友人達



私には同じく王に仕えた多くの友人達が居て、王を含めた皆で円卓を形作った。円卓!ここでは理想の上では全ての騎士が同格であり、丸い木の板の周りがすなわちアーサーの神の愛する王国を表わしていた。ここには多くの(本当に、悪い意味で言おうと努力しても言えないのだ。)素朴で善良な騎士達がそれ以前の強盗と略奪の時代から泥で理想を練り固め、一つの偶像を作り出す事に成功していた。彼らがどうやって、泥だらけの野蛮性の上に金無垢の衣を纏えたのか、それはアーサーの用いた魔術に起因していた。

円卓に加わった騎士達には王国に領地を持つ豪族達の多くの血統が党派を作っていた。それは、私が行った悪事が全て悪い影響を起こし始めるまでは、調和が施されていた。

まず、ドラゴンを象徴にする王家があり、これはブリトン人とサクソン人の混血で、キリスト教徒であった。しかしユーサー及びアーサーの信仰はサクソン人のアリウス主義の観点から見ても、フランスのローマキリスト教の観点から見てもかなり怪しげなものであった。それでも、アーサー自身は決して公式には魔術を認めなかったし、アーサーの甥である私もアーサーが魔術を使っていると非難する者が居たら、串刺しか、八つ裂きにせよと命ぜられていただろう。

そして、アリマタヤのヨセフの一族(聖槍を保持する一族)と、聖杯の一族が居る。聖杯の一派の血を引いていたヨセフはキリストに仕えたガリア人とユダヤ人の混血で、聖杯を護持しつつ、ローマ軍の援助を受けてシリアの地を旅した。キリストは最後の晩餐の時にこの杯を用いたのである。ヨセフはローマの官吏であったブロンと共に杯とキリストを刺した百人隊長ロンギウスの槍を隠匿してガリアに持ち帰った。

また聖杯はローマ勃興以前に聖杯の城に収められていた大母神の祭器でもあった。聖杯の一族からペリノア家が生まれ、ヨセフとキリストの精を享けた一族からギャラハッド族が生み出されたのである。彼等は稲妻の力を受け継いでおり、アーサーはこの両家の血を巧みに利用しようとした。聖杯は神の意思のままに消えたり現れたりするが、聖杯城には一年に一度、決まって出現していた。槍も同様であり、一年に一度の聖霊降臨節の日には穂先から聖なる葡萄酒なるキリストの血を杯の中に滴らせていた。この槍によってつけられた傷は聖なる者の奇跡でしか癒せなかった。

そしてゲールの王家の血を引いている者達。元はロージアンの豊かな都に居を定めていた私の父、ロトは敵に追われて魔女達の守るオークニーに逃れた。ここに居る三人の魔女達は、大陸に居る湖の魔女達と同じくらい強大であった。彼等は太陽の血を経血に混ぜて、力に勝る子供達を生んだ。アーサーは血族となったこの魔女達を愛し、恐れていた。また、コーンウォルとブルターニュに居る悲哀と感情を愛する一族は湖の魔女達と交わり、弱体な王家を支える唯一の騎士トリストラムが生まれた。


「ガーウェイン卿の物語」に戻る