オーディ王のサガ
Saga of King Oddi Ralzakaakbane
以下はRQ第三版の未訳サプリメント、Dorastor: the Land of DoomとLords of Terrorの一部を抜き出してまとめたものです。(個人的には「ゆりかご川」とか、「太陽領」を飛ばしてこっちを訳してもらいたかった・・・・無理だったろうけど)また一部、Book of Drastic Resolution: Chaosや、Broken Council Guidebook、Imperial Lunar Handbook-1を参考にしています。
ドラストールの歴史
かつて「光の帝国」の中心地であったドラストールは、西方ラリオスとペローリア地方の交通をふさぐ岩の森山脈を通る唯一の峠であるカートリンを押さえていた。そして曙の時代の、「評議会」の伝道師達が偶然見つけた神代の超文明、フェルディークFeldichi族の遺跡に宿る驚異と希望は、最終的に「評議会」がケロ・フィンの地からこの地へと本拠地を移す原因となった。フェルディーク族の残したものの中で最大の発見は、「偽宇宙卵Pseudo Cosmic Egg」。この発見は互いに異なる種族や文化の間に均衡と調和をもたらすと考えられる新たなる神の創造の計画を生み出すことになった。
しかし計画が進むにつれ、計画の進行にたずさわる評議会のメンバーの間に不協和音が生まれ、ついには計画の良い結果を望めないと判断した、トロウル族、ドラゴニュート族、人間のヒョルト族の脱退へとつながった。北方のダラ・ハッパが代わって計画に加わり、新たな神の計画は375年の「太陽停止」とともに成功した。新たなる輝く神はオセンタルカと呼ばれたが、すぐに啓発の神、ナイサロールと改名された。新たなる神の力により、「壊れた評議会」は、逆らうトロウル、ドラゴニュート、オーランス人を平定し、その勢力圏はついにはマニリアを平定し、西の大陸岸まで達した。
「光の終わるところにつねに影あり」(ナイサロールの言葉)
光の帝国は中央では啓蒙と平和が訪れ、ナイサロールについては今日でもラリオスの東部やペローリアの西部、ダラ・ハッパでは良い記憶が残っている。しかし、ナイサロールは西方で宣教師達がどれほどの堕落に陥ったかについての知らせを聞いた時、慄然とした。彼らは疫病を自ら振りまいて人を欺き、タニソールの君主達はまつろわないセシュネラ人たちを従えるために非人道的な手段に頼るようになった。
グバージ戦争の戦況の悪化が進行するに従い、光の帝国も変化していった。皮肉なことに逼迫した政治や窮乏する民を治める破れかぶれの支配層たちは「啓発の暗黒面」に落ち、アーカットが彼らを呼んだような邪悪な圧制者、虚言者へと変わっていった。最終的にアーカットのトロウル軍がドラストールへと進軍し、首都のドーカットを破壊し、ナイサロール、「奇跡の都」の「正義の塔」で光の神と決闘を行うと、塔は砕けて、「死の灰」の平野がそこには残った。
(期を同じくしてラリオスのカートリン側からテイロール率いるフロネラ軍がドラストールに攻め入りました。彼は「裸足の」ハルマストからカートリンの鍵を受け取り、最終決戦に挑んだそうです。)
アーカットはカートリンを通って自分の帝国を築くことになるラリオスに向かう前に、ナイサロールに関わる全ての建築物、民、記録を破壊し、ドラストール全土に呪いをかけた。この地域は(西境の「毒茨の森」のエルフたちを除けば)知的生物の住まない泥と灰で埋まった荒野と化した。
第二期の8−9世紀に混沌の目覚めがあり、徐々に生命がドラストールの中心部に戻ってきたが、植生や動物相はすべからく混沌の暗黒面である歪曲力に犯されていた。この時代に(おそらくハイ・ラーマ峠地域からの)テルモリ族がドラストールに入り、「毒茨の森」のエルフ達の許可を得てトブロス山脈南部一帯の「ナングターリ高原」に居を構えるようになった。憶測ではこの時代にブルーの王ラルツァカークが愚かな神知者の手によって覚醒し、第三期の初めまでには「妖魔の高原Demon Plateau」に「憤怒の城砦Fort Wrath」を構えるようになった。
第三期にはペローリアからの二度の知的種族の流入があり、そのいずれもがルナー帝国の活動によるものだった。最初に帝国の「炎月」呪文によって焼き払われたリストの森のエルフ達は激しい人間への憎悪と怒りを抱えてドラストールの南部一帯に移住し、啓発の暗黒面と混沌の神々への信仰(なかでも変身の力を与えるカージョールク神)を始め、「地獄森」のエルフ族と呼ばれるようになった。
次に「第一次混沌大戦」で発狂したルナーの「狂気領」の民が挙げられる。「灰色肌」たちはクリムゾン・バットの出現によって発狂し、戦場をはなれてペローリアの地を狂気による力に満たされてさまよい、通る地域の民全てに被害を与えた。これはイムサーの英雄ジャニソールが魔力を用いて彼らをトルクの結界内に封印するまで続いた。後のターシュ王、オライオスの軍勢が偶然結界を破ってその結果全滅し、解き放たれた「狂えるスルタン」とその臣下の「灰色の皮たち」はドラストールの「腐敗の地」に入って居住するようになった。
1580年、赤の皇帝の使節がブルーの王ラルツァカークと条約を結び、ブルー王はルナーの交易商人と軍に二つの交易中継地の管理と(アーカット最後の塔とドラストール宿屋)、一年に二度のカートリン越えのラリオスへの安全な交易を許可した。またビリーニ王国のハーコンHakon王の息子、「石の」レネコットRenekotはドラストール北西の「賭ける地Riskland」に入植地を構えるようになった。
タラスター地方の歴史
(この地域の神話についてはほとんど記述がありません。Thunder Rebelsによれば、嵐の時代にオーランス人の一種族であるアンディン族Andiniがこの地域一帯を占めていて、銀の時代、あるいは曙の時代にはアガーからヴァララスタンスValarastans大王が現れてこの地域一帯をオーランス人のやり方で治めていたということです。(注目すべきなのは、タラスターのオーランス人がヴィングコットの民、あるいはヒョルトの民と多くの文献で全く別系統と見なされていることで、彼らの最も崇める山は、ケロ・フィンではなく、ニーダン山脈と西岩の森山脈の境にある最高峰Top of the World、ファラーFarar山であることです。)
曙の時代にはこの地域にはオーランス人の七部族がすでに住みついており、彼らは北のソマリン王国や、南方の評議会に属するヒョルト人達と交流していた。下流のアルコスでオスリルに流れ込むエリンフラース川流域にはラクレーンLakreneの低地人が住み、彼らはダラ・ニ地方のダラ・ハッパ文化の影響を高地の民よりも多く受けていた。この地域でも低地と高地の対立は続いたが、タラスターの王がラクレーンの都市国家を統治することもまま起こった。(私はBroken Council Guidebookにあるとおり、ロカマヤドンはビリーニ族の生まれだと思います。そうした方が後のビリーニの民のドラストールに対する苦闘と死がより劇的なものになるからです。(TI))
ロカマヤドンはタラスターのオーランス人達の間から出た英雄で、ドラストールに移転した「評議会」で高位を得て、「神の創造」計画をヒョルト人達と違って積極的に推進し、ついにはナイサロールの助けで神秘的な「高き風」の信仰、タルーマスTarumathを見つけてオーランス信仰と置き換えようとした。(「境界の戦い」における彼の「赤き手の」ヴァーガストによる死より、このことは失敗に終わったが、)今日でもタラスターや北部のアナディーキの民の間にはロカマヤドンを(オーランス人の間のタブーとなっているにも関わらず)信奉している神秘家達がいるらしい。(Imperial
Lunar Handbook-1より。ロカマヤドンについてはIssaries公式サイトを参照のこと)
グバージ戦争でアーカットは軍を二つに分け、ひとつはドラストールを、もうひとつはダラ・ハッパに攻め入ったが、アーカットに従う将軍たちの中にディスタンDistanがいて、彼の剣は後に「オーディ王のサガ」で有名になった「鉄砕きIronbreaker」という魔剣だった。ドラストールが最終的にアーカットによって破壊されると、ディスタン将軍はタラスターに居を定めた。アーカット軍の進軍による破壊以来、アガーとの国境地帯、「影降り山」山麓のスカンティの地のオーランス人はもっとも伝統的で、未開な小規模の共同体を(後の「ワームの友邦帝国」の征服にもかかわらず)保ってきた。
(第二期のエルフとトロウル族の戦争によって、第一期のタラスターや西部ペローリアに広がっていた大規模なエルフの森はかなり縮小したと推測できます。(TI))
第二期のワームの友邦帝国は間接統治の手法を用いた。タラスターの民にアナディーキの民を治めさせ、その上でアナディーキの民はブローリアの民を治めた。この体制はカルマニアの竜殺しの英雄スルヴィルスターSurvilsterや、ラリオスのアラコリングが現れて地方政権を築き、竜の帝国の支配に反旗を翻すまで存続した。いずれにせよ九世紀ごろからドラストールの覚醒がはじまり、タラスターの民は混沌の脅威を正面から立ち向かうようになったので、この地域に大きな注意を注ぐ国はなかったのである。
第三期に入っても、この地域のオーランス人は常に伝統主義的で、ビリーニ王国はタラスターの中心的な役を担い、ラクレーンの都市国家の大王の地位を占めることもあった。彼らのルナーとの関係はたいていの場合実利的なもので、青の城の戦いやジャニソールの乱にはタラスターは消極的にしか関与しなかった。フワーレン・ダールシッパがシリーラ君主領を設立した時にも、多くのタラスターの部族が中立的な関係を保った。
シェン・セレリスとシリーラの戦いはトルクの狂えるスルタン軍の解放を導き、彼らはラクレーン地方を襲い、その被害はあるトリックスターがスルタンをドラストールに導くまで続いた。ドラストールからの混沌の流出と襲撃は増加していった。タラスターの民は伝統主義者Traditionalistと融和主義者Appeaserに分裂し、ルナーに対する態度でビリーニ王はラクレーンの王の下位に位置付けられた。1590年の「白シャツの年Whiteshirt Year」はタラスター地方全土のルナーへの転向の年として知られる―実際は白い清潔なシャツなど賄賂によって表面的な転向を示しただけだし、会合の参加者は実のところほとんど実力者ではなかったのだが。ルナー側はこのことをことさらに喧伝した。
ドラストールとタラスターの地誌(参考文献:Dorastor: Land of Doom、Lords
of Terror、Book of Drastic Resolution: Chaos、Broken Council Guidebook、Imperial
Lunar Handbook、またまりおん氏のTOME 3-1より一部抜粋。)
地図をお望みならMatti Jarvinen氏のサイトのMap Collectionsにあるドラストールの地図およびMark Galeotti氏の公式のルナー帝国の地図を参照のこと。
オーランス人についてはあまり記述がありませんが、ドラストールの地名についてはこちらにも書かれています。
Places of Dorastor
http://www.geocities.com/Area51/Rampart/1481/dorplace.html
ドラストール
アーカット最後の塔Arkat's Last Tower:カートリン峠のドラストール側にある塔。アーカットがカートリン砦からの援軍を防ぐために建てた。今ではルナー軍が駐屯している。
灰の平原Ash Flats:かつてオセンタルカ・ナイサロールの「奇跡の都City of Miracles」があったが、アーカットによって破壊され、灰が残るのみになった。この灰は吸い込むと有害。
血玉髄の砦Bloodstone Fort:第一期、エルフ族とドワーフ族が友好的だった時代に建てられた非常に珍しい「建造物」。頂上にエルフの庭園がある。「毒茨の森」。
妖魔高原Demon Plateau:アーカットが混沌の怪物ナズーNazooの頭を切り離し、今の形にしたらしい。西の端に「憤怒の城砦」がある。この高原の地底にはクラーシトの眷族をはじめとする、ありとあらゆる混沌の恐怖が眠っているとも噂される。
巣の堰Densdam:エリンフラース川を「ヘドロの川Sludgestream」の混沌の汚染から守っているダム。
ドーカットDokat:かつての光の帝国の首都。フェルディーク族、謎の神代民族の遺跡から「偽宇宙卵」が発見され、そもそもの第一期の騒乱、「光の帝国」と「暗黒帝国」の発端となった。古の亡霊が住みついているといわれる。
ドラスタ女神の社Dorasta Shrine:「曙の時代」に繁栄と豊穣を誇ったドラスタ女神の社。付近に「ドラスタの裂け目Cleft」がある。きわめて無防備なのにも関わらずなぜか襲われない。現在のドラスタの女祭は完全に耄碌した老女だが、それでも周囲の人々全てに愛され、敬われている。(熊狼の伝説については後述)
ドラストール旅館Dorastor's Inn:「毒茨の森」の中にあるルナーの宿泊所。現在ルナーは「毒茨の森」とラルツァカーク双方と協定を結んでいるが、その他の混沌の襲撃に立ち向かうために要塞化されている。
エリンフラース川Erinflarth River:オスリル川の支流。(アルコス・ヘンジャールで合流する。)中流の「巣の堰」(デンスダム)で混沌の汚染が流れ込まないように魔法の設備が施されている。)
憤怒の城砦Fort Wrath:ユニコーン・ブルー王ラルツァカークとそのブルー軍(フマクト・ブルー、チャラーナ・ブルーなど)の住む城砦。「妖魔高原」にある。ここの地上部分に住みついているブルーは極めて文明化され、洗練されている。(しばしばラルツァカークはルナーの隊商の者たちを会食に招く。)
悪しき谷Foulvale:「ヘドロの川」の流れる流域。この水は混沌に汚染されている。中心部に「スライムの岩」がある。
幽鬼の土の平野Ghostdirt Plain:植生に関わらず、いっさい動物の住まない土地。ドラスタ女神の呪われた地域。(この土の上を歩くものは霊的に襲われる。)
危難の砦Hazard Fort:「ビリーニ王国」の前の王の息子、石のレネコットRenekotが王家のしがらみを捨てて築いたドラストール付近の「領土」の拠点。ここから植民を進め、ドラストールを再び人の住むところにしようと目指す人々の行きつくところ。
地獄の森Hell Wood:「炎月」呪文で故郷のリストの森を奪われたエルフ族の逃れた先。上位階層のカージョールキは、混沌神カージョールクを崇拝し、「啓発」の暗黒面の力を有しているため自由に混沌の諸相を呼び出すことが出来る。ドラストール南部一帯に広がる森。
カートリン峠Kartolin Pass:ラリオスとペローリアをドラストールを介してつなぐ唯一の峠。第一期にアーカットはこの峠をラリオス側から攻めたが抜くことが出来ず、テイロールはハルマストの助力があって初めてドラストールにラリオスから攻め入れた。現在ではルナーの隊商がラルツァカーク、「毒茨の森」のエルフの容認の元に一年に二回、帝国とラリオスを行き来している。(海の季にラリオスに行き、地の季に帰る。)
ナングターリ高原Nangtali's Plateau:テルモリ族の住みついている地域。「トブロス山脈」南部。ここに住みついているテルモリは特殊な魔術を知っている。
死にぞこないの村Neverdead:「地獄森」にあるゾンビの村。ゾンビの村人や家畜がなぜか土地を耕し、生活を営むふりを続けている。
古の狼の砦Old Wolf Fort:「毒茨の森」の入口にある砦。古代にテルモリ族に建てられたともいわれるが、彼らの文明蔑視からして疑わしい。ルナー隊商はここを起点とする。
牛の頭(オックスヘッド)Oxhead:「スカンティ族」の「都市」。ウロックスの寺院がある。
毒茨の森Poisonthorn Woods:グバージ戦争以来住みついていると主張するブラウンエルフ族の森。(ドラストール西部一帯を覆い、ルナーの隊商はまずここを通過しなければならない。)「地獄森」とは恒常的に戦争状態にある。
命を賭ける地Riskland:タラスタール植民の住みついたドラストール北東部。中心は「危難の砦」。この地の混沌との戦い及び開拓、文明化と引き換えに、ルナー帝国はほかの地域では許されていない信仰もここでは公然と許可している。(オーランス、ウロックスなど)
腐敗の土Rotground:浸食する腐敗の地域。今日ではトルクの「狂気君主領」の君主Mad Sultan、その臣下の狂った「灰色肌Greyskin」たちが住みついて、この地方を夢魔の場所のようにしてしまっている。
影降り山Shadowfall Mountain:ドラストールとアガーの国境にあり、雷鳴の山と西岩の森山脈に挟まれる山。
スライムの岩Slimestone:巨大なゴープがこの岩の上に生きており、自分の体から無数のゴープを生み出し、また時代によって巨大化したり縮んだりしてきた。今までにこれを滅ぼすことに成功したものはいない。
ヘドロの河Sludgestream:ドラストールの多くの汚染された水の流れ込む河。下流の「巣の堰(デンスダム)」で浄化され、エリンフラース川に流れ込む。
蜘蛛の森Spider Wood:リスクランド南西、ナングターリ高原南部に広がる森。知性のある蜘蛛の一族が住みついているが、極めて閉鎖的。この森の中央部に謎の「鉛の塔」がある。
雷鳴の山Thunder Mountain:リスクランドの北にあるオーランス神の聖地の一つ。ここの頂上から神に直接交信できると言われる。
トブロス山脈Tobros Mountains:マンスコーピオンの女神バゴッグに刺され、横たわったまま眠りつづける神にして巨人の山脈。西岩の森山脈に沿って、ドラストールとペローリアを分ける。
西岩の森山脈West Rockwood Mountain:ペローリアとラリオスを分ける分水嶺。極めて高く、ここを越えて旅が出来るのは空を飛ぶものやトロウルくらいである。
周辺地域
アガー王国Aggar Kingdom:ルナー帝国属領地五王国のひとつ。もっとも五王国中未開。「ドラゴン殺しの」アラコリングはかつてこの地に居を構えた。今では南部に多くの陽の天蓋寺院を抱え、親ルナーの王ラシアスRasciusが王権を握っているが、高地には未だに多くのオーランス信者が潜んでいる。
アナディーキAnadiki:タラスタールの北部、ブローリア南部。アナディキ人はロカマヤドンの神、タルマスTarumathの息子、王者カルーマスKarumathを信仰している。(ILH-1、36ページ)
ビリーニ王国Bilini Kingdom:古代タラスタール七王国のひとつ。ドラストールに面しており、武勇と剽悍な性格で民は知られる。低地ラクレーン地方に歴史上何度も攻め入り、その支配権を得ていた。(最近のこの国の王権と諸王については後述。「ハールグリムの戦争」物語の舞台)
ブローリアBrolia:アナディーキ北部、ルナー帝国「西域領」南方の未開地帯。古代にはソマリン王国という国が存在したが、多くの民が石器時代のような暮らしを今では行っている。
ラクレーン地方Lakrene:オーランス人文化圏の中、シリーラのダラ・ハッパ的文化をもっとも多く受け入れているエリンフラース流域、低地地方。羊毛の交易で富裕であり、首都はヴォラネルVoranel。しばしばタラスタール人に侵略され、低地の帝国の干渉をその結果受けるという歴史を繰り返してきた。さらに下流にはダラ・ハッパ人が多く入植しているダラ・ニDara Ni地方がある。
タラスター七国Seven Lands of Talastar:テンリングTenling、ヴォスダリングVosdaling、リングスティングLingsting、アーカイリングArkailing、ビリーングBiling(ビリーニ人)、ウルレディングUlreding、スカンティングSkanthing(スカンティ人)の総称。ヒョルト人と別系統の流れをくむが、オーランスを信仰している。かつて光の帝国のもとでロカマヤドンに従ってヒョルト人を弾圧し、その結果グバージ戦争で非常な被害を受けた。タラスターの中ではビリーニ王国とスカンティ人が特に有名である。ルナー帝国はあやふやな宗主権を主張しているが、実際は独立状態に近い。(ILH-1、27ページ)
スカンティSkanthi:アガー王国とドラストールの境界に住むタラスタール族の支族。極端に分権的で、王権を認めず、文明を認めない。(グバージ戦争を教訓にしているようだ。)団結をするのは混沌と戦うときのみである。「オックスヘッド(牛の頭)」の町のみがかろうじて都市と言える。
シリーラ君主領Sylilan Satrapy:ルナー帝国の極めて強力な君主領の一つ。「勝利の娘」フワーレン・ダールシッパによって創設され、現在では「伊達者」パーディダスPardidasの率いるエリオ・ユニトErrio Unit族が君主権を握っている。パーディダスは野心家として知られている。
主要種族
ドラストール主要種族についてはStephen Martin氏のサイトBook of Drastic Resolutionに同人誌の抜粋が載っているのでそちらも参考にすること。
「長谷の」パウリスPaulis Longvaleはビリーニの豪族の家に生まれたが、ルナーの教えの一つであるイリピー・オントールのカルトに転向した上で、ビリーニ人としてのアイデンティティを失わない形での一族への帰属意識と忠誠心、交際を「ハールグリムの戦い」の時期には保った。1622年から1625年までの戦いの記録の多くは彼の筆によるものであり、彼は「良き王」オーディの治世の初めにビリーニを離れ、帝国の中心部で仕官のかたわらこの時期の体験談をものした。
(彼が帝国中心部に戻った後のことについてははなはだ情報やら噂が漠然としていますが、公式、非公式を通じてとかく逸話が多い人物のひとりであることは間違いありません。)
ドラストールの王、ラルツァカークについて
「彼の正体は実際、謎のままであり、「憤怒の砦」の支配者であるユニコーンの頭をもったブルーも、実のところ、ラルツァカークと名乗るドラストールの存在のひとつに過ぎない。これらの存在はあるいは騙りかもしれないし、それぞれが単一の存在の化身、あるいは分身かもしれない。これまでのタラスタールに攻め入った混沌の群れの首領たちは、みなラルツァカークの化身であるかもしれないし、(あるいは「憤怒の砦」の「彼」が主張するように、)彼の預かり知らぬことかもしれない。また、皮肉なことに、終末の時に戻ってきて混沌と戦うと言われるドラスタ女神の子供、熊狼Wolfbearも彼の化身であると主張している者がいるのである。」
「ユニコーンのラルツァカークはルナーの隊商と会食する時はきわめて紳士的で、洗練された衣装と立ち居振舞いで質問にも応じる姿勢を見せる。(ただし彼はグバージ戦争のことや、覚醒したときのことなど、昔のことはほとんど覚えていないと主張している。)彼の指導下にある文明化されたブルーの集団が、ドラストールの無法な状態を統制するべく努力していると主張しているが、もちろんリスクランドのオーランス人はこのような主張に極めて懐疑的である。いずれにせよ、ラルツァカークはドラストール全土を支配していると自称しているが、実のところほんの一部をかろうじて統制しているに過ぎない。」
「現在のところ、ラルツァカークはドラストールの一画に勢力を持っているだけで、物質界で領土拡張の野心は示していない(あるいは上手に隠している。)噂では彼は霊的な傷を負っていて、癒すのに時間がかかるのだとか、現在でも赤の皇帝に匹敵する力を持っているとも言われる。現在、ルナー帝国と「毒茨の森」との間で彼は通商関係を認めているが、彼が来るべき大変動の世にどのような行動を取るのかは定かではない。」
ビリーニ王国の諸王(「首なしの」ホリックの「ビリーニのサガ」を典拠とする)
(Talastar Paper、Dorastor p.17、Lords of Terror p.10、Book of Drastic Resolution: Chaosより抜粋)
「(オーランス人の常として、ビリーニの王権は世襲ではなく、豪族達の協議で選ばれることに注意すること。)
1595年より1605年、「不平なわし鼻のGrizzlebeak」フローダーHrodarの治世(伝統主義者)
オーランス信仰の伝統主義者だった彼はラクレーン地方の支配権を含めたビリーニの王権を主張し、ヴォラネル市のオパンドOpand王と争った。フローダー王はゲリラ戦術に頼り、1609年のエンディールEndeel市の戦いでオパンド軍を討った。ダラ・ニの勢力はルナー帝国の介入を頼み、エンディール市の引渡しをビリーニ王に要求した。
フローダー王は不意をついてダラ・ニをも落とし、貢納を要求した。これは近年のビリーニ王権の最伸長だったが、ルナー帝国の介入を招いた。赤の皇帝は全ての征服地の返還、権限の放棄を要求し、王は拒絶した。赤の皇帝のしもべたちは1605年、帝国に対抗する魔術を準備していたフローダーのもとを襲撃し、王に呪いをかけた。彼は今では壷の中に封じられているらしい。
1605年より1611年、「ノラルの息子Norallsson」エリクEricの治世(融和主義者)
彼の父は熱狂的な伝統主義者であり、彼自身がルナー転向者となったことは史家たちの謎だった。帝国がシリーラの宮廷に逃げ込んでいた彼を推挙した。1611年より1621年、「泳ぎの達者なthe Swimmer」ハーコンHakonの治世(伝統主義者)
エリクはウロックスの信者を好まず、彼らを追放して、ドラストールの混沌を撃退するよりは宥める形で調伏しようとした。(その試みはあまり成功しなかったようだ。)1608年、ウォワンダーWowanderという存在が率いる混沌の軍勢がビリーニだけでなく低地地方をも襲った。シリーラ軍が駆けつける前に混沌軍は消え去っていた。
エリクの統治に不満を唱えたビリーニのチャンピオン、「白い目のケティルKetil White Eye」は仲間とともにエリクを訪れ、議論し、最後に決闘でエリクを討った。ケティルは王殺しの後、スカンティの地に逃れ、オックスヘッドの寺院でオーランスに仕える聖職者となった。エリクの死後、ウロックス信者たちはビリーニの地に戻った。
スカンティ貴族の娘、美女で知られた「黄金の」グドムンドを妻に持ち、ハーコンは強い指導力を振るった。1608年グドムンドはウォワンダーWowandarに対する防戦で大いなる名誉を勝ち得たが、その後の疫病で美しさと健康を失った。1622年より1625年、「輝く目のBrighteye」ボルソールBolthor、またの名を「裏切り者Traitor」の治世(融和主義者)
ハーコンは土着民の選挙で選ばれたが、治世の初めから強力な敵、ハールグリムHahlgrimという男と争っていた。彼らは祖先の時代からの敵だった。ハーコン王はドラストールとの戦いを行うことと引き換えに伝統の領土と信仰を守るということでルナー帝国と協定を結び、また息子のレネコットRenekotにリスクランドの開拓権と新しい氏族の創設を認めた。
ハーコン王のルナーとの協定は多くの人質と土地を要求し、その一部はハールグリムの家系のものだった。反発するハールグリムの家系はハーコンの妃グドムンドの主治医であったディーゾーラの司祭がルナーの間諜であると法廷で論難し、王は訴訟に負けて争いと疑心は続いた。
最終的にハーコンはハールグリムの家門の多くを殺して土地を押収し、自分の直系の家族の多くをスカンティの地に避難させたハールグリムは最後に自分の子供時代の屋敷で王を殺した。王の息子、「石の」レネコットは賠償の銀を受けとって復讐をしないことを宣言し、後にドラストールとの戦争でハールグリムを支持した。ハールグリムはオックスヘッドでオーランスの司祭となり、もうひとりの王殺し、ケティルと親交を深めた。
(彼の治世の「ハールグリムの戦い」については、多くをパウリスの回想録に負う。彼は多くの行動をハールグリムやケティルとともにした。)
ボルソールは英雄ディスタンより伝わる「鉄砕きIronbreaker」を保有するオステリ氏族の家門の出だったが、この剣の真の力をついに知ることはなかった。彼は妥協によって選ばれた王で、戦いよりも取引や政治によって王国の失地を回復しようとした。アッピウス・ルクシウスをはじめとしたルナー側は彼の指導力に懐疑的で、彼の退位もしくは権限の委譲を要求した。ボルソールはやむをえずいまだに名望の大きいハールグリムに頼ることになった。ボルソールは「鉄砕き」をハールグリムに贈って援助を求めた。(パウリスの「回想」はここから始まる。)
ボルソール、「ハーコン王殺しの」ケティル、「呪われし剣の」ハールグリムと、その兄弟、「鋭き」オーディ、後のビリーニ王はラルツァカークと思われる存在に率いられる混沌と戦うが、結局それはラルツァカークではないことが明らかになる。ボルソールは秘密のうちにドラストールの混沌と結んだことを暴かれて魔剣「鉄砕き」に殺されるが、ハールグリム自身も「鉄砕き」にかけられた宿命によって命を失う。(「鉄砕き」を受け継いだ)オーディとケティルのみ生き残る。
1625年より1630年?「鋭きthe Keen」オーディOddi、またの名を 「ラルツァカーク殺しRalzakaaksbane」の治世(伝統主義者)
(彼の治世の始まりにパウリスがビリーニを離れて帝国ハートランドに向かったせいもあり、彼の治世についてはほとんど記録が残されていない。「首なしの」ホリックは「ビリーニのサーガ」を完成させる前に亡くなった。以下は未来の出来事の一例で、ナレーターは自由に用いることができる。)
オーディ王はナイサロール信仰は混沌ではないことを証明した。そして混沌感知で啓発が察知できないことから、ルナーもその全てが混沌ではないことをも証明したのである。」
オーディ王の治世は賢明なる王による繁栄の時代として知られる。しかしそれもルナー帝国とラルツァカークの増大していく力の間にあってわずかの間に過ぎなかった。(どうやら「アーサー王」の物語と同じように、全ては悲劇によって終わり、オーディ王の治世の栄光と繁栄も夢に過ぎない形で過ぎ去るようです。オーディ王が「啓発された」ストーム・ブルの信者だったことも非常に面白いテーマですが、ここでは扱いません。-----Zeb)
オーディ王はルナー融和主義者を追放することでラルツァカーク軍をルナー帝国と戦わせようと努力し、それは1629年に実を結んだ。オーディ王は自分の民に避難するよう命じたが、彼らはその理由を尋ねた。彼らの忠誠心にほだされた王はラルツァカーク軍とともに帝国を襲うことを告げた・・・・。
続く出来事についてはルナーの年代記にいっさい記録に残っていない。民の全てを悲劇へと導くことで終わったようだ。なぜならオーディは最終的に単身、ドラストールにもどり、ラルツァカークを滅ぼすからである。彼の命と「鉄砕き」を引き換えにして。