ってきました。

 熾天使の顔ぶれ、モンゴル軍の殺し屋アージャフ、ユダヤの家父長エリメレク、バビロン神官イズヒム、トルコのドジャーのうち、中東出身者のイズヒムとドジャーの二人だけが真の黒手団の熾天使で、他の二人は偽の階級しか持っていません。(これは本人の実力や影響力と、カルトの秘密が必ずしも相関していないことを暗示しています。)
 
 またデル・ロウのマントと後継者の地位を巡っての二人の争いは、サバト組織への支配力が他の破壊されたブラックハンドの力に優越していることを示しています。しかしこの二人の実力が、分断されたカルトの結集に成功することはたとえ他の候補者を倒すことに成功したとしてもおぼつかないものでしょう。真のカルトの派閥が偽の熾天使を引き込もうとする計画もあるようですが、アージャフは政略に関心を示さず、サバトの征服、暗殺と恐怖にのみ精力を振り向けていますし、狂えるエリメレクは数世代前から、もはやどのような計画にもはまる存在ではなくなっています。

 結論としては我々の組織がうわさ通り過去に黒い腕の浸食を受けていたとしても、現在のサバトへの大きい傾斜から見て、我々への影響力を少なからず失ったことは予測できる範囲内です。彼らの目的が「洪水前の存在」に奉仕するものである以上、勢力を大きく失った今、真っ向から信条に反している「外部組織」サバトへの絶えざる監視の優先順位は大きなものに上るでしょうから。

  偉大なる尊師へ              ジェノヴァより2000年

ジャーラン・アージャフ汗Jalan Arjav Khan
 第三位。元チンギス・ハーンの武将。摂政ガルブレイスの懐刀、殺し屋にして将軍。ギャンレル氏族、サバイバー/怪物、第五世代、長髪にサングラス。しなやかかつたくましく、つむじ風のように攻撃する。

ドジャーフDjuhah
 第四位。セルジューク・トルコ軍の武人。奇妙な(呪いによる?)病に悩まされている。アサマイト叛逆氏族。暴れん坊/サバイバー、第八世代、かつてのイズヒムの高弟だが今は敵対。黒い肌に山のような筋肉と体躯。しかし病気のために不調(隠している)

イズヒム・ウル=バアルIzhim Ur-Baal(アブド=アズライールAbd-Azrael死の天使の息子)
 第一位。古代バビロニアの魔術師。歳月による倦怠。監督/独裁者。アサマイト叛逆氏族。がっしりして小柄。全身に古代文字の刺青。第五世代。約七千歳!現在生き残ったエノクの最有力者。簡素なローブ。

エリメレク「二度呪われし者」Elimelech Twice-Damned
 第二位。旧約聖書「ルツ記」(死んだはずの)ナオミの夫。人間性1!(誰から見ても獣に食われる寸前)誰も彼と一人では会わない。怪物/マゾヒスト。氏族世代ともに不明。風雨にさらされた肌。サンダル履きに寛衣の一見柔和な老人のよう。

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